鎮魂花 ◆xD212eOTyM
冴え冴えと輝く満月が、太陽の代わりに冷たい光を三匹に投げかけている。
わたあめのような子犬がその短い生を終えてから、アマテラスは背負っていた遺骸をそっと降ろして
すぐに傍らの土を掘り始めた。
わたあめのような子犬がその短い生を終えてから、アマテラスは背負っていた遺骸をそっと降ろして
すぐに傍らの土を掘り始めた。
「アマ公………」
ニャースがぼんやりと呟く。
楽俊は無言で立ち上がり、アマテラスを手伝い始めた。
無論、子犬を埋めるのだろう。
それはわかる。だが。
目の前であっさりと散った儚い命にショックを受けてはいても、光と熱を集めるために使っていた鏡
や、調合するために蓋を開け煎じた薬類をそのまま放置して埋葬するということがどれだけ無防備で
危険なのかを理解できないわけではないだろう。
状況が状況なのだからと、注意しようと口を開きかけたニャースだが、穴を掘っているアマテラスと
楽俊のスピードと、子犬の骸の大きさを考えて、口を噤んだ。
あまりに小さい。
楽俊は無言で立ち上がり、アマテラスを手伝い始めた。
無論、子犬を埋めるのだろう。
それはわかる。だが。
目の前であっさりと散った儚い命にショックを受けてはいても、光と熱を集めるために使っていた鏡
や、調合するために蓋を開け煎じた薬類をそのまま放置して埋葬するということがどれだけ無防備で
危険なのかを理解できないわけではないだろう。
状況が状況なのだからと、注意しようと口を開きかけたニャースだが、穴を掘っているアマテラスと
楽俊のスピードと、子犬の骸の大きさを考えて、口を噤んだ。
あまりに小さい。
「……おいらも手伝うにゃ」
* * * * * * * *
すぐに十分な大きさに達した穴に、楽俊がそっとシロを横たえて目を閉じさせてやり、助けてやれな
くてごめんなと呟いた。
そうして土をかけ、子犬の名前も知らないままなのだと改めて気づく。
危険な存在の情報のみを残して彼は逝ってしまった。
大事な家族のもとではなく、冷たい土の下へ還った彼に他に何かしてやれることはないかと、辺りを
見回しても手向ける花も見当らたない。
くてごめんなと呟いた。
そうして土をかけ、子犬の名前も知らないままなのだと改めて気づく。
危険な存在の情報のみを残して彼は逝ってしまった。
大事な家族のもとではなく、冷たい土の下へ還った彼に他に何かしてやれることはないかと、辺りを
見回しても手向ける花も見当らたない。
「ラクシュン、そろそろ…」
自分同様、疲れきった顔をしたニャースが肩に手を置いてくる。
手早く荷物を片付けて、少し離れたところで休むべきだ。
天照の怪我の具合いもあるし、鏡の光はきっと離れた所からも見えるだろう。
満月とはいえ、闇が濃い。
光の存在は、この場所でははっきりと危険だ。
ニャースのその労わりの気配に、少しだけうなずいてみせると、楽俊は傍らに坐したままの天照を
振り返った。
悲しそうな顔をした、紅い化粧をした白銀の狼はくるりとしっぽを回転させていた。
手早く荷物を片付けて、少し離れたところで休むべきだ。
天照の怪我の具合いもあるし、鏡の光はきっと離れた所からも見えるだろう。
満月とはいえ、闇が濃い。
光の存在は、この場所でははっきりと危険だ。
ニャースのその労わりの気配に、少しだけうなずいてみせると、楽俊は傍らに坐したままの天照を
振り返った。
悲しそうな顔をした、紅い化粧をした白銀の狼はくるりとしっぽを回転させていた。
