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2-074

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074 Knight in the night 【夜~深夜】


「はぁ、はぁ……」
自分の体の状態を考えれば、小屋から動かないほうが賢明だとわかってはいた。
だがそれでも、♂騎士はそこから逃げ出さずにはいられなかった。
立ち止まると忘れていた痛みが一度に襲ってきて、彼はその場に座りこんだ。
全速で走っていたわけでもないのに全身を襲う引きつるような痛み。傷は生命の危険こそないが、けして浅くない。

いや、真に痛むのは体でなく心か。

ふいに天から響くけたたましい笑い声。それは彼をこの地獄へと引きずり込んだ男のものだ。
男から告げられていく死亡者の名。
ふいに心が冷えるかのような感覚を覚え、彼は耳を塞いだ。

『まず…♂ノービスさん。
 次、♂アーチャーさん。
 ♀シーフさん。
 プロンテラ案内要員さん。
 ♀モンクさん。
 ♀ローグさん。
 ♂商人さん。
 ♀アサさん』

――あぁ、呼ばないでくれ。俺は…!

非情にも告げられる、彼が殺した少女の名。

「う、わあああぁぁぁ! ああああぁぁっ!!」

叫ぶ。どうしようもない感情をのせて。

――しょうがないじゃないか。俺はあいつが怖かったんだ。
俺以外の人間が俺の視界に入るのが怖かったんだ。

「見るな! 俺を見ないでくれ!」
彼の目に、♀プリーストの最期の姿が映る。
信じられないといった瞳で見つめてくる彼女。最期を迎えるその瞬間まで、彼を想い続けた少女の幻影――
目を閉じても彼女の姿は消えず、彼の目の前から離れない。

『いい子じゃない。騎士なんだから、守ってあげなさい?』

今になってあのダンサーの言葉が思い出される。
……それはもはや、叶わないこと。

――ごめん、ごめんなさい。俺はあいつを守れなかった。それどころか、この手であいつを。
俺はもう騎士なんかじゃない。俺にはもう守る人なんていないんだ。

「……!」
遠くから聞こえてくる何者かの足音。彼は思わず身を震わせた。

(来るな…来ないでくれ。これ以上誰かに俺の視界に入られたら……)
「…おかしくなってしまう」
そう呟き、♂騎士はその場から立ち去るために体を動かそうとした。

だが、限界を超えた体は彼の意思に従おうとはしなかった。


<♂騎士>
所持品:S3ナイフ、青箱1個
状態:怪我をおして動いたため、限界を超え体が激痛で動かない
備考:♀プリーストを殺したことに激しい後悔、他人を視界に入れることを恐れる
現在地:E-3


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