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異界の車窓から ◆1eZNmJGbgM



遠からん者は音にも聞け、近くば寄って目にも見よ。

これは古代ポコペン人の戦士が合戦場で名乗りをあげる際に用いる言葉だが、どうやら人探しにも使える様だ。
そんな事を考えながらギロロはB-4からB-5にかけての市街を捜索する。
同行者であるユーノは彼の数メートル先を歩き、その後ろにギロロが続く。
斥候が俊敏な事は重要であるし、的も小さいに越した事は無い。もっとも、ユーノが自分で言い出したのだが。
しかしユーノからしてみれば、他の参加者に遭遇した時に銃口を向けられるよりは、
対話をしようとする方が警戒感を抱かれにくいとの計算も働いたからこその結論でもある。

とはいえ、捜索対象のてゐの足取りは一向に掴めない。その原因は先程カエルが放ったウオータガ。
あの鉄砲水によっててゐの足跡や匂い(彼らの嗅覚がどの程度か不明だが)などの痕跡が綺麗さっぱり流されてしまったのだ。
あの魔法の後に出来た銀の血痕だけが残ってはいたが、それがてゐの捜索に影響を及ぼす事は無い。

そしてギロロは決断を下す。

「……ユーノ、残念ではあるがてゐの捜索をここで一旦打ち切ろうと思う」
「……理由を聞いてもいいですか?」

ユーノもその理由には薄々気付いているのだろうが、導き出した答えに対する葛藤ゆえ不満が声色に表れる。

「では率直に話そう。おそらくてゐはもうこの付近にはいない。これだけ物音を出し、時には呼びかけても
何の反応も無いという事は既にてゐが我々が出した音の聞こえる範囲にいないと言う事だ」
「じゃあもっと別の場所を探すという手は取れないんですか?」
「そう、問題なのはそこだユーノ。地図を見てくれ」

そういってギロロは地図を広げ、ユーノもそれを見る。

「いいか、現在地は近くに駅が見える事からもB-4に間違いは無い。B-5も捜索済みだ。となると他に考えられる逃走先は何処だ?」
「……北のA-5か、南のC-4ですね」
「その通りだ。そしててゐが選びそうなのは?」
「……多分C-4だと思います、彼女とは南で出会いましたから。今まで訪れた場所と訪れていない場所、どちらに逃げるかと考えたら前者を選ぶでしょうし」
「ああ、俺もそう思う。十中八九、てゐはC-4方面へ逃走しただろう」
「……そこまで解っているなら何故追いかけないんですか!」

ついにユーノが声を荒らげる。自分でも答えは出ているのだろう、これからギロロが言う内容も予想しているしその解答も間違ってはいない。
しかし、だからこそ。

「これが答えだ」

ギロロの右腕から出た返答はあまりにも雄弁だった。

「見ての通りだ。ただでさえ日が昇り視界が良くなっているのになんの遮蔽物も無い所を通る気に俺はなれん。
重火器がこれしか支給されていないと言うなら話は別だが」

右手のガトリングガンから出た硝煙を息で吹き消しながらギロロは答える。みせしめになった道路標識が本来の役目を果たす事は未来永劫無い。

「…………」

ユーノもそれは理解しているのか、俯いたまま無言でいる。
勿論、ユーノにも反論材料はある。彼は捕縛、治癒、結界といった補助魔法の優秀な使い手であり
その中にはプロテクション等の防御魔法も含まれている。
銃弾に対してどの程度の防御力があるかは未確認だが少なくとも狙撃されて重傷に陥る事は無いだろう。
だが、それは本来の威力が発揮されればだが。
ユーノ自身が人間に戻れない制限を受けた現状、唱える魔法が十全の力を発揮する事が有るのだろうか?
いやそもそも防御魔法を唱える事が出来るのか?
そう考えたからこそ、ユーノはギロロに反論が出来ない。
不十分な認識で同行者を危険に晒せないという点では、ギロロの答えとユーノの答えはさして変わらないものなのだから。

「…………」

ギロロもユーノが素直に納得するとは思っていないので尋ねられるまではじっと待つ。
そして自分の心情に一区切りつけたのか、数分かけてやっとユーノは質問をした。

「……では僕達はこれからどうするんですか」
「うむ、そこでだ。目の前にあるB-4から電車を利用しようと思う」
「と、いうと?」

そう言われ、ギロロは地図上の線路を手で示しながら説明を続ける。

「現在地であるB-4駅から、C-5、F-5、F-3、D-2、C-2、そしてB-4と一周するのだ。
そして各地で駅構内の探索を行い、最後にメモを残して次の駅へと向かう。こうすれば我々の仲間に出会う
可能性は上昇し、てゐの捜索にも役立つ。運良く他の参加者に出会えればあのカエル達の本性も知る事が出来るかもしれない。どうだ?」
「ではA-6とF-2を除外した理由は何ですか?」
「それはだな、あくまで今回は駅の中の捜索だからだ。確かにA-6駅の近くには研究所、F-2に至っては
わざわざ離島に空港と火山まである。どちらも怪しいのは俺も認めるが、いかんせん情報不足だ。
行動方針はシンプルなものに越したことは無い。ポコペンでは虻蜂取らずと言うらしいが」

