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白血病 その3

    

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ガンは再生に関連しています。
再生とは、たとえばイモリの前足が再び生えてくる現象です。
これがさらに切れた前足から本体が再生するとしたら、結果としてイモリは2匹になったことになります。
ヒツジのドリー君はたったひとつの細胞から生まれたクローン生物ですが、この2匹のイモリもクローンということができます。
このような能力はプラナリアという動物にあります。プラナリアは身体をふたつに切ると、そのおのおのが新しい一匹ずつの完全なる個体となるのです。
身体を切らなくても、身体の一部の細胞が増殖して、新しい個体を作る能力のある動物もいます。サンゴやヒドラは、出芽という栄養生殖によって増えることができます。
こう考えてくるとガンとは栄養生殖の一種で、分化能力がなく分裂能力だけがある細胞ということができるかもしれません。
さらに細胞同士の相互関係がとれないことや、細胞同士の結合力が弱く移動できる性質を持っていることから、多細胞生物の中の単細胞生物化した細胞と考えられるかもしれません。
実は多細胞生物と単細胞生物の境界線は微妙です。
粘菌類は単細胞分裂で増える世代と、多細胞化してキノコみたいに胞子でふえる世代が交互に繰り返されます。
また単細胞生物のゾウリムシなどは、基本的に分裂によって増えますが、たまに接合といい、二匹のゾウリムシの遺伝子を混ぜ合わせる行為をするそうです。
単細胞生物のセックスといえると思います。
単細胞生物はひとつの細胞に、その生活のすべてをまかなう能力を有しています。
動くことはもちろん、食べて排泄して、セックスもして、そして分裂して増殖していきます。
人間の体細胞の中では、白血球が一番それに近い性質を持っています。
しかし、他の細胞は、このような細胞本来の性質を捨て、ある特定の機能だけを有するようになった細胞です。
完成された体細胞には、もはや分裂する能力もなく、自分の役割が済んだら自ら死ぬ運命になっているようです。
人間は、たったひとつの受精卵が分裂し、その数を増やしながら性質を変えていき、それぞれが協力しあい全体としてひとつの生命体になるべく成長していきます。
どのような仕組みで、もともとのひとつの細胞(受精卵)が分裂の過程でその姿をかえ、全体としてひとつの生命体を作るようになるのか? このからくりを理解しないことには、ガンの本質を探る、ひいては白血病を治すことはできないと考えています。

まず単細胞生物のことを考えてみましょう。
単細胞生物は、ひとつの細胞がひとつの生命体なのですから、増殖するためには分裂する以外なさそうです。
図①のような感じです。

