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NG2-36

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NG.定時放送③


黄昏時を過ぎ、月と星が夜空に浮かんだころ、男の声が島中に響きはじめた。
聞き覚えのある嫌らしいまでに慇懃な彼の声は、参加者全員にとって忘れることなどできようもない。
GMジョーカーの3回目の放送がはじまったのであった。

「・・・・・・はい、皆様、2日目はいかがお過ごしだったでしょうか。ジョーカーです。
 さて、私がこれからなにを伝えるか、聡明な皆様方でしたらもうご存知かと思われます。
 それでは以前の放送からここまでの死亡者を読み上げさせていただきますよ。
 そのあとで禁止区域の決定も行います。どうかお聞き逃がしのないよう、よく耳を傾けてお聞きになってくださいませ」

参加者もこのときばかりはGMジョーカーの声を聞くしかない。
禁止区域は自分がいる場所かもしれないし、参加者の誰が死んで誰が生き残っているかを知ることは、
これからを生き抜く上での貴重な情報なのである。

「では、死亡者リストを取り出しまして──────はい?」

そこでGMジョーカーの言葉が止まった。どうやらいささか問題が生じたらしい。
その問題がなにであるかは、参加者の誰もわからなかったが、
すぐにGMジョーカーが放送を続けたことから、たいしたことではなかったようである。

「失礼いたしました。申し訳ありません。
 どうもいまちょうどこの時間に、死亡者リストに追加しなければならない人が増えてしまったみたいなのです。
 たまにあるんですよ、こういうの。え? すぐに追加も含めて発表してくれ? はいはい、おまかせください」

GMジョーカーはトラブルすらもどこか楽しんでいる様子であった。

「残念ですが1分ほど時間がかかるそうです。
 そのあいだ皆様方をたいくつさせてしまうのも申し訳ありませんので、先に禁止区域を決定しましょうか。
 前回まではダーツでやらせていただいていたのですけれども、前回の放送では3箇所だけだったでしょう。
 次もそんなことになっては、目も当てられませんからね。そこで今回は別のものを用意させていただきました。
 なんだと思いますか?」

静寂が10秒ほど。もちろん誰かが回答するなどということはない。

「今回は確実に5箇所が選ばれるように、ビンゴにしたんですよ。
 いや私ね、昔からビンゴゲーム大好きでして。
 なんと言えば良いのですかね、この揃うのか揃わないのかドキドキしながら待っている時間がもう格別でして・・・・・・」

ガラガラガラというたくさんの玉が混ぜられ、当たり合う音が響いた。

「では、いきますよ。ガラガラガラガラガラっと。
 はい、5つ出し終わりました。
 地図への反映は死亡者の発表後に行いますが、今回はサービスということで先に禁止区域を読み上げましょう」

こうしてGMジョーカーが読み上げた禁止区域は5箇所。

D-3
D-8
G-8
H-4
J-5

「どこもリーチにすらなりませんで、非常に残念です。明日の朝に期待するとしましょう。
 さて、お待たせいたしました。死亡者発表の準備ができました。
 2日目というだけあって残っていらっしゃる皆様方もなかなかお強いですね。
 誰も死ななかったらどうしようかと、心配で肝を冷やしました。
 それでは読み上げますよ」

そこで一呼吸が置かれた。

「まずは・・・・・・ホルグレンさん。
 精錬工を代表して彼にも参加していただいたのですが、やっぱり殺し合いは向いてなかったみたいですね。
 続きまして、♀アーチャーさん。
 ジルタスさん。
 ♂アサシンさん。
 忍者さん。ええと忍者さんというのは自称ですね。特別にアサシンギルドから出場していただいておりました。
 それから先ほど急遽追加されました方がお二人。
 ♀スーパーノービスさん。
 ♀ハンターさん。
 以上7名です」

事務的な死亡者の発表が終わった。
あるものはそこに大切な名前が挙がったことに嘆き、
あるものは殺した相手の名前に喜んでいるのかもしれなかった。
けれどGMジョーカーが名前を読み上げたことで死が決定するわけではない。彼らはとっくに死んでいるのである。
GMジョーカーは死んだ人間が誰であるかを告げただけにすぎない。

「これで残っている方は全部で26名となりました。およそ半分ですね。順調な経緯に私も嬉しく思います。
 それから───当然ですが、勝ち残る最後の1人以外の方はあと2回しか太陽を見ることができません。
 あと2回だけですよ。きれいごとや道徳心なんていうものは通用しませんからね。
 騙して、殺して、あがいて、生き残った1人だけがこの島から帰ることのできるただ1人の人間だということを、
 くれぐれも忘れないように、素敵な夜をお過ごしくださいませ。
 それでは、禁止区域を地図に反映させて、放送を終わらせていただきます、失礼」

こうしてGMジョーカーによる3回目の放送は終わった。
夜の帳に包まれて、島は眠っているように静かであった。
もっとも、その静寂はかりそめにしか過ぎないのではあるが。

<残り26名>



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