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えっちぃのは嫌いです





「広が………広が…」

 立野広の死について、一から十まで話を聞き終えた天条院沙姫は衝撃の事実に驚愕するしかできなかった。
 彼女特有のダイヤモンドのように美しい輝きを放つ涙が乾いた大地に潤いを与える。

「広ィ…」

 そうよ、あの時。あの時どうして私は最後まで広を止めなかったの?
 あの子が何の力も無いただの子供だということをわかっていて、何故待つことを選んだの?
 何故、どうして?あそこで私さえしっかりしていればあの子が死ぬことはなかったはず!
 広を守ると誓っておいて、結局守られたのは私ではじゃない…!

「オイ、お前まさかヒロシが死んじまったのは自分のせいだとか思ってねェだろうな」

 広の遺体を土に埋めるという作業を終えたゾロが隣で咽び泣く沙姫に、正面を向いたまま訊ねる。
 問わずとも沙姫の心中など透けて見えてはいるのだが。

「当然でしょう!あの時、広ではなく私が貴方たちの元へ行けば――――」
「何ができたんだ!」

 感情的に喚く沙姫の声にゾロの張りのある声が被さった。
 そこには怒りも悲しみも含まれていない。ただ何かを訴えるような感情だけがあることを、沙姫は感じた。

「お前が来たって、お前がヒロシになってただけだ」
「……それでも―――たし…私は………」
「広は強かったぜ、アイツのおかげで俺はあの木乃伊野郎を倒すことができたんだ。俺もお前と同じ、助けられてんだよ。
 だから嘆くな。アイツに助けられたこの命を守ることだけを考えろ。それがアイツへの恩返しだ」

 膨らんだ土の前にしゃがみ込み拝みながら、放り投げるような乱雑な語調で沙姫に告げる。
 だがその言葉からは温かな気持ちが十二分に伝わってきた。
 何と不器用な男なのだ、と沙姫は思う。

 そうですわ。この方の言う通りです。
 私は広に守られた、一つの生命(いのち)なのですわ。
 だったら最後まで守り抜いてみせましょう。死んでいった、あの子のためにも。
 ―――――――だから、強くならねば。そのためには…。

「ゾロさん、と言いましたか。貴方にお願いがあります」
「あァ?」

     ◇     ◇     ◇

「準備万端ですわ!」

 ど~~~~~~~~~~~~~~ん!

 右手にスコップ。
 左手にライター。
 腰にダイナマイト。
 頭に兜。
 奇妙な格好に変身を遂げた沙姫の前には、頭痛を覚えるゾロの姿があった。

「大丈夫かよお前…」
「ちょっと頭が重たいですけどこれくらい我慢しますわ」
「そうじゃねェ!」

 ご心配なさらずとも、広のためなら、痛くも痒くもありません。
 か弱い私が身を守るためには、このような武器たちがどうしても必要になってきますの。
 おかしな格好?いいえ、よーく見てみなさい。
 こんな色気のないものでも私が着れば美しいドレスに見えてきませんこと?

「あとはこの眼鏡を装着すれば完璧ですわね」

 これ以上は頭が破裂しそうだったのでゾロは沙姫の痛々しい変貌を尻目に背を向け、自分とヒロシのパックの中身を渡すという替わりに譲り受けた槍のようなものを見つめた。
 刀ではないため使いこなせるかどうかという懸念はあるが無いよりはマシである。
 それにまぁ、刃物と言えば刃物なのだ。時間は掛かるだろうが銃器類よりは断然使いやすいに決まっている。

「さて、そろそろ参りましょうゾロさん。病院で手当てをしてさしあげま…!!」
「?」

 ふと装着した眼鏡の端にある〝デッパリに触れながら〟沙姫が振り返ると同時にゾロも立ち上がり、互いに向き合う形となった。
 途端、沙姫の表情が硬直する。彼女の白いキャンバスのような頬に、じわりじわりと桃色の絵の具が滲んでいった。

「なななななな!!何て格好をしているんですの!!?」
「テメーに言われたくねェ!!」

 可聴領域を超えそうなほど甲高い声で喚きだす沙姫の視界に映るのは下着姿のゾロだった。
 無論、端から見れば妙な格好をしているのは沙姫の方であるのだが…沙姫がそれに気付くわけもなく。
 目のやり場に困り咄嗟に視線を逸らすが既に脳裏にはゾロの鍛え抜かれた肉体が焼きついていて意味が無い。
 半裸の男、光のない木陰、人気の無い場所―――この三点セットから連想されるものといえば……。
 …白から黒へ黒から白へ白からピンクへと忙しく切り替わっていく沙姫の脳内。

 ま、まさか…散々良いことを言っておきながらこの男!いきなり服を脱ぐだなんて…!
 さては私の油断を誘い、あんなことやこんなことをするためにあのようなことを!?何て卑劣な男なんですの!
 確かに、この尋常ならぬ美貌に目が眩む気持ちもわからなくもありませんが…。
 しかも二人きりという状況。こうなってしまって仕方がないかもしれませんわね。
 ……でも、やはりこの方も理性を保つべきですわ!か弱い乙女を無理矢理襲うだなんてあってはなりません。
 それにしても一体私はどうすれば…?あの木乃伊を倒した男に、私が勝てるのかしら…。だったら逃げるしか…。
 いいえ、駄目よ、逃げては駄目沙姫!広のために強くならなければ!