     A
   /   \
  B1    B2
 / \    / \
C1  C2 C3 C4
    図 ①

しかし、何もせずただ分裂したのでは、当然のことながらB1の大きさはAの2分の1となり、C1の大きさはAの4分の1になってしまいます。元と同じ大きさになるためには、成長をしなければなりません。
成長をするためには、外界から栄養を吸収する必要があります。
その栄養も、自分の身体の構成成分とまったく同じものがあればよいのですが、そうでない場合は、吸収した栄養を分解し再合なして、自分の身体の構成成分に作り変える必要があります。
このように単細胞生物は、成長・分裂を繰り返し増殖していくわけですが、たとえばC1の細胞とC4の細胞が、まったく同一である可能性はないといえます。
それは成長・分裂の過程でおこる様々な反応(化学反応)はたとえば温度が1℃変わっただけでも、その反応速度が変わってしまうからです。
周りの環境に左右されるのです。
C1とC4の細胞の周りの環境が、まったく同一である保証はありません。
さらに仮にZ1とZ50000にもなると、まったくの別物になっている可能性もあるわけです。
しかしこれを人間にたとえて考えれば、私の28世代前(A~Zまで)やはり人間でしょうし、(500~600年前ですね)それほど大きく変わっているとは思えません。また、同時にまったく同一であるとも考えられません。
これを突き詰めると、生物とは周りの環境になるべく、左右されることなく、できるだけ元と同じようになるような工夫をこらした装置ということができます。
つまり似て非なるものを作り続けていく性質を持っているのです。
この、できるだけ似て非なるものを作る工夫のひとつが遺伝子であるといえ、そして長い年月たつとまったくの別物に変化していくこと(進化)も、考えてみれば当然のことであるといえます。
そして多細胞生物の体細胞ひとつひとつにも、その性質は受け継がれていると思われます。
さらに強制的に違う姿になるような能力も備わったのです。
いろいろな種類の細胞に分化するのがそれで、これにも遺伝子が大きく関わっていると考えられます。
また細胞同士のコミュニケーションをとる機能も必要になってきます。
ですから数多い体細胞の中には、全体の意にそまぬものも現れることも当然のことでしょう。また外敵による侵略も脅威です。
そのような中で、昨日も今日もほとんど変わらない姿で(しかしまったく同一ではありませんが)生きているということは、奇跡ともいえる現象なのです。
それを実現しているのが、生命のからくりであるといえます。
それではこの似て非なるものを作り続ける、また必要とあらば強制的に変化させるからくりの、主人公ともいえる遺伝子のことから考えていきましょう。
遺伝子には大きなふたつの能力があります。
細胞が成長するための、タンパク質合成能力と、細胞が分裂増殖するための、自己複製能力です。
まずタンパク質合成能力の性質を考えます。
タンパク質は生物の主要構成要素です。質量比も水に次いで第2位をしめています。
タンパク質は20種類のアミノ酸からできていて、それが100~10,000結合することにより、構成されている巨大分子です。
アミノ酸の配列の順序により、タンパク質の種類が変わるので、理論上ほぼ無限の種類のタンパク質ができることになります。
遺伝子とは、4種類の簡単な物質である塩基を使い、それを3連することにより、20種類のアミノ酸と対応させているのです。
ですから塩基の並び順によりアミノ酸の結合順序が決まり、ひいてはタンパク質の種類を決めているのです。
4種類の塩基はリン酸と糖(DNAはデオキシリホース、RNAはリボース)により次々と結合されています。
これをイメージすると図②のようになるのではないでしょうか?

リン酸   P   P
     / \ / \
糖   R   R   R
    |   |   |
塩基  G   G   G
     \  |  /
    アミノ酸 グリシン
       図 ②

しかしこれを分子の大きさである分子量から考えると、アミノ酸グリシンを指定するDNAの分子量は574になります。(リン酸を2個として、自分で計算したので間違っていたらすみません。)

 P(50)  P
 / \ / \    
R(80) R   R
 |  |   |
G(80) G   G

そのグリシンの分子量は40です。
つまり大きい物質を使い小さい物質の種類を決めているのです。
実際にアミノ酸を運ぶtRNAは70~80ものヌクレオチド(リン酸、糖、塩基1個)から形成されているので、分子量は15,000~16,000にもなります。
それを使い分子量40(大きそうなフェニルアラニンでも分子量73です)のグリシンを指定しているのです。
人間なら絶対にこういう方法はとらないと思いますが、これは分子という極微の世界のことなので、人間のイメージと全然違っていても、それほど不思議ではないかもしれません。
そもそも、なぜ3連の塩基でアミノ酸を指定するのか、まるでわかっていないのが現状のようです。
しかし、私が今までイメージしていたタンパク質合成の姿を、少し訂正しなければならないような気がします。
DNAの鎖の一部がほどけ、その部分の情報をRNAポリメラーゼを介し、前駆mRNAに写しとります。
そこにはイントロンという情報のない不必要な部分があるので、それを取り除き成熟したmRNAになります。
それが核膜孔を通って細胞質中のリボソームという小器官にいきます。
そこでtRNAが運んでくるアミノ酸を、情報の順番に結合して、タンパク質となります。
アミノ酸の平均分子量を50とすると、mRNAはその約10倍の分子量があります。
さらにスプライシングされるイントロン部分もあるので、mRNA系だけで、アミノ酸の20倍以上の分子量になることになります。
さらにtRNAは400倍もの分子量です。
ひとつのアミノ酸を指定するのに、これほどの量のRNAが必要になるとすれば、生体物質の平均分子量比(タンパク質:RNA=1:1)の説明が困難になるような気がします。


(2005年12月20日)

