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Dominions Phase5


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「あんた達に合わせたい奴がいる。腕利きのMS乗りだ。」
そういって、レジスタンス<コーカサス解放軍>のリーダーが連れてきた少年は
かつて8人の前で叫んだ。

「死なせたくないから返すんだ!だから絶対に約束してくれ!・・・
決して戦争とかMSとか、
そんな死ぬような事とは絶対遠い、優しくて温かい世界に彼女を帰すって!!」
ステラを連れてきたその黒髪の少年はそう、叫んだ・・・。


アウルから、ステラへとBWによる混乱が伝染し(BWはまだ解除されていなかった)
アウルを取り押さえるのに必死で、ステラの暴走を止められなかったあの日。
調整途中のカオスとアビスを無理矢理動かし、大慌てでロドニアのラボにかけつけた、スティングとオルガが見たものは、破壊されたガイアの機体。

怒りに任せて暴れようとする二人をナタルは必死で怒鳴りつけ、説得し、
ガイアを回収させ帰還させた。
しかし、ガイアがミネルバに撃墜されたことが確定的になり、
それを知ったフレイは倒れ、5人は怒り狂い、荒れに荒れた。

特にアウルのショックは尋常ではなく、BWの精神的ダメージが抜けきらない状態での、
強いショックは精神に深刻な影響を与えかねないため、
「記憶を消す? 記憶ってのはそれまでその人間が生きてきた証。
そしてある意味その人間そのものなんです。 それを消すなんて。
ああもう、ダメダメです。」
このアズラエルの一言で、今まで使用されなかった 記憶操作のベッドを使用し
アウルの記憶からステラを暴走させたという箇所を、消去しなけらばならないほどだった。

既にフルーコスモス穏健派筆頭となっていたアズラエルの意向で
連合であることを隠す必要がなくなった後も、戦闘には加わっていなかった、
82独立機動軍、 ドミニオン及び三機のガンダムに初めて戦闘命令が下り、
ナタルによって作戦が立案された。

オーブ軍が絡むと乱入してくるフリーダム、そしてアークエンジェルという
不確定要素の介入をなくすこと、そしてミネルバに打撃を与えるために、
オーブ軍にまず攻撃させ、その後温存しておいた、6機のガンダムとドミニオンで
ミネルバを叩き潰すという策。

オーブ軍をぶつけた結果、ミネルバ側はザク二機が損傷、乱入したフリーダムにり、
変形する機体が大破、 ミネルバにも多大な損傷が出たことが確認された。
こちらは、計画通り6機のガンダムと無傷のドミニオン。
ガイアにはネオを搭乗させ、明日はミネルバを攻撃しステラの仇を討つ。
そう誓い、全員が眠ろうとしたまさに――その時であった。

「スティング・・・フレイ・・・アウル・・・シャニ・・・クロト・・・オルガ・・・
 ナタル・・・ネオ アズラエロ・・・誰でもいい!ステラが待ってる。
 ポイントS229へ迎えに来てくれ。繰り返す…」
この通信が飛び込んできたのは。

罠か? という疑念はあったが、「行ってみれば分かるんじゃないですかねえ?」
という アズラエルの言葉により――仮に駄目だといわれても、既に5人とフレイは
今にも飛び出していきそうな様子であったが。
ネオだけを残し、5人とナタル、アズラエルまでもがその場所へと向かった。
そして、敵の乗ってきたガンダムの前には、一目で分かるほど衰弱したステラと黒髪、真紅の目をした少年の姿があった。

「ステラァ――――ッ」
ステラを見た瞬間、悲鳴のような声を上げてフレイはステラに駆け寄り、少年から手渡されたステラを、 その小さな体を抱きしめる。

「・・・フレ・・・イ。」
「うん!・・・うん!・・。」
弱々しく、でも嬉しそうに声を出すステラをフレイは涙を流しながら抱きしめた。
暖かい・・・生きている。
そのことがたまらく嬉しい。フレイとステラに5人が次々と駆け寄る。

「アンタが・・・フレイ?」
その少年の言葉にフレイは顔を上げる。意志の強そうな、今は少し優しげな目をした、
少年の顔がそこにあった。

「ステラ・・・言ってた。フレイ・・・優しい・・会いたい・・・って何度も。」
そして、少年は顔を上げ後ろの7人に、鋭い視線を向けた。

「スティング・・・アウル・・・シャニ・・・クロト・・・オルガ・・・ナタル・・・
アズラエロ・・・」
名前が呼ばれるたびに、各々はそれぞれ、それは自分だ、という仕草をしてみせる。
それが、ステラを連れてきてくれた少年に対する誠意だと思えたから。

「アンタ達のことも言ってた。呼んでた。・・みんなと一緒にいたいって。
 みんな好きだって! なのに―――何でアンタ達は、ステラを戦わせたりするんだ!! こんなに死ぬのを怖がってるステラを!!!」
その言葉に、ナタルは何かに耐えるような顔をし、フレイは顔を伏せる。
少年は、更に叫ぶ。

