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未来へのシナリオは ◆w2G/OW/em6




冷たい夜風が身に染みる。
それは彼のいる場所が辺りを遮る物のない崖の上だからか、それとも、ここが殺し合いの場だからか。
眼下に広がる殺風景な砂漠を何気なく見下ろし、白馬―――風雲再起は静かに思考を巡らす。
大勢の動物たちによる闘い。勝者はただ一匹であり、他の全ては敗者となる。
つまり、これは彼の主人である東方不敗・マスターアジアがかつて参戦し、主人の愛弟子ドモン・カッシュが現在参戦しているガンダムファイトの様なものだ。

各国の威信を掛け、勝利という名の栄光を掴む為の戦い……ガンダムファイト。
その身はただの馬といえど、風雲再起は流派東方不敗を会得した武人、故にその心は、自然と戦いを求める。
この地に集う、まだ見ぬ強者達との戦い……自然と心が高ぶるのを感じる。
ただし、ガンダムファイトとは明確に違う点がある……敗北とは即ち、死と同等であるということ。

無論、彼は死ぬつもりなど毛頭無い。本当ならこの様な場所から今すぐ立ち去り、敬愛する主人の元へと向かいたいのだ。
ならば、主人の元へ向かうにはどうすればいい?
この場の獣を殺し尽くし、唯一の勝者となる。それもまた、方法の一つであろう。
だがそれは、あのキュウビと名乗った狐の言ったことだ……果たして、信用の出来る言葉であろうか?


答えは否。


自分達に殺し合いを命じた時の、あの高慢かつ慈悲の欠片も見えぬ態度。
あの様な者が約束を守るとはいかんせん信じがたい。
この殺し合いの目的は分からない。「呪法の為」とキュウビが言っていたような気もするが、呪法とやらが何かは想像もつかない。
想像もつかないが故に、勝者が安全に解放される保証もないのだ。
それ以前に、あのような外道畜生の指図においそれと従うことが気に食わない。

殺し合いに乗らぬのなら、取るべき行動はおのずと決まる。
キュウビの監視を欺き、この地から早々に脱出する。
戒めとしてはめられているこの首輪を外すなり、直接キュウビの元に行き奴を殺すなり……まあ、明確な手段は後々決めるとする。
どうしても脱出の手段が見つからない場合は……不服だが、殺し合いに乗ることも考慮すべきか。

一先ず、必要なのは情報だ。
最初に集められた場所でキュウビに向かっていった白毛の狼――アマテラスと呼ばれていたか――なら何か知っていると思われる。
この舞台もそうだ。キュウビが用意した物ならば、何らかの手がかりが残っているかも可能性もある。
とりあえずは、他の参加者を探す。
そう決意し、眼前の崖から飛び降りようと脚を踏み出し……


『世の中しけてんぜー、オイラグレちゃう!』


突如響いてきた大声に、踏み出しかけた脚を止めた。






「さ、300歳って……ネンガ様より年上なのかあの狼……」

D-6、地下鉄の駅のホーム。待合室のベンチにツネ次郎は座っていた。
デイパックと刀を隣に置き、視線は膝の上に置いた分厚い本に向けられている。
仲間との合流。言うのは簡単だが、実際にするのは難しい。
この場所はかなり広く作られている。闇雲に探しても見つける事ができるか分からないのだ。
先ほど、誰かが大声でしけてるとか何とか叫んでいたが……あんなの危険すぎる。
殺し合いに乗った奴に聞かれたら、たまったもんじゃない。
こんなとこであんなド派手なパフォーマンスをするなんて、一体何を考えてるんだろうか。2765倍バカだ、きっと。

なるべく目立たずに仲間を探す……その為に彼が目をつけたのは、地図上でE-4に位置する―――サッカー場だ。
まん丸がサッカー好きなのは、自分やタヌ太郎も周知の事実。なにせ将来の夢はJリーグなのだ。
あのとぼけた性格のまん丸なら、こんな場所でも何も考えずに行動しそうである。
そんなアイツが地図でサッカー場なんて見つけたら……きっと、ホイホイ行ってしまうだろう。
タヌ太郎だってきっとそれを理解しているはず。
だから、サッカー場に行けば合流できる可能性だって高まるのだ。

ただしE-4は地図ではだいたい中央部に位置する。
即ち、他の参加者に会う可能性が高いということ……殺し合いに乗った動物に会うかもしれないのだ。

しかし、彼にはそのデメリットを低くする物が支給されていた。
全参加者の詳しいデータを記した―――詳細名簿。
プロフィールや性格などが書かれているこの品があれば、殺し合いに乗りそうな動物とそうでない動物を判断することができる。
他の参加者に出会ったら、この名簿で詳細を調べる。それが危険な奴ならすぐ逃げて、大丈夫そうな奴なら接触すればいい。
危険な参加者の名前と外見ぐらいはあらかじめ覚えておいた方がいいだろう、と電車待ちの時間潰しもかねて読み始めたのだが……

