バトルROワイアル@Wiki内検索 / 「another2-24」で検索した結果

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  • another2-01
    AnotherStory あの世だよ全員集合1 ?:「お待たせしましたっ!バトルROワイヤル恒例、あの世だよ全員集合の時間がやってまいりました!」 ?:「真っ先に殺された負け犬も、惜しくも死んだ英雄も血まみれの殺人鬼まで皆和気藹々と参りましょう」 ?:「司会進行は―――」 ?:「刺殺されたテーリングと」 ?:「撲殺されたソリンでお送りします~☆」 ソリン:「さて、これから最初の被害者の下にインタビューしに参ろうと思うのですが…ノビきゅんらしきものは見当たりません」 テーリング:「いえ、ソリン。隣にいらっしゃいます」 ソリン:「ぇええええええ!?このもじゃもじゃの塊がノビきゅんの成れの果て!?」 テーリング:「どう見てもパンチパーマです。どうもありがとうございました」 ♂ノビ:「ちょっと!ちょっと!それで終わり!?終わりなのッ!?」 ソリン:「続いて...
  • another2-12
     another a long long ago  ──それは昔々のお話です。  ある所に、一人のノービスがいました。  彼は、どちらかと言うと平凡な家庭で育ったごく普通の少年でしたが、 若さ故、と言うべきでしょうか。田舎の時間の流れがどうにも肌に合わない気がしていたのです。  毎日毎日、かっちこっち。時計の針は休む事はありませんが、止まる事もありません。  少年は、自分の父親の掌を知っています。  沢山のマメが出来たぼろぼろの手。毎日毎日畑仕事で日に焼けて僅かに茶色がかった顔。  嫌いではありませんでした。そのノービスは、その手が嫌いではありませんでしたが、 自分の未来をその手と顔の向こうに垣間見てしまう気がしていたのです。  若さ故の。年を経るにつれて、徐々に収まっていくものだと言えばそれまでの事。  でも仕方ないじゃありませんか。  少年、...
  • another2-14
    another 目覚め 首筋の冷たい感触は彼に避けられない死を感じさせた。 押し当てられたカタールの刃は命を奪う死神の鎌で、死神は彼の背後で、彼をあざけるように笑っていた。 「安いねぇ。あんたの命は安すぎるよ。そんな安物を買ったアタシはなんて不幸なんだろうね」 男が意外に思うほど、死神の声は美しくやわらかな女性の声だった。 抑揚にどこか底意地の悪さが見え隠れするあたり、この女はもしかするとひどく若いのかもしれない。 男はそう思った。 けれど男は後ろを振り向くこともできず、顔を確認することもできないので、しかたなく悪態をつくことにした。 どうせ自分の命は女の思うがままなのだ。いっそ怒らせて、憤怒の表情をさせて殺された方が幾分かは気も晴れよう。 気分が晴れたところで殺されるのだから意味はないということを考えないようにして、男は口を開いた。 「...
  • another2-20
    No Title チャプチャプと船底を水が叩く音が響いている。 ギィギィと船頭の漕ぐ小船は小砂利ばかりの川辺へと近づいていく。 男はフ、と一つ息を付くとジャリと音を立てながらその地へ降りた。 再びチャプチャプと静かな音を立てて小船は遠ざかっていく。 「死神も死んでしまえば只の人、か…」 ♂クルセは自嘲気味に軽く笑うと自分の掌を見つめる。 「この手は汚れすぎている……願わくば…いや、叶わぬ夢か…」 死して尚、彼は救われる事はないのだろうか。 最愛の人の死。 救えなかった自分。 最後まで清らかだった彼女。 そして、最後の瞬間まで残酷だった神。 現世で死神と呼ばれた男は決して神に愛される事は無かった。 彼もまたその神を信じる事は無かった。 否、信じたくはなかった。 「神と言うのはどこまでも残酷だな…」 ♂クルセイダーの頬...
  • another2-21
    死亡遊戯 「…死して尚、貴方と顔を合わせる事になるとは。…なんとも皮肉な運命ですわね」 最初に口を開いたのはグラリスだった。 野暮ったい眼鏡に隠された視線の先には、鋼の様な筋肉の鎧に身を固めた無骨な神の信徒の姿がある。 「…そうだな。俺も、お前も、神に相当嫌われているらしい」 ♂クルセイダーは思いの外穏やかな口調で返す。 軽く笑みを浮かべ応えるグラリスの外観からは百戦錬磨の凄みなど微塵も感じられない。 「…貴方との決着もうやむやになってしまいましたわね。まぁ腕を切り飛ばされた時点で、私の負けでしょうけどね」 「どうかな…。言い訳するつもりも慰めるつもりでも無いが、お互い手負いだった。万全の体勢ならどう転ぶか判らなかったろうさ」 軽く肩をすくめる♂クルセイダー。グラリスは「そうならいいのですけどね…」と苦笑混じりに呟く。 ゆっくりと、視線を合わせる。 傷も...
  • another2-23
    抗う者共 「やれやれ。貴方のお陰で今度のゲームは大波乱でしたよ。私共にとって、ですが」 白装束にピエロ帽の道化。 顔にはスペードやハートが塗られてあった。 「そりゃ良かったじゃねえか。こんな幸せゲームなんざ終わっちまうにこしたこたぁねぇ」 対する赤い髪の男は、チェイサー。 顔には目立つ傷があった。 「ですが、貴方は最早一人。他の皆さんは――おっと、私共の手駒は別ですが――他の管理者と相打ちにほぼ討ち取られてしまった。王手詰み――実に惜しかったですが、残念ながら貴方もここまでです」 瞬間、道化は短剣を投げる。 男は、それを走りながら叩き落とし、剣を振り下ろす。 だが、それは道化に止められる。 男が瞬間に繰り出したのは、足払い。 突然の足下への攻撃だが、道化はそれを後ろに飛んでかわす。 そして、着地と同時に、男を薙ぎに行く。 男は、それを受け止め、体当たりを...