「な、なんにゃ!?」
今度は驚愕の声を上げるニャースのほうを慌てて振り向く。
見ると、子犬の墓土から小さな芽がいくつも出、あっという間に蕾をつけて花を咲かせる。
まるで花柄の絨毯を広げたように。
今度は驚愕の声を上げるニャースのほうを慌てて振り向く。
見ると、子犬の墓土から小さな芽がいくつも出、あっという間に蕾をつけて花を咲かせる。
まるで花柄の絨毯を広げたように。
「いきなり花が?どうなって…」
何が何だか分からずに動揺する二匹を見て、アマテラスはくぅーん、と小さく啼いた。
いつもよりも神通力の消費が激しく、筆しらべを少しだけ使ったにも関わらず、疲労がその躯に加
わっている。
だがその事実よりも、太陽神である自身に備わる「光明」が顕現されないことよりも、花咲の力が
健気な子犬を癒して慰めてくれるようにと、それだけが大神の思考を占めていた。
いつもよりも神通力の消費が激しく、筆しらべを少しだけ使ったにも関わらず、疲労がその躯に加
わっている。
だがその事実よりも、太陽神である自身に備わる「光明」が顕現されないことよりも、花咲の力が
健気な子犬を癒して慰めてくれるようにと、それだけが大神の思考を占めていた。
シロに捧げられた花、入りとりどりの野草の中に咲く一輪のタンポポが、太陽のような黄色い花か
ら真っ白な綿毛に変わる。
崖下を吹き抜ける冷たい風が、その綿毛を揺らせて舞い上げた。
どこまでも飛んでいくその純白の種に混じり、墓から出た光り輝く小さな玉が、アマテラスの体に
吸い込まれていったのを視えたものが居たかどうかは、解らない────。
ら真っ白な綿毛に変わる。
崖下を吹き抜ける冷たい風が、その綿毛を揺らせて舞い上げた。
どこまでも飛んでいくその純白の種に混じり、墓から出た光り輝く小さな玉が、アマテラスの体に
吸い込まれていったのを視えたものが居たかどうかは、解らない────。
【C-5/崖下/1日目/早朝】
【チーム:三匹が行く!】
基本:殺し合いに乗っていない参加者を集める。
【備考】
※危険な獣「帽子のネコ(ケットシー)」の情報を得ました。
【楽俊@十二国記】
【状態】:健康、疲労(小)、無力感、悲しみ、血まみれ
【装備】:なし。
【道具】:支給品一式、フィジカルミラー@ペルソナ3、不明支給品0〜1個(本人は確認済)、アマテラスの支給品一式と不明支給品1〜3種類(楽俊とアマテラスは確認済)
【思考】
基本:キュウビを人間の土俵で倒す。
1:どうなってるんだ?
2:片づけて少し離れてから、みんなで休む
3:ニャースのいた世界の話を聞いてみたい。
【備考】
※楽俊の参戦時期はアニメ第6話です。
※人間の姿になれないことに気付いています。
※会場が十二国以外の異世界であり、参加者にも異世界の住人がいることを認識しています。
※アマテラスの本当の姿が見えています。
※アマテラスを唯のオオカミではないと感じています。
【チーム:三匹が行く!】
基本:殺し合いに乗っていない参加者を集める。
【備考】
※危険な獣「帽子のネコ(ケットシー)」の情報を得ました。
【楽俊@十二国記】
【状態】:健康、疲労(小)、無力感、悲しみ、血まみれ
【装備】:なし。
【道具】:支給品一式、フィジカルミラー@ペルソナ3、不明支給品0〜1個(本人は確認済)、アマテラスの支給品一式と不明支給品1〜3種類(楽俊とアマテラスは確認済)
【思考】
基本:キュウビを人間の土俵で倒す。
1:どうなってるんだ?
