自由にゃんこ同盟正統政府 大神聖巫女巫女党

ダン1話

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sayosayo

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何故――
何故――この人は笑っているのか――
何故――この人は笑っているのか――親しみを込めて――
何故――この人は笑っているのか――親しみを込めて――何かを抱くように

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クライズ・シティ、クリスマスを目の前に、飾り立てられた――街。
ただでさえ人口密度の高いこの街は、この時期になると人口が倍になったのではと
錯覚しそうになる。
行きかう人々の楽しそうな、声、表情。

アクシア:……
アクシア:……フン。

少女。
広場の中央に聳え立つ巨大なツリー、一人、見上げる。

セスカ・セトラージェ:#ぼー……

少女、少なくとも外見上は。
噴水の縁にぼんやりと座る。
その目は何を見ているのか、焦点があっていない。

レンゾ・アヴァタノ:ツリーか……あーあ、今年ももうこんな季節か。トホホ
レンゾ・アヴァタノ:また今年も一人でこのイベントを迎えるとは……ぶわわっ
レンゾ・アヴァタノ:あれ? 世界が歪んで見えるよ……?

青年。
外見――良し。
センス――良し。
運――大いに、無し。

Dans La Nuit:ふぅむ
Dans La Nuit:一体何処に行ったものやら

女。
先ほどから辺りを見回しながら、行ったり来たり。
長い髪の毛をお下げに編んだ長身の美女。

アクシア:?
アクシア:なにあの女……
アクシア:……。

ツリーを見上げていた少女は、長身の女に目を留める。
キョロキョロウロウロ、変な女。
少女は肩をすくめると、ツリーに目を戻した。

Dans La Nuit:ん、あれはセスカ、とかいったか
Dans La Nuit:こんなところで何をやっているのだ、セスカ
セスカ・セトラージェ:……ん?#ダンの方を見遣り

セスカと呼ばれた少女、噴水の縁に座っていた、は、呼ばれた方向に
緩慢な動作で目を向ける。
目を細める、焦点をあわせるように。

Dans La Nuit:レンゾか?
Dans La Nuit:おかしな動きをしていたが、大丈夫か、あれ
セスカ・セトラージェ:……アナタは……ええと、確か……ダン、だったかしら
Dans La Nuit:ああ、ダンだ。
Dans La Nuit:ああ、そうだ、セスカ。
Dans La Nuit:封筒を見なかったか?
セスカ・セトラージェ:……封筒?
レンゾ・アヴァタノ:うん? だれかオレを呼んだ様な……
レンゾ・アヴァタノ:……そんなワケないよな、この季節のオレはいつだって孤独さ(ヨヨ
Dans La Nuit:左様。大切なもの……だと思うのだが、どうもみあたらなくてな。
Dans La Nuit:部屋を出るときには合ったのを確認したから、出歩いた範囲に
Dans La Nuit:落ちていると思うのだが……
セスカ・セトラージェ:いきなり訊かれても、ね……ふむ、落としたかも知れないと?
セスカ・セトラージェ:……どんな封筒?
Dans La Nuit:茶色の封筒だ
Dans La Nuit:紙で出来ていて、そうだな、大きさはこのくらいか#手で示す
セスカ・セトラージェ:ふむ、それらしきものは……ワタシは見ていないけれど……
Dans La Nuit:そう、か、や、すまなんだな。
セスカ・セトラージェ:……かわりに違うもの……いえ、人が見つかったわね
Dans La Nuit:ふむ?

セスカの視線。不幸な青年――レンゾ、くたびれた様に噴水の縁に腰掛ける。

レンゾ・アヴァタノ:はふーん……#ぼー
アクシア:……ずいぶんとチョロそうな男ね…フン#レンゾ/見て

ほうけたように座るレンゾを見て、何かを狙う目つきになる少女。
だが、そのほうけた男に近づく二人の女。

セスカ・セトラージェ:レンゾ。
レンゾ・アヴァタノ:へっ!? ぬわっ
レンゾ・アヴァタノ:どわわわっ
Dans La Nuit:レンゾ、か
セスカ・セトラージェ:……何をやっているの、レンゾ

唐突に声をかけられ、よほど驚いたのか、後ろに大きくのけぞる。
座るは噴水の縁。
後ろを支えるもの、無し。
大きくバランスを崩す、人工の重力に従い、自由落下運動。
水しぶき。

Dans La Nuit:……
セスカ・セトラージェ:……あ……
セスカ・セトラージェ:……
レンゾ・アヴァタノ:……
アクシア:あ……

硬直する三人の女。
あたりからは小さな笑い声、四方から。
哀れと思ったのか、自分の所為だと思ったのか、黙って手を差し出すセスカ。

Dans La Nuit:レンゾ、水浴をするには少々寒いのではないか?
レンゾ・アヴァタノ:な、なにやってるんでしょうねえ
レンゾ・アヴァタノ:うん、オレもそう思う
Dans La Nuit:ふむ、分かっているのにやるとは、儀式みたいなものか。
レンゾ・アヴァタノ:……まあ、そういうことにしとこ、へ、へ、へ
レンゾ・アヴァタノ:べーっくしっ
アクシア:ちょっと、どいてくださーい
Dans La Nuit:む
セスカ・セトラージェ:?

噴水から、セスカの手を借りて這い上がったレンゾに、新たなる不幸、少女の
容をした、が、襲来。
ぶつかり合う二人。
質量の法則により、弾かれて尻餅をつく少女。

Dans La Nuit:……
アクシア:いたたたた……
Dans La Nuit:大丈夫か、少女よ。
レンゾ・アヴァタノ:どわっ
セスカ・セトラージェ:……#くしゃみの真正面
レンゾ・アヴァタノ:な、なんだなんだ
アクシア:もぅ、あぶないじゃないですかぁ
アクシア:今度から気をつけて――あ
Dans La Nuit:そうだな、危ないな。
レンゾ・アヴァタノ:あ、すいません、セスカさん、てかさっきなんか当たったような
アクシア:大丈夫です。ありがとう#にこにこ
Dans La Nuit:??
アクシア:それではまた
Dans La Nuit:ふむ
アクシア:#ぺこり
セスカ・セトラージェ:ん……こういうときは……あ
Dans La Nuit:なん、だったのだろう
セスカ・セトラージェ:……レンゾ、メセタカードは無事?
レンゾ・アヴァタノ:さあ、なんでしょうね
レンゾ・アヴァタノ:うあ? カード?#がさごそ
アクシア:フン……案の定、トランサーにロックはかかってない…と

レンゾ、ナノトランサーだけではなく、ポケットの中も検索。
ナノトランサーにはロックがかけられるが、取り出すたびに解除するのを億劫がって、
ロックをかけないものも少なくない。
いま、慌てふたむいているいる男のように。