ひとつのmRNAはひとつのタンパク質の情報を持っているといわれていますが、20~30回は繰り返し使われていると考えられます。
またtRNAは、400~500回はアミノ酸を運ぶ仕事をしていることになります。
だからどうだということはないのですが、そういうことになっていると思います。
それよりも、なぜ4種類の塩基の3連で20種類のアミノ酸を指定するかというほうに、興味がそそられます。
それぞれの運気の化学的性質をふたつ考えてみました。
ひとつ目はプリン環を持っているか、ビリジミン環を持っているかです。
プリン環を持っているのがアデニンとグアニンで、この性質を仮にX①としましょう。
同じようにビリジミン環を持っているのがシトシンとウラシルで、これをX②にします。
次に水素結合の腕が2本あらか3本あるかで分け、2本をY①、3本をY②とすると、Y①がアデニンとウラシルで、Y②がグアニンとシトシンになります。
結果4種類の塩基をこのふたつの性質を使って、分けることができるようになりました。
すなわちアデニンX①Y①、グアニンX①Y②、シトシンX②Y②、ウラシルX②Y①です。
次に遺伝暗号表をみていて気づいたとこなのですが、第2字(つまり3組の真ん中の塩基です)が変わると、必ず対応するアミノ酸が変化しているということです。
さらに第2字が違っても同じアミノ酸になるのは、セリン(終止もそう)だけになります。
これから第2字の性質が、アミノ酸の指定に一番強い影響があるといえます。
次に影響が強いのは、第1字のようです。
このふたつの組み合わせで、8種類のアミノ酸が完全に指定されます。
これも、だからどうだというわけではないのですが、なんとなく塩基とアミノ酸の対応が最初は1対1で、それからアミノ酸の種類が増えることにより、塩基の方も2連、3連になっていったような気がします。
なぜ塩基の方も数を増やしていかなかったかというと、塩基の性質は2種類の2通りの性質しかないためではないかと想像しました。
実際にアミノ酸と対応しているのがtRNAです。
tRNAは、ヌクレオチド70~80からなる分子で、頭にアミノ酸と結合する部分があり、お尻に3連の遺伝情報を持っています。
このアミノ酸の種類と3連の情報が正確に対応しているので、遺伝子の情報どおりのタンパク質が作られることになるのです。
アミノ酸の種類は20種類なので、tRNAも最低でも20種類はあるはずです。
また3連の情報を持っている場所も、一定でなければ困ると思います。
tRNAは内側で何箇所か塩基同士が結合している部分があります。
すると立体構造をとり、ねじれて外側になった部分に、3連の情報を持っているのでしょう。
このtRNAに情報をわたすのが、mRNAです。
mRNAはひとつのタンパク質を作る、情報を持っていると思われます。
開始の合図であるメチオニンのAUGを先頭に、終止の暗号であるUAA、UAG、UGAまでの一続きの情報です。
つまりすべてのタンパク質はメチオニンを先頭に作られていることになります。
ちなみにこのメチオニンは合成が終わったあと、実際の機能をもたせるため立体構造をとる際に、脱落してしまうそうです。
逆にいうと完成されたタンパク質にメチオニンは含まれていないことになります。
メチオニンは硫黄(S)を含むアミノ酸ですが、これが特別な役割を持っていることと、何か関係しているのでしょうか?
ついでにいうと、もうひとつの(S)を含むシスティンが、タンパク質の立体構造を作る際、重要な働きをすると考えていますが、このへんは私のまったくの想像です。
まあこのようにアミノ酸になれば、それぞれの個性が出ることもわかりますが、3連の塩基AUGとかUAA、UAG、UGAなどに何か特別な目印でもできるのでしょうか?
こうなると、まったくもってわかりません。
生命の本質に深く関わっている事柄だと思うのですが、想像の糸口さえつかませてもらえません。
謎といえば、mRNAのひとつ前の段階に、DNAの情報をそのまま写し取ったRNAがあります。
これには多くの不用な部分(イントロン)が含まれていますが、これを取り除き情報を持っている部分(エキソン)だけをつなぎあわせるスプライシングという作業があります。
それを経て完成されたmRNAになるのですが、このへんの事情がまったくわかりません。
まさに生命の本質ともいえる部分かもしれないので、わかっていることを書きながら、少し考えていきたいと思います。
まずDNAの塩基配列を図示します。簡単に書くとこんな感じになります。
DNA    TAC                        ATT
↓                          ↓
∥――――――〇~~~~〇……………〇~~~~〇……………〇~~~~〇―・―・―・―∥
↑     ↑     ↑    ↑     ↑    ↑      ↑
開始調整領域 エキソン イントロン エキソン イントロン エキソン  終了調整領域
図 ③

