680 @Wiki内検索 / 「のりしろ」で検索した結果
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88題(構築中)
...生の矢? 064:のりしろ? 065:無条件降伏? 066:Gift? 067:領空侵犯? 068:はらから(同胞)? 069:WEY OF ESCAPE(脱出経路)? 070:自分勝手 071:怪談? 072:青? 073:栗 074:別れ? 075:空白 076:cry? 077:米? 078:反射熱? 079:瞳を閉じて 080:幼き日? 081:熱? 082:春夏秋冬? 083:たぬきうどん? 084:群雲? 085:卒業? 086:果物? 087:嵐? 088:A88? -
問わず語り
88title/no.16 問わず語り 「いちいちうるさいんだよ!大体よお、お前は俺の何だっつーんだよ!」 きっかけは何だったのか、もう思い出せない。 ふとした相手の言い草に気が立って、言い返した台詞は 自分でも言うつもりの無かった言葉。 普段なら笑って許せるのに、その時だけは 許せなかったのは、お互い気持ちに余裕が無いからだろうか? 激しい感情の発露の後、神田は髪をくしゃくしゃと掻き毟って言った。 「栗よお、・・・俺が重荷になってるってんなら、もうほっといてくれよ」 「重荷だなんて言ってない。少しは自立して欲しいだけだ」 「自立しろだと?じゃあ、もう俺にはかまうなよ。元々一人で やれてたんだからよ」 「・・・何も其処までしろって言ってるんじゃない。出来る範囲で良いからって・・」 「その見下すような言い方は止めろよ」 神田... -
瞳を閉じて
88title/no.79 瞳を閉じて 基地を出て、近くのアパートまで歩く。いつもの道のり。 そこへ最近、基地からアパートまでのその間に楽しみが加わった。 近所のガキどもの目隠し鬼からヒントを得たものだった。 子供の遊びはいつも変化する。 でも、変化しない遊びもある。 目隠し鬼。 それもその一つ。 最初はじゃんけんで負けた奴が目隠しをして、他の逃げた奴らの声だけを頼りに捕まえる。そして捕まってしまった奴が次の鬼になるのだ。 閉鎖的空間ならそれも楽しい。 とにかく「見えない不安」から脱出できるのだから、それだけでも自分とは違う人間を捕まえるのは安心する。 子供たちが楽しそうに遊んでいるのを見かけた。公民館の中できゃあきゃあ楽しそうな悲鳴をあげて逃げ回る子供たち。 それを見ながら栗原がボソッと言った。 「俺、そういやあんな遊びしなかったなあ・・・」... -
Pinup Girlのアヤマチ
Pinup Girlのアヤマチ 「行かないと言ったら行かない!何度言わせるんだ、」 それはある日曜の事だった。昼メシを街に出て食べよう、と主張する神田に、栗原は断固として反対の構えだ。 「えー、いいじゃんかよぅ。たまには外食くらいしたって。給料も出た事だしさー。」 「行きたきゃ一人で行けばいいだろ。」 「栗と行きたいんだよぅ。」 「…神田、俺が外に出たくねぇ理由を忘れたとは言わさねぇぞ?」 「あ。あはははは…。」 「笑ってごまかすんじゃねぇっ!!」 そう、この日栗原には街に出かけられない大変な事情があったのだった。 それは半年程前の出来事だった。 「お、なんでぇ、盗撮航空隊じゃねぇか。」 昼食から戻ってきた神田は、ショップの中に不審な人物が居る事に気が付いた。 と言っても、内輪の人間には違いないのだが、神田の所属する飛行隊... -
You are my destiny.
You are my destiny. それから結局丸一日は事後処理やら始末書の続きやらで、寝るヒマもないほどに忙しくて、それから栗原を見舞ってやれたのは二日後の事だった。 病室に入ると、栗原はベッドの上で上半身を起こして本を読んでいるところで、俺を見つけると軽く腕を上げて招く仕草をする。 「起きてて大丈夫なのかよ。」 また無茶をしてんじゃないか、と少し心配になりながら近づくと、 「傷のくっつきがいいからって、起きてる分にはいいんだってさ。多少腹筋に力いれてるほうがリハビリにもなるって言うし。」 と栗原は得意げにそんな事を言う。 「無理すんなよ。」 言いながら俺は周囲から預かった見舞い品を渡した。そして、 「何か居るものあるか?午後休み取ったから、何かあったら買ってくるし。」 とそう言ってやると、栗原は顔だけで笑いながら 「あー、別にいいや。ど... -
サングラス2
88title/no.51 サングラス2 「俺に触るな、かばうな、近づくなって言ってたの誰だよ、おい」 伊達のひざの上、栗原はやわらかい寝息で、細い指がズボンの裾を弄っている。 わしわしっとその髪をかき回すと余計にすり寄ってくる。 このままおっぽり出して帰ってやろうかと思ってももう遅い。 宴もたけなわ、一升瓶が転がり、理性を放り出した連中が裸で走り回っている。 何で自分だけ、こんな隅っこで一人冷静に観察してるんだ。 「俺だって、あっちの住人よ?栗原ちゃん?」 騒ぎに後ろ髪ひかれながらも置いてあった上着を手に取った。 広げて栗原の体にかけると、ますますアレらと同じ生き物には見えなくなってきた。 栗原の白い横顔は濃い紺色に映える。 口元は微妙に笑みの形をしていて困る。 「やだわ、栗原ちゃんてば罪作り」 一人おねえ言葉でおちゃらけてみた。... -