レンゾ・アヴァタノ:へ、へ、あれ?#ごそごそ

検索速度――二倍

アクシア:残高は……へぇ…
アクシア:結構あるじゃない。

遠くでにんまり少女。

Dans La Nuit:どうしたのだ?
レンゾ・アヴァタノ:ない……
セスカ・セトラージェ:やれやれ……
Dans La Nuit:ふむ
Dans La Nuit:レンゾも落し物か
レンゾ・アヴァタノ:カードがなああああああいっ
セスカ・セトラージェ:スられたのよ、さっきの子に。
Dans La Nuit:実は私も封筒を落としてしまってな。
Dans La Nuit:探しているところなのだ。
Dans La Nuit:すられた??
レンゾ・アヴァタノ:むお、そうなんですか
Dans La Nuit:なんかの名前か?
レンゾ・アヴァタノ:ってこっちも非常事態だ!
セスカ・セトラージェ:……平たく言うと盗まれた、ね
レンゾ・アヴァタノ:あの金がないと、年がこせないですよっ
Dans La Nuit:ふむ。
セスカ・セトラージェ:ぶつかったフリをして……スリの常套手段よ
アクシア:……って、なにやってンさアタシ。
レンゾ・アヴァタノ:ぐおおおおお、あの女の子かああああ
Dans La Nuit:やれやれ
アクシア:バッカみたい…。#はあ
Dans La Nuit:あの少女も探す必要が出てきたようだな。
セスカ・セトラージェ:失せ物は……探せば探すほど深みにはまるものだから
レンゾ・アヴァタノ:っと、そっちは封筒でしたっけ
Dans La Nuit:ああ
セスカ・セトラージェ:気を付け……ないと……
Dans La Nuit:このくらいの大きさの封筒でな
レンゾ・アヴァタノ:どんな封筒なんですか?
レンゾ・アヴァタノ:ほほう
レンゾ・アヴァタノ:ま、普通の封筒ですね
Dans La Nuit:ああ#うなづく
セスカ・セトラージェ:#周囲きょろきょろ
Dans La Nuit:まぁ、まずは少女をさがすとするか
Dans La Nuit:逃げられないうちに、な。
レンゾ・アヴァタノ:うっし、じゃあさっきのガキ探しがてら探しますか
セスカ・セトラージェ:さて、何処へ行ったやら……
Dans La Nuit:そうだな……
レンゾ・アヴァタノ:わかんないときは闇雲に探すッ
レンゾ・アヴァタノ:うおおおおおっ
Dans La Nuit:非効率的だが、しかたあるまい
セスカ・セトラージェ:……ま、考えても解らないときはそうするしかないけれどね
レンゾ・アヴァタノ:#殺気だった表情で走り出す
レンゾ・アヴァタノ:オレの生活費ィィィッ

あまり裕福とはいえないレンゾ。
それで無くとも家賃や光熱費の支払いが近いのだ。
恋人はともかく、正月を飢えと寒さを友に過ごしたくは無いだろう。

Dans La Nuit:ふむ
Dans La Nuit:レンゾはやる気だな
レンゾ・アヴァタノ:と封筒ッ
セスカ・セトラージェ:……そりゃあ、まあ、お金がなければ生活もできないしね
レンゾ・アヴァタノ:いねええええ、どこだああああ
レンゾ・アヴァタノ:#キョロキョロ
Dans La Nuit:まったく、金というのは厄介なものだな
セスカ・セトラージェ:……そんなに大声を張り上げて探し回ったら
セスカ・セトラージェ:向こうに気付かれるわよ、レンゾ。
Dans La Nuit:ん?
Dans La Nuit:みつけたぞ

勢い良く走り去ったレンゾだったが、エレベーター前にたたずむ少女を
ダンはすぐに発見した。

レンゾ・アヴァタノ:うおおおおおお#聴こえてない
セスカ・セトラージェ:……#肩すくめ
レンゾ・アヴァタノ:むお!?
アクシア:ホント、バカねぇ……あれ#ククク
Dans La Nuit:少女よ
アクシア:あ
セスカ・セトラージェ:……っと……あぁ、あれね
Dans La Nuit:ふむ、このようなところにいたのか
アクシア:あ、あの、なんでしょうか?
レンゾ・アヴァタノ:どおおこだあああ#ダッシュ
Dans La Nuit:レンゾの奴は何をやっているのだ……
セスカ・セトラージェ:……さっき、彼から盗ったものを返しなさい#レンゾを指し
レンゾ・アヴァタノ:ぜーはーぜーはー、くそ、いねえな
アクシア:え? 盗ったもの?
アクシア:な、ななな、なんのことでしょう?
Dans La Nuit:ああ
Dans La Nuit:レンゾ、困っていたぞ
レンゾ・アヴァタノ:お、ダンさんがあんなところに。向こうの首尾を聞いてみるか……
アクシア:#おろおろおろおろおろおろオロオロオロオロオロオロオロオロ
セスカ・セトラージェ:……
レンゾ・アヴァタノ:おーい、そっちはどう……っていたあああっ
Dans La Nuit:レンゾ、何をやっている。少女がいたぞ。

少女を見つけるや否や、すばやく少女に近づき、体ごとつかむレンゾ。

アクシア:わっ
アクシア:うっそ……ヤ
レンゾ・アヴァタノ:お、お、お、お……
アクシア:きゃあああああああああああああ#絶叫
レンゾ・アヴァタノ:はぁ、はぁ、はぁ、へ?
アクシア:た、助けて……私、私殺されちゃう!!!!
セスカ・セトラージェ:……レンゾ。その格好では、まるでアナタが襲っているかの様だわ
アクシア:は、離して!! 離してください!!
レンゾ・アヴァタノ:え、え、なに、何この展開?
Dans La Nuit:たしかし、事情を知らぬものがいたら、そうみえなくもないか
セスカ・セトラージェ:……えぇ

腕でもつかめばいいのに、見境がなくなっている所為であろうか。
傍から見れば、逃げられぬようにと押さえつける暴力男、逃げられぬ可愛そう女。
人が多く集まっているこの時期のこと、何事かと集まる人、人、人。

アクシア:もう貴方にはコリゴリなんです!! だからもぅ、自由にして!!
アクシア:#涙目
Dans La Nuit:……
セスカ・セトラージェ:……やれやれ
レンゾ・アヴァタノ:……ちょ、なんスかこの超展開
アクシア:あ、あの……お願いします。警察を呼んでください!!
レンゾ・アヴァタノ:えー!?

悲痛な少女の叫び。
応え――有り。
人だかりの中から、六十は超えていると思われる――だが体格の良い老人が、
飛び出し、一喝。

老人:なんと言うことだ、コロニーの風紀がここまで腐っているとは!
老人:おい、そこのおとこ、そこになおれ!
アクシア:ぅぅ……ぇっ…ぇ…ひく…
レンゾ・アヴァタノ:え、ちょ、なにこれ!?
老人:おお、おお、可愛そうに、お嬢ちゃん、いまワシが助けて
老人:しんぜよう!
アクシア:はい!! お願いします!! 私……私、これ以上はもぅ……
レンゾ・アヴァタノ:いや、落ち着いてくださいよ、オレはこの子に財布を……
レンゾ・アヴァタノ:ちょ、なんすかその殺気だった眼!

老人は黙ってナノトランサーから武器を取り出す。

レンゾ・アヴァタノ:街中でのフォトンウェポン使用はあああああっ!!

レンゾの悲痛な叫びをよそに、”鞘”から刀身を抜き放つ老人。
クリスマスツリーに取り付けられたライトを反射――瞬く鋼鉄の刀。

レンゾ・アヴァタノ:ってあれ? フォトンじゃ……
老人:フォトンはつかっておらぬ。
セスカ・セトラージェ:……
アクシア:うっわ……やるこの爺ィ#ぼそ
レンゾ・アヴァタノ:いやいやどっちにしても命の危険に変わりネエエ
老人:流石はワシの息子。このような事を想定してこのようなものを
老人:つくっておったのじゃな……
セスカ・セトラージェ:#背後からこっそりあくしに接近
アクシア:ちょ……ヤダそんな…どこ触ってるんですか!!!
レンゾ・アヴァタノ:いやちょっとまってじいさん、あのね、これにはふかーい訳が
レンゾ・アヴァタノ:へ、ってああごめん#手を離す
老人:言い訳か
アクシア:#後ろを見る
アクシア:……チッ
レンゾ・アヴァタノ:いいわけじゃねええぇぇ!
レンゾ・アヴァタノ:オレが! この子に!
レンゾ・アヴァタノ:メセタカードすられたの!
老人:ふむ?
アクシア:ひどい!! 私なにをしてない!!
アクシア:ぁドンッ
アクシア:#
アクシア:#ごそごそ

事態についてゆけず、刀を構えたままレンゾと少女を交互に見やる老人。

セスカ・セトラージェ:……#手早く自分と端末を接続し
レンゾ・アヴァタノ:なんもしてないなら、荷物全部見せろよ!
レンゾ・アヴァタノ:オレのカードを持ってるのはわかってるんだから!
アクシア:ん、いいわよ、わかったわよ!!
アクシア:そこまで言うなら……
セスカ・セトラージェ:……ん#様子見
アクシア:それで貴方から逃げられるのならそうするわよ!!
アクシア:#脱ぎ
レンゾ・アヴァタノ:ちょ、なにそれ
老人:まつのだ、お嬢ちゃん!!!!
レンゾ・アヴァタノ:って何脱いでんだよあんたああああ
アクシア:……そのかわり…見つからなかったら
アクシア:……出るところ出てくださいね#きっ
老人:やはり貴様は許せぬ悪漢のようじゃな!
アクシア:#脱ぎ
レンゾ・アヴァタノ:いやまてじいさん! はやまるな! オレ無実だから!
レンゾ・アヴァタノ:てかアンタもぬぐなよおお!
アクシア:私だって無実だもん!!
レンゾ・アヴァタノ:ウソつけ! ていうかウソ芝居思いっきりはいってるじゃねえか!
レンゾ・アヴァタノ:大体キミとは初対面だろ!
老人:む、むぅ
アクシア:……まだ…脱がなきゃダメですか#上目づかい/涙目/gZ
アクシア:#キッ
レンゾ・アヴァタノ:オレの知り合いにこんな老獪な嬢ちゃんはいねえよ!

