バトルROワイアル@Wiki 2-129


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129 会談から夢語りへ


 ある日の森の中。その二組の男女は出合った。但し、ビックフットは勿論居ない。
 勿論、エドガもバターになっちゃいないし、キメラはがおがお言いつつ火炎を吐き散らしたり手足を振り回してもいないし、
どこぞの転生者の噂の如くごつい鎧の女性との逢引を津々浦々の手管で失敗していたりもしない。
 (例えば声をかけたはいいが、とある聖職者にジャイアンツぶん回しされたりとか、ある賢者の実験台にされたりとか。
 挙句の果てには魔法使いのLovの大爆発で吹っ飛んでみたり、浮気疑惑が持ち上がり女性とその姉に半殺しの憂き目にあったりとか。
 勿論、ロリコン疑惑とかそういった要素も実装済み!!奥さん、こりゃお買い得な弁明の余地無し感Deathヨ!!
 兎も角。只の一度も己の手管が成功せず、誰一人にして、そのやり方を理解されない。そういう哀れな男がかつていた──)
 はぁっ、それ!!まーわーせっ!!まーわーせっ!!miss!!miss!!miss!!miss!!&自己スタン!!
 そして逆毛の浮気者兼不埒者を大聖堂の屋上から投げ捨てろっ!!
 …余計な言葉が多くなったけれども、ともかく話を進めよう。

 彼ら──その内訳は、♀ウィザード、♂プリースト、♂シーフ。
 そして前記の三人の元に訪れた♂セージに♀商人であった。
 丸い切り株をテーブル代わりに、ぐるりと輪を描くようにして座っている。
 その中で一番渋い表情をしていたのは♂セージだった。
 ひとしきり互いに自己紹介を済ませ、敵意が無い事を確認しあった後で彼は、
目の前の人々に対しての認識票を脳裏に浮かべていた。

「ったく、殺し屋かと思ったじゃねーかよ。悪気が無いなら正々堂々、重要なのはこれだぜ?」
 曰く、逆毛の♂プリースト。
 本人の考えは兎も角正義感は強いらしいが、どうにも抜けた所があるような気がしてならない。
 言うなれば二枚目半、といったキャラクター。
 隠形を見破る機能があるという話だが、頭にのっかっているヴェールのせいでまるで芸人が仮装している様な感じである。
 とはいえ。
 ──撲殺型破戒僧である。役に立つ事は間違いない。

「そうですね。でも、いきなり喧嘩腰で食って掛かる♂プリーストさんにも問題があるような」
 こちらは、何処か弱々しげな印象の──シーフにしては珍しいが──ある少年、♂シーフである。
 ♂プリーストとは凸凹もいい所だが、どうやら互いにかけた要素を補い合ってもいるらしい、と♂セージは結論付けた。
 寧ろ、年齢の割りには思慮深げな横顔はアコライトやマジシャンの方が向いているだろう。

 そして。今一人は。

「──すみません、♂セージさん…で宜しいですよね?」
「ええ。構いませんよ、綺麗なご婦人殿。まぁ、見ての通り…私と彼女、♀商人は同行しています。
 何を話されるのかは解りませんがそれを考慮に入れて頂けると幸いですね」
 最も、♂セージの同行者は、と言うと食べすぎが未だに尾を引いて机に向いながらも目が虚ろなのだが。
 それは兎も角、その女性──♀Wizは。どうにも、一言で言い表せない雰囲気の持ち主だ、と彼は感じていた。
 秘密主義者という訳でもなく、何処か内気な様にすら見える。
 事実。

「いえ…私は、その…」
 ♂セージが問いかけてみても、そう遠慮がちに受け流すのみ。
 その癖、その瞳の綾はと言うと彼をして推察が出来ぬ程に深く静かであった。

「ああ、いいですよ。無理はなさらないように。兎も角、一旦事態を整理しましょう」
 とんとん、と♂セージは自らのコメカミを指先でつつき、言った。
 そう。彼らは今、一体この島で一体何をすべきか、という傍からすれば哲学的に聞こえなくも無い問題を討議していた。