キミの居る場所
キミの居る場所 「何でお前、こんな所に居るんだ?」 と、寝室に足を踏み入れた瞬間に、伊達は驚いてそう言った。 そこは空港に程近い成田市内のマンションの一室で、フライト前にゆっくり出来るようにと、生活に余裕が出てきた頃に購入した物件だ。 だからそこに予想外の人物が寝そべって本なんて読んでいたとしたら、驚くのも無理はない。カーテンは開けられたままだったが、夕刻を過ぎた部屋はもうとっくに薄暗くて、ベッドサイドの明かりだけが、その人物の手元と俯いた横顔を照らしているだけだったが、伊達にはその相手が誰かがすぐにわかった。 「何だ、帰ってきたのか。・・・じゃあ、出て行こうかな。」 物憂げな顔を上げたその相手は、その視線上に伊達の顔を捉えるなり、そう答える。 「いいさ、ゆっくりしてろよ。いつから居たんだ?お前。」 そして、伊達からそう尋ねられて、その相手・・・ベッドの上... -
テーマ別お絵かき
テーマ別お絵かき。 ここは、誰かが投げたお題についてお絵かきするところです。 お題はなるたけグローバルに。 ■中見出しで「お題」を作ってもらって、その下に「お絵かき」を作成してください。 ■だめそうなら、見つけ次第レイアウト修正します。Wikiに慣れればなんて事ないと思いますが・・・。むしろHTMLよりも簡単。 テーマ:「なんでも試し描き」 現在、paint_bbsプラグインはご利用いただけません。 テーマ:「戦闘機」 今回のテーマは「戦闘機」 リアル、デフォルメ、擬人化、オリジナルなんでもオッケー。 好きな戦闘機を描いてみて下さい。 ディテールに凝っても良し、笑いをとってもよし。 ・・・いきなり難しいお題でなんですがな。 ・・・尖頭器はイカンぞ。 現在、paint_bbsプラグインはご利用いただけません。 -
3
Cross over the Line 3 「・・・なんか聞こえないか?前の方から。」 さっきのアナウンスがあってから5分くらいが経過しようとしていた。 二人が座っているのは先頭の席なので、その前はトイレがあって、更にカーテン一枚を隔てた先がコックピットになっている。 通常コックピット内の物音は、防音設備が良いため客席側に聞こえないようになっているのだが、二人には妙な感の冴えがあって、何となく普通と違うざわついた様子が感じられるのだ。 機内アナウンスも、その後は何も言って来ない。 「だな。何か揉めてるみたいだけど・・・。やっぱり思った通りか・・・?」 「ん?誰か出てきたみたいよ、神さん。」 前方のコックピット部の扉が開いた事を示すように、客室との間の目隠しになっているカーテンがわずかに揺れて動いている。 「・・・どうか嫌な予感が的中しませんように。」 ... -
DRASTIC BETTER HALF
DRASTIC BETTER HALF 「暑いなぁ。」 「暑いですねー。」 夏の盛りも近づいたある日の事、飛行隊のロッカー室では訓練を終えて、シャワーを使い終えたパイロット達が口々にそんな会話を交わしている。 皆一様にダラダラとした格好をしている。シャワーの後でも当然課業中なのだから、本来なら制服に着替えるか、洗い換えの飛行服を着ているべきなのだが、誰も空調設備のないロッカー室の中、そんな格好をしているものは居ない。 Tシャツ姿だったり、果ては上半身裸のままで下は短パン姿といった格好の隊員までいる始末だ。 そこへ、 「よ、西川、水沢、お疲れ。ちくしょう、暑いなー。」 とシャワー室から出てきた神田がそう声をかける。 普段どちらかと言うとキッチリしている方の西川、水沢コンビだったが、さすがに暑さに耐え切れないのか、飛行服の上半分を脱いで腰でしばった状態で、... -
そこにあった運命
そこにあった運命 「なぁ、一緒に住んでくれないか?」 と、そんなセリフで誘ったのは俺の方だった・・・。 出会いのきっかけはなんてことない。 奴は、あちこちの飛行隊で持て余されて、とうとうこの陸の孤島と揶揄される百里基地に転属してきたナビゲーターだった。 そして、俺は「ナビ潰し」と仇名されていて、気に食わない、能力もないくせに俺にあれこれ指図してくるばかりのナビゲーター共が気に食わなくて、何人も病院送りにしてきた問題児だった。 一緒に組ませれば、どっちかでも大人しくなるだろう、なんていう司令のちょっとした思い付きで俺は奴と組まされて、戦闘機を駆る事になったんだ。 それにしても無茶苦茶な奴で、いきなり目隠しで三沢まで操縦させられたりして、無茶苦茶な所が妙に馬があって、結局俺は奴とコンビを組む事に落ち着いた。 けれど・・・、 変わった奴だとしか最... -
DISTANCE~千歳~
