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 最近、夜中に目が覚める。反対に、昼間に眠たくなるし、外に出たくはない。

 自分が変だと思う。妹も、こんな自分を変に思っている。

 本当のことを知るために、僕はあそこに向かった。
 
 そこで、悲劇は起こったのだ・・・・。

ヴァンパイアブラッド
                            :一夜目 最悪な一日
 ことの始まりは一週間前。
僕は母さんの様子を見に、病院まで妹のミディアを連れて向かったのだ。
母さんは重い心臓病を患っていて、命はもう長くはないと、医師に言われた。それからというもの、家の中の雰囲気は暗くなってしまった。
父さんも毎日残業やら出張やらで家にはいない。だから僕と妹のミディアだけで過ごしてきたのだ。
母さんの居る病院は、自分の住んでいる町から電車にのって約三十分とかかる。だから一週間に一度という割合でお見舞いに来ている。
 僕は母さんのいる病室の扉をノックした。
「アダム?ミディア?」
母さんの声が僕の耳に入った。母さんは昔綺麗な声をしていた。が、今となってはその声も、低く、どす黒い声へと変わってしまった。
「僕だよ。母さん」
アダムが病室の扉をゆっくりと開け、母さんに顔を見せた。うしろにはミディアがいる。
「あぁ、私の愛しい子。アダム、ミディア、こっちにおいで」
僕は言われたとおりに母さんに近づいていった。
「母さん。体は大丈夫?」
「えぇ。大丈夫よ。ふふっ、アダムの顔をみたら元気になったわ」
母さんが細く微笑んで見せた。
「お母さん、私は?」とミディア。
「ミディアの顔をみたらもっと元気になったわ」
ミディアがお母さんに抱きついた。
「あーよしよし。もう十歳なんだから、甘えないの」
「まだ、十歳よ」
ミディアが無理やり笑ってみる。本当は泣きたいのだ。
「そうだ。母さん、僕テストで100点取ったんだよ」
「あら、すごいじゃない。なんの教科でとったの?」
「数学だよ。丁度僕の好きな範囲だったんだ」
「そうなの、よかったわね。母さんも鼻が高いわ」
「うん」
アダムは青白い母さんの手を握った。冷たくて、血の気がなくて、触ってみて、吃驚した。
今の母さんの手は、骨と皮で出来ているかのようにも見える。血管が浮き出て、手を触れば、骨のゴツゴツした感触が嫌というほど分かる。息もあらい。目の下にくまもある。髪の毛も、どんどん白く、少なくなっている。この異常なほどの変化は、アダムを余計苦しめた。
 その後アダムはここの医師に呼ばれた。ミディアは母さんと遊ばせておいた。
だいたい言うことはわかっていた。だが、心の準備はまだ出来ていない。
「あの、母さんは・・・・」
「あぁ。もうだめだ、もっても四日。いや・・・・最大で三日だろう」
「ケレートさん。なんとか、なりませんか?」
ケレート医師は眉を顰めた。あぁ、そうか。もう、手段というものは、ないのか。
「そう、ですか・・・・・。有難うございました」
「あぁ・・・なんか、解決策が見つかれば、連絡するよ」
「宜しく、お願いします・・・・」
 それから、僕は病室にミディアを迎えに行った。離れたくないと言い張る妹を説得するのには時間がかかった。
 僕は帰り道、一言も喋らなかった。母さんがあと数日の命だってことは、ミディアには言わなかった。正確に言えば言えなかったのだ。ミディアはまだ母さんが元気になるとしんじているから。だけど、母さんがいなくなったときの反動を考えれば、今言っておいた方がいいのかもしれない。だが、やはり言うのはよした。こんな辛いことをしってるのは、僕だけで充分だ。
「お兄ちゃん?どうしたの?なにも喋らないで」
泣きそうだった。だから、唇を噛んで、手で拳を握ってみせた。
「な、んでも、ないよ・・・・」
咽喉が、ゴリュッとなった。辛いんだ。多分ミディアがいなければ、僕は暗闇にとらわれていたと思う。
「お兄ちゃん。私、明日もお母さんのところに行っていい?」
「うん。行ってこいよ。なんなら毎日でも行っていいぞ」
ミディアは本当!?とアダムに笑顔を見せた。良心が痛んだ。ゴメン、ゴメンと、なんど心の中で誤っただろうか・・・・。