  • another2-22
    外伝 カプラW 森の中で腰を下ろして休むグラリス。 Wは未だ見つからず、さりとて約束の殺害人数は遠く。 不意に強い風がグラリスの頬をなでる。 胸元まで伸びた髪が揺れ、グラリスは慌ててそれを手で押さえる。 同時に聞こえる草を踏む音。 グラリスははっとなってそちらを見ると、そこにはWが居た。 「久しぶりです」 守りたくて、傷つけたくなくて。 そう思い続けていたWを遂に見つけたグラリスは、しかし声をかける事が出来なかった。 彼女の背中に、彼女の身長を大きく凌駕する真っ白な翼が生えていたから。 「……あ……」 あまりの事に、驚き大きく目を見張るグラリス。 Wは自らの翼を優しく撫でる。 「W、私の名前です。Wingって意味なんですよ」 そう言うとグラリスを掴み、Wは大きく羽ばたいた。 一瞬で上空高く舞い上がる。 ...
  • another2-13
    another 追憶の彼方 「おにーさーん、コレもう一本追加でー」  空っぽのワインボトルを指さして、マジシャンらしい少女が店員に声をかけた。 「それ3本目だろ? やめとけよ」  テーブルに向かい合わせに座る若いアサシンが溜息を付く。  それほど大きくないテーブルの上に彼女が開けたワインボトルと彼が飲んでいるマステラ酒のボトルが並んでいるせいで、つまみに頼んだトマトサラダとほぐした蒸し鶏を置く場所すら狭い。 「別にいいじゃない? 誰かに迷惑かけてるわけじゃあるまいし」  悪びれもせずに、彼女は店員が持ってきたワインをグラスに注いだ。 「一昨日も別の酒場で男3人相手に呑んだらしいな? ……相手を酔い潰したから良いものの自分が酔い潰れたらどうするつもりだったんだ」  蒸し鶏を器用に箸でつまみ上げて口に放り込み、グラスを傾けながら...
  • Another story
    番外編 Another story ― 「絶対に許せないっ」 ♀ノビは怒りをからだ全体から滲ませながら叫ぶ。 目の前の♂ノビが友達の宝物のネコのぬいぐるみを引き裂いたから。 じゃれついてただけなんだろうけど。 しかしこれはやり過ぎだろうと怒りは止まらない。 友達は引き裂かれたぬいぐるみを抱きしめて泣きじゃくっている。 ♂ノビは困ったように肩を竦め、周りをキョロキョロと見渡している。 「あ、おーい、助けてくれよ。なんか生意気なのがいるんだよ」 ♂ノビが助かったといった感じで見つけた仲間に声をかける。 それをきっかけにわらわらと人数が増えていく。 その絶対不利な状況でも♀ノビはひるまずに抗議する。 むしろ逆に闘争心が溢れだしたのかもしれない。 ―子供のイザコザはだんだんとエスカレートしていった。 ついに我慢できなくなった♀ノビが感情に任せて...
  • another2-10
    番外編 夢の対決 新旧ローグ、マーダーバトル! ♂ローグは眼前の♀ローグに視線を移す。 「気に入らねえな。てめえのその人を食ったような嘗めた面がよ」 ♀ローグはそんな♂ローグをせせら笑う。 「ふん、ザコが粋がっていい相手じゃないんだよ。身の程を弁えな」 目線が鋭くなる♂ローグ。 「……てめぇは存分に嬲ってから殺す」 その言葉と共に♂ローグの姿がかき消える。 「やってみな」 同時に♀ローグも姿を消す。 物音一つしない沈黙。 風というにはあまりに小さい空気の流れる音が微かに聞こえてくる。 太陽は中天に昇り、桃の木から伸びた影法師が色濃く地面にその痕を残す。 空は突き抜けるような青い空、その雲の動きでここが時の支配する世界だと認識出来る。 動く物も無い、額を付ければそのまま静止画として通用しそうな光景。 「くたばれ!」 「死にな!」 ♂...
  • another2-11
    番外編 学園バトルROワイアル!!!!!!!!!111 広い校庭に予鈴が響く。 私の学校生活がここから始まるんだと思うとわくわくしてくる。 私の名は♀ローグ、トレードマークは頭につけた金の鈴♪ どんな人達が居るんだろう。たくさん友達が出来たらいいな。 そんな私に向かって、駆けてくる人が居る。 私はその人の顔を見るなり、凍り付いた。 見るからに悪党顔、しかも毛が逆立ってる。 そしてその人の後ろから追いかけてくる人。 その人も明らかに堅気とは思えない形相をしている。 「てめーくそ♂プリ! 調子に乗ってんじゃねーぞ!」 「知るかばーか。朝っぱらからイジメとかけったくそ悪い事してる♂ローグが悪いんだよ」 二人が猛ダッシュでこちらに向かってくる。というか、何故にこちらに? そして二人と私を挟んで正対する位置に眼鏡をかけた女の人が居る。 こちらも恐い。冷めた目...
  • another2-16
    two little devils 誰かに呼ばれた気がすると言ってデビルチは草むらへ駆け込んだ。 かすかながら同族の気配を感じたのだ。 案の定小柄な悪魔を見つけたデビルチは開口一番に尋ねる。 「ちト聞くガ、ニぶルヘイムへ行くにハどうしタらよいノだ?」 「なに?」 いきなり質問されたその悪魔は赤くて丸い眼を瞬かせた。 そして不思議そうに問い返す。 「…お主、悪魔か。なぜこのようなところにおるのだ」 「人のコとが言エるのカ」 デビルチも当然のようにツッコミを返す。 小柄な悪魔は地面に座ったままつぶやくように言った。 「我は主どのを待っておる」 「契約ナのカ?」 「契約ではない。言葉にして約束したこともない。だが我は最後まで主どのと共にあるつもりであった」 そこで一旦言葉を切って視線を落とす。 「だのに我は主どのをひとりぼっちにしてしまった...