2:片づけて少し離れてから、みんなで休む
3:ニャースのいた世界の話を聞いてみたい。
【備考】
※楽俊の参戦時期はアニメ第6話です。
※人間の姿になれないことに気付いています。
※会場が十二国以外の異世界であり、参加者にも異世界の住人がいることを認識しています。
※アマテラスの本当の姿が見えています。
※アマテラスを唯のオオカミではないと感じています。
【ニャース@ポケットモンスター】
【状態】:健康、疲労(小)、悲しい、血まみれ
【装備】:なし。
【道具】:支給品一式、エルルゥの薬箱@うたわれるもの(1/2ほど消費)、シルバー・ケープ@魔法少女リリカルなのはシリーズ、不明支給品1〜2個(本人は確認済)
【思考】
基本:殺し合いからの脱出。楽俊たちと一緒に行動する。
1:ここを離れたい
2:血をどうにかしたい。
3:ピカチュウたちが気になる。
[備考]
※不明支給品に、ニャースから見て武器になるようなものはなかったようです。
※異世界の存在について、疑わしいと思いつつも認識しました。
※キュウビや他の参加者をポケモンだと考えていますが、疑い始めています。
※ピカチュウが、サトシのピカチュウかどうか疑っています。
※アマテラスが、ただの白いオオカミに見えています。
【状態】:健康、疲労(小)、悲しい、血まみれ
【装備】:なし。
【道具】:支給品一式、エルルゥの薬箱@うたわれるもの(1/2ほど消費)、シルバー・ケープ@魔法少女リリカルなのはシリーズ、不明支給品1〜2個(本人は確認済)
【思考】
基本:殺し合いからの脱出。楽俊たちと一緒に行動する。
1:ここを離れたい
2:血をどうにかしたい。
3:ピカチュウたちが気になる。
[備考]
※不明支給品に、ニャースから見て武器になるようなものはなかったようです。
※異世界の存在について、疑わしいと思いつつも認識しました。
※キュウビや他の参加者をポケモンだと考えていますが、疑い始めています。
※ピカチュウが、サトシのピカチュウかどうか疑っています。
※アマテラスが、ただの白いオオカミに見えています。
【アマテラス@大神】
【状態】:全身打撲(中・治療済)、深い悲しみ、ところどころ血まみれ
【装備】:所々に布が巻かれている。
【道具】:なし。
【思考】
基本:打倒キュウビ。
0:…………………
1:ぼのぼのとアライグマが心配。
【備考】
※アマテラスの参戦時期は鬼ヶ島突入直前です。そのため、筆しらべの吹雪、迅雷の力は取り戻していません。
※筆しらべの制限に気付いているかもしれません。
※楽俊とニャースに懐きました。
※キュウビの目的について、何か勘付いているかもしれません。
※筆しらべ「光明」と「月光」で昼夜を変えることはできないようです。
※筆しらべ「桜花」で花は咲かせられるようです。
【状態】:全身打撲(中・治療済)、深い悲しみ、ところどころ血まみれ
【装備】:所々に布が巻かれている。
【道具】:なし。
【思考】
基本:打倒キュウビ。
0:…………………
1:ぼのぼのとアライグマが心配。
【備考】
※アマテラスの参戦時期は鬼ヶ島突入直前です。そのため、筆しらべの吹雪、迅雷の力は取り戻していません。
※筆しらべの制限に気付いているかもしれません。
※楽俊とニャースに懐きました。
※キュウビの目的について、何か勘付いているかもしれません。
※筆しらべ「光明」と「月光」で昼夜を変えることはできないようです。
※筆しらべ「桜花」で花は咲かせられるようです。
※シロの遺体は、花が咲く盛り土の下に埋まっています。
※幸玉が発生し、アマテラスに吸収されました。どういう扱いにするかは次の書き手さんにお任せします
※幸玉が発生し、アマテラスに吸収されました。どういう扱いにするかは次の書き手さんにお任せします
【幸玉@大神】大神であるアマテラスが人助けや、動物に餌をやる、土地を浄化するなどするとその対象から幸せや感謝や喜びが溢れて玉の形になって発生するもの。ゲーム中ではステータスアップに使える。
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033:不夜城のシロ | 楽俊 | 052:黄昏の宿 暁の空 |
033:不夜城のシロ | ニャース | 052:黄昏の宿 暁の空 |
033:不夜城のシロ | アマテラス | 052:黄昏の宿 暁の空 |