アクシア?:「フン、チョロいチョロい……」
呟く様な小さな声。

アクシア:?
老人:む、チョロいじゃと?
レンゾ・アヴァタノ:む、何今の呟き
レンゾ・アヴァタノ:この子の声だよ、な
アクシア:え?
アクシア:私、そんな事言ってない!?
レンゾ・アヴァタノ:……ほら! やっぱり騙そうとしてるんじゃないか!

アクシア?:「ホント、バカばっかりでやりやすいわ……」
セスカお得意の声帯模写。
機械を使った声の合成――抑揚までも再現。

レンゾ・アヴァタノ:聞いたでしょ、じいさん! ね? ね?
老人:う、うむ、しかし……
アクシア:だから――違っ!!
アクシア:じ、じゃあ
アクシア:そこの貴方、もう一度カードないかどうか
アクシア:確かめてみなさいよ!!
レンゾ・アヴァタノ:ぇー、別に良いけど
アクシア:人にばっかり犠牲を強いて自分は傍観ってずるい!!
レンゾ・アヴァタノ:無かったら、間違いなく罪を認めるんだな?
アクシア:い、いいわよ。認めるわよ?
アクシア:#さっき戻してやったんだし…ボソ
レンゾ・アヴァタノ:よーし、その言葉に二言はないな! 見てろ!

何故かベルトに手をけるレンゾ。意味不明。

セスカ・セトラージェ:……
Dans La Nuit:……
アクシア:………

アクシア?:さっき戻してやったんだし
リピート。ただし少し大きな声で――セスカの秘密兵器。

老人:戻した、
老人:なにをじゃね?
レンゾ・アヴァタノ:な、なんだってー!?

驚くレンゾ、ずり落ちるズボン、湧き上がる笑い声。

アクシア:ぷっ……あははははは、なにあのバカヅラ。笑いがとまらないン
アクシア:ですけど!!
アクシア:あっはははははは
アクシア:あ……
レンゾ・アヴァタノ:……くっ#顔真っ赤にしながら平然を装ってズボンを上げる
老人:……
レンゾ・アヴァタノ:……
セスカ・セトラージェ:……とうとう墓穴を掘ったわね
セスカ・セトラージェ:それも、特大の。

慌てて口をふさぐ少女、口を押さえ狼狽す。

レンゾ・アヴァタノ:うーむ#ごそごそ
アクシア:………フン
レンゾ・アヴァタノ:たしかにさっき「戻した」っていったよね……あ、あった
レンゾ・アヴァタノ:これさあ、指紋調べたら君のがついてるんじゃない?
レンゾ・アヴァタノ:キミとオレが面識ないのは調べりゃわかることだしさ
アクシア:そ、そんな私……
レンゾ・アヴァタノ:……でるとこ、でてみる?
老人:そのほうがよいようじゃな。
アクシア:酷い……です……私がいったいなにを――
レンゾ・アヴァタノ:スリ#キパッ
老人:ワシも警察に用が会ってな。
レンゾ・アヴァタノ:ほう、おじいさんもですか、そいつぁ奇遇ですね
セスカ・セトラージェ:……逃げ道、潰しておいたから。#レンゾとダンに
レンゾ・アヴァタノ:あー、どうもすいませんね、セスカさん。助かります
Dans La Nuit:よくはわからぬが、すまぬな

これはまずいと思ったのか、少女――すばやく反転、全力でエレベータへ。
扉、開かず、激しく接吻――転倒。
セスカの秘密兵器その二――ハッキング。

レンゾ・アヴァタノ:てかなんですか、さっきの武器……実剣なんて珍しい
レンゾ・アヴァタノ:オレもグラール教の祭器で見たことあるくらいで
老人:ああ、息子がワシに贈ってくれたものでな
アクシア:な……なによコレ…
アクシア:ガッデム――#気絶
レンゾ・アヴァタノ:へえ……
老人:#鞘にゆっくりおさめる
レンゾ・アヴァタノ:ってアレ?
レンゾ・アヴァタノ:あの子どうしちゃったんだろ?
セスカ・セトラージェ:……今度は自爆、意外とあっけなかったわね
老人:思い切り扉にぶつかったようじゃが……
アクシア:#きゅ~
レンゾ・アヴァタノ: ははあ、なるほど
セスカ・セトラージェ:#視線だけは老人の武器を追いつつ
老人:まぁ、どうするね?
レンゾ・アヴァタノ:とりあえず……そうですねぇ
老人:警察に行くのなら、ワシも行くがの。
レンゾ・アヴァタノ:ま、オレとしてはカードが無事戻ってくれば別にどうでも良いン
レンゾ・アヴァタノ:ですけど
レンゾ・アヴァタノ:よっこいしょ、っと#少女を抱きかかえ
セスカ・セトラージェ:#エレベータのロック解除
老人:そうか。ワシのほうは拾い物だからの、落とし主が困ると
老人:いかんから、届けねばならぬ。
アクシア:ん……畜生……畜生…ちく、しょう……#寝言
レンゾ・アヴァタノ:このコ、頭打ったみたいだし
レンゾ・アヴァタノ:病院かどこかの医療機関につれてこうかと

自分にスリをはたらいた少女を病院へ――不幸なお人よし、レンゾ。

レンゾ・アヴァタノ:ふむ……
老人:そうじゃな、それがよかろうて。
レンゾ・アヴァタノ:ひろいもの? もしかしてこんくらいの封筒ですか?
老人:なんじゃ、落としたのはおぬしか?
レンゾ・アヴァタノ:#といってサイズを示す
セスカ・セトラージェ:#ダンに視線
老人:そそっかしい男じゃの。
レンゾ・アヴァタノ:へ? ああいや、違いますけど
老人:#レンゾに手渡す
レンゾ・アヴァタノ:知り合いが落としたらしくて
Dans La Nuit:む、それは……
レンゾ・アヴァタノ:あ、ダンさん、これこれ
Dans La Nuit:おお、それだ
レンゾ・アヴァタノ:で、この人がその封筒を落とした人です#じいさんに
老人:ほぅ。そうか。いや、よかったの。
レンゾ・アヴァタノ:ダンさん、この人が拾ってくれてたみたい
Dans La Nuit:うむ、感謝を、ご老人
Dans La Nuit:#老人はよいよい、というように軽く手を振る
老人:ん?
老人:いままできづかなんだが、そのシールドライン、おぬしら
老人:ガーディアンズか?
レンゾ・アヴァタノ: え、まあそうですけど
セスカ・セトラージェ:……まぁ、一応。
老人:ふむ。その子を病院につれていったあとでもよいから、
老人:ちょいと頼まれごとをしてもらえないかの
レンゾ・アヴァタノ:あ、ええ。構いませんよ
セスカ・セトラージェ:ワタシはまぁ……構わないけれど。
レンゾ・アヴァタノ:ダンさんは?
Dans La Nuit:うむ、封筒を見つけてくれた礼をせねばならないからな
Dans La Nuit:丁度よい
レンゾ・アヴァタノ:じゃあ決定だね
老人:ありがたい。
老人:ワシの名は、クニカネ・ユウホウ。
老人:クニカネ、のほうが姓じゃ。
ユウホウ:実は、今から十八年前、孫が何者かに誘拐されるという事件
ユウホウ:がおきてな……