  • another2-03
    番外編 Make up!! しゅるしゅるしゅる。 背後から聞こえてくる衣擦れの音に♂アコライトは、頬を熟した林檎のように赤らめてうつむいていた。 元々、修道士として神に一生を捧げるものと思って生きてきた14歳の少年である。狭い部屋の中で、妙齢の美女――古城の監獄を治める女妖魔なのだが――と二人きり、しかも彼女は♂アコライトの後ろで生着替え中といった状況に慣れているわけがない。 何故、このような状況になったのかといえば、♂アコライトがジルタスに着替えを要求したからであり、着替えている最中は後ろを向いていると彼自身が言ったからである。 ちなみにジルタス本人は「いいのよ? じっくり見ても」と言っていたのだが。 (っていうか、さっきはあの人と一緒の布団で寝てたんだよな……) 先程のやり取りを思い出して、♂アコライトは顔の上でファイアーウォールが炸裂したかのように、さらに頬を紅...
  • another2-19
    最終回? ♂騎士「チクショオオオオ!くらえGM橘!新必殺ボウリングバッシュ!」 GM橘「さあ来い♂騎士!オレは実は一回刺されただけで死ぬぞオオ!」 (ザン) GM橘「グアアアア!こ このザ・フジミと呼ばれるGMの橘が…こんな小僧に…バ…バカなアアアアアア」 (ドドドドド) GM橘「グアアアア」 GM森「GM橘がやられたようだな…」 GM1(仮)「フフフ…奴はGMの中でも最弱…」 GM2(仮)「人間ごときに負けるとはGMの面汚しよ…」 ♂騎士「くらええええ!」 (ズサ) 3人「グアアアアアアア」 ♂騎士「やった…ついにGMを倒したぞ…これでGMジョーカーのいる拠点への扉が開かれる!!」 GMジョーカー「よく来たな♂騎士…待っていたぞ…」 (ギイイイイイイ) ♂騎士「こ…ここがGMの拠点だったのか…!感じる…GMジョーカーの魔力を…」 GMジョーカー「...
  • another2-08
    Assassinate[不明] じりじりと肌を刺す強い日差し。 天に架かる太陽が、恵みではなく悪意となる地。砂漠。 日に灼かれ、色あせた熱砂は降り注ぐ光を同じ強さで照り返す。 さらに乾いた風が焼けた砂を巻き上げ、針となって全身を突き刺す。 毒虫さえも夜を待って砂の下に潜み、動く物と言えば砂そのものの怪物のみ。 砂漠の中心、アサシンギルドの置かれた土地はそんな場所なのだ。 土地の民であれば全身を服で覆い、頭にも布を巻くところだろう。 凶暴な日光に耐えるにはそれしかないのだ。 しかし今、日差しの下を進む半裸に近い姿の男女の列があった。 ドサッ 列の中程で女が倒れた。 しかし前後の男女と手錠を縄で繋がれており、そのまま砂の上を引きずられる。 「…せめて倒れた者の落伍を許せ。これでは他の者も長く保たん」 列の先頭近く、武装した一団に囲まれた男がかすれ声を出...
  • another2-02
    ある小川のほとりにて  …時間は少々遡る。  ──たった数時間で、随分と血生臭くなったものね。私は。  グラリスは頭の片隅で、そんな事を思った。  その言葉を証明するかの様に、彼女の纏った前掛け付きの制服は紅く濡れていた。  グラリスは森を抜けて、♀モンクに遭遇するまでに発見していた小川に引き返していた。  ざわざわと木立が揺れている。その癖、森の中は酷く蒸し暑く、血塗れの服を着て歩くには酷く不快だったので。  彼女は、自分の衣服を水で洗ってしまうことに決めた。(腐敗した血から、傷口への感染症の問題もある)  次からは出来る限りこんなには派手に返り血を浴びまい。  とはいえ。  水でびしょ濡れになってしまうのも血塗れの服のままで居るのも不快さでは然程変わらない。  だが、少なくとも血塗れのままで居るのは良くない。もしもWと出会えた時、彼女を怯...
  • another2-15
    アナザー せめて夢の中では ここはどこだろうか・・・。どこかの川原のようだが・・・。 辺りを見渡すと、不思議なことに夜でもないのに、辺りが闇に包まれている。 だというのに、かわらに咲く花々や川を泳ぐ魚などは、昼間のようにしっかりと見える。 ・・・、なんだか一度は来た気がする。川を挟んだ両岸だけが、はっきりと見えて、 それ以外が静かに闇に閉ざされている場所・・・。 ・・・・、そうか私はまだここに出入りできてしまう容態なんだ・・・。 一度は帰ることが出来たはずだが、まだ完全にはここから離れられないらしい・・・。 あれ?対岸に人影が見える。誰だろう・・・。なんだが見覚えがある・・・。 あの銀髪・・・、あの身のこなしは・・・、♂アサ・・・? ああ、そういえば前に来たときも、♂アサに追い返されたっけ・・・。 私、また追い返されちゃうのかな・・・。 ...
  • another2-18
    再会 そこは川辺。美しく花が咲き乱れる、その場所で。 デビルチと♂Wizが途方に暮れていた。 「…デビルチ。」 「ナ、何だ主ヨ?」 「貴方は私をニブルヘイムに案内すると言っていた気がするのですが。」 「ソ、そうトも、こコがにぶるへいむダ!」 と、周囲を指すデビルチ。…明らかに違う。 「貴方はニブルヘイムの場所すら知らないのですか…?」 「…仕方ナいだろウ、我は生マれテからにぶるへいむヘ行っタことナどないノダから…」 「それを先に言ってほしかったですね…」 肩を落とす(ように見える)デビルチ。その隣で溜息をつく♂Wiz。 さて、ここは何処なのだろう。 デビルチが適当に進んだ結果、自分がどこにいるのかさえ♂Wizはわからなくなっていた。 当然、帰り道もわからない。 「全く、もう戻れそうにないのですが。」 「それハ困ったナ…」 「貴方の...