DISTANCE~千歳~ それは神田が千歳基地についた日の昼過ぎの事だった。 神田の任務は司令をファントムで千歳基地に送り届けて、そして3日後にまた百里に連れて帰る事だった。なぜファントムなのかと言うと、その千歳への行程がそのまま司令の年次飛行の時間消化に当てられているという無茶苦茶な計画によるもので、つまり千歳にいる3日間、神田は特にする事もなくフリーなのだ。 朝イチで百里を発って千歳についたので、基地の見学も午前中にしてしまってたし、民航のターミナルに行って忘れないうちにと早々と栗原と飛行隊への土産も買った。 そして、もう既に退屈しはじめていた。 さすがにこの時間からすすき野の繰り出すのも気が咎める。同期や知り合いがこの基地に居なくもないが、みんな仕事中だ。遊んでくれる相手もいなかった。 仕方なく、宿舎に割り当てられた幹部隊舎の一室で昼間からゴロゴロとしている... -
携帯電話
携帯電話 「神さん、ごはんできたよ~。」 栗原がエプロン姿のままで配膳しながら、奥の部屋に向かってそう叫ぶ。 しかし応えはない。 「神さ~~~んっ。」 奥の部屋からは不自然な電子音が響いている。 「・・・野郎、またゲームしてやがんな。」 この所、神田はPS2のエースコンバットに夢中であった。仕事から帰ってくると、食事と風呂に入る以外はずっとテレビの画面に向かってピコピコやっている。それがどれくらい夢中なのかというと、ゲームにより臨場感を持たせるためにプラズマテレビを買おうなんて言い出す始末だ。 そしてそれはたいてい夜中まで続くのである。 それを栗原が容認しているのは、夜中までゲームに夢中になってくれていた方が彼にとっては都合のいい事もあるからだ。 ここ1週間程の栗原のご機嫌はそれほど悪くない。たまには神田の相手をせずに一人で眠ることは、多少の欲求不満は... -
愛のカタチ
愛のカタチ その日、栗原と伊達の二人は都内の一等地にあるそこそこお洒落なダイニングで夕食をとっていた。 二人ともスーツ姿で、特に何の変哲もない服装だったのだが、長身で体格の良い伊達と、どこからどう見ても見栄えの点では申し分のない栗原との組み合わせなので、それなりに人目を引く。 「お前なぁ、いい加減に俺にタカルのはやめろよ。」 二人の前には小洒落た料理が並べられていて、グラスには高級そうなワインが注がれていた。 「なんで?いいじゃん、別に。たまには美味しいもの食べないとね。」 言いながら、栗原は非常に穏やかな表情をしている。 「旦那はどうしたんだよ、旦那は。」 電話があったのは今日の昼の事だ。突然に今晩ヒマ?と栗原から誘いをかけてきたものだから、伊達は二つ返事でその誘いに乗った。ほとんどの場合、伊達の方から声をかけることが多くて、そして栗原が誘いに乗ったとし... -
モーニング・ムーン
モーニング・ムーン それは、夏の始まり頃の事だった。千歳の夏は始まりが遅く、そして終わるのは早い。人々はほんの少しの夏気分を味わおうと躍起になる。 それはここ、千歳の航空隊でも同じことで、夏になればやれ花火大会だ、やれ水泳訓練だ、と精一杯の行事をこなす。 そんな花火大会の日のことだった。 基地をあげての花火大会で、そこには基地司令以下名だたるVIPが顔をそろえ、そして基地隊員は勤務に支障をきたす人員を除いて全員参加が達せられていた。 「いつまでもブウブウ言ってんじゃないの。」 と伊達は隣に居た栗原の頭を軽く小突いた。 グラウンドでバーベキュー、しかも大した花火でもない、そんな飲み会に出なきゃならないくらいなら、部屋で寝てた方がマシと言い張っていた栗原だった。 それを今回は隊長から厳しく咎められて、伊達には「必ず連れて来い」との厳命が下っていて、なだめすかし... -
トップページ
680@Wikiについて ここは、漫画家新谷かおる先生の作品スキーな人の集まるポータルサイトです。 内容、リンク先には程度の差こそあれ、同人誌的、同人腐女子的要素が含まれます。不快に感じるという方は退去願います。(もっとフツーのサイトはいっぱいあると思います。) サイトを訪れた新谷ファンは、自由に書き込み&ページの作成ができるようになっています。(今の所) ここがどう発展していくは来ていただいている皆様の意見次第。 どんどん色んな事を付け足したり、ページを足したりして、楽しい企画をお待ちしております。 <業務連絡> 管理者パスワードを変更しました。必要な方はお手数ですがご連絡下さい。(24.8.24) サイトの使い方 ■ 新しいページを作りたい!! ページの上に「新規ページ作成」というリンクがあるので、それをクリックしてください。 ■ 表示しているページを編集したい!... -
DISTANCE~百里2~
DISTANCE~百里2~ 「なぁ、俺と賭けしねぇか?」 「賭け?」 閉店間際の居酒屋の中、カウンター席の片隅に陣取った伊達と栗原の二人はそんな会話を交わしている。 めずらしく神田がそこに居ないのは、神田が単独で千歳基地に出張中だからだ。 偶然にもその店で出くわした二人は、なんだかんだで共に飲み始めて、思い出話に花を咲かせていた。 「そ、その外線直通さ。掛けてみて神田がそこに居ればお前の勝ち、居なかったら俺の勝ち。どうだ?」 時刻は11時30分、そろそろ千歳基地のゲートクローズの時間だ。たとえ神田がそこから飲みに出ていたとしても、何事もなければ外来の幹部隊舎に戻っている筈である。 どこか居心地の良い場所で、一夜を過ごしていたりしなければ、の話だ。 伊達の読みでは、神田は繰り出したすすき野で、かなりイイ思いをしている筈だ。 「それは・・・、俺にとって... -
Love the Island...