遠くを見つめるように、老人――ユウホウは語りだす。

セスカ・セトラージェ:ふ、む
レンゾ・アヴァタノ:それは……
ユウホウ:いまだ見つかってはおらぬのだが……
セスカ・セトラージェ:……
ユウホウ:その一五年後、今度はその両親、つまり、息子夫婦が
ユウホウ:何者かに殺害されてしもうたのじゃ……
ユウホウ:#目頭を抑えつつ
レンゾ・アヴァタノ:む、むう……それはなんと言って良いか……
セスカ・セトラージェ:……#無表情のまま目を細め、老人を見つめる
ユウホウ:どうにも納得がいかぬでな、調べものをしていたのだが
レンゾ・アヴァタノ:ええ
ユウホウ:ワシの記憶が正しければ、ワシの人生のうち、二回くらい
ユウホウ:同じような事件がおきているはずなんじゃ
ユウホウ:二十年くらい前と、四十年くらいまえかのぅ、
レンゾ・アヴァタノ:同じような事件、というと……子供がさらわれて、その十数年後
ユウホウ:詳しくはわからぬが
レンゾ・アヴァタノ:その両親が殺される、と
ユウホウ:そうなんじゃ
レンゾ・アヴァタノ:ふう、む
ユウホウ:ガーディアンズなら、その手の事件をコンピュータかなにかに
ユウホウ:保存してるであろうから、しらべてほしくての
レンゾ・アヴァタノ:成る程……#セスカとダンを見
レンゾ・アヴァタノ:データの閲覧くらいなら何とか出来そう、かな
Dans La Nuit:うぅむ
セスカ・セトラージェ:いわゆる『平社員』の権限で
セスカ・セトラージェ:何処まで閲覧が許されるかは解らないけれど
レンゾ・アヴァタノ:あまり込み入った内容だと権限が無いから無理だけど
レンゾ・アヴァタノ:調査の名目ならある程度いけるんじゃないかな
Dans La Nuit:こんぴゅうたぁの操作は、おぬしらに、まかせた
セスカ・セトラージェ:……その気になれば、少々強引なことも出来るけれど
アクシア:………エレベーターのロックを掛けた人間がなに言ってるのよ
レンゾ・アヴァタノ:そりゃ、ニ国間問題レベルの事件とかなら話は違うだろうけど
レンゾ・アヴァタノ:って、起きた
セスカ・セトラージェ:あら、お目覚めね
ユウホウ:あまり無理はせんでもいい、出来る範囲でかまわぬよ
アクシア:#レンゾに抱えられながらセスカ/睨む
レンゾ・アヴァタノ:じゃ、オレたちの権限が及ぶ範囲で、ってことでいいのかな
セスカ・セトラージェ:#無視
ユウホウ:ああ。それでかまわぬ。
アクシア:……フン
レンゾ・アヴァタノ:オーケイ、わかったよじいさん。無理しない程度にやってみる
ユウホウ:すまぬの。何かわかったら、ここに連絡してくれ

ユウホウ、紙に連絡方法/記入、レンゾに手渡す――手を振って、歩き去る。

レンゾ・アヴァタノ:はい、っと。あ……いっちゃったか
レンゾ・アヴァタノ:まいったな、そのお孫さんの名前とか聞いときたかったんだが
アクシア:……アンタさぁ、なんだかんだ言って厄介事抱えるの好きね
Dans La Nuit:さて、と。で、レンゾ。その抱えてるものはどうするつもりなのだ
レンゾ・アヴァタノ:おお、そうだった
セスカ・セトラージェ:……ついでに、こちらの名前も言いそびれたわね#溜息
レンゾ・アヴァタノ:あれだけ盛大に頭打ったんだし
レンゾ・アヴァタノ:あ、そういやそうか。名乗ってなかった
アクシア:ん。まさか開かないなんて思わなかったからね。
Dans La Nuit:む、そうだったな
セスカ・セトラージェ:ま……連絡手段はあるのだから、何とでもなるわよ
Dans La Nuit:まぁ、後で名乗ればよかろう。
レンゾ・アヴァタノ:病院……はお金かかるし、ガーディアンズの施設にするか
アクシア:……いいわよ。放っておけば治るわよ。
セスカ・セトラージェ:……見上げたお人好しね#レンゾ見て呟く
レンゾ・アヴァタノ:依頼の手続きやら調査やらせにゃいかんし
アクシア:ほら、そこの#通路の脇指差し
レンゾ・アヴァタノ:……いや、お人よしというか頭打ってるじゃないですか
アクシア:投げ捨てといてくれれば勝手に動き出すわ。
レンゾ・アヴァタノ:ん、何
Dans La Nuit:ふむ。
レンゾ・アヴァタノ:なーにいってんの、ヒトを投げすれるわけ無いじゃん
セスカ・セトラージェ:そうだけれど、それよりも盗みを働こうとしたという前提が――
セスカ・セトラージェ:……
セスカ・セトラージェ:まぁ……いいわ
アクシア:………うっわぁ、今時珍しいくらいのバカだわ…。
Dans La Nuit:散々な評価だな、レンゾ。
レンゾ・アヴァタノ:……うん……
アクシア:……ま、普通はアンタの言うとおり、だよね
レンゾ・アヴァタノ:ま、まあなれてるからいいや
アクシア:#肩すくめ
レンゾ・アヴァタノ:とりあえず本部に行こう
セスカ・セトラージェ:別に、悪く言ったつもりはないわよ
セスカ・セトラージェ:……ただ……疑問だっただけで#ボソ
Dans La Nuit:そう、だな。
セスカ・セトラージェ:そうね
レンゾ・アヴァタノ:ん? なんかいいましたセスカさん
セスカ・セトラージェ:独り言よ
レンゾ・アヴァタノ:はあ
Dans La Nuit:ま、ゆくとするか
アクシア:……お好きにどうぞ
レンゾ・アヴァタノ:だね……っこいしょっと#抱きかかえなおす
アクシア:#抱えられながら、器用に肩すくめ
Dans La Nuit:変わった二人だな
レンゾ・アヴァタノ:ああ、翌朝筋肉痛になるかも……
セスカ・セトラージェ:……#溜息
アクシア:ちょ――どういう意味よそれ――って、そこなにそのため息!?
レンゾ・アヴァタノ:ふう、疲れた
Dans La Nuit:あのくらいで。鍛え方がたらないのではないか、レンゾ。
レンゾ・アヴァタノ:う……精進します
セスカ・セトラージェ:なんなら、代わってもいいわよ?

人が一杯クリスマス前のコロニー。
お姫様抱っこをする騎士様、レンゾ――平然。
お姫様抱っこされるお姫様、少女――顔が紅潮――何かに耐えるように。
人ごみの中をガーディアンズ本部目指し進む姫様ご一行――到着。

アクシア:………あれだけの人に見られてよく耐えられたわねアンタ
レンゾ・アヴァタノ:人前で恥をかくのにはなれててね、おかげさまで
アクシア:……今年最後の拷問だったわ
セスカ・セトラージェ:……だったら自分で歩けばいいのに……
レンゾ・アヴァタノ:まあいいや、で、医務室は、っと
アクシア:……動けないのよ#ぶつぶつ
レンゾ・アヴァタノ:おおついた、ここだな
レンゾ・アヴァタノ:#医務室前
アクシア:う゛っ……
Dans La Nuit:ぞろぞろと行ってもしかたないか。
レンゾ・アヴァタノ:ん? どうした?
Dans La Nuit:私は入り口で待っていよう。
Dans La Nuit:?
レンゾ・アヴァタノ:ん、わかった
アクシア:――――射、…い。
Dans La Nuit:どうした?
レンゾ・アヴァタノ:はい?
セスカ・セトラージェ:……
アクシア:な、なんでもないわよ!!
アクシア:んっ…と
Dans La Nuit:体に不調があるなら、無理しないほうがいいぞ
レンゾ・アヴァタノ:で、なんていったんです、セスカさん? 聴こえたでしょ
アクシア:ほら、もうぜんぜん平気だか――くたっ
レンゾ・アヴァタノ:おととととと
Dans La Nuit:大丈夫なようにはみえないが
レンゾ・アヴァタノ:全然平気じゃないな

