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Four Piece of History ◆k3fZfnoU9U



『…プックルが言っていたことが正しい可能性が出てきたってことだな。ということはやはりキュウビの目的は人間に関するものなのか? だとすると…』
「ラ、ラクシュン殿、何一人で呟いているでありますか? 男はもう死にそうな状態なのでありますよ!」
『おっと、そうだったな。保健所にはおいらから連絡しておく。あと連絡したらおいらもそっちに向かうからさ。ケロロはそれまで怪我人のほうを見ておいてくれないか?』

新たな情報を得て考察を固めようとした楽俊に、ケロロは男の処置についてまくしたてるように尋ねた。
楽俊はほんの少し慌てたような声で返事をした。

「ラクシュン殿…、分かったであります。我輩に任せるでありますよ!」

ケロロはそう言って電話を切ると一目散に男のもとに走って行った。
どこぞのハリネズミのごとく足が8の字を横にした感じで男のもとに舞い戻った。
そして給食室前ケロロの胸中に一つの不安が上がり、自然と足が遅くなっていった。

(気軽に任せるでありますとは言ったものの……我輩にできるでありましょうか…)

応急処置とはいえケロロは治療に不慣れだった。
だが、今この場にはケロロ一人しかいない。
ぼのぼのはてゐを呼びに行かせたのでここにはいない。
そのことを思い出した途端、彼の胸中に後悔の念が湧きあがってきた。
てゐはヒグマの大将を殺した可能性がある。
そんなやつのところに子供を向かわせてしまった。
これは軍人としては失格の答えであろう。
例えるなら、赤ん坊を虎の巣に向かわせるようなものである。
しかし、これは過去に起きたことであるため彼には何もできない。
それ以前に現在ぼのぼのが今どこにいるのか分からない。
もし彼がレーダーのようなものを持っていたら、追いついて連れ戻すこともできただろう。
だが、運の悪いことにそのようなものを持ち合わせてはいない。
それよりも今は男の応急処置をこなさなければならない。
そのどこからともなく湧き出る義務感は彼の足は保健室に導いた。

「あれ?や、やけに道具が少ないでありますな」

保健室で道具を探し始めたケロロは違和感に気がついた。
道具の数が不自然に減っていたからだ。

「誰かがここによって持っていったんでありましょうか?」

そんな独り言をつぶやきながら応急処置に使えそうな道具を選ぶ。


「あ、あれ?なんでこう都合よく救急セットが置いているでありますか?」

道具を揃え駆け足で給食室に向かったケロロは、足を踏み入れるなり脳内に『?』を浮かべる。
何故かご都合主義な展開の如く治療に使えそうな道具が置いてあったからだ。

「お、落ち着くであります。き、きっと親切な誰かが置いて行ってくれたであります」

そう考えながら男の前に向かっていく。
ちなみにここに治療道具を揃えたのはまごうことなくケロロ自身であるのだが、
彼が『電話をかける』ことで頭がいっぱいになってしまった結果、
この記憶は彼の脳内から忘却の彼方へと飛び去ってしまったのである。

何はともあれ男の前に来たケロロは、男の様子に違和感を覚えた。
どこか影がさし1ミリも動く気配がしない。
まるで人生に燃え尽きたかのようにそこに留まっているだけに見える。
恐る恐る男に近寄りそっと顔を覗き込んだ。
瞳に安らかながらも恐怖でひきつった表情が映りこむ。
まるで心地よい絶望に我が身を委ねているかの如く…。

「あ、あの、大丈夫でありますか?」

その表情に一抹の不安を感じたのかケロロは恐る恐る男に声をかけた。
しかし男は黙したまま、口を開く素振りすら見せない。

「あ、あの~、我輩の声が聞こえていないでありますk…え?」

その素振りに疑問を感じ、男に触れたケロロはあることに気づいてしまった。
人間の体温にしてはあまりに冷たすぎる。
まるで氷を触ったかのようだった。
生物学的にいえば人間は恒温生物に分類される。
すなわち常に温かさを保っているはずである。
その人間が生きている限り寝ていようが起きていようがいつも保たれているはずである。
その体温が失われているというのはその生命が生きているということを、頭から否定していることに他ならない。
もはや死んでいるのは確定的に明らかと言わざる負えない。
この事態にケロロは顔面蒼白になった。


(こ、このままだとこれからこっちに来るラクシュン殿たちに知れたら、
我輩が疑われることは間違いないであります。
し、しかしここで迂闊に動くと何と思われるか…。
我輩は…我輩は…)
「我輩は…我輩はなんて愚かな間違いを犯してしまったでありましょうかぁ!」