Love the Island... 「神さ~ん、百里降りれないってよ。どうするよ?」 眼下に見えるのは巨大な台風の目だ。しかも首都圏を中心に三陸沖、日本海側まですっぽり覆い隠してしまう程の巨大な台風。台風の中を飛ぶ事はなんとかできるにしても、滑走路付近の風速が50ノットを超えていては、着陸はとても不可能だ。 「あん?オルタネートはどこよ?」 「最初のフライトプランのは全滅よ。三沢、松島、小松全部ダメ。成田ももちろん。」 アラートで上がったはいいものの、ペアで上がった320号機を先に帰してエスコートを引き受けたのがますかった。いつものウラジオストック発のベトナム行き定期便だ。調子に乗って帰る燃料ギリギリ、東シナ海付近まで送っていったのも災いした。 「神さんが調子に乗るから。」 「んな事言ってないで、オルタネート探してくれよ、栗。このままじゃ墜落しちまう・・・。... -
自分勝手
88title/no.70 自分勝手 「好きだ」 「は?」 神田が栗原の顔をうかがうように小さく言った。 意味もわからずぼけた声が出ると、神田が嬉しそうに言い放った。 「俺は栗原が好きだ」 それはもうハレルヤーってな満面のすっきりした笑顔で言った。 ここはどこだ、第○格納庫前だ。その上、ランニングしている、 いかついジャージ男が目の前を走る公の場だ。神田言った言葉はここにそぐわない。 「神田、寝言か?」 「ちゃんと起きてるし、俺は…」 「そういうことは普通体育館裏とかで言うことだろっ」 なんてこったコンピュータを狂わせられている体育館裏じゃない、放課後で教室だ(違 「忘れないうちに言うべきだろ」 「そんなこと忘れるかっアホっ」 「じゃ、覚えててくれ、じゃっ」 さわやかに言って赤い顔で逃げ出した神田の服の裾を思いっきり引っ張った。 どこか千切れる音が... -
Secret Base
Secret Base 「今日は風がきついな。」 それは二人して基地の外周をジョギングしていた時の事だった。 丁度ランウェイのエンド付近を通り過ぎる場所で、周囲はだだっぴろく開けていて、その強い風を遮るものは何もなかった。 その先には大きな窪地があって、それを避けるように外周道は大きく基地の外柵の方向へ曲がっていく。 「うわっ…と、やべ。」 それまで栗原の体一つ分くらい前を走っていた神田が、そう言って大きく外周道を反れて窪地の方向へと下っていった。 見ればその先に白い細長いものが風に煽られて、地面から浮いたり転がったりしながら神田の2~3メートル先を舞っていた。 どうやら神田が首から掛けていたタオルが風に煽られて、吹き飛ばされたらしい。 仕方がないので、栗原も足を止めて神田がそれを無事に捕獲して戻ってくるのを待つ事にした。 神田はなかなか戻って来な... -
BBS
BBS(試験設置中) 名前 小説の方で出てると聞いて読んでたのですが、アニメの方を今頃見つけたので張っときます。ここの2 00頃んとこ! www.youtube.com/watch?time_continue=121 v=67RpQFOjchw - hig (2019-04-11 10 02 5... -
コメント/BBS
小説の方で出てると聞いて読んでたのですが、アニメの方を今頃見つけたので張っときます。ここの2 00頃んとこ! www.youtube.com/watch?time_continue=121 v=67RpQFOjchw - hig (2019-04-11 10 02 58) 新谷先生がクリスティ・ロンドン マッシブ終了後、2017年4月26日休筆されるとツイートされました。長いこと凄い作品を見せてくださってありがとうございました。お疲れさまです…が66歳で「新しいことに」という言葉に見習わないとなぁと思うと共に新しいことって何かしらと期待してしまいます、ファンは。対談とかでも嬉しいなー。 - hig@お久しぶりです 2017-06-01 08 14 00 twitter.com/ganso_sonodaya/status/867323459138863104/photo/1 新谷かおる先... -
空の王様
空の王様 「成績が良くないな・・・。」 「あ?何が?」 ぼそっと栗原がそう言うのに、神田は出されたお茶をすすりながらそう聞き返す。 ここは某基地の基地司令室。その隅っこの革張りのソファの上で神田は勝手知ったるとばかりにくつろいでいる。 「戦競だ、戦競。お前ちゃんと訓練させてんのか?」 めずらしく栗原の機嫌がよろしくない。 来週に本番を控えた航空団対抗の戦技競技会に向けた予行演習での結果が芳しくないのだ。飛行隊を2つにわけた紅白戦でそれぞれ撃墜に要する時間とそれに至るまでの機動飛行の腕前を競うのだが、司令である栗原のもとに届けられた資料を見る限り、とてもトップに立てるとは思えないのだ。 「なんだよー、栗。お前そんな事言うのに俺を呼んだのかよ。」 「ったり前だ!俺が茶飲み友達を探すのに、わざわざお前を呼ぶとでも思ってるのか?」 「いつもはそうじゃん・・... -
告白のジジョウ(事情・自浄・二乗)