セスカはナノトランサーから何かを取り出す。
ガラス製の円柱、片方にピストン。片方に金属製の針。
――注射器。
医療技術の発達から余り使われることのなくなった医療器具。
セスカの手――気づく少女。

アクシア:!!!
アクシア:きゃあああああっっ!!!
Dans La Nuit:どうしたのだ、一体
レンゾ・アヴァタノ:なんだなんだ
アクシア:#レンゾ背後/裾/しがみつき/震える
セスカ・セトラージェ:……こういうことらしいわよ?#注射器を弄ぶ
レンゾ・アヴァタノ:おいおい……なんか普通の怯え方じゃないね
レンゾ・アヴァタノ:ははぁ、なるほど
Dans La Nuit:ふむ。
アクシア:ちょちょちょ……仕舞いなよソレ!!!
Dans La Nuit:針か?
セスカ・セトラージェ:#溜息一つ、注射器を仕舞う
Dans La Nuit:それなら私ももっているぞ
アクシア:……ふう
レンゾ・アヴァタノ:ダンさん、またおっかないものを……

ダンが懐から数本の針――五十cmはあるかと思われるそれを針と呼んで
良いならば――を、取り出し、見せる。

アクシア:ったく、なんて性悪女なんだか…
セスカ・セトラージェ:……前にも、似た様な台詞を聞いた覚えが……
アクシア:って――
Dans La Nuit:む、セスカも持っているではないか。
アクシア:……
レンゾ・アヴァタノ:ま、注射器というより、暗器の類だよねコレ
セスカ・セトラージェ:……それは、何に使うの#針を見つめて
セスカ・セトラージェ:武器?
Dans La Nuit:そうだ。毒を塗って使う。
アクシア:………あ#口パクパク
セスカ・セトラージェ:……毒って、アナタ
レンゾ・アヴァタノ:或いはニューデイズに伝わる体に針を刺して体調を整える民間医療
レンゾ・アヴァタノ:って毒ってなんですかドクって!
Dans La Nuit:ふむ。
Dans La Nuit:知らないのか。
レンゾ・アヴァタノ:しらんわっ

少女、たまらず倒れる。

Dans La Nuit:……
Dans La Nuit:あ
セスカ・セトラージェ:……あ
レンゾ・アヴァタノ:あ、また倒れた
Dans La Nuit:ふむ。
Dans La Nuit:迂闊であった。
レンゾ・アヴァタノ:とほほ、結局かつぎ込むことになるので
Dans La Nuit:針が嫌いなようだったのにな。
レンゾ・アヴァタノ:よいしょ、っと#抱え
Dans La Nuit:#仕舞う
セスカ・セトラージェ:嫌いというか……
セスカ・セトラージェ:恐怖症のレベルね、これは
アクシア:うう……畜生…畜生…ちく、しょう
アクシア:#寝言?
Dans La Nuit:……昔なにかあったのかな
Dans La Nuit:とにかく、レンゾ。医者に見せてもらったほうがよかろう。
レンゾ・アヴァタノ:うーん、うわごと行ってるし、とにかく医療班に預けよう
セスカ・セトラージェ:重ければワタシが運ぶわよ?
レンゾ・アヴァタノ:はいりますよー#入室
セスカ・セトラージェ:ま、大丈夫か……
レンゾ・アヴァタノ:いや、流石に男が手ぶらで女の人にかつがせるのは見栄えがね
セスカ・セトラージェ:ふむ、そんなものなのね……
モス:ん、どこかわるくしたのかな?

Drモス。かなりの腕を持ちながら、大手病院には勤めず、ガーディアンズの
医療スタッフとなった変わり者。

レンゾ・アヴァタノ:えーと、ちょっとこの娘さん見て欲しいんですけどー
レンゾ・アヴァタノ:頭を強打したみたいで
モス:ああ、わかった。底に寝かせてくれ。
レンゾ・アヴァタノ:かくかくしかじか、というわけなんです
モス¥:そうか。ではスキャンをかけてみよう。
レンゾ・アヴァタノ:お願いします
Dans La Nuit:#医者は寝かせた横にある機器を操作し、スキャンをかける
セスカ・セトラージェ:さて、結局なし崩し的に、全員で来てしまったけれど……
モス:う~む、異常は無いが有る、といったところか
セスカ・セトラージェ:……どっち?
レンゾ・アヴァタノ:へ? どういうことですかそれ
モス:ヒトの細胞は、成長するにつれ、少しづつではあるが、
モス:劣化していくのはわかるよな?
レンゾ・アヴァタノ:ええ、まあ。おかげさまで最近からだの節々が……
セスカ・セトラージェ:ええ
モス:この子の細胞レベルは、新生児のそれに近い。
レンゾ・アヴァタノ:ははぁ#判ってない
セスカ・セトラージェ:――ふむ
モス:つまりだ、細胞自体は赤子のように新しいのに、体はここまで
モス:バランスを崩している状態だな。
レンゾ・アヴァタノ:……#判ります? という顔つきでセスカをみる
モス:ふむ、まぁ、普通ではない、といえるよ。
セスカ・セトラージェ:……まぁ、理屈は、ね#呟きで返す
レンゾ・アヴァタノ:成る程#ちっとも成る程という感じではない顔つきで
モス:まぁ、きわめて危険というわけではないが……
レンゾ・アヴァタノ:んまあ、つまり、すっごい若々しいからだなんですね
モス:そういうことだ。
レンゾ・アヴァタノ:セスカさんと同じじゃないのかなあ……#ぼそ
セスカ・セトラージェ:それは、人為的な現象? それとも……
セスカ・セトラージェ:#かすかに好奇の色をたたえた目
モス:そこまでは分からないが、自然でこうなったって例は、
モス:俺はしらないな。
レンゾ・アヴァタノ:ふう、む
レンゾ・アヴァタノ:ま、いいや。というか悩んでもどうしようもない
レンゾ・アヴァタノ:ひとまず、頭のほうに以上はなかったんですよね?
モス:ああ、そっちは問題ない。
レンゾ・アヴァタノ:ほっ
モス:さてと……
モス:ひとまず様子を見ることしか、俺にはできないな
アクシア:……#ぱちくり
モス:下手に薬物投与もでき……気が付いたか。
セスカ・セトラージェ:ふむ……
レンゾ・アヴァタノ:うーん、ですよね
アクシア:……#ぽー
モス:#手をかざす
モス大丈夫かね?
アクシア:……ん?
モス:意識はあるかい?
アクシア:ここ……どこ? 私…なにヤッてる訳?
アクシア:?
モス:ここはガーディアンズの医療室。頭を打った君をしらべていた
モス:ところだ。
セスカ・セトラージェ:……ドクター、言い忘れたわ
モス:ん?
アクシア:頭……
セスカ・セトラージェ:この子はどうやら、極度の先端恐怖症の可能性があるから
セスカ・セトラージェ:それだけ、気を付けておいて頂戴。
アクシア:ああ。そういえば、言うだっけ……
アクシア:あ…