「んなもん、決まってるだろ」
 逆毛の聖職者は力こぶを作る様な仕草をし。

「取り合えず、当座の方針は襲ってきた奴だけ身を守る為に殺して生き残る。死ぬ訳にゃいかねぇしな」
 ♂シーフもそれに同意し。

「ええ。僕も基本的には♂プリと同意権です。…もっとも、ちょっと単純すぎかな、とは思いますけど。ですよね?」
 若干の疑問を付しつつ、自らの同行者達と来訪者二人を順繰りに見つめつつ言う。
 沈黙がわだかまり。

「…ええ。その通りですね。私達は生き残らなければならない」
 と、♂セージは先ず同意を示した。

「ですが。真っ先に心に留めておかなければならない事がありますね。
 まぁ──こう言うのも何ですが、この人数で十分に互いを信頼した上でゲームに消極的態度で臨めば、
私達以外の全員が倒れるまで十分持ちこたえられるだけの戦力にはなる、と思います。
 何しろ、前後衛に援護も一通り揃っていますしね。マーダーは最後の最後まで殆どは一人で行動する筈ですし」
 しかし、そこまで反論を述べると唐突に顔を曇らせた。
 それはそうだ。彼には悪意は無いが、この島自体が悪意によって練り上げられている。なぜなら。

「しかし。マーダー達もそうである様に、私達も結局は…帰れるのは一人、と言う事です。
 『幸い』にして、私達の中のたった一人だけが生き残れる『かも』しれない。
 ですが、結局の所──」
 そこで言葉を切った。ここから先は言う必要など無い。
 ♂セージが顔を上げると、益々気分を害した♀商人の姿が見えた。
 溜息を一つ。

「つまり。私達は例えて言えば──古代の闘技場で死ぬまで戦う剣闘士という事ですか」
 代りに結論を下したのは、♀Wizだった。

「改めて聞かされると、何ともけったくそ悪い話だな。だったら、チンピラや鼻ツマミだけ集めりゃいいのによ。
 そこの商人の子がそんなになってるのも無理ねぇや。大丈夫かよ?」
「……ごめんね。やっぱ気分悪い…」
「横になってな。無理して付き合うこたぁねぇ」
 と、ぐったりして♀商人は地面に横たわっている。
 ♂セージには、それが野戦病院の患者の様に一瞬見えた気がした。

「そう。私達だけでも逃げ出す。或いは管理者──ジョーカーを打倒し、このゲームを引っくり返してしまう。
 それしか、皆が皆生き残る方法は無い、と言う事ですよ。
 それが嫌ならば、あるいは出来ないなら最後の一人まで殺しあう他無い。
 最も。少なくとも私は貴方達──まぁ他の参加者にしてもそうですが。
 それを全員皆殺しにしてしまう様な度胸も無ければ自信も無いですし」
 残念ながら、と幾分暗い声で♂セージは言った。

「けど、この忌々しい首輪があるし第一相手はルン・ミドガッツ──あの王国だぜ?
 ここに閉じ込められた時点で、カウンターパンチをかますのは難しくないか?」
 顔に似合わず──いや、剛毅そうな顔に相応しい物言いをしつつ、眉を潜めていた。

「方法は──無いわけじゃないと思います」
 そこに、♀Wizの声が響いた。
 ♂セージはぱちくり、と驚いたように目を開閉させ彼女を見る。
 それから。その短剣貸して頂けないでしょうか、と言ってソードブレイカーを手に取ると、
かりかりと机代わりに囲んでいた切り株に、悪戦苦闘しながら何事か刻みつけ始めた。
 曲がりなりにも名工に鍛えられただろう武器で。
 (何となく、その瞬間♂プリーストは『彼』の魂の悲鳴が聞こえた気がしていた。
 エーイ、てやんでぇバーローめっ!!俺様を鉈代わりに使った挙句今度は筆記具代わりかよ!!
 カムバーっク、俺様の武器としての尊厳ーっ!!という具合に)

「ふむ…なるほど。なるほど。実に興味深い。取り合えず一つの事が解りました」
 数行も書かれていないそれを見て、♂セージは何度か頷きながら呟く。
 ぎょっ、とした様な周囲の人間を置き去りに彼は一言。