88title/no.23 告白の二乗 この場所を見つけた事は偶然だった。 春の春とは思えない程の暑さに怯みつつ、照り返しも厳しい昼下がり書類を届けに行った帰りに飛び込んだ日陰。 どこからやってくる風かなのか、頬を撫でられて人心地付く。 そのまま誘われるように歩いていると、ぽっかりと空いた空間に出た。 それが貯水タンクの影になる場所だと気付いたのは、ずいぶん経ってから。 そしてそこが秘密の告白スポットだと知ったのは、更に数週経ってから・・・。 めっきりその場所を自分の昼下がりの特等席と、勝手に決めてからだった。 やって来る人影に慌てて、タンクと併設されている建物に付いている足掛かりを登ってその屋根に張り付いていたら・・・更に人影がやってきて動けなくなり。 「付き合って欲しい。」 そう下にいる人物が喋った時には何を聞いたのか分からなくて、しばらく考えた程... -
勝手にしやがれ
勝手にしやがれ 「いやー、なんか半年ぶりだっていうのにキツイ気がして。」 「いやいや、まだお前なんかいいほうだよ。整備主任なんか見ろよ、去年より確実に3センチは腹が前に出てんな。」 「それより、俺なんか黄ばみがひどくってさー。」 「あー、そりゃひでぇや。今年あたり被服更新してもらえよ。」 「補給係の奴なまけてやがってさー。」 と、朝礼前の飛行隊では隊員が集まって口々にそんな会話がかわされていた。今日は6月1日、全国一斉に衣替えの日である。 朝イチのフライトにあたっている隊員がやむおえず飛行服や整備服でいるのを覗けば、服装点検があるため隊員はほとんど夏制服で朝礼場に並んでいた。 当然、西川と水沢の姿もそこにある。 二人は飛行服姿だ。けれども出勤時は当然夏制服で、お互いに体型が崩れていっているのを嘆きあっている。 「飛行服に着替えてほっとしましたよ、僕... -
冬物語
冬物語 「なんか気分乗らねぇなぁ・・・。」 「そうですね。この面子ですからね。」 「しょうがないだろう。こうやってのんびり羽を伸ばせるだけでもありがたいと思えよ。」 神田のボヤキに西川が迎合して、それに栗原が異論を唱える。そんな様子をキョロキョロしながら水沢が見ていて、けれど意外に利口な彼は生半可には口を挟まずに成り行きを見守っている。 「何に不満があるってんだ。スキーだってしたし、温泉だって入っただろ?それで酒と上手い料理があって、その上何が不満なんだ。」 そう言って栗原は、めずらしくも飲みモードで、手にしていたグラスから冷酒を口に運ぶ。いつものメンバーという気安さと、例え神田が酔いつぶれても運ぶ必要がない状況が彼をそうさせていた。 4人が居るのは山間の温泉旅館で、温泉そのものはそれほどウリにはしていないのか簡素なものだったが、料理が上手く、日本酒も地酒のい... -
運命と呼ぶには
運命と呼ぶには 不覚だ・・・。 と、朝布団の中でそう後悔してももう遅い。 頭がガンガンと割れるように痛く、体は気だるさで動くこともできない。 何よりも寒くてガタガタ震えが来て、布団から出ることもできなかった。 昨日の帰りだ。 「神田、顔色悪いぞ?大丈夫か?」 と、俺の顔を覗き込んでそう言う飛行隊の先輩。 「いや、大丈夫っすよ。ちょっと今日の訓練でヤられたもんで。」 と適当に返して、そして俺はそのままアパートまで10キロの道のりを走って帰ったんだった。 ・・・小雨の降る中をだ。 気持ちよく汗をかいて、それで寝たはいいけど、どうやら思い切り風邪を引いたらしい。 せっかくの週末に、この分じゃ寝込んで過ごすことになりそうだ・・・。 とりあえず、布団をかぶりながらなんとか起き上がって、電話口まで這っていく。 飛行隊に電話をかけて、今日は休ませ... -
体温
88title/no.39 体温 ぼんやりと明けている空を感じながら、目を開けるのが嫌でまぶしさを避けるようにして布団の影に潜り込む。 モソモソと頭を埋めるとじんわりとした温みを感じてその温さに身体を摺り寄せていった。 「ぷっ。」 ぷ? 頭の上で発せられた自分ではない声を知覚して、その擦り寄って行った場所が小刻みに揺れている事を自覚してやっとその場所がいつもの自分の寝床でないことに気付いた神田だった。 「おはよう、神田二尉。」 「・・・え?へ・・・?」 バカの様な声が口から出たまま、しばし呆然とその状態のまま神田は固まっていた。 目の前にはパジャマの胸、肘を付いて頭を支えた形でサングラスを外した栗原が俺の顔を見たまま笑っていた。 瞬時に忘れていたハズの夕べの記憶が一気に戻って来て青くなる。 確か1件目は着任祝いだからと嫌がる栗原を無理矢理連れ出し、メシ喰いな... -
The Begining Place
The Begining Place 「神さん、メシ食い終わったか?」 「おぅ。」 「着替え終わった?ハンカチ持った?テレビとコタツのスイッチ切った?」 「おう。」 「んじゃ、俺はゴミ出してくるから、車のエンジンお願いね。」 ・・・というのが、神田・栗原のいつもの朝の光景だ。 いや、これに至るまでにはもっとある。 例えば、栗原の朝は早い。 目覚まし時計を一応セットしているものの、大抵はその5分くらい前に目をさましてしまう。そして、隣で寝ている神田を起こさないように起き出して、そして目覚ましのアラームのセッティングを止めてしまう。もちろん神田がそれで起きてしまわなくていいようにと気遣って、だ。 それから、炊飯器のスイッチを入れて身支度をして、朝食の用意をしてから神田を起こすのだ。それが栗原の朝の日課だった。 一緒に住み始めた当初は、それを交代でや... -
桜の花の咲く頃に・・・2