ケロロの思いはいつの間にか叫びへと変わり、冷蔵庫内部に響きわたる。

「こ、こういうときは慌てず騒がず忍び足、我輩にできることをするであります。」

そういうなりケロロは男の死体を仰向けに寝かせ、あたかも応急処置をしたかの如く治療道具を散らかし始めた。

「これで我輩の責任が少しは軽くなるであります。さて、後は……」

一通りの『偽装』をすませたケロロは次にやるべきことを模索するべく冷蔵庫内をうろうろし始めた。

【C-4/学校 給食室 冷蔵庫内/1日目/午前】

【ケロロ軍曹@ケロロ軍曹】
【状態】健康、錯乱(小)
【装備】:ジムのガンプラ@サイボーグクロちゃん
【道具】ガンプラ作成用の道具
【思考】
1:次は何をするべきか…
2:とりあえずギロロと合流したい
3:安全な場所でガンプラを作る
※ピカチュウ、キラーパンサー、オカリナをゲームに乗ったと誤解しています(名前は知らない)
※ピカチュウ、キラーパンサーの言葉は通じないようです。他は不明。
※キュウビに宇宙人の協力者がいるか、キュウビ自身が宇宙人であると考えています。
※会場の施設は、全て人間が以前使用していた物と考えています。
※ぼのぼのと情報交換をしました。
※給食室に、加藤清澄@バキの死体があります。
※給食室の加藤清澄を重要人物と考えています。




◇ ◇ ◇

「ふあぁ~あ、なあ、オカリナ、ちょっといいか?」
「えっと、何でしょうか?」
「この本読んでみないか」
「え?」

やや遅めの朝食を終え、暇を持て余しているとプックルが大欠伸をしながら提案してきた。
プックルの前には分厚い本が置いてある。

「えっと、この本がどうかしたのですか?」
「ああ、放送がかかる前にピカチュウが見てほしいものがあるって言ってただろう」
「えっと、この本がそうなのですか?」

オカリナは戸惑ったような声でプックルに聞き返した。

「ああ、そうだ」
「まさか……たった今思い出したのですか?」
「いや、そういうわけではない。余りに退屈なのでな」

オカリナはジトッとした目でプックルを呆れたように見る。
それに気付いたプックルはまるで子供が親に催促するかのように前足で適当に本を開く。
オカリナはプックルの前に飛んでいき本を読み始める。
同時にプックルも本の挿絵に視線を向ける。


「む、これはどういうことだ?」
「動物だけが住んでいる森?」

プックルが適当に開いたページを読んだオカリナは内容に疑問を感じた。
そこには動物だけがとある森に住む様子が描かれていたからだ。
これだとプックルの考察と矛盾してしまう。
念のため次のページを開いても人間の姿はどこにも描かれていない。

(これって……もしかして……)

断言することはできないが、この内容から考えられる可能性は一つしかない。

「プックルさん、もしかしてここには人間に関係ない動物もいるのではないのでしょうか?」
「な、そんなはずはない…」
「だって現にこの世界には人間が描かれていないじゃないですか!」
「いや、もうちょっと先を読めば人間が出てくるはずだ」

人間と一切関わりがない動物が参加している可能性もある。
そのことは一緒に本を読んだプックル自身も勘付いているはずだ。
それでも本の内容にどこか納得できていないのかプックルは人間を書き忘れたのだと言い張ろうとしている。
しかし読み進めても人間が出て来ないまま、次の物語に移ってしまう。

「結局出てきませんでしたね」
「…もしかしたらこれ自体が罠かもしれんな」
「罠…ですか?」
「オレ達を混乱させるために嘘を書いた可能性も考えられる」
「あの、そのようなことをする必要があるのですか?」

プックルの突拍子のない考えに首をかしげる。
確かに嘘である可能性もある。
しかし殺し合いをさせるのにわざわざこんな嘘をつく必要があるのだろうか。
そう考えたオカリナはプックルに聞き返す。

「あ…そういえば、ピカチュウは…えっと、確か……『キュウビがこの本を書く理由が思いつかない』って言っていたような気がするな」

―ちなみに『本を書く理由がない』と言ったのはプックルなのだが、彼自身はそのことをすでに忘れていた。

「えっと、キュウビがこの本を…」
「ああ、キュウビぐらいしかこの本を書くやつがいないしな」
「……確かにそれぐらいしか考えられませんね」
「なあ、もう少し読み進めてみないか?」
「そうですね」