「たァァァ―――ッ!!」
「うお!」
「このッ!変態ッ!」

 何の前触れもなくスコップを我武者羅に振り回し出す沙姫の豹変振りを理解できぬまま、次々に繰り出されるあまりに出鱈目な攻撃を避け続けるゾロ。
 身に覚えも無いフレーズに脳を悩ませながらゾロは身体を軽々と動かしながらやりすごしていた。

「待て待て待て、何のことだ!?」
「何ッ、とぼけているんですッ!スケベッ!」
「―――――――!」

 変態だのスケベだの、何言ってやがるんだこの女はァッ!
 いきなり武器振り回しやがって、お前のほうが充分変態だろうが!

 心中で盛大なツッコミをいれながら、流暢な動きでの回避とは、何と器用な男なのだろう。
 怪我はしているものの、ゾロにとっては戦闘慣れしていない少女の攻撃など屁でもないのだ。
 そのため、次に出る攻撃を予測し武器でスコップを弾き返し、沙姫の華奢な手首を掴み反撃を仕掛けることに時間など必要無かった。

「ああ!」
「とりあえず落ち着け!」

 沙姫の手首に痛みが走ると同タイミングで襲ってくる浮遊感。
 その後受身を取る暇も無く天と地が逆さまになってしまい、状況に気付いた今からではもう遅い。
 視界いっぱいに広がった空を遮るもの一つ。

「……ひ!」
「ハァ……ハァ…!」

 ―――――息を荒げる、ゾロの顔だった。
              …勿論、呼吸が荒いのは疲労のせいであるのだが、今の沙姫にそれを理解する余裕などなく。

「やややや、止めて……ッ!」
「待て、どういうことだ。ちゃんと説明しろ」
「~~~~~~~~~~~~~~ッ!」

 両肩を掴み沙姫を地面に押さえつけるゾロの姿は事情を知らぬ人間から見れば変質者。組み敷かれた状態の沙姫から見ればまさに野獣。
 このままではこの綺麗な肌が汚されてしまう。抵抗せねば。だが、スコップは手の中に無く。
 ………仕方なしに、沙姫は四肢を激しく動かして必死の抵抗を試みる。

        ――――――――すると、奇跡は起きた。

「うぐァッ!」

 漫画であればゴ~~~~~~~~~~~~ン!という効果音がついていたはず。
 何と〝逃げなければ〟という沙姫の思いが神様に通じたのか、乱暴に振り上げた膝がゾロの股間に直撃したのだ。
 その攻撃が催す効果は男であれば理解できるだろう……。
 顔面蒼白になったゾロが見せた一瞬の隙も見逃さず、沙姫はここぞとばかりに腕に力を込め、ガタイの良い身体を跳ね除け…。

「くッ!」
「何しやが…――――――い゛ぃ゛ッ!」

 最後にもう一発、地面をのた打ち回るゾロの手と手の隙間をすり抜かし、地面に落としていたスコップの柄で股間を殴ってやった。

「貴方がもうこんな悪事を行えないよう、今すぐ私が皆さんにこのことを報告してやりますわ!」

 そして捨て台詞のみを残し、早急に立ち去っていった。
                  ……苦悶の表情を浮かべる、ゾロを置き去りにして。


【E-3 木の下/一日目・黎明】

【天条院沙姫@To LOVEる】
【装備】: 兜@家庭教師ヒットマンREBORN! ダイナマイト×10@家庭教師ヒットマンREBORN! スコップ@現実 スケルトンめがね@HUNTER×HUNTER ライター@現実
【所持品】:支給品一式 不明支給品 0~2、ゾロ・ヒロシの不明支給品 0~2
【状態】:健康  変態(ゾロ)への怒り
【思考・行動】
1:この島に変態が居ることを皆に伝えなければ!
2:広のために、自分自身を守り抜く。
3:警察に連絡する、救急車を呼ぶ。
4:屋敷に帰る。

※どうやら偶然触れてしまった眼鏡のメモリがずれて、衣服類が透けて見えるようになってしまったようです。
※ゾロが下着姿になってしまった原因が眼鏡のせいだと気付いていません。
※そのため、ゾロのことを変態だと認識しています。

【スケルトンめがね@HUNTER×HUNTER】
物が透けて見えるメガネ。メモリで強弱の加減が出来る。


【ロロノア・ゾロ@ワンピース】
【装備】: 馬孫刀@シャーマンキング
【所持品】:支給品一式、不明支給品無し 
【状態】:全身数十箇所に及ぶ裂傷 極度の疲労 股間の痛み
【思考・行動】
1:痛ェ!!
2:いったい何なんだ!
3:仲間を探す。

※ゾロは志々雄を倒したと思っています。
※なでしこの剣は瓦礫の下に埋まっています。
※広の遺体は埋葬しました。




035:業を負いし者 投下順 037:男の戦い ver.snow
034:夜の海に加わる渦巻く影 時間順 037:男の戦い ver.snow
024:小さな勇士 天条院沙姫
024:小さな勇士 ロロノア・ゾロ