起き上がろうとする少女。
だが、力なく、ベッドに倒れる。

モス:そうか。まぁ、皮膚浸透式の薬剤投与方法もあるし、注射器等
モス:つかわなくても……と、だいじょうぶか?
モス:しばらく休んでいたほうがいいだろう。
アクシア:ん……眠い
モス:そうか。寝ていてもかまわないよ。
アクシア:ん……大丈――夫。こんなもの……慣れ…て……
アクシア:#すーっ すーっ
モス:ふむ、寝たか
レンゾ・アヴァタノ:寝ちゃいましたね
モス:まぁ、あとは任せて、といっても俺に出来ることもそうはないが
セスカ・セトラージェ:ふぅむ……
モス:ま、容態が変わったら知らせるよ。
レンゾ・アヴァタノ:じゃ、お願いします、ドクター
モス:ああ。
セスカ・セトラージェ:知らせる……とはいっても
セスカ・セトラージェ:別に、知り合いというわけでもないのだけれど……
セスカ・セトラージェ:そもそもこの子、何処の何者なのかしらね
レンゾ・アヴァタノ:うーん
モス:なんだ、一緒に仕事した仲間ってわけじゃないのか
レンゾ・アヴァタノ:いや、まあ、仕事には関わってきた、のかな
レンゾ・アヴァタノ:彼女が居なかったら今からやろうとしている仕事は回ってこなかっ
レンゾ・アヴァタノ:ただろうし
モス:登録名はアクシア、となってるな。
レンゾ・アヴァタノ:……へ?
モス:本名かはしらないがね。
セスカ・セトラージェ:……ガーディアンズなの、この子?
レンゾ・アヴァタノ:だった、ですねえ
モス:だから、てっきり仕事で怪我したのかともったんだが
レンゾ・アヴァタノ:はあ、まあある意味それならここにつれてきても問題ないわけだ
モス:まぁ、そうだな。仕事以外でも、施設は利用できるからね。
セスカ・セトラージェ:やれやれ、ガーディアンズがねぇ……
レンゾ・アヴァタノ:いやはや、いろんなのが居ますねえガーディアンズには
モス:まったくだな
レンゾ・アヴァタノ:んじゃ、彼女に変わったところがあったら一応オレたちに連絡下さ
レンゾ・アヴァタノ:い。まあなにができるわけじゃないけど
モス:ああ、そうしよう。
モス:それは俺も一緒なんだがな。まぁ一応しらべてみるか……
レンゾ・アヴァタノ:お願いします――んじゃお二人とも、とりあえず行きますか
モス:ああ、じゃぁな。
セスカ・セトラージェ:そうね
モス:#医者は端末に向かって調べ者を始める
Dans La Nuit:うむ、そうしよう。
Dans La Nuit:とりあえず、こんぴゅうたぁを使わせてくれるように
Dans La Nuit:たのめばよいのだな?
レンゾ・アヴァタノ:ですね、受付に依頼の仔細を報告して許可を貰いましょう
Dans La Nuit:うむ、ではいくか
セスカ・セトラージェ:OK
受付:いらっしゃいませ……あ、レンゾさん
レンゾ・アヴァタノ: やあどうもどうも
レンゾ・アヴァタノ:実はかくかくしかじかで、資料室を使わせてもらいたいんだけど
レンゾ・アヴァタノ:いいかな?
受付:はい、かまいませんよ
レンゾ・アヴァタノ:ありがとう……んじゃ早速行きますか#二人を見て
Dans La Nuit:うむ、行こう
Dans La Nuit:さて……
Dans La Nuit:こういうカラクリは苦手ゆえ、おぬしらに任せる
レンゾ・アヴァタノ:オーケイ#ジャケット脱いで腕まくり
レンゾ・アヴァタノ:ってえか相変わらずかび臭いなここ
Dans La Nuit:そうだな
セスカ・セトラージェ:……何もそんな力まなくても。
レンゾ・アヴァタノ:なんだよいまどき紙媒体の資料って

数十世紀前、人類が発明した記録媒体、紙
フォトンリアクターによる半永久機関の出現で、株を奪われたものの、
やはりまだあるところにはあるのである。

レンゾ・アヴァタノ:ま、今回はそっち見なくてもよさそうだけど
Dans La Nuit:ふむ
セスカ・セトラージェ:やれやれ、端末は無いの?
レンゾ・アヴァタノ:さーて、と、端末は、っと
レンゾ・アヴァタノ:ああ、ありました。てか、皆ほんとに使ってないな
Dans La Nuit:難しいからだな、きっと
レンゾ・アヴァタノ:ほこり被ってるよ――んしょっと#電源オン
レンゾ・アヴァタノ:ええと、まずは……

低いうなり声。
空中に浮かび上がる文字。
「Now Loading」
一瞬の間。
「Ready」
「検索条件を入力、または発言してください」

レンゾ・アヴァタノ:ひとまず、当時の新聞の記事でも見てみますか
レンゾ・アヴァタノ:概略を確認するために
レンゾ・アヴァタノ:うーん、そうだなあ……
セスカ・セトラージェ:彼の言っていたのは……確か
レンゾ・アヴァタノ:誘拐事件ですよね、まず
セスカ・セトラージェ:二十年前と四十年前、だったかしら?
セスカ・セトラージェ:同種の事件が起こっているのは。
レンゾ・アヴァタノ:ええ、そんなこといってましたね
Dans La Nuit:そうであったな
セスカ・セトラージェ:さて、子供の誘拐事件、だけでは
セスカ・セトラージェ:とんでもない数が出てきそうだけれど……

そこまでレンゾが言った所で、扉をたたく音が聞こえる。

Dans La Nuit:ん?
レンゾ・アヴァタノ:その後、その両親が殺害された、ということを付け足せば相当
レンゾ・アヴァタノ:絞り込めますよね
レンゾ・アヴァタノ:って?
Dans La Nuit:あいているぞ
セスカ・セトラージェ:そう……ね#ドアを見遣り
アクシア:ん……
アクシア:くさっ…
Dans La Nuit:アクシア、だったか。もう動いてよいのか?

入ってきたのは先ほどまで倒れていた少女、アクシア。
埃とカビの匂いに顔をしかめつつも、物珍しげに見回し、三人に近づく。

レンゾ・アヴァタノ:おろ
アクシア:ん、だから言ったでしょ。捨てておけばそのうち動――って
セスカ・セトラージェ:寝たり起きたり、忙しい子ね
アクシア:なんでその名前知ってンのよ、アンタ?
レンゾ・アヴァタノ:だねえ
アクシア:……フン。
Dans La Nuit:同じガーディアンズなのだろう?
レンゾ・アヴァタノ:で、検索条件だけど、さっきのやつでいいよね
Dans La Nuit:う、うむ
Dans La Nuit:まかせる
アクシア:好きで寝ている訳じゃないわよ
アクシア:?
レンゾ・アヴァタノ:オーケイ、「子供が誘拐され、その後その両親が殺害された事件
レンゾ・アヴァタノ:それに関する資料」
レンゾ・アヴァタノ:さあて、なにがでてくるかな、っと
アクシア:ふぅん……本当に調べてあげてるんだ
アクシア:殊勝な事で#肩すくめ

点滅するランプが、ネットの世界にアクセスしていることを知らせている。
検索結果が並ぶ中、ひときわ目立つキーワード。
「クリスマスの神隠し」

レンゾ・アヴァタノ:そりゃ仕事だから、って
レンゾ・アヴァタノ:なんじゃこりゃ?
Dans La Nuit:む?
レンゾ・アヴァタノ:クリスマスの神隠し、だって
セスカ・セトラージェ:ふむ……#閲覧
アクシア:それなんて映画よ。
アクシア:ともかく……開いてみたら?

「二十年前後の間隔でクリスマスの前日に子供たちが誘拐され、
「誘拐されだ子供の両親が、その十数年後、必ずといってよい
「ほど殺害、乃至は自己によって死亡する事件の俗称。
「記録では、数世紀前から確認されている

アクシア:ふぅん……
レンゾ・アヴァタノ:そんなのあるんだ――なんか都市伝説みたいだな
レンゾ・アヴァタノ:っておいおい
セスカ・セトラージェ:これは……
アクシア:映画かと思ったら……本当にあった事なんだ
セスカ・セトラージェ:……ふむ、偶然、では片付けられそうにないわね
レンゾ・アヴァタノ:ですねえ
Dans La Nuit:ふむふむ#よくわかってない
アクシア:けど……偶然じゃない、と過程しても
アクシア:手掛かりがないんじゃない?
セスカ・セトラージェ:では……
セスカ・セトラージェ:それらの事件のうち、結末、あるいは解決に至ったものは?