ギロロの提案は確かに道理に適うものだろう。電車中なら外から奇襲を受けてもそれなりの遮蔽物が有り
電車内から攻撃されても体のサイズと所持品の関係で彼らが有利だ。反撃、撤退どちらも選べる。
ユーノもそれを理解した上で、自分もカードを切る。

「…分かりました。僕からも一つだけ提案が有ります。他の参加者の方に出会った時はまず僕に
話をさせて下さい、いきなり銃を突きつけるよりは相手の印象も良いでしょうから」
「ちょっと待て、それではこちらの身の安全が……」

ユーノの提案に対して、呆気にとられた表情を浮かべるギロロ。まさかそんな事を提案されるとは全く予想していなかったらしい。

「まさか、身体検査をやらせたのがそんなに不満だったのか? 同性だからお前にやらせ……まさか俺にやれと言うのか!? 
イカンイカンぞ俺には夏美がいるからそんなことはいやでもしかしバレなければ確かに予行練習も重要だそれに肝心な時にヘタを打つよりギロロロロロ」
「何を言っているんですか!」

先程までの優秀な軍人の顔は何処へやら、すっかり目尻を緩め妄想ボケガエルと化したギロロに喝を入れB-4駅へ向かうユーノ。正気を取り戻したギロロも後ろに続く。
そんな二人を待っていたかのように、西の方からC-5行きの列車が到着した。
◇ ◇ ◇


「…てゐさん見つけられませんでしたね」
「まぁ仕方ないだろう。スコープや双眼鏡があれば出来たかもしれんが」

所変わって場所はC-5駅構内。電車の中からではてゐを見つける事は出来ず、また襲撃を受ける事も無く
平穏無事に電車は駅へ到着した。そして構内の探索を開始し現在に至る。
駅の中はどうやら今まで誰も立ち寄った形跡が無い様子で、足の裏に付いた土や血痕は勿論、駅の外にも足跡は見当たらなかった。
その為ここの探索は早めに切り上げ、駅の位置口と改札口付近、それにプラットホームの三か所にメモを残しF-5行きの電車を待つ。
そんな時、ユーノがギロロに問う訳でもなく口を開いた。

「なぜ電車なんだろう」
「……? 何の事だ」
「いや、さっきの放送で禁止エリアが指定されましたよね。その中に入るとあの邪気が立ち込め、首輪が爆発するって」
「ああ、言っていたな。確かに体力が抜けて行く様な不快な感覚だった」

その様子を思い出し、眉を顰めるギロロ。あれを体験した上で好き好んで禁止エリアに侵入する者はいないだろう。

「では、電車に乗っていれば問題無いのは何故なんでしょう? いや、理由は察しが付きますよ。
そうしないと僕達の移動に不都合が出て、やつらの言う所の殺し合いが進まないからでしょうから。僕が気になるのは手段です」
「……まさかお前の言いたい事は」
「そうです。『一体どうやって電車内を安全にしているのか?』これについてはギロロさんはどう考えますか?」
「そうだな……例えば邪気を祓うお札なんかが貼られているんじゃないか?」

そんなギロロの一般的な解答をユーノはバッサリと斬って捨てる。

「いえ、それは考えづらいです。ではそのお札を貼ったのは一体誰になるのか、そこが問題になってしまいます。
あんな邪気を使う者がその邪気を祓うお札に触れて無事な筈がありませんから」
「なるほど。しかし、他に協力者がいるかもしれんだろう? 
我々参加者が異なる世界から集められたのだ、あいつらにも他の世界の協力者がいるかもしれん。
……すまんが一時中断だ、電車が来た。続きは車内で聞こうか」

『マモナク、F-5行キノ電車ガ来ルンダベ! オ乗リナル方ハ危険ナノデ、白線ノ内側ニ下ガッテ待ツンダベ!』

そうしてギロロ達はF-5行きの車両に乗り込む。
車内を捜索してはみたが、他の参加者が利用した形跡はこの列車には見受けられない様だ。
外からの攻撃に備え、発見されにくく脱出も容易な手動の非常扉付近の床に座り込み、話の続きをユーノに催促する。
「えーと、どこまで話しましたっけ……ああ、他の世界から協力者が来ているかもしれない可能性についてですね。
確かにそうかもしれません。ですが、僕はそちらの方がありがたいと思います」