桜の花の咲く頃に・・・2 「いやー、毎年この時期になると思い出すんだよな。」 「はぁ、何をですか?」 百里基地のゲートを抜けて基地の中へとすすむ並木道、そこを歩きながら会話しているのは伊達と高田だった。空は快晴、道から見えるグラウンドは桜の花が満開だ。 そこを歩いているのは二人だけではなくて、多くの家族連れが同じようにゲートから連れ立って歩いてきている。 その日は年に一回、花見の為と称して基地が一般に開放される日で、ついでに飛行隊もそこで宴会をしていたりしていて、丁度仕事が休みだった伊達と高田もそこに招かれていた。 「そりゃ、あれだべよ。美しい恋の物語って奴よ。」 「あぁ、それもう100回くらい聞きました。聞き飽きました。ねぇ、三星ちゃん。」 とそう言って高田が、伊達に肩車されているその愛娘に笑いかける。 そう言われた三星は、わかっているのかいないのか... -
FIRST CONTACT
FIRST CONTACT 相棒と喧嘩した。 相棒といっても、ついこないだフライトコースを出てきたばかりの新人で、俺と一緒にこの千歳基地でファントムに乗っている奴だ。 初めて会った時から生意気というか横柄な奴で、事あるごとに誰彼構わず突っかかっていくような奴だった。 それでいてフライト中は酷く冷静だ。 頭もいいし、操縦センスも悪くない。 けど、性格が災いしてか、色んな奴が持て余した挙句、俺みたいな奴が教育係を仰せつかったというわけだ。 喧嘩の理由は何だったっけ。 確か俺の反応速度が鈍いとかヌカしやがったから俺がカチンときたんだった。 どうやら俺の後ろのナビゲーターはパイロットが自分の計算通りの速度で動かないと機嫌が悪くないらしい。 俺の旋回タイミングが遅れたせいで、敵を撃墜するまでの時間が奴の計算よりもコンマ何秒か狂ったのが気に入らなかったんだと。... -
Winding Road
Winding Road 「栗原・・・、お前今何キロで走ってるかわかってっか?」 と、助手席の伊達が尋ねる。 「プラス24キロぴったり。」 「俺が急いでるって知ってるよな?」 「無理言いなさんな。俺は公務員なわけよ。罰金と反則金のギリギリラインで走ってんだ、これ以上は無理よ。」 「この道でこの時間に取り締まりやってっか?」 「やってたらどうするんだ。年末だぞ?」 「やってねーだろう。」 そんな会話がかわされているのは国道355号線、丁度霞ヶ浦を千葉方面に回り込む道路だ。運転席は栗原、助手席に伊達、めずらしい組み合わせで乗用車は一路成田空港を目指していた。 神田の姿は後席にあって、うつぶせにリアシートに体を投げ出したまま動かない。かなりぐったりしているようだ。 車は中途半端なスピードで千葉方面に向かっている。 明け方のまだ薄暗い時間。海の方向... -
二律背反
88title/no.20 二律背反 汗ばんだ肌が乾いていく感触と、体の奥の鈍い痛みとが、彼をして 浅い眠りから醒めさせた。 思いがけず長い時間を浪費してしまった事に舌打ちをして、彼は身を起こした。 既に部屋に差し込む影は長くなっていて、夕刻近い事は時計を見ずとも明らかだった。 床に散らばる服の中から適当にシャツを引っ張り出し、肩に羽織ながら 隣でだらしない顔をして眠っている男の髪を引っ張った。 「神さん、神さん、もう起きないと」 「ん・・・・・?ああ・・・後、10分・・」 「10分じゃないよ、まったく。今日中に各務原に戻らないといけないんでしょ、 いい加減に起きてください」 「お前、送ってくれよ・・・明日は非番だろ・・・・?頼むよ・・・栗ィ・・」 「俺はタクシーじゃないぞ、自力で帰れ。それともまた始末書を書くか?」 答えは無かった。 ... -
運命の糸車
運命の糸車 「お、無事復活してきたな。」 結局週末一杯を寝て過ごして、ようやく調子が戻って職場に顔を出した俺を見つけて最初にそう言ってきたのは栗原だった。 「あぁ、お蔭さんでな。助かったぜ。」 せっかくの週末を半分程俺の為に潰してくれた栗原だ。一応の礼は言っておく。 すると、 「別にお前の為にしたわけじゃねぇよ。もう来週は戦競だしな。風邪治ったんなら、気合入れていくぞ!」 俺から礼を言われた事に照れたのか、それをごまかすようにそう言った栗原だったが、俺はまだその時栗原の様子がいつもと違うことに気づいていなかった。 それに気づいたのはその日のフライトが終わった後のことで。 訓練後のデブリーフィングをしながら、次第に栗原の顔が青ざめていくのに気づいた俺は、それでもちょっと疲れがたまっているくらいだろうと安易に考えて、 「ん?どった?調子悪そうだな、栗。... -
One Night Celebration
One Night Celebration 「あれっ、栗原さん早退ですか?めずらしい。」 「そうそう、じゃあ水沢、後よろしくな。」 朝イチのフライトを終えて、その後のブリーフィングを終えた栗原はそのままロッカー室に消えて、そしてすっかり帰り支度をしてそこから出てくる。 それを見咎めて西川と水沢の320号コンビが声をかけてくる。 「あれ、神田さんは一緒じゃないんですか?」 「神さんにはたまってる報告書を仕上げて貰わないといけないからね。」 「神田2尉がおとなしく書き物なんてしてると思えませんけど。」 「いや、大丈夫だろ今日は。時間がなくなるから、とにかく俺は帰る。そうだ、西川、水沢、神田には報告書全部仕上げるまで帰ってくるなって言ってあるんだ、ちゃんと見張っててくれ。」 と、言うなり廊下を走って出口に向かう栗原だった。余程急いでいるらしい。 その背中... -
Because I Love You......
