もしも3馬鹿常夏トリオが種死に出てたら 格納庫

Dominions Phase3d

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<Phase3d-01>

シャニは屋上のドアを開けた。オルガ達は町へ行くといっていたが、
なんとなく気が乗らず、部屋よりも屋上の方が気分が良さそうだったので、
登ってみたのだ。 寝転がり、いつものようにイヤホンを耳に当て、曲を聞き始める。

「・・・・ドラス・・・町へ行かなかったのか?」
いつの間にか眠ってしまっていたらしい。曲が終わってしまっていて、その声で目が覚めた。
誰だ?と目を凝らすと、ナタルであると分かる。着替えたのかスーツではなく今は私服だ。

「すまない。起こしてしまったか?」
「べつに・・・」
「そうか。ならよかった。」

そう言うと、ナタルも横になり、シャニは少し驚く。
ナタルはそういうことをしないイメージがあったからだ。
横目で伺うと、ナタルは気持ち良さそうに目を閉じていた。
その整った横顔をなんとなく眺めていると、 ナタルがその視線に気づいたのかシャニの方を見てくる。

「何だ?」
「・・・あんた、めずらしいじゃん。」
「そうか?晴れている時はこうやって、屋上で寝ているのが好きなのだが・・・。」
「・・・そうなんだ。」
「ああ。我ながら年寄りじみてると思うがな。」
「・・・そんなもん、人の自由だろ。」
「自由か。・・・そうだな。」
「そうだろ。」
そこで会話が途切れ、しばし沈黙が満ちた。と、ナタルが口を開く。

「すまなかったな。」
「・・・なにが。」
「フォビドゥンのが小破したことだ。
整備が完璧ならゲシュマイッヒ・パンツッアーシステムを持つフォビドゥンが
ビームへ兵器で破壊されることなどありえん。
だが、整備体制が不十分であったために、敵のビームライフルを、十分散らしきれず
小破に追い込まれた。整備体制を不備なまま放置した私のミスだ。」
「それ・・・何回目?・・・もう聞きあきたけど。」
「本来謝って許されることではない。」
「金がなかったんだから、しかたないだろ。・・・なんどもあやまんなよ。なんかうざい。」
「うざい・・・か。」
「・・・?」
「確かに私はうざい奴だろうな。」

その言葉に少し驚いて、シャニは身を起こしナタルの方を見る。
ナタルは目を閉じたまま、あっけらかんとしつつも少し自嘲のようなものを浮かべ、
言葉を続けた。

「冗談の一つもいえず、面白みもない。その上口やかましい。
 こんな奴がいたらさぞ、うざ」
「言ってないだろ。」
「・・・・?」
「うざいのは、何回もあやまるから。別にあんたがうざいなんて言ってないだろ。」
「そうか・・・すまなかった。」
「・・・だから!」
「ああ・・・・すまん。」
「だ・・・もういい。」

そんなシャニの物言いに、ナタルは口に手をあて少し笑った。
なんとなくシャニは妙な気分になる。
そしてまた、二人は寝転がった。空は青く、澄んでいる。

「アンドラス・・・お前は優しいな、。」
「は?・・・なんだよ。急に」
「お前は、仲間が複数の射線に晒されるとすぐに割って入って仲間を守ろうとする。」
「・・・そんなこと。」
「戦闘時の記録を見れば一目瞭然だ。ただ、機体を過信するのは感心しないな。
 整備体制が整い、機体の状態が100%でも 実体弾の被弾等で損傷を受ければ、
 システムが作動しない可能性はゼロではないのだからな。
 ザブナック、ブエル、オークレー、ニーダ、ルーシェ、みな一流の乗り手だ。
 彼等は彼等でちゃんとかわすさ。」
「次は説教?・・・あんた・・・やっぱりうざい。」
「そうだ。私はうざい奴だと言っただろう?」
「・・・マジうざい・・・。」

そういって、シャニはナタルに背を向けた。
だが別に不愉快ではなく、むしろ何か暖かいものが込み上げるのを感じて
シャニは自分の気持ちを持て余す。

そんなシャニの背中を見ながら、ナタルは笑みをもらす。
<Dominions>へ、入るか否か問われた時、 シャニは入る理由を言わなかったが
、おそらく仲間を守りたい、というのが理由だろうとナタルは思っていた。
優しいくせに照れ屋でそれを隠そうとし、その上ぶっきらぼうで口数が少ない。
そのせいで、少し損をしている――そう考えるのは贔屓目だろうか?
そうナタルは思うのだった。

「・・・ん?」
ナタルはふと、シャニのジャケットのポケットの片方が破れているのに気づいた。

「アンドラス、そこ破れているぞ。」
「ああ・・・いいだろ。別に。」
「良くはないだろう。」
そういって、ナタルは立ち上がり一度屋上からでていき、しばらくして戻ってきた時は、
手にソーイングセットを持っていた。

「かしてみろ。あまり上手くはないが、それぐらいなら私でも直せる。」
シャニは少し躊躇したが、ジャケットをぬいでナタルに渡し、ナタルは繕い始めた。
あまり上手くないと本人は言ったが 鮮やかな手つきである。

「・・・うまいじゃん。」
「士官学校にいた人間は、誰でもこれくらいできる。
 自分のことは自分でするのが軍人だからな。」
「へえ・・・」
なぜだろうか?
針仕事をしているナタルを見ているとなんとなく暖かい気持ちになるのは。
それがシャニは不思議だった。
とっくの昔に忘れた・・・これは・・・かあさ・・・。

「出来たぞ!」
その言葉にシャニは我に返った。

「・・・ありがと。」
「礼を言われるほどではない。このくらい。」

そう言って、ナタルはまた横になり目を閉じる。シャニも横になり、
いつものようにイヤホンを取り出し、音楽を聴こうとして――やめる。
いつもの音楽を聞き始めたら、今の気持ちが壊れてしまうような気がしたから。
なんとなく、暖かくて何かに包まれているような、そんな気持ちが。
イヤホンとMDをナタルが直してくれた方のポケットにしまいこみ、シャニも目を閉じた。

天気は晴れ、涼しい風は心地よく頬をなでていく、そんな午後の出来事であった。

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