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2-248

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248.混迷の戦場[3日目朝]

一瞬の自失から立ち直り、♂ハンターは目前の少女へ一歩踏み出した。
♀アーチャーを取り返さなければいけない。
どうすればそれが可能かは分からない。
だけど今の自分には手伝ってくれると言った仲間達が居る。

一方♀スパノビと♀ハンターは武器を構える。
「ふぁる!」
ピーイ
♀ハンターの掛け声と共にファルコンが飛び立ち頭上で旋回を始めた。
さらに弓へ矢をつがえてミストレスへ向ける。

だが紫髪の少女は彼女達にあっさり背を向けた。
そして♂ハンターへ語りかける。
「のう王子様。我の夫となる覚悟はできたかえ?」
その表情には昨夜♀スパノビ達に見せた凶悪さのかけらもない。

少女のあまりに無防備な姿に、狙いを付ける♀ハンターの内に迷いが生じた。
武器を持つ腕を下ろしそうになる彼女を♀スパノビが叱咤する。
「撃ってください。ミストレスは彼を誘惑して何かするつもりです」
「…うん!」
♀ハンターは改めて弓を引き絞った。

だが先に矢を放ったのは♂ハンターだった。
「チャージアロー!」
「きゃっ」
♀ハンターの手から矢がはじき飛ばされる。
「何をするんですか」
♀スパノビは助けようとしたはずの♂ハンターへ厳しい視線を向けた。

だが彼女よりもさらに激しい反応を示した者が居た。
ピィィーッ
『何しやがンだてめえぇっ』
鋭い爪と嘴が宙より襲いかかる。
抉られた腕からぱっと血がしぶいた。

「Ouch!流石はイッツァBlue bird・ダイヤも貫く・幸運の力」
気の鎧をまとって♂ハンターの前に立った♂モンクが陽気に歌う。
顔前で十字に組んだ腕には深い傷が刻まれていた。
金剛不壊もファルコンの鋭い爪の前には効果がない。
しかし彼はひるまない。
「告白タイムだ・my brother・俺っち防ぐぜ・おしおきだっちゃー・今さら・雷・怖くナイナイ♪」

♂モンクはミストレスが右手に気を集めていることを感じていた。
表面がどうあれ、いつでも電撃を使える用意はしているということだ。
だからこその金剛。
しかし怒りの治まらないふぁるは突入方向を変えて襲いかかる。
『てめーに用はねえ!どけっ』
気の鎧は体の動きを制限する。今度は♂ハンターを庇い切れない。

「ニューマ!」
♂ハンターを切り裂こうとしたふぁるの翼がいきなり強い気流に吹き上げられた。
「やめとけ、鳥。やりあいてえわけじゃねえが黙って見過ごすつもりもねえ」
苦虫を噛みつぶしたような、しかし断固とした表情で♂プリが言い切る。

仲間達に守られた♂ハンターはアーバレストを♀スパノビへ向けた。
「その子を撃たせるわけにはいかないんだ」
「彼女はミストレスです。見た目にだまされては――」
「知ってる」
「――そうですか」
これ以上の説得は危険と判断した♀スパノビは♀ハンターに下がるよう合図する。
忠告はした。望んで危険を冒そうとする者を引き止めて逆恨みされてはつまらない。

「ほんに良い男じゃの。我が王子様は」
ミストレスは妖艶に笑う。
この展開を読み切っていたわけではない。
だが♂ハンターが彼女を庇おうとすることは予想の内だった。
そして状況は彼女にとって決定的に有利に運んでいた。

♂ハンターの前へ紫の髪の少女がたどりつく。
「♀アーチャー…俺は」
彼は少女へ手を伸ばそうとする。
だが彼女の眼は♂ハンターを見ていなかった。
視線は彼の顔を向いているのだが、はるか遠くを見ているように焦点が合っていない。
「♀アーチャー?」

「だめ!逃げて!」
ミストレスの意図に気付いたのは、正面に居るただ一人の女性――♀騎士だけだった。
その叫びと急激に高まる気に反応し、電撃を受け止めようと♂モンクが身構える。
だが♀騎士は激しく首を振った。
「違う!そっちの2人!」

♀騎士の声が届くより早く、ミストレスは振り向きもせず♀ハンターへ紫電を放った。
羽虫たちの数多の目を持つ彼女にとってそれは造作もないこと。
「きゃあああっ」
大きく弾き飛ばされた♀ハンターは悲鳴を上げて倒れ伏した。