「先ずは紙とペンが必要だ、と言う事です。うんうん。研究は記録されてこそ意味がある。
 そして記録されても、それが置き去りにされては意味がありません」

 ──シカして、ぼそりと♀商人が一言。

「何か急に活き活きしてない?」

 ──のっそりとクマみたいな動きで♂プリーストが一言。

「研究、って言葉が出てきた辺りからだな。…ひょっとして、アレか?マッドサイエンティストか…?」
「死神セージという奴ですか…クワバラクワバラ」

 ──それに冗談っぽく♂シーフが答えて。

「えーと、あーと……うーん」
 そこで♀Wizはと言うと、どう反応していいものか困っていた。
 因みに♂セージは聞こえているだろうに、まるで聞こえていないような様子を見せている。
 彼女は溜息を。どうも、真剣な話が続いていたせいで張り詰めていた緊張感が解けてしまったような錯覚。
 ここは殺人の庭だと言うのに。
 むやみやたらに平和な気がして。

 だからつい、彼女は。

「あの人は、あの人達はここでどんな事を思ったんでしょうね…」

 ぽそり、とそんな事を呟いた。
 その言葉は導火線に似ていて、思い出し始めると記憶が錯綜して混濁する。
 一瞬、それを揉み消そうとするが既に遅かった。
 夫と、それから幾人もの。何十人もの姿が浮かんでは消えていく。
 イメージ。例えば。

 大きな広間で。
 森の中で。
 砂漠の真ん中で。
 草原で。
 そして、鏡の砦の中で。

 彼女が、瞬き一つせず。ノービスの娘ヲ、キリコロす光景だったリ。
 震える者達が、イルダロウ、森に、ワラいナガラ、死者の名をツげていたり。
 思考にノイズが走る。ざっ、と言う幻聴。酷い頭痛。
 この先。自分はどうしたんだったか。
 あの、夢の中で。
 私を殺したのは黒。いや、白?それとも、刃物の様なものに突き刺されたんだっけ?
 惑う。
 殺される。白い服を着た私が、殺して殺される。
 誰を殺した?誰に殺された?
 わたしは、だれに。
 又、ノイズが走る。ざ、ざざざざざざざ。音が聞こえる程。

 話は変わるが、幻視痛と言う言葉がある。
 過去に失い存在しない体の部位の痛み。
 いや、♀Wizの場合は存在しない傷に感じる痛み、と言うべきか。
 それは時には腹部を貫く痛みであり、また真っ二つにされた様でもあり、全身を焼かれた様でもあった。

 ──私は。いや、これは何時もの悪夢だから。この痛みも何時もので。
 ♀Wizは思う。『もっと』具体的に思い出そう、と。
 明確に、私があの私を語れるぐらいニ。
 なぜならば。私はこの島で、きっと自分が知っている事を語らなければならないので。

 じじじ、と脳裏に電流が走る様な錯覚。
 ジッ、がしゃん。そんな音がして、ボウガンの弦の様に意思が『立ち上がる』。
 或いは落下したかもしれぬ。どちらにしろ大差は無し。
 そうしてトランスに陥った彼女はゆっくり記憶の糸を辿る──

 そう。夢の私の目は。何時かのこのゲームの主催のそれから見ていた筈だ。

「…どうかした?顔色悪いけど」
 ぱちくり、とそれを聞いて目をしばだたせたのは♀商人だった。
 その視線に気づいて、男達も彼女の方を向く。
 期せずして四人分の視線が彼女の元に集っていた。
 その顔を見て、一度は陥りかけていた場所から急に現実に引き戻された。

「……………ええと。えっと。これは…その」
 気まずくなって、どもりながらもどうにか言葉を口にする。
 視線が泳ぐ。やがて♂セージがふぅ、と息を吐き出して告げた。

「まぁ、それは後でしっぽりと語ってもらいましょう。…勿論、無理にとはいいませんがね。
 私は近くで紙が調達できないものか確かめてきますので。失礼」

 しばしの時間が過ぎる。
 三十分程経って、♂セージは出て行った時と同様に飄々と戻ってきた。
 手には何も持っていない。何処か残念そうな表情を見せていた。
 きっと、近くに民家が見つからなかったのだろう、と彼女は結論付けた。

「すみませんね。どうもこの辺りには民家らしき物は無いようです。
 移動する、となれば時間もかかりますから。…さて」
 言って、彼は♀Wizに向き直った。
 彼はどうしたものかと思案顔で彼女を見ている。