そう言ってユーノは話の内容に似つかわしくない顔で笑う。きっと今人間であったならば数学の証明をしている時の様な顔をしているだろう。

「さっき、僕達にはあの犬―銀―の言葉は解りませんでしたよね? この様に、僕達が異なる世界の言葉が通じないのなら
主催者が異世界出身の者を利用しても、お互いの言葉が通じない可能性があると僕は推測しています」
「ちょっと待て、それはおかしいぞ。普通共同作業をするなら翻訳機ぐらい用意するだろう。
それ以前にあの銀やカエル……四足歩行の方に言葉が通じないのはそれとは別の話じゃないのか?」

ギロロ達ケロロ小隊が滞在している(実質的には居候であるが)日向一家の住居にも一匹の猫が住み着いているが
当然その猫の言葉はギロロに通じない。ならば同じ様に一見普通の動物に見える銀やグレッグルの言葉が
ギロロに理解できないのは当然ではないか?そう考えたギロロに対して、ユーノが自説を語り出す。

「いや、正にそこなんです。まずはこれから話す内容の前提条件なんですが、この会場にいる参加者の共通点……
それは人間に準ずる者、あるいは人間に仕える者が集められたと思います」
「……続けろ」
「はい。僕自身の話ですが、僕はここに拉致されるまでとある女の子のサポートをしていました。
さっき話したザフィーラやアルフも似たようなものです。それに今までのキュウビの態度から考えても
人間と関わりの無い者が呼び出されるとは考えづらい。この辺はギロロさんはどう考えますか?」

ユーノの説を一語一句噛み締めるように聞いていたギロロも、やや間を空けて返答する。

「そうだな、大筋ではお前の考えと変わりない。ポコペン人と関わりがあると言う点は俺やケロロにも当てはまる。
てゐも勿論、あのカエル……二足歩行の方も身なりから判断して間違い無いだろう。ただ、銀や四足ガエルがポコペン人と
何らかの関係があるのかどうかまでは判断できん。それにあの熊にしてもそうだ。出会った人数から考えて4/7、約6割。
ギリギリ及第点といった所だなその説は。で、この話がお互いの言葉が通じない事とどう繋がるんだ?」

確かにギロロも気になる事ではある。言葉が解らないと通じないは別の話だ。
例えば先述の猫とは言葉が通じないのであり、そもそも言語を持たない宇宙人には言葉が理解されない。
彼らのいた世界では言葉が通じないどころか言語を持たない宇宙人の存在も確認されているのだ。
ちなみにこの様な場合は主に武力で『解決』するか、歌や踊りなどの文化で『対話』をするらしい。
ケロロとタママとギロロの三人でカラオケ行った際にはカラオケをポコペン人の軍事訓練の一環と勘違いしてたし。

「それはですね、この会場内に『人間に対して話しかけられる者、人間に対して話しかけられない者同士の会話は通じる』
こういった法則が存在するのではないでしょうか?」
「するとなにか、俺やユーノ、てゐがお互いに会話できるのはポコペン人と会話が出来るからで
銀や四足ガエルと会話できないのはあいつらがポコペン人と会話が出来ないからだと?」
「そうです。ちなみにてゐさんが両方の言葉を理解できるのは、恐らく彼女がいた世界では元々人と動物の間の意思疎通が
問題無く出来るのでしょう。彼女自身もちょうど人と動物の中間的な見た目ですし」
「……ふむ、強引な点もあるが一応の筋は通るな。そもそも最初にキュウビが話しかけて来た事からも
参加者全員が言語を理解できる事は間違いない。お互いに通じるかどうかは別問題としてだがな」
そこで一息ついたギロロの言葉を継いで、ユーノが本題を語り始める。

「はい。で、この内容を踏まえて最初の話に戻ると確かに主催者はお互いの言葉を翻訳しているでしょう。
でも、彼らの常識まで共通化できるとは思いません。あの博物館にしても、あれだけ多種多様な文明レベルなら
その当事者同士の常識に思い違いがあるのは当然です。僕が考古学を学んでいると先ほど言いましたが、
同じ惑星でさえ未解明な事があるんです。それが他の世界ともなれば……」
「言葉の解釈の行き違い、つまりミスが生じると言う事か」
「その通りです! そこでさっきのお札の話に戻れば、仮にお札を見つけた場合それを持っていれば禁止エリアを無効化できます。さらに言えば…」
「首輪の解除に繋がると言う訳か。さすが学者だな、理論の構築が見事だ」

