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二年前、全てが終わった。
残った俺は、ただの抜け殻で――
夢も、希望も、恋も、何もかも、
もう二度と取り戻す事はできない――



「馬鹿、遅い!」
「へいへい」

相変わらずうるさい幼馴染に、適当な返事をしてついて行く。

「置いてくわよ?」
「へいへい」

再び適当な返事を返す。
二年前から、
いや、もっと前から、幾度と無く繰り返されてるやりとり。

「いつまで立ち止まってるつもり?」

錫の言葉に、はっと我に帰る。
確かに、ずっとこのままって訳にはいかないだろう。

「うるせー、すぐ追いついてやるよ!」

視界の遠くにいる錫に向かって叫んでやった。

「全力で走ってこないと、追いつけないわよ?」

わーってるよ、そんな事。

「全力で追いついてやるよ、お前と一緒に登校したいからな!」
「きゃっ!」

こけた。
面白い奴だ。

「バーカ、冗談だよ」

ちょっと走っただけで、軽く追いつく事ができた。

「今度は俺が置いてくぞー」
「ひ、卑怯よ!いきなり変な事言い出して!
 絶対、学校までには追い越してやるからね!」

錫の声が、どんどん迫ってくる。
これは面白くなってきたぞ。

――九月。
俺の新しい日々がスタートした。
いや、言ってみただけだ。
待っているのは、今までどおりの陳腐な日常だけだろう。
でも、なんとなく。なんとなくだけど……
何か変わりそうな、そんな気がした。

「待ちなさい!!」
「げ」

もう、すぐそこまで来てやがる。
女とはいえ現役のバスケ部員、気を抜けばすぐに抜かれてしまう。

「じっちゃん、オラ、わくてかしてきちまっただ!」

「何、訳わかんない事言ってんのよ!待ちなさい!」

これから始まる日常に、わくてかしながら走っている俺達は、 間違いなく、全力だった。




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