  • another2-17
    『学園ラグナロク 第四話 居残り勉強の死闘』 ♀ハンターは半泣きになりながら机に向かう。 その対面には厳しい顔をした♀スパノビが居る。 「さ、後は数学の問題だけです。さっさかさーっとやってしまいましょう」 「ふえーん、お姉ちゃんのいじわるー」 いつもは優しい♀スパノビの表情も、今日は厳しさを無くさないよう意識して笑わないようにしている。 「合宿行けなくなってもいいんですか? みんなで海に行くんですよね?」 「う~~~頑張る」 唸りながらも何とか問題に向かう♀ハンター。 そしてその隣の席の♂プリはというと、完全にグロッキーで机に突っ伏していた。 「……俺もーぎぶ。♀ウィズ、後頼む」 「ダメです。♂プリさんまだ三問しか解いてませんよ」 「鬼」 「はいはい」 「悪魔」 「何とでも」 「魔女、バーバヤガー、運命の三醜女、貞子、オー...
  • another2-09
    アサシン物語 その少年は親の顔を知らずに育った。当然のように物としてあつかわれ、売られ買われる生活であった。 はじめて人を殺したのは、自由を獲得するためであった。 しかたがなかったのだ。殺さなければ、自分が殺されていた。 それほどの労働を少年は幼いからだにしいられていた。 それでも少年の心は痛んだ。 奴隷という形で育てられたにもかかわらず、少年の心には人殺しの罪悪に痛む良心があったのである。 それはひどい矛盾であった。 なぜなら少年が殺した男はひとかけらの良心すら少年には教えていなかったのだから。 少年は痛みの理由がわからなかった。 わからなかったけれど、せめて自分がしたことは許されることであって欲しい。 そう神さまに祈った。 それから少年は砂漠の町の片隅で、つつましくも穏やかな生活を送った。 裕福とはほど遠い暮らしであったが、けし...
  • another2-04
    スレタイ ♂プリ :殺しあいはとめられない、か。 ♂シーフ:何ですか、それ? ♂プリさん(の顔)にしてはずいぶん後ろ向きな考えじゃないですか。 ♂プリ :いやいや、ここのスレタイな。…ってお前、今何か小声で挟まなかったか? ♂シーフ:怖いですね…。やっぱりどんどん死ぬ人が増えちゃうんでしょうか。 ♂プリ :こらまてごまかすな。 ♀ウィズ:(クスクス)みんなあなた達みたいに仲良くできればいいのに。こんな殺し合いは私達の手で止めましょう。 ♂プリ :やっぱりそうだよな!何言ってんだ♂シーフ! ♂シーフ:♂プリさんずるい!1人だけいい格好して! ♀ウィズ:2人とも、私を手伝って下さいますか? 男ども :は、はい、喜んで! ♂ローグ:あ?てめえらなに馬鹿いってんだ。勘違いもいいとこだぜ。 ♂プリ :出たな殺人快楽狂。 ♀ウィズ:あなたがどうあろうと、私達はこのゲー...
  • another2-05
    抗う者共  くすくすくす。  暗い部屋。ほの明るい蝋燭の灯火に照らされながら、その道化は笑っていた。  ゲームの管理を統括する者、と言っても実際の所、準備が終わってしまえば何がしかの問題が起きない限りは余りする事が無い。  その為、過去──つまりはこれまでのゲームについて夢想する事が男にとっては最大の娯楽だった。  思い出すのは、前回のバトル・ロワイアル。開催された中で一番の数の反逆者を出し、道化の片目を義眼にした男を輩出したゲーム。  あのゲームは本当に面白かった。思わず自らの役割を忘れてしまうほどに。  最も。それで転生により更なる力を得た者達の参加が禁止とされたのは道化にとって少々興冷めだったが。  まぁ、仕方の無い事だろうな、とも思う。 「面白い男でしたね」  顔に傷のある、剣を得意とする赤い髪の男…追い縋る者(チェイサー)だった。  最初はその...
  • another2-07
    とけてひとつに 月明かりに照らされたアメジストを連想させる紫色の生糸に包まれて、 彼女は目覚めのときを待ちわびているかのようにぷるぷると震えていた。 よほど急(せ)いているのか、震動の周期はひどく短く、そして激しい。 時おり発せられる、ん、あはぁっ、とあえぐ声が交わりの行為にも似てひどく艶かしく、 声を聞く私のからだまでおかしな方向にそれていくみたいで、すこし怖い。 ぶるぶる、ぶるぶる。ふるえる繭はさらに小刻みに、さらに激しく。 あえぐ声はさらに淫らに、さらに大きく。 ハヤク、ハヤクと絶頂のときへ向かい駆け登る。 そして─── んんっ、んぁぁぁっ、とひときわ大きな声をあげて彼女は達した。 ぴりぴりぴり、彼女を包む生糸が破れ、内側からは彼女そのものがあらわれる。 異性ならばひとめ見ただけで魂までも魅了されるであろう、妖艶なからだ...
  • another2-06
    本編115と133の間の一幕 ミストレスは虫たちに言った。 「妾が探しておるのは人間ではなく器じゃ」 心なしかしゅんとしたように見える虫達。 「まあ良い、気にするでないわ。さて、いつまでもこうしていてもしたかあるまい。先を急ぐとしよう」 てくてくと歩き出すミストレス。 歩き行く先に何やら人影が見える。 器の気配はしない。 てくてくてくてくてくてくぶしてくてくてくてくてくてく さりげなく倒れている♀アコの顔を踏んでいるのだが、いっそ感動的な程にスルーするミストレス。 「空を飛べぬというのは不便な事よのう、足の裏とかに変な物とかついておらぬか?」 他の虫より一回り小さな虫がぶんぶんと返事をする。 「はっはっは、人菌えんがちょーだと? まったく何処でそういうのを覚えてきたのだお前は」 何が楽しいのかからからと笑いながらミストレスは歩き続けるのであった...
  • anotherA-2
    anotherEND-2.しあわせのうた Episode FINAL                  しあわせのうた 「それでは、よろしいですか?」 「ああ、やってくれ」 ヴァルキリーの神殿。道を究めたものだけが入れるその聖地に俺は立っていた ……あの戦いから幾つもの月日が流れ、俺もハンターとなって己を磨き続けた 最初は自分だけ生き残ったことに対して激しい後悔を感じ、何も手に付かなかった 命を捨てることも考えた。だが結局俺はこうして生き続けている 自暴自棄になって自分の命を無駄にすることこそ、俺を生き残らせてくれた彼らへの冒涜だと思ったから 懐にしまってある一枚のカードを取り出し、くるりと手の中で回す あの場所から唯一つ持って帰ってこれたこのカードを見るたび、彼らのことを思い出す 楽園を駆ける少女の絵。楽園なんてものがあれば、きっとみ...