コンピュータの応え、簡潔。
「0件

アクシア:ふぅん……
アクシア:じゃあ
アクシア:被害者の身体的、ないし社会的境遇において共通する事柄を
アクシア:挙げてみて頂戴#端末に

「被害者に対する共通点は無し。ただし、誘拐された子供は
「すべてが二歳前後である。

レンゾ・アヴァタノ:ふうん、ということは、だ
レンゾ・アヴァタノ:あの爺さんのさらわれたお孫さんって、今ハタチくらいなのかな
レンゾ・アヴァタノ:18年前、とかいってたし
Dans La Nuit:そうなる、な。
アクシア:ふぅん
Dans La Nuit:まぁ生きていれば、なのだろうが。
アクシア:ちょっと失礼
レンゾ・アヴァタノ:ま、そうなんだけどさ
アクシア:#端末に直接
アクシア:クニカネ・ユウホウ#打ち込む

「通称クリスマスの神隠しの事件に巻き込まれたと思われる
「クニカネ・ドウセツの実父。
「現在67歳。無職。

アクシア:?
アクシア:じゃあ、クニカネ・ドウセツ、は?

「元ヨウメイ社社員。フォトンの武器がほとんどを占める現在、
「鋼鉄製の刃物にこだわり、周囲をあきれさせたが、完成した
「”刀”に、周囲を驚かせた人物。
「十八年前、娘であるクニカネ・ユイが誘拐
「三年前 妻のエリカ・クニカネとともに何者かに殺害された。

アクシア:……
セスカ・セトラージェ:……クライアントのことが、なにか?#アクシアに
アクシア:ん、手かがりがなさすぎるじゃない。
Dans La Nuit:たしかに、な。
アクシア:こちらの持つカードはそれがすべて、どんな意味を持つのか
Dans La Nuit:まぁ、それゆえにあのご老人も困っていたのだろうが。
アクシア:知っておかないとね。
セスカ・セトラージェ:……#アクシアを見つめる
アクシア:……まさかこんな形で狸の寝入りが功を奏するなんてね
Dans La Nuit:む、そうであったのか
レンゾ・アヴァタノ:つーかなんでキミがこの件に首突っ込んでるのさ?
アクシア:……アンタがずっと視線はしらせてなきゃ、私はとっくに逃げおお
Dans La Nuit:ふむ、そういわれてみるとそうだな。
アクシア:せてハッピーだったんだ……ったく#セスカ睨む
セスカ・セトラージェ:……ワタシを睨まれても、ね#流す
アクシア:……アンタ、受付で資料室借り受ける時になんて言ったのよ
アクシア:#レンゾに。
Dans La Nuit:ん?#視線をレンゾに向け
レンゾ・アヴァタノ:え、なんて、って普通に
アクシア:普通に、なによ
レンゾ・アヴァタノ:ふ、普通は普通じゃないか!
アクシア:どーせ任務で必要だとかなんだか
アクシア:天然でボケた事言ったんじゃないの?
レンゾ・アヴァタノ:ボ、ボケって
レンゾ・アヴァタノ:いや実際必要だろ!? 調査の依頼なんだから
アクシア:……
アクシア:んじゃ、もう一つ
アクシア:資料閲覧の許可が降りたのはアンタ、それとも複数?
レンゾ・アヴァタノ:そりゃ複数だけど――
アクシア:……じゃあ、トドメ。
アクシア:任務受諾する際に形式として結成されたパーティ
アクシア:確認してみなさいな。
アクシア:……なんで私がいるのよ。
レンゾ・アヴァタノ:……1,2,3、4人居ますね
レンゾ・アヴァタノ:……さあ?
Dans La Nuit:ふむ。
Dans La Nuit:まさか、れんぞ、アクシアを抱えるときにまちがって登録したのか
アクシア:……あのヤブ医者といいヘボ受付といい、そして――
レンゾ・アヴァタノ:……ぇー……
アクシア:#セスカ睨む
アクシア:………ホントにとんだ厄日だわ#はあ
セスカ・セトラージェ:……ねえ、どうしてワタシはこうあの子に敵意を向けられるの?
セスカ・セトラージェ:#ダンとレンゾに
レンゾ・アヴァタノ:ま、まあいいじゃないの! 袖触れ合うも何かの縁、一緒に頑張ろ
レンゾ・アヴァタノ:う! はっはっはっはっは、はは……は
Dans La Nuit:どう、なのだろうな
Dans La Nuit:ふむ。そうだな。がんばろう。
アクシア:……努力じゃなくて結果、でしょ…
Dans La Nuit:ところで、情報はこのくらいでよいのかな
セスカ・セトラージェ:……まぁ、別に、この子が
セスカ・セトラージェ:ワタシを睨もうと、いつの間にか依頼に首を突っ込んでこようと
セスカ・セトラージェ:大して不都合は感じないから、問題は無いわね
Dans La Nuit:ふむ。
レンゾ・アヴァタノ:そういう問題なのだろうか……
レンゾ・アヴァタノ:まあいいや
アクシア:首を突っ込んだんじゃない!! 突っ込まされ――
アクシア:……って、そうね
レンゾ・アヴァタノ:……兎に角
アクシア:愚痴よりも結果だわ…
レンゾ・アヴァタノ:ここにもこれ以上の情報はなさそうだよなあ
Dans La Nuit:そう、だな。
アクシア:クニカネ・ユイの2歳以降の生存記録は?
レンゾ・アヴァタノ:結局迷宮入りの事件なわけだし

「クニカネ・ユイの存否は不明

レンゾ・アヴァタノ:ま、そりゃそうだな。誘拐されたんだし
アクシア:ふぅん……
レンゾ・アヴァタノ:んー、まあ、いきてりゃあ20歳くらいの女の子、ユイちゃんね
レンゾ・アヴァタノ:画像ってある?#端末に

表示される写真。
ドウセツと思われる男、エリカと思われる座った女。
膝の上には小さな女の子、恐らくユイ。

アクシア:ん。
レンゾ・アヴァタノ:……ふうん、奥さん美人だな
アクシア:#端末にデーターをおとす。
Dans La Nuit:ふぅむ。
アクシア:・
アクシア:?
アクシア:なに、どうしたの
Dans La Nuit:いや、なんでもない。
アクシア:ふぅん……
レンゾ・アヴァタノ: ふむ、しかし、写真見てもあまり参考にならんかな
アクシア:とりあえず、他に調べることは?
レンゾ・アヴァタノ:女は化けるしなあ
Dans La Nuit:まぁ、持っていて損はあるまい
レンゾ・アヴァタノ:だあね
セスカ・セトラージェ:この写真を元に、20歳のクニカネ・ユイの顔写真を
セスカ・セトラージェ:合成してみる、ということも出来なくはないだろうけれど……
Dans La Nuit:ほぅ
セスカ・セトラージェ:……まぁ、確実性は薄い、か
アクシア:再現率の問題ね。
レンゾ・アヴァタノ:食生活でも顔つき変わるでしょ? ちょっとね
セスカ・セトラージェ:あくまでも、予測しうるパターンの一つでしかないし、ね
Dans La Nuit:赤子だしな、映っているのは
アクシア:ええ
レンゾ・アヴァタノ:せめて成長期に入ってりゃあなあ
セスカ・セトラージェ:そう、ね……
レンゾ・アヴァタノ:ま、おかあちゃんが美人だし、なかなかの美人さんにそだってる
レンゾ・アヴァタノ:こたぁまちがいなさそうだな、がっはっは
セスカ・セトラージェ:……
Dans La Nuit:ふむ。そうなのか。
レンゾ・アヴァタノ:……ま、生きてればなんだけど#真顔に戻って
アクシア:……ドウセツ、エリカの死去原因と、ドウセツの剣としての
アクシア:腕前は?
アクシア:これで最後。

