※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

平成18年 事例Ⅱ 写経

①B社は、テニススクールを関東地区の某都市の郊外で20年前に始めた。その後、関東地区で事業を拡大し始め、現在では関西地区も含め、全国で7事業所(校)を持つようになった。特徴的なことは、すべての事業所が3面の屋内(インドア)コートで運営されていること、鉄道の最寄駅より徒歩5分圏内に立地していることである。資本金は4,500万円であり、現在の売上高は14億円正社員50名、契約社員8名、アルバイト220である。従業員の採用職種は、正社員がインストラクターとフロントスタッフ、契約社員がインストラクター、アルバイトがインストラクターとフロントスタッフとなっている。テニス経験がなくても、フロントスタッフとして採用されている。アルバイトは大学生が中心となっており、受験難関校に通う学生が多く、補助のインストラクターとしてテニス指導を行う場合、給与はレッスンフィー(担当レッスン数)制となっている。

②B社の基本的事業は、テニスクラブおよびテニススクールの企画運営、テニスインストラクターの養成・派遣、テニスイベントの企画運営、テニス用品の販売である。


③インストラクターの中には、プロを目指す者や、トーナメントや各種の大会に出場している者もいる。実際に、全国レベルや各地の大会で優秀な成績を収めている社員も多い。B社はそれを積極的にサポートしている。プレーヤーとして高いレベルへの挑戦を続けながら、インストラクターとしての成長を期待しているからである。


④テニススクールは、毎日900から2300まで1レッスン80分で行われている。基本的には、1クラス8名までは1名のインストラクターが担当し、8名を超えた場合には、補助のインストラクター(通常はアルバイト)が付くようになっている。しかし、それでも1クラス定員の上限が12である。


テニススクールでは、さまざまなレベルの顧客に対し、それぞれの技量とニーズに合わせた指導を行っている。その中でも、特に「初心者にテニスを楽しんでもらおう」ということを大きな目標としている。クラス編成としては、「入門」、「初級」、「初中級」、「中級」、「上級」の5クラスがあり、それとは別に小学生以下と中学生以下の各ジュニアクラスがある。


⑥レッスン実施に当たっては、週1回、12週が1クールとなっている。受講生はインストラクターと相談の上、認定されれば、1クール終了後に上のクラスへのレベルアップが可能である。レッスンを受講するためには、まずスクール会員としての入会金が必要である。それ以降は1クールごとの受講料を、月払いで毎月銀行口座から引き落としで納めることとなっている。ちなみに、B社の料金は、他の大手テニススクールより若干高く設定している。


⑦B社の会員は現在約8,000名であり、すべてスクール会員である。スクール会員は、会員権がステータスを意味する高級テニスクラブの会員とは違って、高額な入会金を預託金として支払う必要はない。近年、多くの高級テニスクラブは、実際のプレー人口が減ってテニスコートの稼働率が低くなり、経営が悪化しているものが多い。B社は、スクールの空き時間には会員だけにレンタルコートの提供もしており、稼働率が非常に高い。また、会員が出張や転勤などの際、別な事業所でもクラスに空きがある限り、同レベルのクラスでレッスンを受講できる制度が用意されている。なお、全事業所で、テニスラケットとシューズは無料レンタルとなっている。


⑧最近、大手のテニススクールが近隣に開設し始めてきた。大手のテニススクールはB社に比較して料金は低めに設定してある。しかし、コートは全天候型ではあるが屋外である。また、1クラスの人数も20名を超えて設定している

⑨B社では、それぞれのクラスの担当インストラクターが、イベントの企画も義務付けられていて、毎月1回の企画運営会議で、全社員が企画を出し合うことにより、1クールごとのイベントを決定し、各事業所でそれを独自に実施している。クリスマスパーティーなどの季節ごとの行事や、サーブによる的当てなどテニスを楽しむことを中心としたゲーム、あるいは受講生の技術向上のための合宿を含めた集中レッスン、受講生のトーナメント開催などがイベントとして実施されている。これによって、受講生同士の親睦や、受講生と従業員の一体感の醸成を図り、B社との絆を深めようとしている

⑩B社のプロモーションは、新聞の折り込みチラシと口コミが主であり、他にホームページが作成されている。B社のホームページは、各事業所のホームページとリンクし、一般向け、会員向けに作成されている。一般向けには、無料体験レッスン、入会金無料あるいは半額割引などのキャンペーンについての広告もある。会員向けには、特に会員の声を大事にするために、会員番号をIDとして自由にブログに書き込めるようになっている。なお、各事業所には会員が使用できるリラックスルームにパソコンが置いてあり、自由にインターネットを楽しめる状態になっている。

⑪さらには、テニス用品の会員への割引販売、受講料の家族割引、家族会員数に応じた無料レッスン券やレンタルコート割引券の配布を行っている。また、託児ルームにおけるレッスン中の幼児一時預かりを行い、母親安心してレッスンに集中できるような体制を全事業所において整えている。そのほかに、各種イベントに使用できるミーティングルームや、学校の下校途中にスクールに通う小中学生が宿題や勉強が出来るように自習室も用意されている。中には休憩中の学生インストラクターなどに、ちゃっかり勉強を教えてもらっている生徒もいる。各事業所の周辺には、学習塾の数も増えており、学習塾とB社スクールの両方に通っている生徒も多い休憩時間に受講生の親同士で交わされる会話も、子供の進学問題が話題の中心となっている

⑫順調に業績を伸ばしてきた各事業所ではあるが、最近、新規会員獲得が伸び悩み始めてきた。各地域においてマーケットが飽和しつつあるものと経営者は判断している。

⑬あるときB社の経営者は、テニススクールの需要拡大だけではなく、新規事業として学習塾を始めようと考え、長年経営支援を受けている中小企業診断士に相談することにした。

参考:インドア・託児ルーム・学習塾・・「ノアインドアテニススクール」
http://www.noahis.co.jp/index.html

1問(配点20点)

B社が現在行っているマーケティング戦略について、大手テニススクールに対する差別化のポイントは何か。30字以内で4あげよ。

2

サービス生産と消費は、基本的に同時に行われるので在庫ができず、そのままでは需要の変動を吸収するのは難しいとされている。ただし、これを解決する方法もある。B社はどうような方法を採用しているのか。60字以内で説明せよ。

3

B社の経営者が新規事業として学習塾を考えるに当たって、自社の経営資源を分析した。経営資源には、有形資源無形資源とがあるが、B社の各々の経営資源について学習塾の経営に生かせるものは何か。有形資源を(a)欄に、無形資源を(b)欄に、それぞれ30字以内で3つずつあげよ。

4

B社が新規事業として学習塾を行う場合、どのような差別化戦略が考えられるか。そのポイントを30字以内で3つあげよ。

5

B社の経営資源を生かした新規事業として、学習塾の他にどのようなものが考えられるか。具体的に1あげて100字以内で説明せよ。