  • 温もりの笑顔と冷たい笑顔Another side smile and tears
    温もりの笑顔と冷たい笑顔-Another side -smile and tears- NG:Another side -smile and tears- 逃げていく鍛冶屋の鞄から転がり落ちる一つの実。 「これは…イグドラシルの実!?」 それを拾うと一目散に冷たくなった少女の元へと駆け寄る。 「ほら…食べろよ、食べれば…元気に…なるだろ…」 しかし、その凍りついた笑顔の口は、堅く閉ざされ開かない。 「貸しな」 有無を言わさず弓手の手からイグ実を奪い取るのは、セージ。 彼女はそれを口に含み、咀嚼し、少女へと口移しで飲ませていく。 何回も、何回も。 その実を全部、冷たい少女に嚥下させるまで。 最後の一口を飲み込んだとき、死んだはずの少女はゆっくりと目を開く。 「ん…皆、そんな心配そうな顔してどうしたん…?」 少女の眼前には今にも泣きそうな顔が三つ、並ん...
  • anotherA-1
    anotherEND-1.終わりのソラ ~ an other end  この空は偽者で。  けれど、その色は本物と変わらず何処までも青い。  そうだ。この狂った戦場は偽者だ。  それも又、ある一転だけは現実と同じ。  死ぬという事。それだけが、この箱庭で唯一の真実だった。  ──それは、平等に訪れる。  重い。重い。何て重いんだ。  俺は、大地に鎮座するそいつを渾身の力を込めて、旋回させていた。  必死の力では足りない。それだけでは、あの女は貫けない。  俺は自分はもう死んでしまっている事にした。  呼吸を無視し、悲鳴を上げる筋肉を無視し、押し続ける。  俺は、今の今まで。悉く死に一番遠い場所に居た。  今だってそうだ。自分の技量じゃ無駄だ、という理由をつけてまで、秋菜の居る戦場から逃げ出してしまった。  だから、今は。  せめて自分...
  • NG2-21
    Another 命を食らうもの 我が名はヘルファイア 神々の時代より数多の命を食らいし魔槍なり 長きにわたりトリスタンⅢ世の手で封印されてきたが ジョーカーの手により送られたこの殺人喜劇の中で再び命を食らっている 先の女剣士は狂気という点ではすばらしかった 体の限界を超え 自ら進んで我に命を捧げようとした しかし 力を使いこなせなかったが故 早々に食らってやった 今回の剣士は幻覚を見せてやることで自らの正義に乗っ取り 積極的に我に命を吸わせた 良き持ち手だった しかし 我が止めるより早く 戦術により我を手放してしまい 我が手を離れ人を殺したことに気づいた故 罪の意識により自壊してしまった まあ良い 長きにわたる退屈な日々は終わり 我は殺し合いを求める絶海の孤島にある 人は弱きもので 恐怖を消しさるための力を欲し 自らが危機に瀕すれば...
  • anotherB-1
    ルートB epilogue? ♀GMが閉ざされていた扉を力づくでこじあける。 それを止めようと、後ろからその手を掴むヒャックを振り切って室内に入る。 その部屋には、一つの宝玉が安置されていた。 ♀GMは一度躊躇した後、その宝玉を起動させた。 ♂アチャ:話の前後に脈絡が無いんだが…… 「アルケミ卑怯杉wwww修正してやるwwwぅぇ」 「ぎゃあああ、眼があああ眼がああああ。」 「ぐ、ぐるじいいいい。が、がんべんして・・・。」 ♂アチャ:♂アコと♂ケミだけかい 宝玉から聞こえてくる、それら一つの音も漏らすまいと聞き入る♀GM。 しかし、そこから聞こえてくるのは悲鳴、苦悶、そして怨嗟の声ばかり。 震えながら、それでも耳を背けようとはしない。 そうする♀GMの意志の源がヒャックにはわからなかった。 責任感? 自虐? それもあるだろう、だが♀...
  • 2-248
    248.混迷の戦場[3日目朝] 一瞬の自失から立ち直り、♂ハンターは目前の少女へ一歩踏み出した。 ♀アーチャーを取り返さなければいけない。 どうすればそれが可能かは分からない。 だけど今の自分には手伝ってくれると言った仲間達が居る。 一方♀スパノビと♀ハンターは武器を構える。 「ふぁる!」 ピーイ ♀ハンターの掛け声と共にファルコンが飛び立ち頭上で旋回を始めた。 さらに弓へ矢をつがえてミストレスへ向ける。 だが紫髪の少女は彼女達にあっさり背を向けた。 そして♂ハンターへ語りかける。 「のう王子様。我の夫となる覚悟はできたかえ?」 その表情には昨夜♀スパノビ達に見せた凶悪さのかけらもない。 少女のあまりに無防備な姿に、狙いを付ける♀ハンターの内に迷いが生じた。 武器を持つ腕を下ろしそうになる彼女を♀スパノビが叱咤する。 「撃ってください...
  • 目次3
    目次(201~両ルート完結) 001~100  101~200  201~A・Bルート完結  番外編 タイトル 登場人物 201.撤退戦 ♂ローグ、♂BS 202.あの日へと続く道 アラームたん、バドスケ、♂アルケミスト、深遠の騎士子 203.激闘プロンテラ南フィールド 後編 ♂ローグ、バドスケ、深遠の騎士子、♀セージ、♂アーチャー、♀クルセイダー、♂プリースト、♀アーチャー、子バフォ、アラームたん、♂アルケミスト、♀ローグ、♂BS 204.紛い物の騎士 ♂ローグ、アラームたん、♀セージ、バドスケ 205.殺し屋達の挽歌 ~♀ローグ ♀ローグ 206.殺し屋達の挽歌 ~♂BS ♂BS 207.懺悔 ♂ローグ、バドスケ、深遠の騎士子、♀セージ、♂アーチャー、♀クルセイダー、♂プリースト、GM秋菜 208...