このときのエキソンとイントロンの配分に法則性はないようです。おおむねイントロンの方が、かなり多くを占めているらしいです。
DNAは二本鎖でお互いが水素結合していますので、そこから情報を引き出すには、この結合を解かねばなりません。
そのため遺伝情報の前後に、調整領域という部分が必要になります。(これは原核細胞にもあります。)
まず開始調整領域の結合がとけ、その部分にRNAポリメラーゼなどがやってきて、結合をほどきながらDNAの片側の情報を読み取り、それに相補的なRNAを合成していきます。
TAC(RNAにすればAUG、メチオニン開始の合図です。)から始まり、ATTなどの終止の暗号まで一気に読み取り、RNAを合成していきます。
こうしてできるmRNAの前駆体は図④のようになります。
RNA
AUG                   UAA
〇~~~~〇……………〇~~~~〇……………〇~~~~〇
↑    ↑     ↑    ↑     ↑
エキソン イントロン エキソン イントロン エキソン
図 ④

ここから遺伝的に意味のない部分(イントロン)を取り去り、エキソン部分だけをつなぎ合わせるスプライシングという作業を経て、成熟したmRNAになります。
しかしこれがどのような機構で行われているのか、さっぱりわかりません。
RNAを切ったり貼ったりするのですから、酵素が関連しているのは間違いないと思うのですが、どうやってエキソンとイントロンをみわけているのでしょう?
イントロン部分は意味のない塩基の繰り返し構造になっていると本には書かれています。
しかしたとえばATATATATATATも、チロシン、イソロイシン、チロシン、イソロイシンの配列の可能性もあるわけです。
3連の塩基すべてに意味があるのですから……。
何か元になる未知のRNAでも存在するのでしょうか?
まったくもって謎の部分なのです。
また、なぜこのようなイントロンの部分が存在するのかというのも、非常に難しい問題です。
原核細胞にはイントロンは存在していないようです。
このイントロンの存在理由と遺伝子の自己複製能力の関連については、次章「多細胞生物時代の幕開け――進化のビックバン編」で詳しく取り上げる予定です。

ここでは次にその多細胞生物の細胞の大きな謎である、細胞の分化ということを考えていきましょう。
(実は今日12月21日、娘を病院に連れて行く日でした。病院が済んだあとは妻と娘はショッピングに出掛け、私は車の中で留守番です。半分寝ぼけながらいろいろ考えているうちに、細胞の分化についての新しいアイデアが浮かびました)
多細胞生物にとって、細胞が分化するというのは、とても大事な性質です。
もちろん単細胞生物にはありません。
そしてガンにもとりわけ深い関係にあるのが、この細胞の分化という現象だと考えています。
多細胞生物は一般的にたった1個の受精卵から、その生命がスタートします。
細胞は分裂を繰り返すことによりその数を増やし、そしていろいろな姿に変わる(分化)ことによって、一個の生物体を作り上げていきます。
イメージとしてはこんな感じではないでしょうか?(図⑤)

    受精卵
    / \
消化器系  神経系
 / \   / \
胃   腸 脳  運動神経

    図 ⑤

受精卵から徐々に分化をし、最終的に機能をもった細胞になり、自分の使命が済んだあとはアポトーシスをおこして消え、その後幹細胞が分裂をして補充をしていくというイメージです。
私もこのように考えていました。
しかしそうするとどうしても説明の難しいことが、少なくともふたつあるのです。
そのひとつ目はテロメアのことです。
テロメアは細胞分裂の回数券みたいなもので、ひとつの細胞はだいたい50~60回の分裂能力があるといわれています。
仮に成体が60兆個の細胞からできているとすると、受精卵から数えて45~46回分裂していることになります。
成長し成体になってからでも、新陳代謝のため細胞は分裂を繰り返します。
テロメラーゼというテロメアを再生する酵素があるらしいので、完全に矛盾するわけではないのですが、どうもすっきりした説明ができないような気がします。
もうひとつは分化に際しての分裂パターンの問題です。
たとえばAという細胞が分裂する時には、次の4通りが考えられます。(図⑥)
  ①       ②       ③       ④
  A       A       A       A
 / \     / \     / \     / \
A   A   A   B   B   B   B   C

