201.何も考えずに走れ! [第二回放送前~放送後]
「ん、あったあった」
「わん!」
「わん!」
定時放送が鳴るほんの少し前
♀アコと♀マジ+1匹はなんとか荷物のあった海岸に辿り着いていた
方向音痴の♀アコがそこに辿り着けたのは♀マジという比較的普通の方向感覚の持ち主が同行していたのと、海岸という地形上、北か南の二択で済むということもあったのかもしれない
♀アコと♀マジ+1匹はなんとか荷物のあった海岸に辿り着いていた
方向音痴の♀アコがそこに辿り着けたのは♀マジという比較的普通の方向感覚の持ち主が同行していたのと、海岸という地形上、北か南の二択で済むということもあったのかもしれない
「こんなところから落とされて生きてたの…?」
子デザと一緒に無邪気に喜ぶ♀アコの後ろでは♀マジが断崖絶壁の高さに目を回している
「まー、ちゃんと受身が取れれば意外と生きていけるモンよねー」
「そういう問題じゃないと思う…」
「そういう問題じゃないと思う…」
♀マジが頭痛がするのを感じながらこめかみを押さえたその時
『島での2日目をいかがお過ごしでしょうか。ジョーカーです。』
定時放送が鳴り響いた
まず死者の名が告げられる。♀マジは知った者が居ないことに内心ほっとしながら、続けて放送されるであろう禁止区域の放送に備えて地図を広げる
そして禁止区域が告げられ始めた
D-3
D-8…
まず死者の名が告げられる。♀マジは知った者が居ないことに内心ほっとしながら、続けて放送されるであろう禁止区域の放送に備えて地図を広げる
そして禁止区域が告げられ始めた
D-3
D-8…
「……ココって、D-8じゃないの!」
放送で告げられた地区に慌てだす♀マジ
「ふーん、でも私は首輪壊れたから大丈夫なのよねーほほほ」
それに対して子デザを抱え上げて余裕のポーズの♀アコ
だがしかし
だがしかし
ぴ、ぴ、ぴ、ぴ、ぴ
お互いの首輪から警告を表す電子音が流れ始めていた
「……アレ?直ってる?」
「アレ?じゃないよこのINT1バカ!早く逃げないと危ないんだよっ!」
「うう、なんで?さっきまで大丈夫だったのに…」
「アレ?じゃないよこのINT1バカ!早く逃げないと危ないんだよっ!」
「うう、なんで?さっきまで大丈夫だったのに…」
♀アコはぶちぶちとモンクを言いながら二人(+1匹)に加速の祝福をかけ、一同そろって全速力で禁止区域から逃げ出すために駆け出す
絶壁沿いにひたすら南へ、生き残るためにひたすら走る
警告音が少しずつ早くなり、それから来る恐怖に心臓がどくどくと鳴る
そんな時に事件は起こった
絶壁沿いにひたすら南へ、生き残るためにひたすら走る
警告音が少しずつ早くなり、それから来る恐怖に心臓がどくどくと鳴る
そんな時に事件は起こった
「あっ!?」
雨で滑った草に足を取られて♀マジが転んでしまったのだ
それを見た♀アコ+1は急ブレーキをかけ駆け足で駆け寄る
それを見た♀アコ+1は急ブレーキをかけ駆け足で駆け寄る
「バカ!何やってるの!」
「あんたにバカ呼ばわり…ッ!!」
「あんたにバカ呼ばわり…ッ!!」
何時もどおり返答しようとした♀マジの顔が苦痛に歪む
よく見ると捻りでもしたのだろうか、♀マジの足首が僅かに赤く腫れていく
その足では歩くことは出来そうでも走ることは無理そうだった。そして、歩いていては恐らく脱出は間に合わない
よく見ると捻りでもしたのだろうか、♀マジの足首が僅かに赤く腫れていく
その足では歩くことは出来そうでも走ることは無理そうだった。そして、歩いていては恐らく脱出は間に合わない
「……先に…行って!」
「は?」
「は?」
♀マジの口から漏れた思いがけない言葉に思わず素っ頓狂な声を上げる♀アコ
「このくらいならボク一人でなんとでもなるから、さっさと先に行けって言ってるの!!」
警告音さえかき消すほどの大きな声で♀マジは怒鳴っていた
だがその目は涙で潤み肩も小さく震えている
死ぬかもしれない、でもこの相手にだけは絶対に弱みは見せたくない……そんな強がりの姿だった
その♀マジの姿に一瞬ぽかんとした後、♀アコはにやにや笑い
だがその目は涙で潤み肩も小さく震えている