  • 番外編
    目次(番外編) 001~100  101~200  201~A・Bルート完結  番外編 ♂シーフと♀アコのその後 ♂シーフ、♀アコライト 殴り愛宇宙 ♀騎士、深淵の騎士、♂アルケミスト、♂アコライト いただきますの後 ♀プリースト、♀商人、♀シーフ、ときらぐ主人公、♀モンク 死者達のあとさき ♀剣士、♀プリースト 死してもなお残る物 ♀剣士、♂ノービス 愛するココロ 悪魔プリ、♀BSS 温もりの笑顔と冷たい笑顔Another side smile and tears ♀WIZ、♀セージ、♀アルケミスト、♂アーチャー 愛のままに我儘に ♂マジシャン、♂剣士 GO!GO!クルセ子さん! ♂ローグ、♀クルセイダー、♀アーチャー、子バフォ、アラームたん 生きよう、折れた剣を杖にして ♂ケミ あの人たちは今...
  • 2-245
    245.真面目である不幸[3日目早朝] トン・トン・トトント・トントントン 不規則なステップを踏む音が朝方の冷たい空気に響く。 そしてそれに合わせる鼻歌も。 show you show me san-dan-syo♪ 醤油 de ご賞味 ren-da-syo♪ リズミカルでありながら不規則な節。 韻を踏んだ…と言うよりはむしろ駄洒落じみた歌詞。 同時に繰り出される鋭い拳の連撃とはイメージにいささかギャップがあった。 「むー」 近くで丸まって寝ていた女性が身じろぎした。 途端にステップを踏む男――♂モンクの動きがぴたりと止まる。 彼は足音を忍ばせて戻り、まじめな顔で彼女に語りかけた。 「…お休み・ゆっくり・羊を・カウント・one・two・three and half」 「ハーフって何だよ」 後ろからツッコミが入る。 習...
  • 更新履歴
    43話までUP。あとNG関係もいくつか。登場人物とか直したいけど#contents構文が上手くいかん… -- ボ ス ケ テ 2005-11-10 14 29 10 何か、萌え板死んでるっぽい? -- 名無しさん 2005-11-12 11 46 40 今さらですが、第一回の目次を修正。(性別の表記漏れ) -- 名無しさん 2005-11-15 12 59 18 ↑おつかれれい。久々に読み返して、♂アルケミのギャップに悶えた。 -- 名無しさん 2005-11-15 19 12 06 第2回ROワの76話から97話までをUP完了 NGもちょこちょこ -- 名無しさん 2005-11-17 15 21 24 忍者の参考(アサシン物語}のリンクが切れていたので修正しました -- 名無しさん 2005-11-21 03 13 11 Webレンタルサービスの方か...
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    246.みっつの遭遇(3日目早朝) 「・・・鷹の声がする」 そう言い出した♂ハンターの提案で、一行はその声の主を探す為、小さな森の中を散策していた。たとえ野生のファルコンだろうと、♂ハンターが手懐けることができれば、戦力になるだろうと踏んだからである。 「♪ま・ま・ま・待ってろYour Bird! So・幸せのBlue Bird! だって俺達(だって俺達)・Flee bird」 どうやら♀騎士はついに♂モンクのラップにハモリを入れられるまでになってしまったらしい。楽しそうな二人を横目で見ながら、♂プリーストは♂ハンターに話しかけた。 「アンタは鷹使いかい」 「いや、俺は弓専門だよ。それでもここがこういう場である以上、戦力になりそうなものはやっぱり、ね」 「だぁな。俺ァ野生のファルコンってのは見た事ねぇからどこまで頼りになんのかは解んねぇがよ。餌付けとかすんのか? どうや...
  • 2-247
    247.Arrowhead[3日目早朝] 「――最っ低・・・!!」 目の前のアルケミストが瓶を振りかぶる。 「ちいっ」 ♂ローグは決意に満ちたその表情に脅威を感じた。 火炎瓶か、強酸か。 何にせよヤバい物なのは間違いない。 心臓を狙おうとしていたクロスボウの先をとっさに少し上へ向ける。 後ずさりしながら連射した矢の一発目が♀アルケミストの右肩を、二発目が顔面を捉えた。 ほとんど同時に投げ放たれた瓶は着弾の衝撃でわずかに狙いを外す。 瓶の直撃がないと見切った彼は突進してくる♂スパノビに狙いを変えた。 「死ねや」 二連射が巨体へ吸い込まれるように命中し、地響きを立てて倒れる。 同時に♂ローグのすぐ脇に瓶が落ちた。 バシャッ 「・・・うおっ!?」 いつもの彼なら飛び散るしぶきぐらい難なく避けただろう。 だが意識が♂スパノビへ向いていたこと、そして壊れ...
  • 2-241
    241.dawn purple [3日目未明] 草深い山の奥。 暗い梢の隙間から藍色の空が覗く。 りーり、りーり 朝の訪れも知らぬかのように虫達は合唱する。 ああ、ああ、ああ、ああ 虫の音に答えるのは嬌声にも似た高い声。 それに合わせて薄紫の光が明滅する。 光の元は1人の少女だった。 薄い胸。 短いスカートから覗く細い脚。 女としてはまだ成熟しきっていない青い果実。 かつて♀アーチャーと呼ばれていた彼女は、しかしそのなだらかな下腹をわずかにふくらませていた。 四つん這いになったその背で薄紫の光が明滅する。 下履きは脱ぎ捨てられ、秘めやかな場所を隠す物は短い裾の作るわずかな影しかない。 あぁっ 内股の青白い肉がひくついた。 ツッ―― スカートの暗がりから透き通った液体があふれ、白い腿を伝い落ちる。 そして青い布...