プックルは今思い出したという表情で本に関する考察を述べる。
しかしここまで来ても確実と言えるのは『本を書いたのはキュウビ』という一点だけである。
これだけでは分からないことが多すぎるので続きを読もうとした時、2人の耳に再びけたたましい怪音波が襲いかかってきた。
一瞬ぎょっとして音のほうに思わず振り向くと、電話が今すぐ取ってくれと言わんばかりに2人を呼んでいた。

オカリナは電話のそばに飛んでいき、人間に変身する。

「おい、変身しても大丈夫なのか?」
「ええ…、少し休憩しましたし…、こうでもしないと…えっと、『じゅわき』…を持つことが…出来ませんからね」

しばらく休んでいたもののプックルにはオカリナ自身無理をしているように見えたため、彼は慌てて尋ねた。
しかし、オカリナはそのことを気にしていないかのように、受話器を取る。
それでもプックルは不安そうな顔でオカリナの方を見続けている。

「えっと、どなたでしょうか」
『その声は…オカリナか?』

電話の向こうから聞き覚えのある声が聞こえてきた。

「えっと、その声は楽俊さんでしょうか?」
『ああ、そうだ。』
「あ、あの楽俊さん、そんなに慌ててどうしたのですか?」
『さっき死にそうな男が見つかったって話を聞いたんだ』
「え?し、死にそうな男って…どういうことですか?」

焦っているような楽俊の声に首をかしげながらも聞き返す。
すると楽俊は重体の男が発見されたことを伝えてきた。
そのためオカリナは吃驚して即座に尋ね返す。

『学校という建物でケロロとかいう奴が見つけたらしいんだ!』
「学校?ケロロ?」
『まあ、ケロロのことは置いておくとして、えっとだな、地図で言うと…』

楽俊の声とともにオカリナも地図を取り出して確認しようとする。
デイバックから地図を取り出そうとした時、ギイという音が聞こえてきた。
振り向くとプックルが体を押し付けるようにして扉を開けている。

「え?…プックルさん、何してるのですか?」
「何って…怪我人がいると聞いただろう。急がなければ手遅れになる」
「ちょっと待ってください。怪我人がどこにいるのかわかるのですか?」
「あ……」

オカリナが呼びかけるとプックルは怪我人のもとに急ぐように促してきた。
それに対しオカリナは怪我人の場所を訪ねる。
当然聞いていないのだから分からない。
プックルは頬を赤らめながらオカリナのそばに戻ってくる。
恥ずかしい思いをしたためか尻尾も垂れ下がっていた。
そんなプックルの様子に苦笑いしながら楽俊が言っていた場所を地図で確認する。
どうやら目的地はC-4にあるようだ。
このことを確認するために置きっぱなしにしている受話器を持つ。

『おーい、聞こえるか?』

向こうから楽俊がきょとんとした口調で尋ねていた。

「お待たせしました。」
『オカリナ、何があったのか?』
「ええ、実はプックルさんが足早に出かけようとしていたもので…場所も確認しましたので今から向かいます。」
『あ、オカリナ、ちょっと待ってくれ』
「え、何でしょうか?」

現場に向かおうとすると楽俊は割り込むように呼びとめてきた。
オカリナは受話器を戻そうとした手を一瞬とめて再び耳を当てる。

『ケットシーという奴から聞いたんだが、お前の親父さん、まだ無事みたいだぞ』
「え、えっと、そのケットシーという方が父と会ったのですか?」

突然父の話題が出てきたため、オカリナは少しうろたえてしまった。
それと共に涙がわずかながら眼の下にたまっていく。
無意識にその涙を拭いながら、確認するように父のことを聞き返す。

『ああ、聞いたのは電話でなんだけど、ケットシーはついさっきおいらと合流して…ぐあっ』
「え、楽俊……さん?な、何かあったのですか?楽俊さーん」

受話器の向こうから楽俊の呻き声と共に爆発音が響いた。
これらの音を聞いたオカリナは一瞬目を見開き、受話器の向こうにいる楽俊に呼びかけ続けるが返事は返ってこない。
その代わりうっすらとケットシーだと思われる声が聞こえてくる。
オカリナはプックルの口に軽く手を当て静かに聞き耳を立てる。
ケットシーは独り言を発しながら楽俊の周辺を漁っているようだった。
物を放り投げる音がたびたび聞こえてくる。

