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133 ミッシング・マップ [第2回定時放送より30分以内]


ざざぁと静かに打ち寄せる波が、心を落ち着かせてくれる。
海は穏やかだ。晴天にきらめく日差しも心地よい。
隣ではデザートウルフの子供が暢気に、砂浜をごろごろと転がり回って遊んでいる。
その空間だけを切り取るならば、そこはとても平和な空間であった。
しかし。
「・・・・・・困った」
傷はまぁいい、雀の涙ほどの効果ではあるがヒールで多少痛みは和らいだ。強調する部分は「多少」。
いつの間にか昇っていたお日様が、服もある程度は乾かしてくれている。強調する部分は「ある程度は」。
彼女――♀アコライトはたった今、GMジョーカーの定時放送が流れてきたことによって目を覚ましたのだが、問題はその定時放送だった。

新たな禁止エリアが発表された。♀アコライトもすぐに地図を確認しようとしたのだが、そこで地図は♂クルセイダーに投げ落とされたあの崖の上だ、と気付く。いや、下手をしたらあの♂クルセイダーに持ち去られてしまってるかもしれない。
・・・まずいかもしれない。ここは一体どこだろう? 崖から落ちて・・・そうだ、あの崖は地図でいうとどのエリアに当たる場所だった?
・・・・・・覚えてるはずがない。ただでさえ、人一倍方向感覚すっからかんなのに。
ええい落ち着いて考えるんだあたし。
地図がないと、現在地がわからない。そう、たとえあたしのいるここが禁止エリアになるのだとしても。
そうだとしたらすぐにでも移動しなくてはならないのだが・・・しかし、動いたところで現在地がわからなければ同じことだ。動いたその先が禁止エリアになっていたら。
八方塞がりだ。命まで賭かっているのだ、運だけに任せて行動することなどできるはずがない。
そうだ。とにかく、あの地図だ。あの地図を回収しない限り、生き残ることなんてできやしない。
ここでこうしていたって仕方がないのだ、危険なのか安全なのか、自分ではわからない以上、死ぬ可能性も生きる可能性も五分五分だ。
まずは地図を回収する。♂クルセイダーがいるかもしれないし、もうあの場所に地図はないかもしれない。それでも、今この状況から活路を見出すにはまず、あの崖の上まで戻ってみるしかない。もしあの崖が禁止エリアとされてしまっているならば、時間はあと30分もないのだ。そうだ、思いついたら即行動、これがあたしのポリシーだったはずだ。
そうと決まったら崖の上を目指して、とにかく歩き始めるのみだ。自信はないが、今は自分の足と、頼りなくても方向感覚を信じるしかない。
「さ、行くわよ・・・」
立ち上がったその足元に擦り寄ってきた小デザに目を落とすと、そこでふと彼女は閃いた。
・・・・・・あたしの方向感覚よりは信じ甲斐がありそうじゃない?
くぅん?と喉を鳴らす小デザに、♀アコライトは期待をこめた表情で微笑みかけた。
「ねぇ、あんた・・・もしかしてさぁ・・・」

<♀アコライト> <現在位置:E-9(本人はわかっていない)>
<外見:らぐ何コードcsf:4j0n8042>
<所持品:荷物袋・地図等含めすべて崖の上(D-8)>
<スキル:ヒール・速度増加>
<備考:殴りアコ(Int1)・方向オンチ>
<状態:全身ずぶ濡れ→半乾 体力は“赤から緑になった程度”>


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