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行く者、残る者

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行く者、残る者


 近くて、遠い。
 軽く嘆息を吐きながら、♀セージは思う。
 前方には、GMが数体。動ける事が不思議とさえ思える手傷を負っているが、その手に握ったバルムンは飾りではない。
 その更に向こうには、深淵の騎士。先行した彼女は、秋菜と戦闘を繰り広げている。
 だが──どの程度持つか。怜悧な瞳を細める。
 ♀セージは、少し考える。考えながらも♂ローグに渡されたスティレットを振った。
 降り注ぐ火矢が、一人のGMを焼く。断末魔。

「せいっ!! クソッタレ、とっとと召されろってんだ!!」
 幾本かの銀の矢が突き立ったGMを、悪態を付きながら♂プリーストが殴り倒す。
 ボロボロの頭蓋が今度こそ、見事に陥没したそれは、悲鳴も無く地面に倒れ伏した。
 その瞬間、GMと一心同体だとでも言うのか、手にした神剣は砂の様に崩れて消える。

 ──どうすべきか。セージには二つの選択肢があった。
 深淵の騎士にこのまま秋菜を暫く任せるか。
 自分達の内一人を援軍に送るか。

「援護に向います!! あのままじゃ深淵さんが持たない」
 しかし、その思考は唐突に途切れた。
 ♂アーチャーが、ダブルストレイフィングをGMの足目掛けて撃ちながら、そう叫んだからだ。

「何か見えたのか!?」
「深淵さんが腕に傷を。秋菜の方は軽症!!」
「…判った。但し、死ぬなよ。お前と深淵だけで勝てる相手ではない。あくまで時間稼ぎに徹しろ、直ぐに向う」
「了ー解っ!!」

 応え、♂アーチャーは走り出す。
 さて、この判断が吉と出るか凶とでるか。
 もともと、自分達は寡兵だ。目の前のGMの残兵に時間を取られ過ぎる訳にも行かない。
 が、かといって深淵の騎士に死なれれば、決定的な打撃力を欠く。
 ──その二つを天秤にかけた結果の指示だった。

「♀セージの姐さん。余り突出しないでくれ!! 各個撃破される!!」
「ああ。が、心配無用だな」
 殴りつける様にスティレットを振るう。
 それに呼応する様に、詠唱も無しにファイアボルトが降り注いだ。
 腕を吹き飛ばされ、片足を抉られ、ゾンビの様でさえあったGMが全身を焼かれ、奇妙な舞いを踊り狂う。
 瞬間的に、それを興味の外から外すと、刃毀れたGMのバルムン目掛けチェインを振るう♂プリーストに振り返りながら、叫んだ。

「サンダーボルトッ!!」
「ホーリライトッ!!」

 叩きつけるような光。それから降り注ぐ雷光。

「後幾つだ!?」
「3人…という所か。BDSの後、直ぐにばらけられたのは痛かったな」
 うまく行かないものだ、と♀セージは思う。
 戦闘とはそういう物だ、と解っているつもりではあるがもどかしい事この上無い。

「貧乏くじ…にならないといいんだけどなぁ」
「そういう風にしないのが私達のすべきこと、だろう?」
 ♂プリーストの愚痴に♀セージは笑う。
 ぐしゃぐしゃとプリーストは、頭を掻いた。

「ま、ここまで来て逃げるって訳にもいかないわな」
「ああ」
「…♂アーチャーの奴、しっかり後方支援出来るのかねぇ」
「信じようじゃないか。私は自分の采配は間違っていないと思うぞ?」

 ぎゅっ、とスティレットを握り締める。
 ♀セージは、じっと、眼前に迫るGM達を睨み付けていた。


<♀セージ&♂プリーストは 重症(but 戦闘は出来る)GM達と戦闘中 その他の変化は無し>
<♂アーチャー 深淵の騎士支援の為、先行 その他変化無し>

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