「まぁ、今の所確たる目標がある訳でも無し。暇つぶしがてら、♀Wizさんのお話でも聞きましょうか。
 今この現状では恐怖に凝り固まった心を解すのが何より効果的ですし」
「だな。俺も気になるし」
 答えて♂プリースト達も♀Wizの方を向いていた。

「…解りました。ですけど、余りはっきりとした話じゃないわ」
「それで構いませんよ。そもそも、雑談に余りはっきりした筋が通っていたらそれは既に雑談じゃありません。
 雑談と言うのは紆余曲折を経て、最終的には訳がわからなくなるからこそ雑談といえます」
「…あなた、実は単純に人の身の上話が気になるだけじゃありません?」
「いえいえ。決してその様な事はございませんよマドモワゼル」
 にっ、と笑い道化みたいに明るくちっちっ、と♂セージは人差し指を振る。

 語る彼女の夢。
 それは、自らが白い装束の女である所から始まった。
 先ず、記憶の始まりは裏切りだった。
 その裏切りとは、『殺しあう事』を彼女の上司に命じられた事であった。
 理由は至極単純に、神の使い──この世界ではGMと呼び習わされるそれの、余興として。
 ミドガッツ中の腕利きの戦士達を集め、神々の領地、ヴァルハラの闘技場にて戦わせる。
 戦う事を嫌っていた彼女はしかし、それが故に自らもまた闘技の場に借り出される事となった。

 勝ち抜いた彼女は、自らを奸計よって殺し合いの場に向わせた音を殺した。
 勝者には望みの品が与えられる事になっていた戦い。
 白い女は自らを裏切りった白い男の首を求めたのだ。
 望みは叶えられ、女神フレイヤとその兄はその場で彼の御使いの首を刎ねた。

 だが──それで、彼女の心は満たされるものではなかった。
 闘技場で行われた戦い。即ちバトル・ロワイアルは到底美しいものとは言えず。
 飛び交う罵声と悲鳴。断末魔。剣戟と血。
 今まで憎しみなぞついぞ知らず育った彼女には、それが耐えられず。
 その出来事が、決定的に彼女の在り様を変質させた。

「…驚いた。貴方が見ていた夢はまるで神話の写しみたいですよ。
 正直、魔術師よりも司祭の方が向いていたのでは?」
「いえ。私には司祭は向いていませ──」
 そこまで言葉を紡いでから、ちらりと♂プリーストを見て。

「──性格が向いていたのかどうかは兎も角として、私には決定的にあの場所が我慢できなかったんです」
「それは解りましたが、貴方はその夢を何時から?」
「幼い時分から──ですか。これまで語った部分は、主に子供の頃に見ていました。
 今だから言えますが癇癪持ちで神経質な子供で、両親には手間だったと思いますよ。
 …と言うよりも、あの人に出会うまでは今の私とは正反対、と言った感じでしたね。
 何せ、酒場で付けられた綽名が黒蛇王ですから」
「…げっ。あの人…って事はアレかい?♀Wizさんって、旦那さんが居るとか?」
 ♂プリーストの言葉に、♀Wizは一瞬口ごもると直ぐに笑って。
 (とは言っても、目には見えないほどの憂いをそれは含んでいたけれど)

「ええ。♂プリさんには残念でした?」
「…畜生、何時も好みの女性に出合った途端これだ…っ。星の巡りで女性運は最悪なのか…?」
「まぁ、ヤローの色話はさて置いて…♀Wizさん、話を続けてもらえます?」
「ええ。解りました」

 そこからの話は、これまで白い女がそうだったのとは一変する。
 花を摘み、書を愛でていたその手は血塗れた剣を。
 微笑み、明るかったその顔は侮蔑を湛えた嘲笑を。
 そして、その口は狂気を湛えたあの忌まわしい遊戯を発案した。
 ──即ち、バトルロワイアルである。
 その変質にいかなる葛藤があったのかは彼女は語らなかった。

 そこから、♀Wizの話はにわかに饒舌さを欠き、語られる内容も断片的なそれになっていく。
 例えば。
 幾人もの仲間に支えられ、愛しい誰かと死に別れながら一人生き残ったノービスの娘であったり。
 誇りを胸に巨(おお)きな剣を執り、最後まで戦い続けて狂った遊戯に勝利した鏡の魔王であったり。
 悲劇のまま踊り続けた花嫁と花婿の悲劇であったりした。