「それにしても……ホントになんだよこの参加者? 普通の動物なんてほとんどいないじゃないか!」

最初に見た狼や虎なんてまだまだ普通な方なのかもしれない。
獣人、トカゲ人間、悪魔、突然変異の蟻、恐竜、宇宙人……何故か人間も一人混ざっている。(見た目はフェレットだったが)
忍術を使えるといっても、きっとここでは自分は弱者の側。

「普通じゃない動物ばっかり集めたってことなのか……?でも、普通のラッコやアライグマもいるし……」

まるで一貫性のない参加者の選別……どういうことだろう。
自分に分からないだけで何らかの法則があるのか。それとも名簿に書かれていないだけで、このラッコ達も特別な動物なのか……

……そんなことはどうでもいい、今はまん丸やタヌ太郎との合流だ。
難しい事なら、みんなそろってから考えればいい。これまでも、そうやってどんなことも切り抜けて来たじゃないか。


「だから……だからアイツらと合流すれば、きっと大丈夫だ」
「ふーん、そりゃよかったね」


背後から唐突に声をかけられた。


「ーーーーーッッッ!!!」


奇声に近い悲鳴を上げてベンチから飛び退くツネ次郎を見て、後ろに立っていた『猫』はケタケタと笑った。
猫にしては随分と大柄だ。マントや帽子を纏い、その手にあるのは……抜き身の剣。

「そんなに警戒しなくてもいいじゃん?……別にオイラはアンタとやろうとは思ってないし」

身をこわばらせたのが分かったのか、猫は少し小馬鹿にしたような口調で話しかけてきた。

「……ホントか?」
「アンタをKILLするつもりなら、声をかけずに後ろからザックリ!のほうが簡単だろー?」

………確かに。

「じゃ、じゃあ殺し合いには乗ってないんだな?」
「しつこいなー、オイラグレちゃう」
「あ、ああごめん……俺はツネ次郎っていうんだ、お前は……えーと……」

支給された名簿の内容を思い出そうとする。なんだっけこいつの名前、まだはっきり覚えてないんだよな……

「そんなことよりさー、オイラちょっと気になるもんがあるんだけど」

思い出そうと四苦八苦している俺を見て、猫が声をかけてきた。

「気になる物?」
「そう、アレは何かなー?」

俺の後ろを指さして、猫は首をかしげる。
………何だろう、特に何も変わったものは無かったはずだけれど。

「アレって……特になんも無「アンタもシュガーなんだね」



ドスッ



鈍い音。



(え?)

ゆっくりと自分の体を見る。
腹から銀色の何かが生えていた。

(刺されたんだ)

そう理解した瞬間、急に目の前が暗くなり始めた。
持っていた名簿が手から落ちる。
薄れゆく意識の中で急速に浮上したのは、

(そうだ……この猫の、名前……)

腹から刃が引き抜かれる。
体が前に崩れ落ちる。

(ケット、シー……悪魔……だ……)






「ヒーホー! オイラって天才?……いや、こいつが馬鹿なのかな」

崩れ落ちる狐を見て、ケットシーはパチンと指を鳴らした。
簡単に殺せそうな動物を探し、見つけたのがあの狐だ。
駅のベンチで無防備に分厚い本を読んでいるのを見たところ、そんなに強そうには見えない。
しかしさっきの犬コロを逃がした事も考えると、いきなり襲いかかるのはちょっと考えものだ。
故に取るべき作戦は……不意打ちで、一撃必殺。

「出会ってすぐで背中見せちゃうなんてさー……さっきの犬コロといい、甘っちょろいよね」

シャムシールの刃は、しっかりと狐の腹を貫通していた。
しかし……肩が小さく上下している。即死じゃない、まだ生きている。

「ふーん、なかなかグッドな根性じゃん? それでもオイラにKILLされるのは変わんないけどねー?」

銃をしまい、ついでに狐の刀もしまってシャムシールを振りかざす。
投げ出された本をチラリと見たが、興味なさそうに視線を狐に戻す。

「じゃーね」

にやり、と顔をほころばせる。
銀の刃が蛍光灯の光に煌めき―――疾風。



ガキン!



