バトルROワイアル@Wiki

2-142

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142.目覚めは恐怖と共に


うおっともクホっとも取れる小さな悲鳴が浅い眠りの中の鼓膜を揺さぶり、枕代わりの敷石から頭をずり落として♂アコライトは目を覚ました。
一日目の夜は、合流したホルグレンと情報を交換しながら何とか安全そうな岩場を確保し、互いに見張りを交代しながら眠りについたのだが、この島で安全を約束してくれる場所なぞある筈もなかった、という事に彼等が気付くのは、少し遅過ぎた。
何が起きたのかと辺りを見回すと、♂アコライトから少し離れた岩陰の向こうで、見張りをしていたはずのホルグレンが、こもった声を上げながら転がりまわっている。悲鳴の主は彼のようだった。
夢でも見ているかのようにその光景を眺めていた♂アコライトだが、やがてぐったりとなりびくびくと痙攣を始めたホルグレンの姿で漸く理解した。何者かに、襲われているのだ。
「ホルグレンさん・・・!?」
――助けなければ!
「ひっ」
我に返るなり♂アコライトは慌ててホルグレンに走り寄ったが、そこで見たのは彼にとって信じられぬものであった。
何か巨大な異形の生物が、ホルグレンの喉元に喰らい付いている。全身が節に覆われた青い塊。グロテスクな蟲の化物。何だこいつは、この島には一体何が住み着いてるんだ、こいつは、こいつは・・・。
♂アコライトに気付いているのかいないのか、しゅるる、と蟲が鳴いた。その巨大な牙に咥えられているホルグレンの喉元はごぼごぼと湧き出る血でぐじゅぐじゅになっており、傷口自体はわからなかったが、誰がどう見ても致命傷である。抵抗をする力は、もう彼には残っていないようだった。
早く早く早くヒールをかけなければ死んでしまう、馬鹿どう見たってもうこれは手遅――
「いやあああああああああああああああああっっ!!!!!」
パニック寸前ながらも辛うじて彼を支えていた思考回路、その全てを吹き飛ばすかのように、遠くの方から女の悲鳴が上がる。
瞬間、何も見えなくなった。♂アコライトの身体を、頭を、恐怖だけが包み込んだ。
そしてぷっつりと途切れた思考回路は本能のまま、絶叫に彼の喉から溢れ出すように命じた。
「ぅ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ああああああああああああああ!!!!!!!」
もう既に動かなくなっている鍛冶師の喉元を弄るように貪っていた怪蟲がぴくりと反応し、ようやくホルグレンを解放すると、その鎌首を♂アコライトの方に向けた。

<♂アコライト>
<現在地:G-6>
<外見:公式通り>
<所持品:なし>
<備考:支援型>
<状態:恐怖の限界を越え、錯乱>

<ホルグレン>
<現在地:G-6>
<所持品:ハンマー、タバコ、メイス、古いカード帖>
<備考:人の話を訊くのが苦手、♀BSの父>
<状態:死亡>

<蟲>
<現在地:G-6>
<備考:「器」を見つけたらミストレスに知らせる>
<状態:満腹度 35/100>


※♂アコライトの聴いた女の悲鳴は、少し離れたところでミストレスに強襲された♀アーチャーのものである。
当然、♂アコライトの絶叫も、彼女やジルタス達に届いてしまったはずだ。

<残り32人>

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