死ぬかもしれない、でもこの相手にだけは絶対に弱みは見せたくない……そんな強がりの姿だった
その♀マジの姿に一瞬ぽかんとした後、♀アコはにやにや笑い
「OKOK、そこで『たすけてー』なんてか弱く言われたら見捨てて逃げてただろうけど……そうまで言われちゃねぇ」
そう言い屈みこむとタックルするように♀マジの腹に肩を当てて、
「よっ……せぇ!!!」
そしてそのまま一気に力を込めて♀マジの体を肩に担ぎ上げた
自分の予想を上回る行動に♀マジは慌て
自分の予想を上回る行動に♀マジは慌て
「な、何してるの!!人間を担いで走れるワケ…」
そんな♀マジへ♀アコは
「だいじょーぶ!コレでも体力には自信があるっ!それにね…」
絶望のカケラも感じさせない不敵な笑みでこう言った
「多分神様だって言っていた、『汝、隣人共々助かるべし』ってね!」
後は言葉を交わす余裕さえないと♀アコは猛然とダッシュを始めた
ひたすらに走り、走り、デッドラインを超えるために魔力を全て速度増加に注ぎ込みとにかく走る
残念ながら奇跡は今回は期待できない。ならば自分の力で生き残るために全力で走るしかない
首輪の音が更に早くなる、♀アコの頭の中にこのまま自分ひとりが助かるために♀マジを放り投げて逃げてしまおうかという思いが一瞬浮かび、すぐに消えた
そんな格好悪いことをすればあの時強がった♀マジに対して負けを認めるようなものだ
ゴールはまだ見えない、首輪の音は更に早くなる
やがて度重なる酷使に限界を訴えはじめた♀アコの足はガクガクと震えだす
♀マジは死に晒された精神が壊れそうになるのを必死で押さえる
もう限界だとばかりに首輪の音が早くなり……
ひたすらに走り、走り、デッドラインを超えるために魔力を全て速度増加に注ぎ込みとにかく走る
残念ながら奇跡は今回は期待できない。ならば自分の力で生き残るために全力で走るしかない
首輪の音が更に早くなる、♀アコの頭の中にこのまま自分ひとりが助かるために♀マジを放り投げて逃げてしまおうかという思いが一瞬浮かび、すぐに消えた
そんな格好悪いことをすればあの時強がった♀マジに対して負けを認めるようなものだ
ゴールはまだ見えない、首輪の音は更に早くなる
やがて度重なる酷使に限界を訴えはじめた♀アコの足はガクガクと震えだす
♀マジは死に晒された精神が壊れそうになるのを必死で押さえる
もう限界だとばかりに首輪の音が早くなり……
そして消えた
<♀マジ、♀アコ死亡>
「……なんて事態にならなくてよかったわね、あっはっはっは!」
「ぜぇ、ぜぇ、わ、笑い事じゃないよ……マジヤバかったんだよ!?うぷ……」
「ぜぇ、ぜぇ、わ、笑い事じゃないよ……マジヤバかったんだよ!?うぷ……」
地面に倒れ込んで大笑いする♀アコに対して♀マジは胃の辺りを押さえながらうつ伏せに倒れていた
なんとか、首輪が爆発する前に安全地帯まで逃げ切ることが出来たのだ
最も、その代償として♀アコは魔力と体力をごっそり失い、♀マジは胃に潰瘍を作る結果となったわけだが
なんとか、首輪が爆発する前に安全地帯まで逃げ切ることが出来たのだ
最も、その代償として♀アコは魔力と体力をごっそり失い、♀マジは胃に潰瘍を作る結果となったわけだが
「あははは、まー結果オーライってことで」
「な、なんて図太い神経…信じられない…」
「な、なんて図太い神経…信じられない…」
♀マジはそこまで言うと気が抜けたのかそのまま気絶してしまった
「こらちょっと、私だって疲れてるんだから休みたいのに何先にヘバって……おーい」
ぺちぺちと♀マジの頭を♀アコは叩くがもうさっぱり反応しない
「ふぅ、仕方ない……私も寝るから、ちょっとの間見張りお願いね……」
ちゃっかりと先にゴールしていた子デザに見張りを頼み、♀アコも大の字になると今大会二度目の眠りへと落ちていった
<♀マジ足に軽い捻挫、普通に歩くのは問題無し>
<♀アコ体力SPすっからかん、完全回復までは暫く時間が>
<現在地:E-9>
<♀アコ体力SPすっからかん、完全回復までは暫く時間が>
<現在地:E-9>
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