バトルROワイアル@Wiki 2-001


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001 惨劇開幕

「れぃでぃーすえぁーんどじぇんとるめーん! 紳士淑女も老若男女も善人聖者も悪漢悪女も、ようこそいらっしゃいましたぁッ!」
まるで喜劇役者を思わせるような大仰な身振りで、赤青白のピエロ帽をかぶった男が一礼した。裾の長い純白の装束をはためかせ、何が楽しいのか壇上を踊るように跳ね回る。まるで西の果てにある廃墟の古城に住まう道化の悪魔のように。
男は浪々と歌うように続けた。
「ここは絶海の孤島にして脱出不可能の大舞台。怜悧果断なる女王イゾルデ様のオペラハウスにして、陛下の慈愛に満ちた処刑場。さあさあ、此度四度目の公演となりますは、総勢五十の愚者たちによる悲劇と喜劇の狂想曲にてございます」
五十人。ピエロ帽が言うように、年齢も性別も職業もバラバラの人々が石造りの広間に集められている。
精悍な顔立ちの剣士、狩人の女性、盗賊風の男や賢者に聖職者――その全てが、信じられないといった面持ちで眼前で繰り広げられる道化芝居を言葉なく見つめていた。
だが少なからず、この場所に集められた事がどのような意味を持っているかを理解しているのか、人々の中からはすすり泣きさえ聞こえてくる。
まばらな拍手のようにも聞こえる女性の嗚咽を、抱き止めるように両腕を広げ、ピエロ帽の男は聞き入っていた。やがて満足げにうなずいて、やはりまた大仰な仕草で深々と頭を垂れて、思い出したように顔だけ上げた。
「ぶっちゃけると、おまえらには今から殺し合いをしてもらいます――ってことなんですねー♪」
にたり、と頬を大きく歪ませて白き服の男が嗤笑を浮かべる。
その瞬間、広間が沸騰した。
「貴様、ふざけるなァッ!!」
不条理な出来事とに相対した時、人の心に生まれるのは絶望か、もしくは憎悪に近い憤怒。
飛び出した♀モンクの表情は、まさに憤怒を以って魔を排する明王のごとき苛烈さであった。残影と呼ばれる特殊な歩法で瞬く間に壇上の男へと接近し、咆哮をあげて男に拳を繰り出した。

――ドゴッ!

鈍い、肉を打つ衝撃音が響き渡った。
壇上から転げ落ちる♀モンクを冷ややかに見下ろしながら、白き男はズレたピエロ帽子に手をやって嘆息した。
「はぁ。まったくもって野蛮ですねぇ……あなた方が、ここに集められたのも納得ですねぇ」
広間に伝播した怒りの熱が急速に冷えてゆく。血の混じった汚物を吐いてのたうつ♀モンクの姿を見た今では、眼前の男に逆らおうとする気力が萎えてゆくのは仕方の無いことだった。
「……おっと。♀モンクさん、死んじゃってないですよね? 前回、抵抗する人が多かったものですから、私、お仕置きしすぎちゃって参加者減らしすぎて女王様に怒られちゃったんです。出来れば死なないでくださいね♪」
ピエロ帽は恥ずかしげに頬を掻き、とってつけたような笑みを浮かべた。
「あ、申し遅れましたが、私、この大会の司会進行を勤めさせていただきます、監視者の――通称GMのジョーカーと申します。短い付き合いになりますが、どうぞ宜しくお願いいたします」
GMジョーカーと名乗る男は、蝋人形めいた笑みを貼り付けたまま手を打ち鳴らした。それが合図だったのか、広間の両脇からプロンテラ陸軍の制服を着た兵士たちが黒布で出来た袋を手にして入ってくる。兵士たちは一度も、冒険者たちへ視線を向けようとはしなかった。
壇から軽やかに飛び降り、兵士が置いていった袋をGMジョーカーは一つ手に取った。
「えー、ゲームを開始する前に皆さんには、この袋――食料と地図と赤ポーションの他、特製の容器に入ったアイテム2点を差し上げまーす♪
おおっと、何が入っているかは開けてからのお楽しみ。開けてびっくり玉手箱って奴ですねぇ。
ま、中身は武器ですとか防具とか殺し合いの役に立ったり立たなかったりするものが入ってますが、好きに使っていただいて結構です。せいぜい無い知恵振り絞って殺し合ってくださいねぃ☆」
けらけらと笑いながら、GMジョーカーは降りたときと同じ軽やかさで壇に飛び乗った。
「あ、そうそう。我々に逆らおうなんて、死んでも思っちゃダメですよ? あなた方の首に嵌めてある首輪は、逆らったり、無理矢理外したり、島から逃げ出したりすると爆発する仕掛けになっておりますので気をつけてくださいねぇ♪
あと殺し合いから逃げるのも無しですよ? 四日以内に四十九人の死亡が確認されない場合は、全員爆死でBANします。あと禁止区域も朝夕ごとに発表しますから、その場所にいると首輪が反応して爆発しちゃいます。せいぜい気をつけてくださいね」
くるりと心底楽しそうにGMが舞う。
「さてさて……それでは、この世で最も儚く美しく愉しい悦しい殺し合いゲームの始まりです!」
集められた冒険者たちの足元に、真っ白なポータルの輝きが迸る。精悍な顔立ちの剣士も、狩人の女性も、盗賊風の男や計算高い賢者に困惑を隠せずにいる聖職者、荒い息のまま倒れ伏した♀モンクもすべて――光の渦の中へと消えていった。

「さて此度は、如何様な道化芝居を見せていただけるのやら……くくく」
光が消え、闇に落ちた広間の中央で、白き男はただ独り昏い嗤いを浮かべていた。


<残り 50名>


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