『しー ゆー あげいんだぁ! アンタの事は 忘れないぜェ!』

やがてこの言葉を最後にケットシーの声が聞こえなくなる。
オカリナは受話器を置き、悲しい表情を浮かべながらしばらく黙りこむ。

「オカリナ、しっかりしろ」
「あ……、すみません。でも、楽俊さんは…もう…」

この様子を見かねたプックルはオカリナに呼び掛ける。
オカリナは我に返ったが楽俊の安否について不安を感じていた。

「それはまだ分からないのではないか?」
「え?」
「命からがらとはいえ逃げ延びた可能性も考えられる。」
「プックルさん……すみません、その可能性もありますね。」

そんなオカリナにプックルはまだ可能性があると述べる。
オカリナは少し考えた後、プックルの述べた可能性に同意した。

「でもどうしましょうか?」
「む、どうかしたのか?」
「楽俊さんが言っていたじゃないですか。大怪我をしている男が見つかったって」
「ああ、そうだったな」
「ここからだとホテルの方が近いみたいですが…大怪我している男がとても気になりますし」

オカリナは魔力の消費を抑えるためカラス形態に戻った後、地図で位置関係を確認する。
その結果ホテルの方が近かったのだが、重症の男が気かがりになっていた。
その時オカリナはある事実を思い出す。

「そういえば、ピカチュウさんがホテルに向かっていませんでしたか?」
「む、そういえばそうだったな。では、俺たちは学校の方に向かった方がいいということだな」
「ええ、向こうについてからピカチュウと連絡を取れればいいのですが…」
「それは何とかなるだろう。」
「相変わらず大雑把ですね。」

ピカチュウは保護した子犬を送った後、ホテルに向かう手筈になっていた。
そのため後でピカチュウに連絡を取ることで楽俊の安否を確認することにした。
オカリナの大雑把というツッコミに、プックルは頬を膨らませていたが…。


「これだけあれば大丈夫ですね」
「準備はできたみたいだな。では目的地に向かうぞ」
「あ、ちょっと待ってください」
「今度はなんだ?」
「ニャースさん達が来たときのためにメモを残しておこうと思いまして」
「そうだな、できるだけ早く頼む」

治療に使えそうな薬を一通りバッグに入れ、出発しようとした矢先オカリナはプックルを呼びとめる。
ここに来るであろうニャース達に重症の男が見つかったことなどを伝えるためのメモを残すためだ。
嘴で器用にメモを書くオカリナをプックルはまじまじと見ている。

「お待たせしました」
「ああ、なるべく急ぐぞ」
「ええ」

掛け声とともに1羽と1頭は勢いよく保健所を飛び出した。



【E-2/保健所/1日目/午前】

【チーム:主をもつ魔物達】
【共通思考】
1:首輪を手に入れて、解除法を探す。
2:仲間になれそうな動物を見つけたら仲間に入れる。敵なら倒す。
3:緑ダルマ(ケロロ)に会ったら『ガンプラ』を取り戻す。
4:お城に向かう
5:脱出の手がかりを探す。
【備考】
※互いの知り合い、世界や能力等について情報交換しました。イギー、ニャースとも情報交換しました。
※それぞれが違う世界から呼ばれたと気付きました。
※次元や時空を操る存在(ポケモンや妖精)がキュウビによって捕らえられているかもしれないと考えています。
※この会場にいる獣達は全員人間とかかわりをもつ者だと勘違いしています。
※その間違えた前提を元にキュウビの呪法が人間に対してつかわれるものだと推測しています。
※『ガンプラ』が強力な武器だと誤解しています。
※ケロロ(名前は知らない)が怪力の持ち主だと誤解しています。敵ではない可能性も知りました。
※『世界の民話』に書かれている物語が異世界で実際に起きた出来事なのではと疑っています。
※楽俊の仮説を知りました。
※帽子のネコが危険な動物だと知りました。
※まん丸、ツネ次郎への伝言を預かりました。
※保健所にメモが残されています。主な内容は以下の通りです。
  ・学校に重症の男がいること
  ・そのため学校に向かったこと
  ・楽俊が何者かに襲われたこと

【キラーパンサー@ドラゴンクエスト5】
【状態】ダメージ(小。治療済)
【装備】炎の爪@DQ5、世界の民話
【道具】:支給品一式×2(キラーパンサー、ケロロ)、不明支給品0?1(武器、治療道具ではない)、きのみセット@ポケットモンスター(クラボのみ、カゴのみ、モモンのみ、チーゴのみ、ナナシのみ、キーのみ)
【思考】
基本:ゲームには載らないが、襲ってくる奴には容赦しない。キュウビは絶対に倒す
1:C-4の学校に向かい重症の男を治療する。
2:C-2付近へ死体の捜索。
3:ピカチュウの知り合いとオーボウを探す
4:お城を調べたい。
※参戦時期はED後です。
※『世界の民話』の内五編の内容を把握しました。
※人間と関係ない参加者もいるのではという仮説を聞きましたが信じようとしていません。
※ケットシーを危険な獣と判断しました。