  • 2-240
    240.復活の魔術[3日目早朝] ♂WIZが死を感じた時に思ったことは二つ。 -デビルチがいっていた二人組の存在も考慮して場所を移すべきでした… -ここで死ぬわけにはいかないのです、まだ私は…彼女を…! 一つ目の思いはすぐに消えた。今更すぎるからである。 正確にいうならばデビルチの報告にあった二人組みの他に♂WIZはこの近辺に強い妖艶な魔力を感じていた。 こんな危うい区域はすぐでるべきだったのだと、本当に今更ながらの刹那の後悔。 二つ目の思いは強く脳を回転させた。私が生きるにはどうしたらいいのかと。 答えはすぐにでた。自分の魂を移すことだ。幸いそのための準備も整っている。 これを実現させるには自分の魂を肉体から切り離す必要がある。 それには切り離す肉体の命を絶つのが理想。 もはや虫の息になってしまった今の自分の状態なら問題はない。 そして定...
  • 2-242
    242.言霊[3日目早朝]  ♂騎士が現れた後。  とりあえず朝の放送を聞いてから動くともう一度決めた後、交代制で見張りに付くことにして、まだ体力が本調子ではない♀WIZのサポートに淫徒プリは付いていた。  支援とWIZの組み合わせであれば、大抵の襲撃にも耐えられるだろうからだ。 「あの……さっきの言葉……どなたが言っていた言葉ですか?」  どうにも気になって仕方がなかった淫徒プリは♀WIZに声をかけた。 「さっきの言葉? ああ、人間は一人で死んで行くんじゃないって?」 「そうです。その言葉」 「だから、大切な人ですよ。この指輪の相手……と言えば判ります?」  そう言いながら、左手の薬指にはまった銀色の指輪……結婚指輪を見せた。 「旦那さま……ですか?」  ♀WIZは微笑むことでその質問を肯定した。 「……失礼ですが、...
  • 2-243
    243.知恵の実 [3日目早朝] いつまでたっても自分に危害を加えるような魔法が飛んでこないことに、そのアコライトの少女は首をかしげた。 彼女なりに理由を考えてはみたのだが、殴りアコライトであるためか頭を使うことが苦手な彼女に答えらしい答えは得られなかった。 アイスウォールに囲まれ、クァグマイアの泥に足を取られ、動くことも周囲を見まわすこともできず、彼女は口を曲げ、しきりにうなっていた。 自分はあのとんがり帽子のウィザードによって身動きを封じられ、さらに彼の大魔法でまさに殺されるところだったはず。 ところが、どういうわけか魔法の詠唱は途中で終わったのだ。 魔方陣が掻き消えたことからも、詠唱が中断されたことは疑いようがなかった。 どうして彼の魔法は発動する前に止まったのだろう? そういえば♂WIZがいたはずの方向から別の男の声と、にぶい音が聞こえ...
  • 2-244
    244.『信じる』ということ[3日目朝] 「信用できそうな仲間が見つかるといいですね・・・」 ・・・ずん・・・ずん・・・ずん・・・ 「あそこに生っている木の実って、食べられるでしょうか?」 ・・・ずん・・・ずん・・・ずん・・・ 「結構身体が汚れてますし、飲み水もほとんどないので、何処か水場を探したほうがよさそうな気がしません?」 ・・・ずん・・・ずん・・・ずん・・・ずん・・・ずん・・・! 話かけても反応をよこさず無言で先を歩き続ける♂スパノビに♀アルケミストは大きくため息をつく。 (彼には人の話を聞くという概念がないの・・・?) 微笑をその顔に浮かべながらも、♀アルケミスト内心で悲鳴をあげていた このゲームが始まって既に3日。 食料、水はすでに付きかけており、参加者の約半数が死亡している。 自分には一人で生...
  • 2-249
    249. 正しき道を [3日目朝] ♂騎士は走り出した。 姿がわからない人間に近づくことに恐怖はあったが、助けを呼ぶ人間を無視して隠れ続けることなどできなかった。 それが普通ならば、正しい道であるはずだった。 剣を抜き、突然走り寄ってくる♂騎士に、ミストレスを除く誰もが咄嗟には反応できなかった。 彼の目が明らかに自分たちを狙っていることに気づき、♀騎士は女王と卵から身を離すしかなかった。 だが、ミストレスを拘束していたもう一人である♂ハンターは、彼女から手を離すことができなかった。 彼は、もう『彼女』を離したくはなかったのだ。 ♂騎士は走りながらも悩む。 殺すのは怖い。だが誰かを助けるためならば俺は騎士に戻れるだろうか。 ――人を殺すのを躊躇って、ここで生きていけると思っているのか。 かつて♂クルセイダーから言われた言葉が、彼の頭によぎる。 ふと♂...
  • NG2-24
    NG 定時放送2(朝8時の場合) 「さぁさ皆様、起きてくださいまし!お寝坊さんはいらっしゃらないでしょうね? 楽しい楽しいバトルロワイアル、二日目の始まりですよ! しかし良い朝ですねぇ。これはまさしく皆様の日ごろの行いが報われたということでしょうね? 何せ前回のバトルロワイアルなど、開催期間中ずーっと雨模様でございましたから。 私どもも気が滅入ったものです。やはり雨が4日も続きますと皆様……ああ失礼、脱線してしまいました。 きちんとお仕事しなくては、ですね。ではお先に死亡者を読み上げますよー。 ♀剣士さん ♀セージさん バードさん ♀クルセイダーさん ♂BSさん ダンサーさん ♂剣士さん そして我が国の工務大臣殿!不甲斐ないですねぇ、早速のリタイアですか。 というわけで朝までの間に8名が亡くなられました。残り33名です。 良いですね、なか...
  • 2-254
    254.それぞれの魂[3日目朝] 「んなことできるかっ!」 逃げろと言った♂ハンターに♂プリは怒鳴り返した。 だが♂ハンターは譲らない。 「そっちの倒れてる子達はどうするんだ。あんたしか連れてけないだろ」 「そりゃそうだが…うおっと」 キャタピラーの振り回す触角から跳び下がって♂プリは苦々しげな表情になった。 確かに気絶した♀ハンターを連れて逃げられるのは彼と♂騎士だけだ。 彼はちらりと♂騎士の顔を窺った。 「俺じゃ駄目だ。連れて行っても傷を治せない」 雰囲気を悟ったのか♂騎士が先手を打つ。 それに一度別れたらまた♂プリ達も見分けられなくなるだろう。そんな彼が連れて逃げても別の危険に巻き込む恐れが高い。 「だからしんがりを受け持つ。♂プリが連れて行ってくれ」 ♂騎士は背中で♂プリを押しのけてキャタピラーと対峙した。...
