クロスボーダーM&Aの実際と対処法


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2008/07/17

第一章  三角合併解禁のインパクト


●合併等対価の柔軟化

旧商法では消滅会社の株主に交付する財産は、原則として存続会社の株式のみ

→会社法では存続会社の株式以外の財産も対価として交付することが可能に

 (社債、新株予約権、新株予約権付き社債など)


つまり親会社や関係会社の株式を使う三角合併も可能に

 加えて、外国企業と日本企業の直接的な合併や株式交換は認められていなかったが、この三角合併を使うことでそれが可能に。

→日本の企業が外国企業の脅威にさらされる!?

※三角合併のメリットとして現金の代わりに自社株を使って他社を買収できることが挙げられる


また、株式移転1、株式交換2や会社分割3といった新しい制度もできた。



1 既存の会社がその全株式を拠出して新たに完全親会社を設立すること


2 例:B社の株主の保有するB社の発行済全株式とA社の発行する株式を交換することで、A社が完全親会社、B社が完全子会社となること

3 合併とは逆で、会社の事業の全部、あるいは一部を分割して、新会社、あるいは既存の会社に包括的に承継させる組織法上の行為



●三角合併についてのいろいろ

  • 三角合併は、欧米の多くの国では認められていた。日本でも認めろと圧力をかけた。

 ・特にクロスボーダーM&Aの場合、為替の問題もあり、現金によって高い買い物をすることに大きなリスクを伴う。

→三角合併では、資金調達の必要もなく、リスクを軽減することも出来る。

 ・M&Aを成功しやすくするのではなく、組織再編を機動的におこなうためのもの




●三角合併は本当に外資による日本買いを誘発するか

 三角合併は当時双方の株主総会の特別決議が必要。

 特別決議:議決権で過半数の株主が出席し、その3分の2以上の賛成を必要とする決議


つまり、友好的買収でないと難しいのですぐに日本買いが増えるわけではない。


さらに敵対的買収とは誰にとって敵対的なのかを考える必要がある。

→多くの場合は株主でなく経営者に対して敵対的と表現される場合が多く、

 経営者が保身のために防衛策を取る場合もありうる。



●課税の繰延措置の問題

合併の際に交換する株式の取得原価と時価との差が譲渡益となる。

しかしそこに課税されるとすれば、株式を現金化してでも支払わないといけなくなる。

そこで、課税の繰延措置をおこなうことで、三角合併の時点では譲渡益課税を見送り、

その後株式を売却した時点で初めて課税されるという制度をつくった。

もちろん適格要件が定められており、これに適さなければ制度をうけることはできない。





第二章   クロスボーダーM&Aの歴史と現状


●クロスボーダーM&Aの三つのブーム

 第一次はバブル期のIN-OUTで資金的に余裕がある日本企業が海外企業へ多額の投資を行った。

 第二次は1999年から数年間のOUT-INで、海外の再生ファンドによって救済型のM&Aが行われた時期。

 第三次は2005年から2006年にかけてで、日本の景気回復とグローバル化によるもの。


日本のクロスボーダーM&A、特に敵対的買収のさきがけとなったのがブーン・ピケンズによる小糸製作所の買収案件。

→詳しく調べてみるとおもしろいかも。ただ、今回のテーマとは少しずれている気がするので割愛。


この事件の教訓はクロスボーダーM&Aの場合、まず相手を知ることが何よりも大切




第三章   友好的買収案件のプロセスと留意点


主にM&Aの手順の説明。


その中でもデューデリジェンスが難しい事が挙げられている。

基本合意書締結後にお互いの会社でデューデリジェンスが行われ、

対象会社の過去と現状を把握するとともに、将来のチャンスとリスクについて詳細に調べられる。

短期間でこれらのことを行わないといけないし、敵対的買収の場合は対象会社の協力も得られないため、

見切りで買収することになってしまう。


またM&Aの交渉が決裂した場合に、デューデリジェンスで調べられた自社の情報をどうやって回収、破棄させるかも大切。

最悪の場合、ライバル企業に自社の状況や強み、顧客情報などの情報だけ渡して、途中で交渉を一方的に破棄されるといったことも。

情報を開示しなさすぎると、交渉で不利になるため、駆け引きが大切となってくる。




第四章   クロスボーダーM&Aはどこが難しいのか


クロスボーダーM&Aは文化、言語、ビジネス観衆、法制度、会計・税務制度が異なる国の会社を対象とすることになるため、

国内企業のM&Aに比べて多くの時間とコストがかかる。


さらに外国企業に対するアレルギーを軽視してはいけない。

日本でも外資系のファンドが買い手の場合、人のリストラや資産の切り売りが行われるのではないかという不安が生じたりすることもある


他にも、チェンジオブコントロール条項といって、「契約の一方当事者の支配権が変動する場合、契約の解除事由や事前承諾事由にする規定」

などに注意する必要がある。

例えばライセンスを与えられている企業を買収した際に、ライセンスを与えている企業が情報が漏れることを嫌って

ライセンスを取り消したりといったことも起こる可能性がある。

またこの条項を防衛策として使うことも出来る。