ギロロは感服したようにユーノを見つめる。あのキュウビの説明からここまで推察できるのは大したものだろう。
だが、ギロロは学者では無い、ケロン星の軍人だ。そして軍人とはその殆どが徹底したリアリストである。
そこに希望的観測や机上の空論が入る余地などない。

「しかしだ、この話はあくまで仮定に過ぎん。そんな推測で動く訳には」

だがしかし、ユーノも凡百の学者では無い。
フィールドワークが極めて重要な考古学者であり、それに武闘派?の友人達に囲まれ鉄火場もそこそこ場数を踏んでいる。

「確かに、今までの予測には何の証拠もありません。そこでギロロさん、次の放送で線路上の禁止エリアを電車で
往復したいと思います。このペースならちょうどB-4駅に戻り切る頃に放送が始まるはずですので
予定通りに行けばB-6、他の参加者に出会えればその付近の禁止エリアで実際に確認するのはどうですか?」
「なるほど、それなら俺も協力しよう。ではもう一つの可能性、次に出会った者がポコペン人と
関わりは無いが俺達と言葉が通じる場合はどうするのだ?」
「その答えは至って簡単ですよ。新しく出会った人と、改めて議論をすればいい。議論、討論は参加者が多い方が有意義ですから」

先程までとは違い、実にシンプルな結論を出すユーノ。それが当然と言わんばかりの即答。
ギロロも自分の様な軍人とは違う、学者としての返答に思わず笑みが零れる。

「ギロロロロロ、お前は確かに優秀な学者の様だな! ……っと、ちょうど電車も駅に到着するようだ。
ユーノ、先の事も結構だが今も重要だぞ、周囲への警戒を怠るな」
「ええ、勿論です。では駅の構内に行きましょう」

『マモナク、F-5ノ駅ニ着クンダベ! オ降リニナル方ハ危険ナノデ、足元ニ気ヲ付ケテ降リルンダベ』

こうして二人は推察を重ね、行動を再開する。
彼らの予想が正しいのか、外れているのかは定かでは無い。
今の彼らに重要なのは近い未来の予想では無く、現在を生き抜く事なのだ。
この電車の着いた先は、かの地獄の番犬が雌伏の時を終えその爪牙を研いでいる虎穴なのだから……



【F-5/F-5行き電車内/一日目/午前】
【ユーノ・スクライア@リリカルなのはシリーズ】
【状態】健康
【装備】:なし
【道具】:支給品一式、手榴弾(11/12)@ケロロ軍曹、消化器数本
【思考】
基本:打倒主催。
1:F-5駅を捜索。
2:対主催のメンバーを集める。
3:てゐの捜索。
4:ケロロ、ザフィーラとの合流。
5:F-5、F-3、D-2、C-2、B-4の順に駅を回る。
【備考】
※参加者を使い魔か変身魔法を用いた人間だと思っています。
※会場はミッドチルダではないが、そこよりそう遠くない世界だと思っています。
※首輪について
 人間化は魔力を流し込むことによって、
 結界魔法などは魔力を吸収することによって妨害されています。
※銀、カエル、グレッグルを危険な獣と認識しました。
※東方世界の幻想郷について知りました。しかし、てゐのせいで正確性には欠いています。


【ギロロ伍長@ケロロ軍曹】
【状態】健康
【装備】:ガトリングガン@サイボーグクロちゃん(残り85%)、ベルト@ケロロ軍曹
【道具】:支給品一式、バターナイフ、テーブル、キュービル博物館公式ガイドブック・世界編
【思考】
基本:死ぬ気はさらさらないが、襲ってくるものには容赦しない。
1:F-5駅を捜索。
2:対主催のメンバーを集める。
3:てゐの捜索。
4:てゐに少し違和感。
5:ケロロ、ザフィーラとの合流。
6:F-5、F-3、D-2、C-2、B-4の順に駅を回る。
【備考】
※銀、カエル、グレッグルを危険な動物かどうか、判別しかねています。
※ユーノを女と思っています。
※A-6やF-2の駅付近の建物に疑問を感じています。

※ユーノ達がC-5駅に残したメモには、
 ①ユーノとギロロが同行している事②彼らの知り合いであるケロロとザフィーラの身元証明
 ③てゐは危険人物では無いと言う事④銀、グレッグル、カエルが危険人物かも知れないと言う事
 以上の事が書かれています。


時系列順で読む

Back:熊嵐 Next:闇の梯子

投下順で読む

Back:熊嵐 Next:闇の梯子

069:罪穢れの澱みを着せて ギロロ伍長 080:Crossfire
069:罪穢れの澱みを着せて ユーノ 080:Crossfire




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