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笑えよ




 ヤッベー、ありえねェって、何で幽r……あいや違う、あれはプラズマだから。
 霊なんて銀さん見てないよ、動く骸骨? あァ……あれトリック。

 だぁおーー、やっぱあれか? 糖尿の祟りか?
 日々の不摂生が祟って幻覚が見えるようになったってか。
 大体、ありえねェだろ。毎週のパフェにそんな成分含まれてたら、怖くて誰もくわ……って、また出たァーーー!!

「いや、おいらたち何もしねぇって……」
「男はみんなそう言うんだ、何もしねェとかいって結局無理矢理ナニかやるんだろ」
「ヨホホホ、まぁ落ち着いてください」
「骸骨が喋ってるのに落ち着けるか! 素直に棺桶入っとけ」
「いやだから、ブルックは…… 「あぁ聞こえない、何にも聞こえない」

 銀時は走り出した。
 幻覚から逃れるためでなく、糖を消費するために。
 そう走れば糖分は消費され、作られた幻覚は糖鎖の藻屑となり尿と共に消えゆく定め。

 ちゅーか、神様これ何の試練ですか。
 メタボにあえぐ中年予備軍に警鐘を鳴らしてるんですか?
 だったら、マジ勘弁してください。
 もう二度とパフェ食いませんから許してよ、ね? アンタ神だろ、そのぐらいの度量がなくてどうするよ。



 ひた走る銀時の背中を見つめながら、葉とブルックは月の下に佇む。

「あァ……何も逃げなくても……」
「気にすんなよブルック、ガイコツでもいいことあるって」
「ヨホホホッ、わかってますよ。つい最近私もすてきな仲間に巡り会ったばかりですから」
「アイツも悪い奴には見えなかったんだけどな」
「すてきな仲間になれると思ったんですけど……」

 人間、どんな奴も逃げ足は早い。ましてそれが侍なら、なおのことだ。
 動きにくい和服も高い身体能力で補って銀時は二人の視界から一瞬のうちに消え去ってしまった。

~・~・~


 幽霊に襲い掛かられた場所から逃げ走り、鳥居を抜け、川を渡り辿り着いたのは駅。
 周囲を一瞥し、霊が来てないことを確認すると、銀時はやっと一息つくことが出来た。

「あっぶねェ、危うくとり憑かれるところだった……、大体神様もあれだよ。試練が反則すぎるじゃん。
すでに死んでる奴出しといて殺し合えも何もねェだろ、ガイコツをどう殺せってのよ?
俺は恐山のババァじゃねェんだぞ」

 危機が去りホームから空を見上げれば、まん丸お月様が一つ。その下に広がるのは静寂のみ。

「とりあえず、もういねェみたいだな。はぁ……こりゃ、今日はパフェ300杯食わねェとやってけねェや。
あ、神様ごめん。今日で最後にするから見逃し……

 一瞬のことだった。
 空に赤い筋が見えたかと思った瞬間、銀時の座っていた地面に剣撃が打ち込まれた。

「だぉばぁぁああ!! スマン、神様。今日からパフェはやめる!!!」
「神? お前には祈るモノがあるのか……」
「って、まだガキじゃねェか、突然盛ってんじゃねェぞ。初めては優しくって言うだろが」
「すまないが、俺には優しくすることなど出来ない……
だが、生まれて初めて市井の人を斬るのも事実。せめて祈りが終わるまでは待ってやろう」

 突然現れた赤黒の襲撃は、身の丈小さく声変わりもしてないような少年。
 身長や顔つきから12、13前後の年齢に思えるが、落ち着きや雰囲気からもっと上に思えなくもない。
 後ろ手に結わえられた血の色の長髪と、湿り気を帯びた十字傷が彼独特の雰囲気を醸し出している。
 片手に持っているのは刀か、見慣れた日本刀のように思えるが少年が脇に構えているために全体像がつかめない。
 祈りが終わるまで待つと言いながら、脇構えで主武器の性能を隠すあたり少年の油断なさが現れている。

「ふざけんなっての!! 祈りが終わったら斬られるってのに一体誰に祈れって言うんだ」

 当たり前だ。殺し合いだかゲームだか知らないが銀時に殺される理由はない。
 そんな非常時に冗談交じりの糖類神になど祈りたくない。
 死ぬための祈りなら、さっちゃんあたりのストーカーにでもやってもらえばいい。
 アイツならきっと、亀甲縛りの中喜んで祈ると思う。
 まぁ、流石に喜んで死んだりはしないと思うし、本当に死なれても困る。