【オカリナ@ハーメルンのバイオリン弾き】
【状態】魔力消費(中)
【装備】なし
【道具】支給品一式、ミニ八卦炉@東方project、治療用の薬各種、不明支給品0?2(治療道具ではない)
【思考】
基本:ゲームには載らない。キュウビを倒す
1:C-4の学校に向かい重症の男を治療する。
2:C-2付近へ首輪の捜索。
3:オーボウと、ピカチュウの知り合いを探す。
4:できるならミニ八卦炉は使いたくない
※参戦時期は死亡後です。
※自分の制限について勘付きました。
※人間と関係ない参加者もいるのではと思っています。
※ケットシーを危険な獣と判断しました。
※治療用の薬の内訳は後の書き手にお任せします。



◇ ◇ ◇

「うっひゃあー、こんな高い建物始めてミルゼー」

ケットシーは見上げるように建物を見上げていた。
建物の看板には筆文字で『キュービーぐらうどほてる』と書かれている。

「ヒーホー、楽俊のもとにハリーアップ、さもなきゃチャンスが逃げちゃう」

誰が聞いてるのもわからぬ独り言を叫びながら建物――ホテルに入っていく。
豪華なシャンデリアが輝くロビーを颯爽と駆け抜け、
階段を無邪気な子供のように駆け上がっていく。
ここまで生体マグネタイトを得ることに失敗し続けているため
心の中では焦りを募らせていた。
彼の言動からは微塵も想像がつかないわけだが…。

「確かここだったっけなー?」

ケットシーはある部屋の前で立ち止まった。

「ラクシュンは三〇九って言ってたっけなー?」

ドアにつけられているプレートを見ると三〇九と書かれている。
まさにケットシーが呟いた部屋番号と同じだった。

「ビンゴだぜー、よーし」

いたずらを思い浮かべた子供のような笑顔を浮かべながらドアノブを掴み…

「ラクシューン、オイラがゴールインだぜー」
「うわっ、誰だ」

ドアを勢いよく開けてドカドカと入り込んだ。
今の音に吃驚したのか大きいネズミが目を見開きながらケットシーの方に振り向いていた。

「ラクシューン、このケットシーのこと忘れるなんて悪魔より酷すぎるゼー」
「なんだ、ケットシーか。全く脅かすなよな。誰かが襲ってきたと思ったぞ」
「ヒーホー、ごめんちょラクシュン」
「まあいいや、ここまでくんのに疲れてるだろうからしばらく体を休めておけ」

ケットシーはどうせもうすぐ自分の糧になるのになと思いながら、適当に相槌を打った。
そんなことを知らない楽俊は休憩を勧めた為、言葉に甘えてすかさずベッドの上に飛び乗り身を委ねた。
少しの間ふかふかした後、楽俊が見えるように体を捻らせ座る姿勢を取る。

「その声は…オカリナか?――ああ、そうだ。」

誰かとの会話が耳に入り、楽俊の方を振り向くとどこかに電話をかけていた。
心なしかどこか焦っているような感じがする。

(さっそく大チャーンスが訪れたゼー)

今までの不幸はこの時のためだったといわんばかりに、
楽俊に気づかれないように隠しておいた銃を取り出し照準を彼に合わせる。
そしてトリガーを引く指に力を込め…

「さっき死にそうな男が見つかったって話を聞いたんだ」

楽俊が相手に言った伝言を聞いた途端、あっという間に指の力が抜けた。
死にそうな男、それ即ち生体マグネタイトの摂取に最も適した獲物である。
この偶然得た情報に、思わず頬が緩む。

「学校という建物でケロロが見つけたらしいんだ!――まあ、ケロロのことは置いておくとして、えっとだな、地図で言うと…」

そう言いながらふと楽俊はケットシーの方を振り向いた。
突然のことにびっくりして銃を後ろに隠す。
彼のきょとんとした様子からするとケットシーが銃を取り出したのには気づいていないようだ。
楽俊はバッグから地図を取り出しそれを見る。