             図 ⑥

細胞が分裂するためには、当然栄養が必要で、それを新しくできる細胞に必要な成分に変化させなければなりません。
主に遺伝子の性質を利用した、タンパク質合成がこれにあたると思います。
①のパターンは細胞がその数を増やすときのパターンですが、これは今までの自分と同じ物を作り、それをふたつに分ければよさそうです。
②③④は細胞が分化する際のパターンですが、これはどう考えるべきでしょう?
②は成体になったあとの新陳代謝のための分裂パターンで、③④は実際にあるかどうかわかりませんが、あるとすれば成長期、それも発生直後にあるパターンかもしれません。
これらのパターンでは、母細胞Aは今までの自分とは違うものを作り出し、それを分裂の際に娘細胞に与えているのでしょうか?
それとも分裂をした後で、娘細胞の方が今までと違う成長をするのでしょうか?
いずれにしても、今までとは違う遺伝子の発現が必要で、そのキッカケとなるものは何かという問題は難しそうです。
私はこの白血病編を書くにあたり、この問題が非常に重要だという認識で、いろいろ考えてきました。
それが今までとは違う新しい考え方を思いついたのです。
それは、細胞は分化する際にテロメラーゼを発現する、またはテロメラーゼの発現が細胞分化の原因になるということと、テロメアがなくなり、分裂能力を失った時点で、細胞の形質は大きく変化し、実際の機能を担当する細胞になるという考え方です。
何のことかわからないと思うので図⑦にして考えてみましょう。

               A3 ←テロメアの数
      ┌─────────┴─────────┐ テロメアーゼの働きで
      A2                 B3 ←テロメアは3に戻る
   ┌────┴────┐         ┌────┴────┐
   A1       B3         B2       C3
 ┌─┴─┐    ┌─┴─┐      ┌─┴─┐    ┌─┴─┐
A0   B3   B2  C3    B1   C3   D2  C3
│   ┌┴┐  ┌┴┐  ┌┴┐  ┌┴┐  ┌┴┐  ┌┴┐  ┌┴┐
機能する B2 C3 B1 C3 C2 D3 B0 C3 C2D3 C1 D3 D2 E1
細胞になる                ↑ 機能する細胞になる

                図 ⑦


Aを受精卵としてテロメアの数を3個にします。
分裂のパターンは図⑥の②だけに限定します。
Aは受精卵です。当然何にでもなれる能力を持っています。
図ではA0(Aとして機能する細胞)はひとつしかありませんが、実際にはテロメアは50~60あり、ある程度①の分裂パターンになれば、数は少ないということはありません。
受精卵の性質~分化全能性をもったまま機能細胞になるので、生殖細胞(生殖母細胞)になると思われます。
ついでにいうと生殖母細胞は、普通の細胞分裂の能力はなくなっていますが、成熟期になると、特別な栄養を吸収し、特別な分裂(減数分裂)をして、完成された生殖細胞になると思います。
そして受精の瞬間テロメアが回復し、分裂能力を有するようになるというのは、けっこう魅力的な考え方ではないでしょうか?
次にBの細胞はAから分化する際、テロメラーゼが発現してテロメアが回復し、分裂能力は最高レベルに戻ります。
その代わりひとつの能力を失います。
それはAになるために必要な遺伝子が発現できなくなることです。
分化全能性は失われました。
同じようにCの細胞はAとBにはなれないようになると思います。
このような分化を伴う分裂は、発生直後に集中しておきていると思います。
こうしてある程度大きな系統に分かれた細胞は、次にちょっとやり方の違う分化をすると思います。
たとえば図⑧のようにAならA、BならBの系統内での分化です。

            A
     ┌──────┴──────┐
     A             B
  ┌──┴──┐       ┌──┴──┐
  A     Aa      B     C
┌─┴─┐  ┌─┴─┐  ┌─┴─┐  ┌─┴─┐
A   A  Aa  Ab  B   Ba C   D

            図 ⑧

AからB、AaからAbというように分化をする回数は非常に少なく、もしかしたら1回だけかもしれません。
そしてそれ以降はテロメアがなくなるまで、通常の分裂を繰り返します。
細胞の系統によっては、たとえば図⑨のようにさらに細かく分化をすることもあると思います。

