大正11年12月25日付大分新聞の記事(大分市公会堂での演奏会の記録)


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 聴取の殆ど全部が教育者またはこれに関係した知識階級の人々であったのは嬉しかった。
 開会の辞が済むと作曲家藤井清水氏は「作曲家の目に映じたる現代の童謡」という題で約一時間ばかり講演をなし、民謡童謡が流行物になっている今日、氏の経験から出た卓説は、実際教育家に何物かを考えさせずには置かなかった。講演の後、権藤円立氏は雷の如き拍手に迎えられステージに立った。聴衆はあのふくよかな肉体と何者にか憧憬れているような瞳を見つめた。・・・(中略)・・・
 聴衆は一切を忘れて恍惚としている。出来、高尚な音楽といえば、洋楽の別名のように思って何等共鳴もない訳の分からない洋楽を、解ったような顔つきで聴きもすれば聴かされもしていた聴衆は、初めて懐かしい自分自身の音楽に接したように感激した。野口氏の民謡と童謡十二曲を無事歌い終えて閉会したのは十時過ぎであった。