「ねぇねぇ、死にそうな男ってどういうコトー?」
「おっと、お前さんには言ってなかったな。えっとだな、お前さんが来る前にそういう話を聞いたんだ。」

ケットシーは地図を見ている楽俊に近づき横から尋ねる。
彼は少し言葉に詰まらせながら質問に答えた。

「ふーん(それがリアルの話ならそいつからもマグネタイト頂き決定ー)」

この返事に手を後ろに回しながらあまり関心がないように相槌を打ちながらも、
他人から見たら腹黒いとしか言いようがないことを頭の中で計画を立てる。
楽俊は地図を見ながら、置きっぱなしにしている受話器を再び掴んでいた。

「おーい、聞こえるか?」

楽俊はきょとんとした口調で尋ねていた。
電話の相手がどこかに行ってしまったらしい。
しかし、相槌を打ち始めたところをみると電話の相手は戻ってきたようだ。

「あ、オカリナ、ちょっと待ってくれ。――ケットシーという奴から聞いたんだが、お前の親父さん、まだ無事みたいだぞ」

(そういやオイラ、ラクシュンにそんなこと言ってたっけなー)

一瞬電話のことを思い出す。
あの時、そして今も殺される運命だろうとは思ってないはずだ。
楽俊が電話に意識を取られている隙に銃を再び楽俊に向け――

「ああ、聞いたのは電話でなんだけど、ケットシーはついさっきおいらと合流して…ぐあっ」

指に力を込め――弾丸が放たれた。
放たれた弾丸は後ろを気にとめていなかった楽俊をいとも軽々と貫いた。

「ケットシー…これは…どういうことだ……?」

楽俊はケットシーの方に体を向け息だえだえになりながらも問い詰めようとした。
ケットシーは構わずもう一発楽俊の腹に撃ち込む。
この一撃で楽俊は気を失ってしまったようだ。
ケットシーは楽俊に近づくと傷口に手をかざしそこから可能な限りマグネタイトの採取を始める。
受話器から楽俊を呼ぶ声が聞こえるが、ケットシーの耳には入ってこない。


「あれ?もうこれっぽっちかよー。リトルすぎー、けどまーいーや、ギリギリセーフでマグネタイトをゲットしたことだし、ラクシュンはナニ持ってたのかなー?」

楽俊からはケットシーにとって満足な量のマグネタイトを採取することはできなかった。
しかしここで失敗していたら間違いなく自分は死んでいた。
そう考えると運がいいことには間違いない。
そのことを一人で納得するやいなや、そばに置いてあった楽俊のデイバッグを開け中身の物色を始める。

「ヒーホー、お手軽イージーにオイラの顔が見れるなんて、ポッ」

最初に取り出した手鏡で自分の顔を見て顔を赤らめる。
しばらく覗いたのち、その手鏡を自分のデイバッグに入れ再び中身を漁り始めた。

「オイラと持ってるものが同じかよー、こんなダブりすぎな人生ツッマンネー」

他に入っていたのはカマンベールチーズを除き、ほとんどケットシーが持っているものと同じものしかない。
愚痴を零しながら時計やら筆記用具やらをあちこちに投げていく。
さり気にチーズだけは抜け目なく自分のバッグに入れていたのだが…。
そして、最後に取り出したものは何の変哲もない小瓶だった。
振ってみるとカランカランと音がする。
ケットシーはさっそく蓋をあけ中身を取り出した。

「なんだよー、こんなシケたもんなんてノーサンキューだぜー」

中身を手に取ったケットシーは心底がっかりした。
入っていたものは小さい金属片ただ一つ。
当然ながら武器として使うには無理がある代物だ。
それにこんなものを欲しがるやつなんていないに決まっている。
そう思ったケットシーは無造作に金属片を放り投げた。
その金属片は空中に縦楕円の軌道を描き楽俊の傷口へと落ちていく。
しかしケットシーはすでに楽俊に興味を無くしていたため、気づいていなかった…。

