異端者(いたんしゃ)とは、大玲瓏帝國物語や他国の設定に登場する存在のことである。
異端者の一般的な定義は「人間の常識でとらえられる範囲を大きくこえた外見をしていたり、身体能力や戦闘能力を持ち合わせた存在」である。異端者と人間は外見こそ一部の例外を除き見分けはつかないが、決定的な差異として、異端者は人間離れした身体能力と戦闘能力を持ち合わせている点である。そのため、人間と異端者は完全に分けられた別々の存在である。
基本的には、多くの異端者は「普通異端者」とよばれ、身体能力が高かったり動物耳や尻尾が生えていたり、力を発揮することでそのほかの外見的特徴を表すことがある。具体例として、斎の狐耳や、優記、凛のアルビノ的な外見などが挙げられ、その種類は多種多様である。これは異端者がそれぞれ持ち合わせている能力に起因するもので、その能力の大半は、動物や空想上の生き物にちなんだ名称で呼ばれる。具体例としては、斎の「鬼狐」、優記の「白蛇」、純香の「腐蜘蛛」などがある。 しかし、中にはどの能力にも属さない、あるいは測が不可能な異端者も存在している。それらは、「特殊異端者」とよばれ、特別扱いされる。現状としてはセイラや彩香などがその最たる例である。
現在、世界各国で確認されている異端者の人数は、約1000万程度であり、正確な数値は分からない。だが、その数は人間の人口数と比較しても相対的に見れば少ない。そのうち、世界で最も異端者が住んでいる国が大玲瓏帝國であり、約4分の1にあたる約250万の異端者が存在している。 その大玲瓏帝國では「レヴェル・レート」と呼ばれる、異端者の能力をX級から最高SSS-XXX級の12段階で相対的に評価した指標を利用している。帝國領内の約98%にあたる大半の異端者は、S級すら乗らない「ノー・エス・レート」と呼ばれて、高い能力は持ち合わせていない。しかし、残り約2%のS級異端者は、高い戦闘能力や特殊能力を持ち合わせており、軍事作戦から国家、はては世界の存滅すら左右する異端者が挙げられている。
異端者が及ぼした影響として「軍事的優位性の変化」、「核抑止を超える抑止力誕生」が挙げられる。
異端者の歴史は、中世紀からの文献資料には登場しており、人類有史と比較して古い時代から存在していたと考えられる。しかし、有史以前の歴史は明らかにはなっていない。だが、「Blood rainy」の後に蟄居した堕花嶺香が独自に異端者研究を行っており、彼女の研究によって異端者の有史以前の歴史はある程度解明された。
嶺香の研究によると、異端者と人間のルーツはもともと同じ猿人であったという。しかし、人類が猿人から原人に進化する過程で生命へのアポートシスが行われ、そのアポトーシスの残骸から新たな生命が生まれた。それが、異端者のルーツである「ハイレティステース(*2)」である。ステースは、人類種の猿人と比較して歪な体格をしており、脳容量も三分の二程度であった。しかし、ステースは人間種が生活することができない火山や豪雪地帯、密林地帯に生活の拠点をうつし、苛酷な極限環境で独自の進化を遂げていった。 そして、約100万年頃には異端者の能力の根源ともいえる「カリア」という寄生虫を獲得した。このカリアは極限環境のみで生存することが可能な虫で、本来は宿主の体内に宿り、生命を養分として喰らい尽くす虫であった。しかし一方で、カリアは自身の生命を守るために、宿主の肉体や能力を飛躍的に増加させする力を持っており、ステースはこのカリアを制御することで、高い身体能力や戦闘能力を獲得することに成功したのである。やがて、カリアを制御することに成功したステースは、カリアと一体になっていったという。そして人間種に新人が誕生したころに、アポトーシスの塊でしかなかったステースは独自の進化を遂げて、歪であった姿は人間種に近づいていき、脳容量も新人と同じほどになった。そこで、異端者と人間を決定的に分ける事象が発生する。それはステースのDNAとカリアが結合したことであった。こうして異端者が持つ能力の原型が完成し、さらに多くの進化へて現在に至るのであった。