  • 2-224
    224.目覚め [2日目深夜] サラサラサラサラ 草の擦れ合う音がする中、くるぶしまで届くような丈の草原をゆっくり南下する。 月明かりがあるとはいえ、見える範囲は決して広くない。 足音がするような歩き方をしないとはいえ、ここまでの長さに成長した雑草を相手に忍足をするほうが無理だというものだ。 それゆえに彼は、その囁き声に気付くのに遅れてしまった。 あるいは、拍子抜けのあまり気が緩んでいたのかも知れない。 しかし、彼はエキスパートだった。 次の瞬間、背負っていたクロスボウを素早く構えた。 その獰猛な笑みとともに。 ♂スパノビは意を決して♀BSの肩をそっと揺さぶった。 「ん・・・・?」 疲労していたとはいえ、不覚にも眠っていたようだった。 「ど・・・」 しゃべりかけた♀BSに対し♂スパノビは必死の形相で首を振り、ある方向を指差す。 様子がおかしい。 ...
  • NG2-11
    another  盾と剣と殺し屋と  とかかかかっ。  道を進んでいた男は、不意に針で木を細かく叩いたかの様な音を聞いて立ち止まる。  幸運にもここまでの道行きで殺人者に出くわさなかった♂クルセイダーが、木々のざわめき以外に初めて聞いた音だった。  空耳ではない。誰かが誰かに弓を射掛けているのだろう。だが、彼の胸中には迷いが生じていた。  見捨てるべきだ。それが誰かは知らないけれども。悪魔が彼にそう囁いていた。  ♂クルセは目を瞑る。そこに写るのはかつての過ち。  彼は、自らの恋人を悪魔の囁きで手にかけた事があった。  彼の恋人は、生きながらにして、赤くおぞましい巨大な虫共に、貪られたのだ。  その時♂クルセは、余りにも数の多い蟲共に恐れをなして、逃げ出した。  耳にへばりついているのは、悲しむ様な彼を責める様な、そして痛みと絶望に満ちた絶叫だった。 ...
  • NG2-16
    another 本当に護りたいモノ 赤銅色の炎、揺らめく蛍火を目指し♂剣士は暗い夜の森を独り、懸命に駆けていた。 気が付けば、♂剣士は飛び出していた。 森の深層に突如灯った明かり。それを目にしたとき、♂剣士の胸中を得も知れぬ感情が襲ったのだ。 悪魔に手招きされたような、それでいて天使に囁かれたような、そんな相反する感情の撹拌が♂剣士の心を揺らしたのだ。 もし光の先にあるものが自分たちに危害をもたらすものだったら、自分は剣士として、 人を護るためのツルギとして立ち向かわなくちゃいけない。 もし光の先にあるものが自分たちに助けを求めているものだったら、やっぱり自分は剣士として、 人を護るためのツルギとして立ち向かわなくちゃいけない。 そう思うと♂剣士は居てもたってもいられなくなったのだ。 『焦る必要はない。お前はお前の精一杯で、お前が護りたい...
  • NG2-19
    another:守るべきもの [2日目・朝] 襲撃は突然だった。 森の中から飛び出した人影に気づいた時には、すでに懐に入り込まれていた。 がきん、と金属の擦れる音。 「あなたはっ……!」 間一髪で引き出したレイピアでバスタードソードを受け止めながら、♀クルセが 驚愕の声を上げる。突然の襲撃者は、彼らがあまりにも見知った人物であったから。 ぶん、と横合いからの攻撃にグラリスが飛び退く。 「グラリス……カプラ職員のあんたまでか」 驚きから立ち直ったらしい♂アルケミが援護に入ったのだ。 強度のないレイピアでは鍔迫り合いは圧倒的に不利だ。 グラリスは返答の代わりに、剣を振るう。 「くっ……殺し合いには乗り気ってことかよっ!」 重い剣を受け止める甲高い音が立て続けに響く。♂アルケミのほうは学究肌かと読んだが、 意外にやる。強度に劣る杖で、うまく刃を受け流し、さばい...
  • 2-217
    217.誇りある魂 [定時放送③後] GMジョーカーによる定時放送が終わった。 自分たちの居場所が禁止区域には含まれていないことを確認し、ほっとした3人だったが、その後のしばらくは沈黙の時間が続くことになった。 沈黙の中で♀騎士は♂ハンターを様子見したが、彼の表情は、どうにも重かった。 放っておいたら、地面に沈みこんでしまうのではないかと心配に思ったほどだ。 感情というのは、周囲に伝わるものである。 誰かが嬉しそうに笑っていれば、自然と周りにいる人間も心がはずむ。 哀しみに身をまかせ、暗い表情をしていれば、同行者も似た気持ちになってくる。 そして今のこの重苦しい空気を作っているのが、顔を伏せ気味に膝をかかえて地べたに座っている、♂ハンターだった。 出会ったときもどこか淋しげで、悲壮感すらただよわせていた彼だったが、今はそのときよりも酷い。 ...
  • 2-289
    289.信頼対決 情勢は、圧倒的にパピヨンが不利だった。 敵には魔法職が二人。聖職者が二人。さらに、蛮勇とも呼べるほど強固な意思で攻撃を続けるアタッカーが一人。 対して、味方には自分と、『トモダチ』が一匹。 『トモダチ』は狂戦士のごとく攻撃を続ける♂スパノビに粘着されおり、今すぐにでも助けたい。 しかし、かといって安易に近づけば♀WIZのクァグマイアにより動きを鈍くされた後、魔法で蜂の巣にされるのが目に見えている。 パピヨンは、この状況を転換させうる何かを心から渇望していた。 そして。 今、それは存在したのだった。 パピヨンが自分たちの背後に回ったのを見て、♀WIZはほくそ笑んだ。 おそらく、寄生虫とパピヨンで挟み撃ちにする気だと考えたからだ。 しかし、逆に言えば、それは味方の分断である。 これで、パピヨンは寄生虫を攻撃している♂スパノビを攻撃することが...
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