唐突に振り上げた手に伝わった衝撃に、ケットシーの体が揺さぶられる。
見ると、シャムシールの刃が根元から折れていた。

「……あれ?」
「どこを見ている、猫。ワシは目の前だ」

手元から視線を離して顔をあげる……恐怖で気絶したらしい狐を挟んだ目の前に、白馬が立っていた。

「何? アンタ……」
「ワシは流派東方不敗、風雲再起」

小難しい名前だ、そう思ってケットシーは一歩下がる。
ホームの入り口は自分の真後ろ、入ってくるならそこからだ。
そこから来たというなら……狐を殺そうとした一瞬で自分を飛び越し、剣を蹴り折ったということになる。
とんでもない化け物馬だ。

「さて、猫……名は何と言う」
「オイラは魔獣ケットシー、今後ともよろぴー!……ってわけにはいかない?」
「下らん、誰が好んで殺し合いに乗った獣と慣れ合う」
「あちゃー……やっぱり……」

かぶりをふって、ケットシーは溜息をつく。
別に乗っている訳ではないと言ってもいいが、信じてもらえるとは思えない。

ケットシーが一歩下がる。
風雲再起は一歩踏み出す。
再びケットシーが一歩下がる。
また一歩を踏み出す。


―――ピンポンパンポーン

『マモナク、F-6行キノ電車ガ来ルンダベ! オ乗リナル方ハ危険ナノデ、白線ノ内側ニ下ガッテ待ツンダベ!』


電車の到来を告げる、奇妙なアナウンスが聞こえた。

両者が動く。
ケットシーが駆けだす。方向は線路側……電車に乗って逃げるつもりらしい。
しかし遅い、と風雲再起は考える。常識的に見れば素早い部類に入るが、風雲再起の身体能力はそもそも常識的ではない。

すぐさま追いつき、前脚を振り上げる。
体当たりで吹き飛ばすなどしてもよかったが、場所が場所だ。
線路に落ちた猫が電車に轢かれ、その衝撃が元で首輪が爆発でもしたら少々やっかいだ。
首輪はサンプルとして欲しいところ。故に、首輪を傷つけぬ様……踏み殺す。

「ふんッ!」

前脚を勢いよく振り下ろし……身を襲った衝撃に体制を崩す。
ケットシーの魔法、マハザンマ―――空気を爆発させ、衝撃波を発生させる物だ。
もちろん風雲再起が知らぬことではあるが……

崩れた体制に追い打ちを掛けるように、ケットシーがデイパックから刀を取り出す。
出された勢いそのままに斜めに斬り上げ、脚の軌道をそらせた。

「小賢しい!」

軌道が逸れたのも気にせず、脚を思い切り床に叩き付ける。
砕け散るコンクリートと共に、ケットシーの体が吹き飛ばされる。
しかしそこは身軽な猫、地面に叩きつけられる直前に受け身を取る。


パァン……


軽い音をたてて電車がやって来る。


再び距離を取りつつ、ケットシーは銃を取り出す。
ロクに狙いも定めず……撃つ、撃つ、撃つ。
当てる気はない、時間稼ぎだ。
それを見越した様に風雲再起が迫る。


鈍重な音を立てて、止まる……扉が、開いた。


開いた扉に、ケットシーは素早く体を滑り込ませる。
安心はできない……電車に乗れても、別の入り口から入られては意味がない。
あの馬を電車から遠ざける……その為には。

「こっちはどうかなー?」

デザートイーグルを構える。今度はでたらめではなく、しっかり狙いを定める。
狙いは……未だ倒れている狐。

「……ちィッ!」

どうやら狙いに気づいたらしい。
射線上に割り込み、再び床を砕く。
体制を崩していた先ほどとは違う、大量のコンクリート片がばらまかれる。
銃弾が巻き上がった大きなコンクリート片を砕き、細かな欠片に風雲再起が目を細め……



………プシュー



ゆっくりと扉が閉まり―――電車が動き出した。






消えゆく扉の向こうのホームで、こちらを不機嫌そうに睨む馬を見……ケットシーは座席にへたり込んだ。

「はあ……大失敗だったなー」

狐を殺し損ねて生体マグネタイトを奪えなかった……そればかりか、あの化け物馬に危うく殺されかけた。
銃に込められた弾もけっこう使ってしまった。代わりの刀が手に入ったとはいえ、剣も折られてしまった。
あの音で攻撃するアイテムを使えばよかったが……悔やんでもどうしようもない。

「KILLするつもりがKILLされちゃーなぁ……あの馬も、来たタイミングがバッドすぎるし……」


そして気になるのは、先ほどマハザンマを使った時の感触だ。
いつもより、威力が落ちている気がする……考えられる原因とすれば、首輪か。
生体マグネタイトを手に入れるのも大事だが、首輪を外すことも考えた方がいいかもしれない。