「大体、何なのお前。いきなり斬りかかっといて謝りもしないわけ?
お父さんお母さん悲しむよ? りんごでも食って落ち着けや」

 そういって差し出したりんごを少年は無表情なまま見つめる。
 心なしか、殺気が和らいだように思えた。

「俺の両親は既に死んだ……原因はコロリだ」
「へぇ……」

 そりゃすまなかった。と安易に言えないのが、この状況。
 どう見ても新八よりも年下。それどころか神楽より年下かもしれない少年。
 普通に考えれば、両親の下で明るく過ごしていたかっただろうに……
 彼が人殺しに走ろうとしているのは、それが原因なのだろうか。

「ところで、お前は……、その果物が何なのか知っているか?」
「知ってるよ、りんごだろ?」
「その通りだ。寒冷地で栽培される果物で、西欧では神話にも出てくる」
「よく知ってるじゃねェか」
「また、ある国ではりんご一つで医者要らずとも言われているようだ……」
「そうなん?」

 少年にとって、りんごはそれほど思い入れの深い物品なのだろうか。
 それとも、両親の死を思い出して悲しんでいるとでも言うのだろうか。
 銀時には、少年の想いなど何一つ理解できない。
 しかし、理解できなくとも一般論として、両親を失った子供が悲しみ、拠り所を無くす事ぐらいは分かっている。

「もしもあの時、その実が一つあれば、あるいは……俺の両親はまだ生きていたかも知れんな……」
「んなおおげさなもんかねェ……」

 銀時にとっては実感の湧かない話だ。
 大体、コロリなどと言われても、今は実質的に絶滅した病。
 それがリンゴ一つで、どーこー言われても、あまり何ともいえない話なのだ。
 だが、銀時は知らない話ではあるが、実際問題食料による栄養は馬鹿にならない。
 人口学によれば、人口の増加、すなわち出生数が死亡数を上回る事は、医療ではなく食料が主要因だとされている。
 たかが食料、りんごやパフェ一つとっても、それが苦もなく食べられるという事は、すなわち死から一歩遠ざかっている。

「んで、お前はこれが欲しいんか?」
「……いや、俺が欲しいものは別にある……そう……」

 刹那、少年の姿が消える。
 一瞬で銀時の横に回りこみ、漆黒の刃で斬り付ける。
 全身のばねを生かした、神速の回転斬り。
 何とかかわすも、続けざまに2斬り、3斬り……

(こ、こいつ……)

 くるくると回りながら、銀時に斬りかかる少年。
 戦闘中、いかに勢いをつけるためとは言え、敵に背後を見せる行為は褒められたものではない。
 振りが大きくなれば、通常は避けやすくなり、かえって損になる。
 まして、一旦背中を見せてからの剣撃では、通常の振りより、剣先の通る距離が2倍近くにもなる。
 さらに、体ごと回転して剣を振るうことにより、体全体の動きから、剣の動きを読むことが出来る。
 通常の剣術でも、剣を見ないで体の動きから太刀筋を見切るものだが、
それ以上に激しく動く少年の体からは、より容易く太刀筋を見切ることが出来る。
 そう。
 セオリー通りで言えば、その通りなのだ。しかし……

(どこが読めるんだ!! ボケ!!!)

 常識を超えた少年の動きは、そんなセオリーを無視し銀時に襲い掛かってくる。
 一瞬でも気を抜けば、少年の動きはそれを見ることすら叶わないものになる。
 暗い月夜の下で、若干目が慣れないせいもあるかもしれない。
 しかし、それを差し引いても少年の動きは異常だ。
 それに心なしか……

(段々速くなってきてねェかコイツ?)

 少年が放つ剣林は激しさを増し、次第に銀時の余裕も消えていく。

(いやいや、最初から余裕なんてねェよ!!)

 既に少年が放つ剣閃はおろか、手足の動きさえ霞んで見えるほどだ。

「っぁぐあ……」

 ついに少年の剣が、銀時の右手を捉えた。
 舞い上がる手首と血潮。夜空に舞い上がる鮮やかな紅が美しくて、一瞬銀時が見とれてしまうほどだ。

 一方の少年はと言えば、血飛沫を一瞥し、落ち着きながらそれをかわす。

「普段なら返り血など気にしないが、今宵は斬る相手が多い……
それと、結局祈る時間を与えてやれなくて済まなかったな」
(ヤロウ……)

 誤算だった。
 少年の年齢から考えて戦闘能力も殺しに対する意識も、自分の方が上だとどこかで思っていた。
 だが、全て違っていた。
 身体能力だけなら、銀時の方が上かも知れないが、ハサミとりんごとスノボーではハンディがありすぎる。