『おい相棒っ…てめえ、殺すっ』
矢のように飛来したファルコンの爪をミストレスは余裕を持ってかわした。
♂ハンターに歩み寄ったことで彼女もニューマの範囲に入っている。
これで矢と鷹は無力化した。♂モンクも金剛を使っている以上他のスキルを使えない。
つまり彼女が恐れるべき相手はもはや居ない。
彼女は♀ハンターにとどめを刺すべく再び右手へ雷光を集めた。

「させません!」
「…う…お姉ちゃん…?」
しびれて立ち上がれない♀ハンターを庇い♀スパノビが立ちはだかる。
一発喰らって吹き飛ばされるのは覚悟の上だ。♀ハンターが回復して逃げるまでの時間が稼げればそれでいい。

「愚かよの」
ミストレスは狙いを正確に定める。
前に立った小娘を弾き飛ばして後ろのハンターへ叩きつけるまでだ。
だが、その背に誰かがしがみついて邪魔をした。

「whaaaaat!?」「危ねえぞ!」
出遅れた♂モンクと♂プリの声を背に♀騎士は必死でミストレスに抱きつく。
戦うことは怖い。
傷つくことも、傷つけることも怖い。
だけど決めたのだ。騎士であるということは人を守ること。
彼女はずっと触れずにいた武器を手にした。

「放さぬか。おんしから死にたいかえ」
ミストレスは♀騎士に右手を向けようとする。
だがその手がびくりと止まった。
「やめてください」
♀騎士の握った錐はミストレスの抱く卵へ突きつけられていた。

動きを止めたミストレスの右手を♂ハンターが握る。
「お願いだよ。♀アーチャー。目を覚ましてくれ」
彼は♀アーチャーに、そしてミストレスに呼びかけた。
「ミストレス。俺の♀アーチャーを返してくれ。その卵の中にいる仔なら代わりの体になるんじゃないか?」
「……」
紫髪の少女は考えるようにうつむいた。

彼女は事の初めから羽虫たちに周囲に居る者の様子を監視させていた。
だからこそ2つの集団が顔を合わせる絶妙のタイミングで顔を出せたのであり、そして万一の切り札となり得る「彼」が近くにいることも知っていた。
彼女は屈辱に身を震わせながらもその切り札を使うことにした。

「助けてーっ、誰かーっ!」
悲鳴。
ミストレスの、助けを求める悲鳴。
あまりに不似合いで、そしてあまりに場違いな悲鳴。
その場の誰もが無意識の内に絶対あり得ないと考えていた行動を目にして思わず硬直した。


「彼」はどこまでも騎士だった。
♀プリとその父親が見込んでいたとおりに。
恐怖に縛られ、後悔に囚われ。
それでも助けを求める声を無視できなかった。

おそるおそる忍び寄った「彼」が見た物は、
倒れた人物とそれを守って立つ人物。
それに1人を2人がかりで押さえつけ、人質に取ったように見える集団だった。
そして「彼」はそれぞれの正体を判別することができなかった。

「彼」は名を♂騎士と言った。


<♂プリースト>変化無し

<♂ハンター>変化無し

<♂モンク>
状態:腕に裂傷

<♀騎士>
備考:殺人に強い忌避感とPTSD。刀剣類が持てない 笑えるように ミストレスにしがみついている

<♀ハンター>
状態:♀スパノビを信頼、ふぁると遭遇で勇気りんりん、でも知らない人達ちょっと怖い
    ミストレスと遭遇、JTにより負傷

<ふぁる>変化無し

<♀スパノビ>変化無し

<♂騎士>
現在地:E-6
備 考:GMの暗示に抵抗しようとするも影響中、混乱して♂ケミを殺害 体と心の異常を自覚する
    ♂ケミのところに戻りできるなら弔いたい、誤解から♀Wiz達と小競り合いの末逃走、助けを呼ぶ声を聞きミストレスその他を発見

<ミストレス>
備考 :本来の力を取り戻すため他人を積極的に殺しに行く。
    ♂ハンターの誘惑と♀ハンターへの報復、両方実行中。卵はもうあと僅かで孵化
    ♀騎士に動きを制されている

※人数が多いため246.みっつの遭遇と変化がない部分は状態欄省略

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