「死なせたくないから返すんだ!だから絶対に約束してくれ!・・・
 決して戦争とかMSとか、 そんな死ぬような事とは絶対遠い、
 優しくて温かい世界に彼女を帰すって!!」

その叫びに返せる言葉はスティング、アウル、シャニ、オルガ、クロトにはない。
みな黙って下を向くだけだ。
彼等には選択肢などない。誰かの判断でどうにでもされてしまう彼等に、
何が言えるというのか? 艦長でしかないナタルにも、曹長にすぎないフレイにも・・・。
だが、アズラエルは口を開いた。

「分かりました。約束しましょう。」
その言葉に、少年は燃えるような目でアズラエルを見つめ、その視線をアズラエルは、
真っ向から受け止める。
そして彼には本当に珍しいことに、真摯な眼差しと口調で言葉を紡ぐ。

「二度と、彼女の意思に背いた戦いを強制しないことを誓いましょう。
 あなたの行動に応えるために。 そして心から感謝を。彼女の命を救ってくれて、
 ありがとうございました。」
そういって、深々と頭を下げる。その態度に、ナタル達は目を丸くした。
だが少年はその態度に戸惑いつつも、更に言いつのる。

「・・・別に礼とかはどうでもいい。だけど・・・お願いだ・・さっき言ったこと。」
「ええ・・・守ります。」

 明らかに少年は葛藤していた。少女の幸せを、それだけを祈って。
相手が約束を守ってくれるかどうか、それだけを心配して。
返すことが悔しくて、でも返すしかない自分が、何もできない自分が、
悔しくて・・・。
アズラエルにはそれが手にとるにように分かった。

だが、少年はついに苦しそうな、絞りだすような声で言った。
「アンタを・・・信じる。はやく、手当てを・・・してあげて・・・くれ。」
 ステラを抱いて遠ざかっていく5人やフレイを、拳を握り締めて見つめる少年にアズラエルは声をかけた。

「君、一緒に来ませんか?。おそらく君はこのまま帰ったら、重罪・・・だと思いますよ。」
そう言ってアズラエルはナタルの方を見、その視線の意味を悟り、ナタルは口を開く。

「こちらの軍の軍法だと、君は・・・間違いなく銃殺刑だ。ザフトではどうか知らないが、
こちらより 格段に甘いとしても10年、20年と禁固刑に処せられるのは、
避けられない。・・・それでも帰るのか?」
その言葉に、5人もフレイも足を止めて少年を見た。

「仲間に帰るって約束してきた。それに、俺は間違ったことはしてない。」
だが少年は少年は決然と、揺ぎ無い意思をその瞳に宿してそう言った。

「・・・そうですか。」
その瞳を見てアズラエルはそれ以上の説得は諦める。
そして、少年は車に乗せられようとするステラに走り寄った。

「・・・シン・・・」
「忘れないで、ステラ。俺、忘れないで。 」
「うん。・・シン・・・好き・・。」
「俺も。・・・ステラ。」
二人は、おそらくこれが今生の別れであろう言葉をかわす。
と、スティングが口を開いた。

「ステラ・ルーシェ。」
「え?」
「ステラのフルネームだ。ありがとよ。ステラを帰してくれて。」
「ありがと。・・・マジで。」

 アウルもスティングに続き、オルガ、クロト、シャニ、フレイ、ナタルも
次々と礼を述べる。
少年はそんな彼等を見て、少し笑った。
そして、ピンク色の貝殻の入った小瓶をステラに握らせ、 最後にもう一度、
ステラに微笑みかけると身を翻し、一度も振り返ることなく機体に乗り込み、
飛び去っていった。

(彼の・・・文字通り命をかけた、そして人生をかけた行動に答えなくてはいけませねえ。)
アズラエルは、心の中でそう呟いた。
ジブリールと正面から対立する覚悟がなかった 自分の決断の遅さが今の結果を招いた、そう思う。

あの少年はアッサリと、なにもかも捨てステラを助けた。
ザフトの切り札である、あの機体のパイロットの立場も、これからの人生も全て捨てて。
それを若さ故のこと、思慮が足りないだけ、一時的な激情に任せただけ、
そう切り捨てるのは容易い。

確かにそういう要素もあるだろうとアズラエルは思う。
だが、あの少年が眩しく映るのも事実だった。
助けたいと思う大事な人間のために、自分のことを省みず、その人のことだけを考えて動く。
(どうしても守りたいなら、全てを捨てる覚悟を決める。そういうことなんでしょうね。)

アズラエルが、3人のBWの解除を独断で指示し、ジブリールに対立の姿勢を明確にと打ち出したのは それからすぐであった。
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