「ドウセツ自身は、剣を握ることは無かった模様。
「死因は頸部切断による出血多量死

アクシア:ふぅん…
レンゾ・アヴァタノ:うへぇ
セスカ・セトラージェ:首筋を一撃、か……
アクシア:……殺人じゃない、それ。
セスカ・セトラージェ:スマートなような、そうでもないような……
セスカ・セトラージェ:何とも言えない殺し方ね
レンゾ・アヴァタノ:つうかなんで親を殺す必要があるんだ?
アクシア:親?
レンゾ・アヴァタノ:や、同一犯じゃない可能性もあるけど……まあ共通項がありすぎる
レンゾ・アヴァタノ:し、そうじゃない可能性は低そうだが
アクシア:……やっぱり、その推論にいきつくわよね。
レンゾ・アヴァタノ:ん、親。誘拐が目的ならかろうじてわかるんだけど
レンゾ・アヴァタノ:その親を十数年たってから殺す必要が良く……
セスカ・セトラージェ:とはいえ、数世紀前から続いているというのが……どうにもね
セスカ・セトラージェ:少なくとも、個人の仕業とは思えないわね
レンゾ・アヴァタノ:数世紀続いているということはつまり、個人の所業ではない
レンゾ・アヴァタノ:だね
アクシア:そう、ね。
レンゾ・アヴァタノ:――まあ、キャストならありうるかもしれないんだが
セスカ・セトラージェ:まあ、ね
アクシア:数世紀……ね。
レンゾ・アヴァタノ:気の長い話だよ
Dans La Nuit:……
レンゾ・アヴァタノ:ってあれ?
セスカ・セトラージェ:?
Dans La Nuit:ん、どうした
レンゾ・アヴァタノ:この事件って20年周期でおきてるんだよね
アクシア:その長い時間を支えるのは……支えてきたのは一体なにかしらね
アクシア:#肩すくめ
レンゾ・アヴァタノ:前の事件が18年前ってことは
アクシア:ん、そうね。
レンゾ・アヴァタノ:ぼちぼち……?
Dans La Nuit:また、起こる、ということか
アクシア:そう、ね。
レンゾ・アヴァタノ:可能性はありそう
セスカ・セトラージェ:……なるほど、周期を考えると
セスカ・セトラージェ:確かに、ね
アクシア:……
Dans La Nuit:ふむ……
セスカ・セトラージェ:さて……引っ張り出せるだけの情報は手に入れたと思うし
アクシア:そうね
レンゾ・アヴァタノ:だなあ
セスカ・セトラージェ:クライアントからは、ひとまず調査を頼まれただけだったけれど
セスカ・セトラージェ:どうしたものかしら、ね
Dans La Nuit:とりあえず、報告をすればよいのではないかな
レンゾ・アヴァタノ:もしまたこんな事件が起こるとするなら、止めたいけどね
Dans La Nuit:ふむ。そういうものか
レンゾ・アヴァタノ:そりゃあ、そうだよ
アクシア:それをするならまず、20年前後において幼児が浚われたケース
レンゾ・アヴァタノ:子供が居なくなっちゃうなんて悲しいじゃないか
アクシア:すべてを調べる必要があると思うけど?
セスカ・セトラージェ:……
レンゾ・アヴァタノ:う……
Dans La Nuit:まぁ、ともかく
セスカ・セトラージェ:……まずは、仕事をしましょう。後のことはそれからでも
セスカ・セトラージェ:遅くはないわよ
レンゾ・アヴァタノ:オレたちガーディアンズは、もともと依頼に基づく警察権しか
レンゾ・アヴァタノ:付与されてないんだよね、依頼が無ければ力を行使できないし
アクシア:そうね。
Dans La Nuit:まずは今、依頼された仕事を完了させたほうがよくはないかな
アクシア:ん。
セスカ・セトラージェ:まぁ……
セスカ・セトラージェ:正直、この種の事件の『防犯』には
セスカ・セトラージェ:不向きなシステムであるとは言わざるを得ないわね
レンゾ・アヴァタノ:ガーディアンズは事後の処理しかできないんだよなぁ
アクシア:コレでカタがつく話なら、手っ取り早いんだけどね……

アクシアはすばやく銃を取り出し、構え、仕舞う。

Dans La Nuit:そう、だな。武器では解決しないことも有るか
レンゾ・アヴァタノ:ま、ダンさんのいうとおり、とりあえず今の仕事をカタしてしまお
アクシア:残念だけどね#肩すくめ
レンゾ・アヴァタノ:う。じいさんに報告だ
セスカ・セトラージェ:OK
アクシア:アンラッキーだと思ってあきらめましょ
アクシア:オーケィ。
Dans La Nuit:うむ、そうしよう
アクシア:……って、なんでいつのまにこんな事に#ぶつぶつ
アクシア:…厄日だわ。
レンゾ・アヴァタノ:全くオレも厄日、へ、へ、へ
レンゾ・アヴァタノ:へくしっ
レンゾ・アヴァタノ:うーさぶ#ぶるぶる
Dans La Nuit:む、風邪か
アクシア:悪口でも言われてる?
セスカ・セトラージェ:……さっき噴水に落ちてそのままだったからでしょ
レンゾ・アヴァタノ:うん……こりゃさっさと体あっためて寝たほうが良いかな
アクシア:ああ、なるほど――――ぷっ、くくく
セスカ・セトラージェ:帰りに医務室で薬を貰ってきたら?
アクシア:あははははは
セスカ・セトラージェ:ワタシのを、あげてもいいけれどね
レンゾ・アヴァタノ:ああ、そうす……ってなんだよ
アクシア:なにって――アンタ、コメディアンの才能あるんじゃない? 
Dans La Nuit:では、報告をして、早めに帰るとするか
アクシア:くっ、ははははは――あー、腹痛い
レンゾ・アヴァタノ:そんな才能要らないよぉ。もっとこう、実用的な才能が欲しいんだ
レンゾ・アヴァタノ:けど……
アクシア:思い出したら涙出てきたわ#くっくっく
レンゾ・アヴァタノ:笑いすぎだっつの!
アクシア:えー
Dans La Nuit:ふむ
アクシア:……って、まあ、そう、ね。面倒ははやく片付け……
Dans La Nuit:たのしそうだな
レンゾ・アヴァタノ:ぐー、もおいい。とりあえずドクターにクスリもらってこ
Dans La Nuit:そうだな、それがよい
セスカ・セトラージェ:……人を笑わば穴二つ、よ。アクシア。
セスカ・セトラージェ:……#首傾げ
レンゾ・アヴァタノ:声荒げるだけで疲れるわ実際
アクシア:#手すり/握り/堪える/笑い
セスカ・セトラージェ:……ちょっと、違ったかしらね。まぁいいわ
アクシア:#ピタ
アクシア:……
Dans La Nuit:さて、レンゾも倒れてしまわないうちに、戻ろう
レンゾ・アヴァタノ:ずず、うむ
Dans La Nuit:この部屋は寒ししな
アクシア:ん、そうね。
レンゾ・アヴァタノ:じゃ、受付で調べ物終わった旨を報告して、と
Dans La Nuit:ああ
レンゾ・アヴァタノ:終わりましたー

受け付け:「お疲れ様です。それでは、クライアント側にデータを送信
受け付け:「しますね
レンゾ・アヴァタノ:ありがとう、宜しく
受け付け:「はい、終了しました
受け付け:「依頼料を確認してください。

アクシア:え
レンゾ・アヴァタノ:ん、ああ。……
アクシア:#端末確認
セスカ・セトラージェ:#確認
レンゾ・アヴァタノ:#同じく

一人頭一〇〇〇メセタ。
レンゾたちのガーディアンズランクを考えれば妥当ともいえるが、
たかが調べ物にしては多すぎる。

レンゾ・アヴァタノ:……ちょ、おおくね?
アクシア:#口笛
Dans La Nuit:ふむ、そうだな
セスカ・セトラージェ:……調べ物一つにしては、少々……ね
レンゾ・アヴァタノ:ま、もらえるモンはありがたく頂戴するけどさ
Dans La Nuit:そうだな
アクシア:なァにヘタな勘ぐりしてんのさ
アクシア:#背中、ドン/レンゾ
Dans La Nuit:よし、終わったし、もどるとしよう。
Dans La Nuit:レンゾも体に気をつけて名
レンゾ・アヴァタノ:うん、あんがと#ずずず
セスカ・セトラージェ:……ま、お大事に。
レンゾ・アヴァタノ:じゃあ、オレ、ドクターに薬貰って帰るわ
Dans La Nuit:そうか、きをつけてな
アクシア:ん、お大事に~
Dans La Nuit:私も戻るとしよう
Dans La Nuit:では、な。
レンゾ・アヴァタノ:んじゃな~へくしっ
レンゾ・アヴァタノ:#医務室へテクテク

謎が残るばかりが残ったユウホウの依頼。
「クリスマスの神隠し」
クリスマスまで、間も無く。
一抹の不安だけが、残された。
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