「しー ゆー あげいんだぁ! アンタの事は 忘れないぜェ!」

部屋の外から覗くような形でそう言い残したケットシーは、
学校にいるはずの次なるターゲットに狙いを定め部屋を後にした。



【D-4/ホテル前/1日目/午前】

【ケットシー@真女神転生if...】
【状態】:疲労(小) 、帽子なし
【装備】:まぼろしのてぶくろ@MOTHER3 、デザートイーグル@真女神転生if...(装填弾丸なし)
【所持品】:支給品一式、和道一文字@ワンピース、コロナショット@真女神転生if...(14発)、雷の石@ポケットモンスター、拡声器、折れたシャムシール@真女神転生if...、
      巨大キノコ@スーパーマリオシリーズ、グリードアイランドカード(追跡)@HUNTER×HUNTER 、
      ケットシーの帽子@真女神転生if...、フィジカルミラー@ペルソナ3、カマンベールチーズ@現実
【思考】
基本:生き残る。ゲームに乗るかキュウビに逆らうかは他の参加者をよく確かめてからにする
1:C-4の学校に行き重症の男からも生体マグネタイトを頂く。
2:余裕があれば首輪の解除をする。
【備考】
※雷の石をマハジオストーン@真女神転生if...と勘違いしています
※まぼろしのてぶくろを防具と勘違いしています。拡声器を攻撃アイテムと勘違いしています。
※魔法の制限の可能性に気づきました
※グリードアイランドカードの使用法を聞きました
※オカリナ、ヒグマの大将、グレッグル、ミュウツーの情報を聞きました
※帽子をかぶった猫のことを自分のこととは思っていません。
※カマンベールチーズは楽俊に支給された食料です。



◇ ◇ ◇

「…プックルが言っていたことが正しい可能性が出てきたってことだな。ということはやはりキュウビの目的は人間に関するものなのか? だとすると…」
『ラ、ラクシュン殿、何一人で呟いているでありますか? 男はもう死にそうな状態なのでありますよ!』
「おっと、そうだったな。保健所にはおいらから連絡しておく。あと連絡したらおいらもそっちに向かうからさ。ケロロはそれまで怪我人のほうを見ておいてくれないか?」

新たな情報を得て考察を固めようとするが、ケロロは男の処置についてまくしたてるように尋ねてくる。
そのため考察を一時中断して慌てながら怪我人を診るように伝える。

『ラクシュン殿…、分かったであります。我輩に任せるでありますよ!』

ガチャンという音が向こうから聞こえてくる。
楽俊は一旦受話器を下ろしたあと保健所の番号を入力する。

「ラクシューン、オイラがゴールインだぜー」
「うわっ、誰だ」

突然ドアが勢いよく開く音と共に子供っぽい大声が響き渡った。
吃驚した楽俊は入力していた指を止めドアの方に振り向く。

「ラクシューン、このケットシーのこと忘れるなんて悪魔より酷すぎるゼー」
「なんだ、ケットシーか。全く脅かすなよな。誰かが襲ってきたと思ったぞ」
「ヒーホー、ごめんちょラクシュン」
「まあいいや、ここまでくんのに疲れてるだろうからしばらく体を休めておけ」

部屋に入ってきたのはケットシーだった。
彼曰くここに呼び出されてから不幸の連続だったらしいが、根っからの陽気さはそれを微塵にも感じさせない。
現に彼の謝り方はとてつもなく軽い。
彼らの置かれている立場を考えると『謝る気がないだろ!』と言われても文句は言えない。
しかし温厚な性格の楽俊はそのようなことを気にせずにケットシーに休憩を勧める。
ケットシーがベッドにダイブするのを横目で見ながら、番号の入力をやり直す。


『えっと、どなたでしょうか?』

しばらく呼び出し音がした後、受話器からオカリナの声が聞こえてくる。
どうやらまだ保健所にいたようだ。

「その声は…オカリナか?」
『えっと、その声は楽俊さんでしょうか?』
「ああ、そうだ。」

オカリナはまだ電話に慣れていない様子だ。
かく言う楽俊もやっと慣れたといったところだったりする。

『あ、あの楽俊さん、そんなに慌ててどうしたのですか?』
「さっき死にそうな男が見つかったって話を聞いたんだ」
『え?し、死にそうな男って…どういうことですか?』

楽俊自身の声が慌てている様子だったため、オカリナの方から聞き返された。
楽俊は重体の男が発見されたことを伝えると、オカリナはうろたえた様子で尋ね返してきた。

「学校という建物でケロロとかいう奴が見つけたらしいんだ!」
『学校?ケロロ?』
「まあ、ケロロのことは置いておくとして、えっとだな、地図で言うと…」

ふとケットシーの方を見ると、彼も興味しんしんと言った様子で楽俊を見ていた。
この様子に首をかしげながらも学校の位置を確認するため地図を取り出す。

「ねぇねぇ、死にそうな男ってどういうコトー?」
「おっと、お前さんには言ってなかったな。えっとだな、お前さんが来る前にそういう話を聞いたんだ。」

学校の場所を確認しているとケットシーが突然割り込んでくる。
楽俊は少し言葉に詰まらせながらも質問に答えた。

「ふーん」

ケットシーはそんなものに関心がないといった様子で手を後ろに回しながら相槌を打っている。
学校の場所を確認した楽俊は再び受話器を耳に当てる。

「オカリナ聞こえるか?場所はな。…ん?」

なにやら騒がしい。
受話器の向こうから『何してるのですか?』や『怪我人がどこにいるのかわかるのですか?』というオカリナの声が聞こえてくる。

「おーい、聞こえるか?」
『すみません、お待たせしました。』
「おーい、オカリナ、何かあったのか?」

何度か呼びかけていると再びオカリナが出てくる。
楽俊はなんとなく想像はつくものの何かあったのか尋ねた。

『ええ、実はプックルさんが足早に出かけようとしていたもので…場所も確認しましたので今から向かいます』
「あ、オカリナ、ちょっと待ってくれ」
『え、何でしょうか?』