労働問題への対応の難しさもあげられる。

欧米諸国では成果報酬型が多いため労働条件の変更に伴う不利益がわかりにくいが、日本では年功序列型のため不利益がわかりやすく、問題が起きやすい。

しかし、日本の場合、成果報酬型にしようとしても、労働組合の抵抗や労働基準法上の制約もあり現実的には難しい。

また知的財産の問題や訴訟リスク、環境リスクなども考える必要がある。


アフターM&Aの難しさがよく挙げられるが、日本企業では対等合併や曖昧さを好むため、M&Aのあとになって企業文化の融合に苦労するケースが多い。

逆に欧米諸国ではどちらが買収をするかを明確にするほうが好まれる。




第五章   クロスボーダーM&Aと敵対的買収


公開買い付け(TOB)=敵対的買収ではない。

前述したが敵対的とは誰にとって敵対的なのかを考える必要がある。

経営陣に対して敵対的でも株主の利益を上げることの出来る買収者という可能性もある。


買収防衛策としての「ポイズンピル」は果たして有効なのか?

米国では過去の防衛策といった認識もあるし、英国では禁止されている。

また、極端な防護策であるため、緊急避難用として捉えられ、時間稼ぎ的な意味にとどまっている。


究極の防衛策はMBOなどを用いて、非上場会社に戻ること。

しかし、対抗TOBをかけられることもあるため、確実に実行できるわけではない。




第六章   海外におけるM&Aの実態


英国におけるM&A制度の特徴として、パネルとよばれる自主規制団体の存在が挙げられる。

裁判所とではなく、専門家たちで構成される機関であるレフェリーが存在し、シティコードとよばれるルールに基づいて、M&Aというゲームが行われる構図になっている。

その基本思想は「株主は公平に扱い、株主に判断させる」というもの。


中国におけるM&A制度の特徴として、証券取引所で取引される株に「A株」と「B株」という二種類に株があることが挙げられる。

A株は中国国内投資者限定の株、そしてB株は外国人が変える株というようにはっきり分けられていた。

外国投資者へのA株の譲渡も禁止されていたが、近年では少しづつ規制が緩和されてきている。

M&Aの法整備も今は完全には整っていないが、今後案件も増えていくものと思われる。




第七章   三角合併をめぐる議論の本質


実は近年の対日投資がほとんど増加していない。

本当に心配するべきなのは、日本買いの恐怖ではなく、日本が買われなくなること。

会社法や税法といった根本的に等しく間口の幅を決めてしまう部分で狭めるのではなく、個々の企業、あるいは業種ごとに対応すべきではないだろうか。





感想


遅くなりましたがまとめてみました。

防衛に関することが多く載っていましたが、クロスボーダーM&Aのことが多く載っていたのでよんでみる価値はあると思います。

ずーっと借りっぱなしのつもりなので、読みたいときは声かけてください♪








用語集


○三角合併

 会社を合併する際、消滅会社の株主に対して、対価として、存続会社の株式ではなく親会社の株式を交付して行う合併のこと。平成17年に成立した新会社法では、消滅会社の株式の対価について、存続会社の株式ではなく、現金その他の財産(例えば親会社株式。外国会社の株式ということもありうる)を用いてもよいことが明確化された。



三角合併の流れ

親会社(外国会社)が、日本国内に100%出資の子会社B社を設立し、合併対象会社C社を吸収合併する。その際、合併対価としてその親会社の株式を付与する。

第一ステップ

親会社A社が、子会社B社へ、C社株主に対する合併対価として、A社株式を付与する。

第二ステップ

合併対象会社C社の株主に対して、存続会社のB社株式ではなく、親会社のA社株式を交付する。そしてC社は、吸収合併され、消滅会社となる。

第三ステップ

吸収合併により消滅会社となったC社株主は、新たにA社の株主となる。









○金庫株

企業が自社の株式を買い戻して手元に置いている株式のこと

金庫株には、持ち合い株の受け皿としての効果があります。持ち合い株とは、取引関係にある企業同士が、お互いに保有しあっている株式のことをいいます。持ち合い株は、株主を安定化し、企業買収から回避するために行われてきました。
しかし、バブル崩壊後は、企業の経営悪化や銀行の不良債権処理などから、持ち合い株を売却する動きがでています。これを、「持ち合い株の解消売り」といいます。持ち合い株の解消売りは、株価下落の要因になり、また、企業は乗っ取りの対象になりやすくなります。

金庫株は、企業が、市場に放出された自社の株式を購入することにより、乗っ取りから会社を防衛しようとするものです。また、自社の株価が下がらないように下支えしたり、将来の株式配当を減らす効果もあります。


◆金庫株の問題点

自社の株式を保有できるようになると、不正が行われる可能性があります。意図的に株価をつりあげたり、インサイダー取引を行ったりする違法行為です。インサイダー取引とは、大株主や役員などの内部関係者が、未公開情報をもとに株式の売買を行うことをいいます。

自社の株式を取得するにはお金が必要であるため、資金の少ない企業にとっては利用しにくい制度といえます。
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