さーて……どうしよっかなー……




【D-6/F-6へ向かう電車内/一日目/黎明】

【ケットシー@真女神転生if...】
【状態】:疲労(小)少し耳が痛い
【装備】:和道一文字@ワンピース、まぼろしのてぶくろ@MOTHER3
【所持品】:支給品一式、デザートイーグル@真女神転生if...(コロナショット2発装填)、コロナショット@真女神転生if...(14発)
      雷の石@ポケットモンスター、拡声器、折れたシャムシール@真女神転生if...
【思考】
基本:生き残る。ゲームに乗るかキュウビに逆らうかは他の参加者をよく確かめてからにする
1:先ずは生体マグネタイトを調達する(誰かを殺す、もしくは誰かが持っているのを手に入れる)
2:余裕があれば首輪の解除をする。
【備考】:雷の石をマハジオストーン@真女神転生if...と勘違いしています
     まぼろしのてぶくろを防具と勘違いしています
     拡声器を攻撃アイテムと勘違いしています
     魔法の制限の可能性に気づきました




「逃がしたか……」

去って行く電車を見ながら、風雲再起は呟いた。
首輪のサンプルを取り損ねたのは惜しい。
身体能力はそれほどでもなかったが、あの妙な衝撃派も気になる……次に会った時には、確実に殺さねば。

視線を倒れている狐に移す。腹を刃で貫かれているが、肩が上下しているから死んではいない。
よく見ると、首に下げた小さな青い球を握りしめている。
口が開きっ放しだった狐のデイパックの中身を漁ると、支給品の説明書きらしき紙があった。
碧双珠、という物らしい。傷を癒す力を持った球……便利な物もあるものだ。

いや、それよりも気になる物がある。
デイパックと一緒に落ちていた本……裏返しになっていて表紙が見えていなかったが、ひっくり返してみたところ興味深い文字が読めた。
表紙に書かれていた文字は『参加者詳細名簿』
参加者の詳しいデータが書いてある物、と見て間違いないだろう。

これがあれば、キュウビと関係のある参加者を判断することができる。
それだけではない……この忌まわしい首輪を外す技術を持つ者、殺し合いに乗る者、乗らない者の判別にも役立つ。

本当なら、今すぐ読みたいところだ。
しかし……彼は馬。脚にあるのは指ではなく、蹄。
本のページをめくる等という器用な動作は、ほとんど不可能に近いのである。

……とりあえず、この狐に手伝わさせるか?
協力を断れば、名簿のみ奪って捨て置く。殺し合いに乗っているのなら……名簿だけでなく、首輪も奪わせてもらう。



「……さてキュウビよ、高みの見物をして待っているがいい。
 この身は馬といえど……この風雲再起、流派東方不敗の武人として、恥じぬ戦いを見せてくれる」



【D-6/地下鉄駅、ホーム/一日目/黎明】

【風雲再起@機動武闘伝Gガンダム】
【状態】:疲労(小)
【装備】:無し
【道具】:支給品一式(不明支給品1~3、未確認)、参加者詳細名簿
【思考】
基本:キュウビを倒し、主人の元へ帰る
0:ツネ次郎に協力を要請する、断るなら放っておく(名簿は貰う)
1:アマテラスをはじめ、キュウビを知る者と接触、情報を得る
2:邪魔な者は殺す
3:脱出が不可能なら優勝も考える
4:強い者と戦いたい
※脚が蹄のため、名簿を開く等の細かい作業ができません。デイパックを開けれるかは不明です。


【ツネ次郎@忍ペンまん丸】
【状態】:気絶中、腹部に重症(碧双珠で回復中)、突き指、腰に軽い打撲、不安。
【装備】:印堂帯、碧双珠@十二国記
【道具】:デイバッグ、支給品一式、石火矢(弾丸と火薬の予備×10)@もののけ姫
【思考】
基本:まん丸たちと合流してここから脱出する。
0:(気絶中)
1:E-4のサッカー場に向かう
2:まん丸たちを捜す。
[備考]
※虎(ムックル)は狼(モロ)に殺されたと思っています。
※モロを要注意参加者として認識しています。
※参加者の選定には何らかの法則があるのではと推測しています。
※気絶したため、風雲再起のことは認識していません。


※駅のアナウンスには、天邪鬼の声が使われています。


【参加者詳細名簿】
全参加者のプロフィールが載っている名簿。
書かれているのは「名前」「外見」「性格」「経歴」の4つ。


【碧双珠@十二国記】
慶国の宝重。手のひらに乗るくらいの青い球。
怪我や病気を癒す力がある。空腹感を薄れさせることもできるらしい。





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GAME START 風雲再起 038:暁を乱すもの
001:されど山犬は仔猫と躍る ツネ次郎 038:暁を乱すもの
007:シロとケットシーの偽典・黙示録だゾ ケットシー 054:口より先に欲が出る




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