Because, I love you...... 休日前のある日の夜の事、さっぱりと風呂から上がった栗原は畳の上に信じられない光景を見た。 それは、なぜか旅館よろしく二枚ぴったりとくっつけられた敷かれた布団である。 誰の仕業か、なんて事は考えるまでもない。そもそも、 「栗ー、布団敷いといてやるからなー。」 なとど珍しい事ののたまわったのは、ほかでもない神田であった。 「・・・神田・・・。何だ?コレは・・・。」 「何って、布団だろ?」 「んなこたぁ、わかってる。なんで二枚くっついてるんだ?」 声を荒げたい気持ちを抑えながら、栗原はゆっくりと確かめるようにそうたずねた。 「んーと・・・。一緒に寝ようぜ?」 神田からは栗原が予想したとおりの答えが返ってくる。 「・・・遠慮させてもらう。」 「えー、いいじゃん。俺は栗と寝たい。」 端から聞... -
POWER BALANCE
POWER BALANCE 近頃じゃ、毎日のフライトが憂鬱だ。 訓練が嫌いなわけじゃない。操縦にもちったぁ自信はある。けど、ここの所は不調でもないのに後席からのダメ出しをくらうのだ。 けど、それは俺にはどうしようもない機体の性能上の問題だったり、どう考えても人間の身体にとっては無茶なオーダーの連続で、飛行後のブリーフィングのまたその後で、いつだって言い争いになるし、そして今みたいな取っ組み合いの喧嘩だって、もう何度目の事になるだろう。 ブリーフィングルームもその前の廊下も、喧嘩をするには目立ちすぎる。俺がそう思って先に立って格納庫の隅へと歩いていくと、相手も後ろから無言で付いてくる。 俺が振り返った途端に、向こうは何も言わずに掴みかかろうとしてきたので、俺は思わずその頬を拳で殴り返して牽制する。 もちろん小僧相手に本気で殴る蹴るなんてしやしねぇが、相手は結構本気ら... -
今も昔も・・・
今も昔も・・・ 「あー、ちくしょうっ切りやがった。」 ツーツーと無機的な非通信音を出す受話器を憮然とした様子で伊達は見つめていた。 そこは紅空の待機パイロット用の控え室で、時間は夜の10時を少し回った所だ。 待機は明朝の6時までで、その時間なれば代わりのクルーがそこに入る。 伊達がそこに居るということは、当然相棒の副操縦士もそこに居る訳で、 「・・・機長、いい加減にしないと本気で嫌われますよ?」 伊達の電話の相手が女房子供でない事は、高田もとっくに気がついていた。 「ヒマなんだよ。」 不服そうな表情を浮かべながら、伊達は高田が座っているテレビの前のソファの端に腰掛けた。 「だからって、他人の時間を犠牲にさせるいいものかと・・・。」 「高田ちゃんも遊んでくんねぇし。」 伊達がヒマを持て余しているのには高田にも原因がある。つい今の今まで延長にな... -
Take a Look at Me Now
Take a Look at Me Now その日の朝早く、千歳基地を後にした栗原は、午前中の早い時間帯に百里に帰り着いていた。 ターミナルからそのまま飛行隊に顔を出して、その日の課業を坦々とこなしていく。 栗原は、神田の居ないこの3日間の間に、溜まっていた仕事を片付けたり、職場や家の整理整頓をしようとしていた。神田が居ると、その相手をするのに追われてなかなか自分のやりたい事ができないからだ。 けれど、千歳行きという多少のハプニングはあったものの、そんな安息の日もとうとう終りに近づいていて、明日には神田が帰ってきてしまう。 結局その日、栗原が仕事を全部終えたのはもう夜も遅くなってからで、着替えてショップの出勤札を反しに来た時には当直しか残っていない。 そんな時、丁度栗原の近くで電話が鳴った。 時間外の電話を取るのは当直の仕事だったが、栗原がその方向を振り返ると... -
ISOSCELES TRIANGLE
ISOSCELES TRIANGLE その次の日の朝。 伊達が目を覚ました時には、もう栗原の姿はなくて、もう官用機のターミナルにでも向かったのかと部屋の中を見渡していると、視界の隅に栗原らしきかみの毛が一定のリズムで揺れているのが見えた。 よくよく見ると、ベッドの脇の空スペースで腕立て伏せをしている。 起床時間近くになって、また暖房が効き始めてきたのか、部屋の中での運動は暑いらしく、Tシャツ姿だ。 「何やってんの、お前?」 と、伊達が声をかけると、 「ん、筋トレ。」 と突然声をかけられた事に驚いた風でもなく、事も無げに栗原がそう返してくる。おそらく、シーツのこすれ合う音で伊達が起き上がった事に気づいていたのだろう。 「馬鹿、そりゃ見ればわかるさ。何だってこんな朝っぱらから。」 「何でって・・・、昨日やってなかったからさ。」 喋りながら栗原は頭を... -
平行回路
平行回路 「なー、伊達。さっきの写真くれよ。」 「アホ、あれは俺んだ。誰がお前なんかにくれてやるかよ。」 「えー、ケチ。いいじゃん、写真の一枚や二枚・・・。」 と、「すすきの」までは程近い札幌市内の飲み屋で、まだ夜も暮れないうちから飲みモードに入りつつおおはしゃぎしているのは、言うまでもなく神田と伊達の二人だった。 「くれたら、俺の秘蔵の『栗ちゃんお着替えシーン』の写真をやる。」 と、どこかで話題にされている当人が聞いていたら、激しい制裁をくらいそうな会話をかわしながら、次第に酒の量も増えていき、日も暮れて周囲は仕事帰りのサラリーマンで一杯になってきている。 「混んできたな。」 「そろそろ出るか。」 「次はどこ行くんだー?」 と、そうなるともう神田は遊びモードに入っていて、伊達に次の店の選定を求める。 「そーだな、ひと汗流すのはもうちょっと後に... -
They Say "All's fair in love and war."