「そうして、何度となくゲームを繰り返していた夢の中の私も、結局は討ち取られました」
 語る♀Wiz。
 どのような夜にも朝は来ると言う事か。
 狂気のゲームの善悪とは別に、それは真理として在ったという事だろう。

「……」
 どこか躊躇いがちに、回復した♀商人が彼女を見ている。

「ね、ねぇ。ここから先って聞いてもいいのかな?
 その…ほら、夢の中の事でもあんまり気分がいいとはいえないし」
「ですよね。その…アレな話ですし」
 と、こちらは夢にしては妙に生々しい♀Wizの話にぐったりとしている♂シーフが♀商人に答えていた。

「いえ…その。ここで区切るのも歯切れが悪いですし」
「ですね。…少々苦い話とは言え、途中でうやむやにしてしまうのも何です。
 ほら、物事は中途半端でやめるのが一番良くないと言いますし」

 促され、♀Wizは話を続ける。
 何時も見ていたあの終焉に向って。

 幾人もの。いや、何十、何百も血と涙が流された後──
 彼女が刺され。射殺され。或いは焼き殺されたその時へと。
 夢に漂う。全てを亡くした彼女はしかし。
 …いや、それは『未だ』決まっていなかったのかもしれない。
 既に決まっていたとしても、それは平行たる事象。
 結論なぞ出はしない。白い娘が悪魔と化し、最後の参加者達に討ち果たされた、と言う事実以外は。

「つまり、貴方は夢の中でこの幸せゲームらしきものを主催していた、と言う事ですか」
「え、ええ。そう言う事になりますね。…所詮夢の出来事ですけど」
「面白い話ではありましたが──まぁ、そう言ってしまえばそれまでですね。
 確かに、夢は夢。現実ではありえません。ですが──」

 にやり、と実に面白そうに♂セージが笑った。

「どれほど莫大な数の分母でも、それに等しい数の分子を当てはめてやれば答えは一ですよ。
 ああ、ここからは小難しい話になりますが、聞いていただければ幸い」
「ええ。それはいいけれど。何が言いたいの、貴方は?」
「言った通りですよ。無限の分岐が許されるなら、どのような荒唐無稽な想像でも存在しうると言う事です。
 ファセット。シャード。それにサーバー。呼び習わす方法は幾つもありますが、
要は私達の知っている世界と始まりは同じでも、平行して少しずつずれている世界──言い換えれば、植物の枝みたいな構造ですね。
 その様な別世界、異世界が存在すると仮定すれば、夢で見ている貴方も存在しただろう、と言う事です。
 これは──まぁ、異端と言うか、技術的な難点が無数にありすぎて、率直な意見を言えば現実離れした机上の空論ではありますが」
「…私は絶対的に罪人だった、と?」

 落胆した様子で言う♀Wizにしかし♂セージは答える。

「まさか。私が言いたいのはその反対ですよ。それにどのような空想も問答無用で許可してしまうんですから。
 私がある朝起きたら大きな芋虫になってただの、獣耳の少女が尻尾を揺らしながら街中を闊歩するだの、
ジュノーがホムンクルスの軍勢に攻められ墜落、或いは首都下水道から魔物が溢れてプロが陥落しただの可能性も了承されます。
 まぁ、仮定の上では確定しても意味の無い想像上の出来事だと思っていただければ」
「…仮定の割には妙に具体的だな、オイ。それに回りくどい割には結局、夢だから意味が無いってのと同じ事じゃねーか」

 ♂プリーストの反論をさらりと無視すると♂セージは言葉を続ける。

「要するに。この島からの脱出、ひょっとすると♀Wizさんが重要な役割を担う事になるかもしれません、と言う事ですよ」
「えっと、出来れば根拠も聞かせて頂きたいですが…」
「勘です。私のね」

 そして、あっけらかんとした顔で、日陰臭い学び舎の講堂みたいな空気に顔を顰めていた一同に彼はそう言ったのだった。

<♂セージPT&未亡人PT 持ち物状態場所変わらず>
備考:筆談用紙を求めて移動の可能性あり


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