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ヴァンパイアブラッド」(2005/12/05 (月) 17:05:03) の最新版変更点

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 最近、夜中に目が覚める。反対に、昼間に眠たくなるし、外に出たくはない。  自分が変だと思う。妹も、こんな自分を変に思っている。  本当のことを知るために、僕はあそこに向かった。    そこで、悲劇は起こったのだ・・・・。 ヴァンパイアブラッド                             :一夜目 最悪な一日  ことの始まりは一週間前。 僕は母さんの様子を見に、病院まで妹のミディアを連れて向かったのだ。 母さんは重い心臓病を患っていて、命はもう長くはないと、医師に言われた。それからというもの、家の中の雰囲気は暗くなってしまった。 父さんも毎日残業やら出張やらで家にはいない。だから僕と妹のミディアだけで過ごしてきたのだ。 母さんの居る病院は、自分の住んでいる町から電車にのって約三十分とかかる。だから一週間に一度という割合でお見舞いに来ている。  僕は母さんのいる病室の扉をノックした。 「アダム?ミディア?」 母さんの声が僕の耳に入った。母さんは昔綺麗な声をしていた。が、今となってはその声も、低く、どす黒い声へと変わってしまった。 「僕だよ。母さん」 アダムが病室の扉をゆっくりと開け、母さんに顔を見せた。うしろにはミディアがいる。 「あぁ、私の愛しい子。アダム、ミディア、こっちにおいで」 僕は言われたとおりに母さんに近づいていった。 「母さん。体は大丈夫?」 「えぇ。大丈夫よ。ふふっ、アダムの顔をみたら元気になったわ」 母さんが細く微笑んで見せた。 「お母さん、私は?」とミディア。 「ミディアの顔をみたらもっと元気になったわ」 ミディアがお母さんに抱きついた。 「あーよしよし。もう十歳なんだから、甘えないの」 「まだ、十歳よ」 ミディアが無理やり笑ってみる。本当は泣きたいのだ。 「そうだ。母さん、僕テストで100点取ったんだよ」 「あら、すごいじゃない。なんの教科でとったの?」 「数学だよ。丁度僕の好きな範囲だったんだ」 「そうなの、よかったわね。母さんも鼻が高いわ」 「うん」 アダムは青白い母さんの手を握った。冷たくて、血の気がなくて、触ってみて、吃驚した。 今の母さんの手は、骨と皮で出来ているかのようにも見える。血管が浮き出て、手を触れば、骨のゴツゴツした感触が嫌というほど分かる。息もあらい。目の下にくまもある。髪の毛も、どんどん白く、少なくなっている。この異常なほどの変化は、アダムを余計苦しめた。  その後アダムはここの医師に呼ばれた。ミディアは母さんと遊ばせておいた。 だいたい言うことはわかっていた。だが、心の準備はまだ出来ていない。 「あの、母さんは・・・・」 「あぁ。もうだめだ、もっても四日。いや・・・・最大で三日だろう」 「ケレートさん。なんとか、なりませんか?」 ケレート医師は眉を顰めた。あぁ、そうか。もう、手段というものは、ないのか。 「そう、ですか・・・・・。有難うございました」 「あぁ・・・なんか、解決策が見つかれば、連絡するよ」 「宜しく、お願いします・・・・」  それから、僕は病室にミディアを迎えに行った。離れたくないと言い張る妹を説得するのには時間がかかった。  僕は帰り道、一言も喋らなかった。母さんがあと数日の命だってことは、ミディアには言わなかった。正確に言えば言えなかったのだ。ミディアはまだ母さんが元気になるとしんじているから。だけど、母さんがいなくなったときの反動を考えれば、今言っておいた方がいいのかもしれない。だが、やはり言うのはよした。こんな辛いことをしってるのは、僕だけで充分だ。 「お兄ちゃん?どうしたの?なにも喋らないで」 泣きそうだった。だから、唇を噛んで、手で拳を握ってみせた。 「な、んでも、ないよ・・・・」 咽喉が、ゴリュッとなった。辛いんだ。多分ミディアがいなければ、僕は暗闇にとらわれていたと思う。 「お兄ちゃん。私、明日もお母さんのところに行っていい?」 「うん。行ってこいよ。なんなら毎日でも行っていいぞ」 ミディアは本当!?とアダムに笑顔を見せた。良心が痛んだ。ゴメン、ゴメンと、なんど心の中で誤っただろうか・・・・。

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