They say ”All’s fair in love and war.” 「なぁ、栗ぃ~。」 「なぁってば~。」 「くーりーはーらーさーん!」 と栗原の周りでじゃれついているのは神田だ。もうとっぷりと日も暮れて、夕食も終わって、風呂にも入り終わって、そしてゴールデンタイムのテレビがすべて終了した頃。 さっきまで大人しく横になってテレビを見ていた神田は、ニュース番組になるなり興味を失ったらしく、そして退屈し始めたようだ。もちろん、ただ退屈しているだけでない事はそのじゃれ具合から明らかである。 だが栗原はと言えば。 「今日はダメだ。」 と、まったく相手にしようとしない。 「栗・・・冷たい・・・。」 「うるさい、する事がないんなら、はやく寝ちまえ!」 結果、神田は一人でトボトボと布団を敷いた部屋へと向かったのだった。 そして、夜が... -
IF YOU WISH
IF YOU WISH 「失礼します。VIPの年次飛行に関する合議を頂きに参りました。」 と、飛行隊長の部屋に入ってきたのは、普段飛行隊では見かけない司令部の人間だった。手にはA4の用紙数枚が閉じられたバインダーを持っている。 その一枚目の紙には信じられないくらいの四角形が書かれていて、一番下から順に10個程のハンコが連なっていた。 飛行隊長の所にたどり着いたのがようやく昼過ぎだったから、彼はまだまだこれから半日かけてハンコを貰いに回る旅が続くに違いなかった。 こんな時、飛行隊長である神田2佐はいつも思うのだ。大変だな、と。 そしてなるべく穏便にハンコだけ押して、次の場所へコマを進めてやりたいと思っている。 だから、いつもならどんなスタンプラリーが来ても快くハンコだけ押して、内容に対しては突っ込みをいれたりはしないようにしているのだ。 だが、今回は少し違っ... -
衝動 -The Winter Moment-
衝動 -The Winter Moment- 「あーあ、また潰れてるよコイツ。」 「しょうがない、ピッチが早かったからね、随分。」 やれやれ、といった感じで伊達と栗原は神田をはさんでそんな会話をしていた。そこは札幌市内の深夜までやっているバーのカウンター席で、神田を挟んで左に伊達、右に栗原が座っていた。 栗原は苦笑しながら、外套をとってカウンターに突っ伏している神田の肩にそれを着せ掛けた。それから、自分のグラスを手にすると、伊達の左隣の空いている席へと移動する。 スツールに腰かけると、ほとんど空になっていたグラスの残りを飲み干して、2杯目をオーダーする。 「お、めずらしく飲むねぇ。どしたの?栗ちゃん。」 と、伊達がからかうのに、 「俺だってたまには酔いたい。伊達が居るなら平気かなって思って。」 と栗原が牽制する。 「バカ言うなよ、俺が一番あぶねぇぜ... -
Lock on, Fire!
Lock on, Fire! 「へっくしゅ!」 大きなくしゃみが狭い部屋に響き渡る。 「どうした?栗、風邪でもひいたか?」 季節の変わり目の秋口、1DKの古いアパートは室温調節がなかなか上手くいかない。朝晩は随分と冷え込むようになったけれでも、コタツやストーブにはまだまだ早すぎる。百里の冬は寒いのだ。 「いや、たいした事はないでしょ。明日にゃ治ってるよ。」 「そだな~、明日はフライトだかんな。」 神田と栗原が同居を始めてからそろそろ1ヶ月が過ぎようとしていた。 引越しが終わったばかりの雑然とした感じがようやくなくなり、必要最低限の家財道具があるだけのシンプルな構成の部屋になっている。「どうせ、帰って寝るだけ」の部屋だからと二人して何も持ち込まなかったからだ。 「神田、そっち片付けておけよ。そろそろ客が来るぞ。」 さっきまで神田が寝転んでいたあたりに... -
CROSSROAD
CROSSROAD いつだって、出会いが突然なら別れだって突然訪れるものなのだろう。 別れは、決して悲しくはなく、けれど切ない一瞬に違いなかった。 少なくとも、彼らにとっては。 ただ一人だけ、互いに命を預けることのできる相手だからこそ、そして誰よりも愛しいと感じた相手だからこそ。 別れは新しい旅立ちなのだと、誰が言った言葉だっただろうか・・・。 それは百里基地で日米共同訓練が行われている最中の出来事だった。 USAF対JASDFで模擬戦を行われていて、神田栗原コンビの駆るファントムが一番機、西川水沢の機が二番機として参戦し、そして見事に勝利を収めていて、その相手のUSAF機もまたファントムだった。 その日は司令も上機嫌で、その夜になって行われた日米の親睦会でも神田栗原の飛行センスと戦闘行動の素晴らしさを米軍のパイロット達は褒め称えてくれていた。... -
One Night Stand
One Night Stand 栗原の予想外の行動に一瞬呆然となった神田と伊達だったが、ふと我にかえって階段を駆け下り、栗原を追いかける。 「ちょっと待てってば。」 神田より一足先に栗原に追いついた伊達が、その肩を掴んで栗原を立ち止まらせた。 「何?それよりも、そもそもなんで伊達がここに居るのさ?」 人通りの多い地下通路で、大声を出すわけにもいかずに、栗原はしぶしぶ二人の方を振り向いた。そこへ神田が追いついて二人して栗原を取り囲んだ。 「そ・・・それはだな・・・。」 状況を説明するには昨夜の電話の話からしないと説明がつかない。それを話してしまえば、神田からも栗原からも責められるのは目に見えている。 「電話したら神田がヒマそうだったから遊んでやろうかと・・・。」 「嘘つけ。そんな事でわざわざ千歳まで来るのか?本当のこと言えよ。」 「本当だって。それよ... -
Fragile Eternal
Fragile Eternal 「神さん、8時だぜ。」 「あ?…あぁ。」 「どしたい、ぼーっとして。待機終了だ、お疲れさん。」 睡眠不足なのか疲れからなのか呆けている神田の肩を、栗原はそう言いながら軽くたたいた。 と、その時二人の居る部屋の扉が開いて、Gスーツに救装品をつけてヘルメットを小脇に抱えた一団が入ってくる。 そこはアラートハンガーで、丁度アラート待機の上下番のタイミングだった。 そう、二人はアラート明けなのだ。 それも、本日二回目のアラート待機だった。 この所日本国の領空には彼我不明機の往来が激しかった。日本が同盟国と共に推し進めている新防衛大綱に基づく防衛施策が気に入らないのだろう。 それに抗議するかのように連日連夜、領空侵犯スレスレの航行機が出現する。 そのほとんどは冷やかし、というよりも国家間での揺さぶり行為の一つな... - @wiki全体から「のりしろ」で調べる