後ろにいるケットシーから得た情報だが、オカリナに伝えるべきことがある。
そのため現場に向かおうとするオカリナを割り込むように呼びとめた。

「ケットシーという奴から聞いたんだが、お前の親父さん、まだ無事みたいだぞ」
『え、えっと、そのケットシーという方が父と会ったのですか?』

楽俊はケットシーから聞いていたことをオカリナに伝える。
すると、オカリナは確認をとるような感じで聞き返してきた。

「ああ、聞いたのは電話でなんだけど、ケットシーはついさっきおいらと合流して…ぐあっ」

その情報を提供したケットシーと合流したことを伝えようとすると、突然背後から衝撃を受ける。
その衝撃と同時に体中に激痛が走る。
倒れながらもなんとか後ろを見ると、ケットシーが自分に鉄筒を向けている。
ふと下を見ると腹から血が流れている。

「ケットシー…これは…どういうことだ……?」

激痛が走ったのは一瞬だったものの全身の痛みはわずかに残っている。
それでも楽俊はケットシーに問い詰めた。
しかしケットシーは聞く耳を持たずさらに鉄筒から弾丸を放つ。
その弾丸は無情にも楽俊の腹を貫く。
この一撃で再び激痛が楽俊の身体を駆け巡る。
そして強烈な痛みは楽俊を気絶へと追い込む。


楽俊は暗い闇の中にいた。
意識はあるものの辺り一面は黒で覆われている。

(何も…見えない?……ん?)

急に自分の魂が流れ出す感覚に襲われる。
抵抗しようとするも身体自体が動かない。
その間にも魂は流れ出ていく。

(納得は…できないが……おいらはもう…死んでしまうんだな)

楽俊は自らの死を悟る。
同時にキュウビを倒すどころか、直接闘いを挑むことすら出来なかった自分自身に不満を持つ。

(もう…どうにも……ならねぇな…、頭が……霞んで…)

次第に考える気力も失われていく。
そして彼の意識は深い闇へと落ちる。
どこまでも、どこまでも…。



【楽俊@十ニ国記 死亡】
【残り 26匹】


亡骸を除き誰もいないホテルの一室。
ケットシーが投げた小さな金属片―DG細胞が楽俊の亡骸を侵していく。
生前の人格を消しゴムで消すかの如く彼の脳を浸食する。
やがて亡骸はゆっくりと立ち上がる。

「きいいいぃぃぃりゅりりゅりしいいいぃぃぃ!」

立ち上がると共に魔物はおぞましい産声をあげる。
もはや穏便であった彼の面影は何一つ残ってない。

「殺ス…全テ殺ス」

生前の彼が言うとは思えぬ台詞を発し、魔物と化した楽俊は怪力でドアを壊し犠牲者を探し始めた。



【D-4/ホテル/1日目/午前】

【楽俊@十二国記】
【状態】:自我崩壊
【装備】:なし
【道具】:なし
【思考】
基本:見カケタ奴、殺ス
1:誰かを見つけたら問答無用で殺す
【備考】
※一度死んだあとDG細胞に浸食されたため、自我が崩壊しています。
※DG細胞により戦闘力と再生力が強化されています。強化の程度に関しては次回以降の書き手にお任せします。
※楽俊の基本支給品(食料除く)が部屋中に散らかっています。

【DG細胞@機動武勇伝Gガンダム】
デビルガンダム化したディマリウム合金の一種。
感染すると肉体が強化されるがゾンビ兵と化する。
また死者を復活させることもできるが、
細胞の影響なのか生前と人格が異なる状態となる。




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068:本日の特選素材 ケロロ軍曹 088:白い兎は歌う
068:本日の特選素材 楽俊 死亡
066:悪魔は来りてホラを吹く ケットシー 091:でもそれは大きなミステイク
059:距離を超えた遭遇 オカリナ 086:風は悽愴
059:距離を超えた遭遇 キラーパンサー 086:風は悽愴




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