     Ba
    /   \
  Ba    Baア
 / \    / \
Ba  Ba Baア Baア

     図 ⑨

こうしてできるすべての種類の細胞は、分化の際にテロメアが更新されるので(更新しなくても大丈夫かもしれません。その方が可能性強い? ヒツジのドリー君???)
みなそれぞれが50~60回分裂をする能力を持っていることになります。
それらがすべて分裂してしまうと、数が増え過ぎることになります。(ちなみに2の60乗(2^60)は640,921,504,606,928,896になると思います。)
ですから分裂の途中でアポトーシスにより、数を調節することになると思います。

      A
    /   \
  A       A
 / \     / \
A   A   A  アポトーシス

     図 ⑩

つまり図⑩のような感じで、分裂するか、アポトーシスするかを決めるのが細胞の相互関係で、自分と同じものが多くなり、混み合ってきたと感じたら、分裂ではなくアポトーシスするものと思われます。
これに高分子多糖体が関わっていると思います。
それではこの分裂分化を遺伝子の面から、考えてみましょう。
DNAは受精卵から完全分化した体細胞まで、基本的に同じです。
これはヒツジのドリー君で証明されています。
受精卵はこれらすべての細胞になれる能力(分化全能性)を持っていますが、実際に機能するわけではありません。
ただ分裂するのに必要な情報だけを、発現していると思います。
(もっとも最初のうちは分裂ではなく分割なのですが)

この仮定をもとに生物のいろいろな現象を考えていきましょう。
まず再生です。
Bという細胞を考えてみてください。
これは受精卵から最初に分化した細胞です。
A以外のすべてのものになれる能力を持っています。
このBから分化する細胞はCとBaの2種類です。
もしBに機能細胞としての能力がないとすると、Bは2回分化分裂したあとは、用のない細胞になります。
こういう場合生物は容赦なくBを切り捨てるのではないでしょうか?
つまりこういうことです。

            A
         /     \
     A            B
    / \          / \
  A     A      B    C
 / \   / \    / \   / \
A   A A   A  B   BaC   D
↑アポトーシス

     C
    /  \
  C     D
 / \   / \
C   CaD   E
↑アポトーシス

  図 ⑪

同じようにCという細胞もアポトーシスされる運命にあるような気がします。
しかし生物学は答えがひとつの学問ではありません。
例外とか特例はいくらでもあります。
このBをいつまでも持っている生物もいます。
下等な動物や植物です。(どちらかというと人間のような高等な動物の方が特例のような気もしますが)
トカゲやイモリはEとかFの細胞を残しているのかもしれません。
プラナリアには身体にいくつかのBの細胞があるのでしょう。
だから身体を縦に切っても横に切っても、元通り再生できるのです。
またヒドラやサンゴのように身体の一部にあるB細胞から新たな個体を作る生物もいます。
いわゆる栄養生殖です。
ソメイヨシノは花が咲いても実はできません。挿し木や接木によってしか増えられません。
これから、Aという細胞は生殖細胞そのものであると考えられます。

A=受精卵は1回Bに分化すると、もう二度と分化することなく
  A
 / \
A   A だけの分裂を繰り返します。
そしてテロメアがなくなるまで分裂すると、生殖母細胞という細胞になります。
もちろんその過程で大多数がアポトーシスによって消えていきますが、それでも一生のうちに使う生殖細胞の何万倍もの数をそろえているそうです。
実際の卵子や精子になるには、ここから特別な過程を経て、変化していくようです。
(これはかなり科学的にも解明されていて、本にも書いてあります。)
つまり特例です。
こうして成熟した卵子は静かにその時を待っています。
ここにいたるまでにとんでもない確率の競争に勝ち残ってきたのです。
そして精子はさらに激しい生存競争に勝ち残った一匹だけが、未来への切符を手にできるのです。
この奇跡の2匹がとけあうことで、テロメアは回復し、分裂能力が復活して、そして新たな生命の誕生をみるのだと思います。
生物の歴史から考えると、Bの細胞の方が先で、それに共同生活をするような形でAの細胞が加わり、有性生殖をする多細胞生物が誕生したのではないかと想像されます。


(2005年12月24日)