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『メイリン=ザラ』の遍歴とその孤独

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アスラン=ザラとともにプラントを出奔し、ラクスに与したZAFT軍人、メイリン=ホーク。
彼女の戦後は、孤独とともにあった。

戦後、彼女は復興の道を歩むオーブに招かれる。カガリの斡旋でオーブ軍に職を得て、そのオペレータ技術をもって順調に仕事をこなしていた。

しかし、彼女は一人ぼっちだった。

友人知人と呼べる存在はいない。唯一近しい関係のアスラン=ザラは戦後復興に忙殺され、彼女に十分な時間をかけるだけの余裕はない。
ラクス、キラ、カガリ…確かにそれぞれにメイリンのことを気にかけてはいただろう。しかし、彼らの愛情は心を許した親友や肉親が注ぐそれではない。

プラントに戻るという選択肢は頭になかった。それは無意識に自分が裏切った仲間、シン、レイ、そしてルナマリアたちの影から逃れようとする心の現われだった。

姉たちへの罪悪感にさいなまされる毎日。気付けば、彼女の精神は均衡を失っていた。部屋に閉じこもり、酒や睡眠薬にも手を出した。依存症の一歩手前だった。
復興も一段落してようやくメイリンを振り返る余裕のできたアスラン=ザラ。彼女が欠勤中だということを知り、急いで駆けつけた彼が見たのは、心の壊れかけた少女だった。

アスランは強引に長期休暇をとり(カガリもそれを後押ししたらしい)、メイリンの治療に尽くす。
メイリンはアスランの献身的な介護に触れ、心の平穏を取り戻す。やがてアスランはメイリンにプロポーズ。メイリン=ホークは祝福の中で、メイリン=ザラになった。

しかし、順風満帆に見えた結婚生活は一年で破綻をきたす。きっかけは、アスラン=ザラの復職――単なる復職ならば、一抹の寂しさはあっても彼女もそれを受け入れられたかもしれない。しかし彼が復帰した先は、カガリ=ユラ=アスハの直属の地位だったのだ。

カガリに他意はなかったのだろう。信頼のおけるアスランを自分の右腕に置きたいという単純な気持ちだったに違いない。心の奥底で、かつて恋した少年と、せめて机を並べて仕事がしたいという子供めいた感情があったにしても。
そのカガリの思いはアスランには十分に理解できただろう。そのうえでなお固辞できるほどには、彼の心は強くなかった。

メイリンにそれを受け入れることはできなかった。自分を絶望から救ったアスランの献身的な優しさは理解しても、その真意までは信じ切れなかった。
「アスランは単なる同情心で、自分と結婚したのではないの?
彼の心は今でも、カガリ=ユラ=アスハとともにあるのではないの?」

それは彼女の単なる妄想と誰が笑えるだろう。実際にカガリと談笑するアスランを目にして、周囲が夫を「オーブ永世首長にすりよる蝙蝠」と侮蔑する言葉を耳にして、メイリンの心はふたたび闇にとらわれつつあった。

彼女はふたたび現実から逃避する。今度は酒や薬ではなく、仕事に。

たびかさなるラクス支配への反抗に業を煮やした地球圏連合政府は、治安警察の人員拡充、権限強化を計画した。表面上は色々と飾ってはいるが、実態はレジスタンス鎮圧のための弾圧強化策であることは明らかだった。

BCからの転向者、ゲルハルト=ライヒへの嫌悪感もあり、人材の確保に苦慮していた治安警察は、自ら治安警察への配備を望む有能なオペレータを手に入れることになる。

メイリン=ザラ。当初は長期欠勤などの履歴からその能力を危ぶむ声も大きかった。しかしライヒが「ふむ、面白いかもしれん」とどこまで本気か分からない興味を見せ、またラクスたちの推薦状の効果もあって、彼女の転属希望は受理される。
その後の彼女の目覚しい活躍は、前評判を払拭してなお余りあるほどだった。わずか数年で、メイリンは治安警察での地位を確固たるものとする。

後に治安警察の魔女と呼ばれる少女。これがその誕生の軌跡である。

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