「……んで、欲しいモノって何よ?」

 逃げ回っても、相手の方が速い、すぐに追いつかれる。
 殺される気も戦う武器もないなら、知恵を振り絞るほかない。

「……」
「初めてなんだろ? 年上の質問ぐらい答えとけって……ゴルァ!!」

 銀時の言葉を無視し、少年の剣が襲いかかる。

「ちょっ……」

 スノーボードで受ける。

「お前、欲しいモノは何だって……っ聞いてんじゃボケェ!!」

 受け止めたスノーボードは若干剣先を逸らすも、まっぷたつになっている。

「……、誰もが笑って暮らせる新時代。俺が欲しいモノはそれだ。
そのためなら俺は、咎の炎にこの身を焼き尽くされようと構わん」

 剣を止めた少年が口にしたのはかつてよく聞いた類の言葉。
 今になって気づく。少年の瞳は、銀時のよく知る彼らに似ているのだ。

「まるで攘夷志士の言い草じゃねェか」
「まるでではない、俺は尊皇攘夷派の維新志士、志士名は抜刀斎」
「攘夷運動ってのは暗闇に紛れて刀を振り回すことか?」
「何とでも言え、あの子たちが、そして亡き妻が、笑って暮らせる世を作るためなら、俺は何でもやってやるさ」
「斬り刻んで屍の城でも建てる気か? んなとこで子供が笑えるとは思えねェけどな」
「屍の城でも、幕府のよりはマシだ」

 少年の目は本気だった。
 大儀のためには多少の犠牲にも目を瞑るという典型的志士的思考。
 過激だった頃のあの男と同じ思想。

「なァ坊主、そいつはヅラの指示かい?」
「ヅラじゃない桂だ」
「同じだろ、アイツはお前みたいなクソガキに人斬り働きさせてるのか」
「……、二度目だ。訂正しろ。桂先生とな」
「ヅラが先生なんてガラかねェ……、ぁっぐぉ……」

 言い終わらない内に少年が再び斬りつけてくる。
 今度は先ほどの傷口を直接狙った一撃。命よりも痛みを狙った攻撃だ。


「あの人は、我ら全ての先生だ。乱を起こし、国に害をなしているという見方もあるかも知れんがな」
「……ち、巷じゃ……狂乱の貴公子って言われてるぜ」
「初耳だが、その言葉こそ先を見ずに上辺だけを捉えている証拠。
先生が目指すのは、戦乱なき誰もが笑える世界」
「お前は、その世界で笑えるのかよ?」
「……」
「……俺にはとても…………お前が笑えるような奴になんて見えねーけどな」

 銀時から見れば、目の前の少年は未来を生きる子供だ。
 結び上げられた髪の毛が、元服を意味している事は分かる。けれど、やはり子供だ。
 その子供が笑える世界でなくて、一体誰が笑うというのか。
 一部の肥えきった権利者だけがせせら笑う世界など、今と変わらないではないか。

「俺の笑顔など、亡き妻に比べれば軽いもの…………」
「嫁さんは、夫も笑えない世界で笑顔になれる女だったのかよ?」
「……」
「てめーがどんだけ手ェ汚そうと、死んでった嫁さんは喜ばねーし、時代も変わらねェ」
「…………時代は変わるさ、俺が剣を持っている限りな」

 再び動く少年の剣。
 まっすぐに、銀時の首めがけて飛んでくる。

「いい加減にっ!!」

 その太刀筋を肘で受け、

「しやがれ!!」


 交差法気味の鉄拳制裁。
 一撃、拳をなくした腕でぶん殴る。
 同時に少年との間をつめ、殴り合いの間合いをつかんだ。

「てめーは剣さえ持てば何でも出来る超人か?」
「あぁ、その通りだ」

 神速の足をもって距離をとる少年を、銀時は片手で掴んで押さえ込む。
 そして血も乾かない右手で殴る。
 殴る。
 また殴る。

「坊主!! てめーはクソガキなんだよ!!
いくら気張っても、時代は変わらねーーっつってんだ!!!」

 神速では劣っても、腕力なら勝る。
 左手で持ち上げそのまま叩き落とす。
 馬乗りになり、露出した骨もろとも少年に手首を叩きつけていく。


「前の戦争じゃぁよ、志士仲間がたくさん死んでった。
だからって、てめーやヅラが足掻いてもアイツらは笑わねェ!!」
「志士たちは皆、己が笑顔を捨てて新時代に賭けたんだ!!」
「テメーらのための新時代だろうが!! 主役が笑えねーで何が新時代だ!!」
「俺の笑顔は、俺の勝手だろ!!!」
「じゃぁ、てめーは自分の勝手で死んでった仲間の遺志を無にしてるのか?」
「何を言って……」
「死んでった奴らはよ、てめーみてーなクソガキに笑って貰いたかったんじゃぁああ、分かれチンカス!!」

