バトルROワイアル@Wiki NG2-28


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 NG 遠い雨上がり


 悪ケミちゃん様、ご機嫌斜めのお天気に些かブルー。
 ──と言う様な事はうっちゃって、雨宿りの最中なのであった。
 人間、降りしきる雨なんぞに打たれれば普通体力を消耗するもので、風邪だって引いてしまう。
 それは勿論、世界制服を企む悪ケミとて例外ではない。

「鬱陶しい雨よね……」
 呟いて空を見上げるのだけれど、一行に雨に止む気配は無く。
 寧ろ、これから強くなりそうな気配すらある。
 一応の目標が決まった矢先にこれである。
 因みに木陰である。悪ケミハウスは雨に弱く、今は畳まれてバックの中だ。

「そうだね。でも、そんなには続かないと思う」
 と、相槌を打つ様に忍者が言った。
 彼は、腕を組み自然体で木の幹に背中をよりかけている。
 革靴には所々、雨がしみこんでいるのか黒い斑点が出来ていた。

「遅くても今晩ぐらいまでじゃないかな?結構強い雨だけど、こういうのは長く続かないよ」
「それって、今──お昼過ぎぐらいだろうけど、それでもずっと足止めされるって事?」
「うん。残念だけど」
 げんなりした顔で言い放つと、悪ケミは再び視線を空に移した。
 既に溜息も出ない。おまけに遠雷まで聞こえてきている。
 こんな最中を出歩いている人間なんて居ないんじゃないのか、とさえ思えた。

「まぁ、こういう雨の時は下手に動かないのが一番ね。風邪でも引いたらシャレにならないわ」
「私も、手持ちの薬には限界があるからね」
「薬?」
「うん。解毒用だけど、いざと言うときには風邪薬の代りにもなるから」
 言って、忍者は懐に忍ばせていた皮袋を見せる。

「それはんーと……抗生物質、だっけ。確か、カビから作ってるって聞いたけど」
「流石に博学だね。まぁ、緑ポーションに比べたら不便だけど」
「でも、あんまり飲みたくないのよね……それ。だって、効果が強すぎだもん。殆ど紙一重って言ってもいいかも。
 魔物の爪とかの廃血症なら兎も角、普通はちゃんとした薬が欲しいわね」

 雑談を交わしつつも、空は相変らずの灰色。
 と言うよりも、寧ろ黒に近く遠くの山に霞が登っているのが見えた。

「と、少しいいかい?今のうちに地図を確認しておきたいんだ」
「あ、いいわよ。ほら」
 差し出された地図を受け取って、忍者はペンを片手にそれを覗き込んだ。
 頭脳労働、と言っても千差万別。今は悪ケミにしか出来ない事があれば、当然彼にしか出来ない事もある。
 幾つかのマスが、すでに禁止区域で埋まっている地図に、彼は更に書き込みを施す。
 ここに到着するまでに発見した死体、通り過ぎたエリアには右上に×印、発見した砦には赤丸。
 (因みに、悪ケミは見つけた死体を物色する事を拒んでいた)
 ──それから、恐らくは人が多いだろうエリアを見繕って行く。
 禁止エリア、それから既に逃げ場が無くなりつつある場所を順に赤と橙にして除外。
 彼らが出合った海岸線。ここも除外していいだろう。
 そも、彼らが居た場所に人が多ければ悪ケミに出会う以前に忍者が気づいている。

 さて、と。一体何処に人が多いんだろう。
 そこで考えに詰まった。判断材料が無いのだ。

 参ったね。虱潰しに探すには広すぎるし、分が悪い賭けになるよ。

 地図を見ながら考えを廻らせる。
 声高に口に出しはしないが、殺し合いは現実として進んでいる。
 たった一人がその全員を殺した訳では無い以上、複数の殺人者がいると見て間違いは無い。
 だが──、一日そこらでこれほどの死者が出るには他にも何かある、と思った方が現実的だろう。

 一、これらの死者が現状に耐え切れずパニックを起した者以外の手による物も含むか。
 YES。曲がりなりにも牙のある者達だ。自分から殺そうとする人間もいる事は間違いない。

 二、その人数は多いか。
 ……判らない。判別のしようが無い。全員では無いだろうが、一人と言う訳でも無いだろう。
 それなりの広さがある島である以上、殺そうと思う人間が複数居なければ、これほど死者は出ないと思う。

 三、そしてある程度限定された場所で起こったか。それとも、発生が分散していたか。
 これもはっきりとは判らない。ただ──殺し合い、と言う目的がある以上、
ばらばらに飛ばされる、と言う事は無いと思う。積極的に仕向ける筈。
 つまり、ある程度固まった場所に飛ばされた、と思った方が正しいだろう。

 ならば、それは何処だろうか?
 島の中央付近か、そうでないか。
 二者択一だけれど、そもそもから仮定と推論の積み重ねの思考だ。
 信頼性がある、とは言えない。これまで余り人に出会えなかったのは不幸だった。
 それから、死体の観察も人探しが目的である以上、あまり意味は無い。
 強いて言えば、殺人者が近くにいるかいないか、それから殺人者がモンクかそうでないか、と言う事ぐらいか。
 ──、一時間程前だろうか、不幸な事に彼は悪ケミと共に休憩していた場所で
見つけた墓をこっそりと暴き、そこで怪力で腹部を穿たれたジルタスの死体を見つけていた。
 (最も、その後で悪ケミにそれを見つかったのであるが)

 どうしたものかな。困ったよ。
 不機嫌な悪ケミを傍らに、忍者は目尻を押さえつつ軽く肩を叩いていた。

<悪ケミ&忍者 暫くの間移動の後、雨で足止め。現在地不明 状態など変わらず>


関連話:168.託す者



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