 上に乗った銀時が全体重を込めて人骨による一撃を食らわせる。
 常人が顔面に食らえば、失明さえしかねないその一撃。


 しかし、悲鳴を上げたのは少年ではなく銀時だった。
 少年は器用にも、下敷きにされた状態から黒刀を銀時に突き刺したのだ。
 そして銀時が痛みを訴えたその瞬間に、馬乗りから離脱したのである。

「確かに俺は、お前の言う通り新時代で笑うべき童かもしれんな……
だが、飛天の力を手にしたその時から、俺はただの子供ではなくなった」
「ク……ソガ…………笑え……よ」

~・~・~


 戦闘音を聞いた阿弥陀丸たちが駆けつけた時、銀色の体は赤黒い閃光により切り裂かれていた。

(あの御仁は……)

 先ほど、自分たちと共に行く事に反対した青年が一人。そして、今は一人ではなく二つ。
 紅に斬られたその体は、二つに叩き切られ、力なく重力に負け落ちていく。

(拙者と葉殿がいれば……あのような目には……)

「葉殿、いくでござるよ!!」
「あぁ……行くぞ憑依合体」

 媒介のない今、オーバーソウルは出来ない。
 だがそれでも、自分は600年前の最強侍。あのような童子に負ける理由は……

  いや、ある!!

 一瞬、葉と一体化した阿弥陀丸は感じた。あの少年から、溢れ出る剣気を。
 草々がざわつき、近くの川が波立つ。
 少年が剣を構える。
 構えるといっても、右手で剣を横薙ぎに払って血を落しただけ。
 それ以外は何もしていない自然体である。
 だが、一目で分かった。あれが彼の構えなのだと。


(うかつに攻め込めんな……)

 だが、そう思うのはお互い様。
 相手は一人。こちらはブルックと2人だ。
 互いに攻め手に悩む中、最初に動いたのはこの男だった。

「……なぜ、殺したのですか?」
「…………守りたいモノのところへ急ぐためだ」
「そんな理由で、あの青年を殺したというのですか!!」
「悪いが、問答している時間はない」

 少年がそうつぶやいた瞬間。あたりに爆音と、閃光が煌いた。
 霊体になって以来、一度も味わったことない目のくらむ感覚。
 隣で、ブルックが「目がくらむ、って私、目ないんですけど!」などと言っているが、冗談ではない事ぐらい分かる。
 異常な光と音が、収まったとき、そこに少年の姿はなかった。

「あの野郎……」

 拙者と葉殿とブルック。
 そして、残されたもう一人は。
 斬り裂かれた名も知れぬ男。

【坂田銀時@銀魂 死亡確認】


【F-2 駅から少し離れた所 /一日目 深夜】
【緋村剣心@るろうに剣心】
【装備】:黒刀・秋水@ONE PIECE、スタングレネード
【所持品】:支給品一式 不明支給品1個(本人確認済み)
【状態】:精神疲労大、肉体疲労小
【思考・行動】
1:全参加者を殺して日本に戻り、幕府と薩長の戦争を終わらせる。
2:さっきの男のような使い手に注意する。
3:(誰も殺したくない?)

【備考】
巴を殺した少し後の人斬り抜刀斎だった時代から来ています。

【ブルック@ONE PIEC】
【状態】:健康
【装備】:なし
【所持品】:支給品一式、不明支給品x1~3
【思考・行動】
1:少年(剣心)を追う?
2:青年を死なせてごめんじゃないでしょうに!
3:麦わら海賊団のメンバーを探す
4:ワポルを倒して殺し合いから脱出する
※スリラーバーグ出航後からの参戦です。

【麻倉葉@シャーマンキング】
【状態】:健康
【装備】:阿弥陀丸
【所持品】:支給品一式、不明支給品x1~3
【思考・行動】
1:少年(剣心)を追う?
2:人と接触する時は自分が先に接触してブルックを紹介する。
3:ワポルを倒して殺し合いから脱出する。
※阿弥陀丸とセットで参戦しているよです。


020:約束 投下順 022:少年は涙を忘れ去り、少女は涙を拭い去る
020:約束 時間順 024:小さな勇士
009:霊は状況が悪い時に限ってでしゃばる 坂田銀時 死亡
009:霊は状況が悪い時に限ってでしゃばる ブルック 035:業を負いし者
009:霊は状況が悪い時に限ってでしゃばる 麻倉葉 035:業を負いし者
016:日中衝突事件 緋村剣心 035:業を負いし者