FFX(韓国次期フリゲイト計画)


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▼現代重工業が初期に検討していたFFX-2000案。ウルサン級フリゲイトをタイプシップとして、艦対空ミサイルやヘリコプター搭載能力を付与した拡大改良型[9]。
CGは[9]に掲載。

▼『国防日報』において韓国海軍が公表したFFXのCG。初期の概念案の1つ。

▼FFXの情報ネットワーク概念を表わすCG図。

▼ソウル・エアショー2007で三星タレス社が公開したFFXのCG

▼(上)韓国国防部公式サイトに掲載されたFFX概念図(第一次基本設計案に相当)
(下)軍事情報サイト「e MILITARY NEWS」が作成したFFX概念図(第二次基本設計案に準拠)[9]

▼2009年10月21~24日にかけて釜山で開催された「BEXCO KORMARINE-2009」で展示されたFFX最終設計案に基づく模型[13][14]。上の図と比べると、対艦ミサイルが4連装×4に増加、上図には無いフィンスタビライザーやハル・ソナーが装備されているのが見て取れる。CIWSはファランクスに変更されている。

▼一番艦「仁川」[17]。対艦ミサイルは4連装2基となり、煙突直後には3連装短魚雷発射管が搭載されている。

性能緒元(最終設計案)
基準排水量 2,300t(韓国海軍公式サイトより[12]。2,500t説も有る[11]。)
満載排水量 3,100t(これより少ない可能性あり)
全長 114.0m
全幅 14.0m
喫水 4m
主機 CODOG 2軸
GE LM2500ガスタービン 2基(58,200馬力)
MTU 20V 956 TB92ディーゼル 2基(5,940馬力)
速力 32kts
航続距離 4,500nm/18kts
乗員 145名

【兵装】
対艦ミサイル SSM-700K「海星」 / 4連装発射筒 2~4基(#FFG-811は2基)
魚雷 K745「青鮫」324mm短魚雷 / Mk32 3連装発射管 2基
Mk45 mod4 62口径127mm単装砲 1基
近接防御 RIM-116B RAM Block1 / Mk49 21連装発射機 1基
  ファランクスBlock1B型20mmCIWS 1基
搭載機 AW159ワイルドキャット哨戒ヘリコプター 1機

【電子兵装】
3次元対空レーダー SMART-S MK2 1基
火器管制レーダー CEROS 200 1基
航海レーダー 1基
戦闘システム (三星タレス社が開発)  
ECMシステム SLQ-200(v)K SONATA  
ソナー (STX造船社と三星タレス社が共同開発)  
IRST (三星タレス社が開発) 1基
魚雷デコイ SLQ-261K 2基
チャフ・フレア発射機 「ダゲ」システム
データ・リンク・システム Link11 韓国海軍戦術指揮統制システム(KNTDS)
Link-16 JTIDS
衛星通信用レドーム 1基

FFXは、現在韓国海軍の近海用艦艇の主力となっているウルサン級フリゲイト及びドンヘ級コルベットポーハン級コルベットの後継として計画されている新型フリゲイト。ウルサン級の後継艦ということで「ウルサンI型/ウルサン バッチ1型」という呼称も存在する[9]。

【開発経緯】
1970年代から80年代に建造されたドンヘ・ポーハン級コルベットは1,000tクラスの小型戦闘艦で、北朝鮮境界線の哨戒を主な任務として建造されたため行動半径が小さく、外洋での行動にも制限があった[13]。また2,000tクラスのウルサン級フリゲイトは水上戦闘用の装備は充実していたが、対空ミサイルとしては就役後に搭載された「ミストラル」携帯対空ミサイルしか持たず、搭載しているレーダーも長距離探知能力は限定的で、経空脅威に対する対処能力には限界があった[13]。また、これらの艦艇は21世紀初頭には艦齢が20年以上になり、ウルサン級は構造上の問題や過酷な運用(沿岸警備を主任務としていたが、無理にリムパック参加などの遠洋航海を行った)事などから老朽化が進んでおり、上部構造物に亀裂が発生するなどのトラブルが生じていた事から、早期の更新が望まれていた[13]。

これら既存の韓国海軍のフリゲイト・コルベットの後継として計画されたのがFFXであり、1998年10月から「ウルサンI型/ウルサン バッチ1型」の名称で企画検討が開始。その後、2001年7月から2002年2月にかけて概念設計が行われ、同年7月には要求性能が確定され、2006年10月から現代重工業との間で基本設計の契約に調印し、第一次基本設計作業が開始された[9]。

概念設計の時期には、2002年の第二次延坪海戦などの北朝鮮との警備艇同士の砲撃戦が発生していた事から、海軍内部では沿岸警備における様々な脅威に対応した能力の高い哨戒用艦艇が必要であるとの認識が高まっていた[9]。しかし、この時期、韓国海軍ではドクト級ドック型揚陸艦(LPX)セジョン・デワン級イージス駆逐艦(KDX-III)ソン・ウォンイル級潜水艦(KSS-II/214型)などの外洋艦隊むけの艦艇整備計画を進めていたが、これらの艦艇は多額の建造費用を要することは明白であった[1]。さらに、これらの艦艇を運用するには多数の乗組員を必要としていたが、韓国では若年人口の減少に伴い今後海軍艦艇に必要とされる人材の確保が難しくなっていく事が予想されていた[1]。

これを受けて韓国海軍では、ウルサン級フリゲイトドンヘポーハン級コルベットなどの旧式で排水量の割には多くの乗員を必要とする艦艇を退役させて、高性能な沿岸警備用艦艇や広範囲の領海を警備可能な哨戒ヘリコプターのような省力化された新たな装備を沿岸警備の主力とするという計画を立案した[1]。FFXは、この省力化された高性能な沿岸警備用艦艇に当たる存在であり、有事には外洋艦隊にも配属されて、その戦力を補完することも想定された。

しかし、機動艦隊計画やその母港として済州島に新たに軍港を建設するなどの大規模投資に海軍予算の多くが回されていたため、沿岸警備用艦艇に割ける予算は限られていた(注:この外洋艦隊整備計画は、2008年の李明博政権の成立後見直しが行われ、大幅に規模を縮小する事になった)。FFXは、既存のフリゲイトやコルベットを更新して、韓国海軍の第一、第二、第三艦隊に複数艦を配属して、領海やEEZ(排他的経済水域)の哨戒、沿岸部での対艦・対潜哨戒任務の中核を担うことが想定されており、最低でも12~15隻、できれば24隻以上の建造が必要であると見込まれていた[9]。

韓国海軍の外洋化に対応した沿岸警備戦力の整理再編という考えから出発したFFX計画であるが、韓国海軍ではFFXに具体的にどのような装備を施すのか、その要求性能やFFXが対処する脅威の選定に悩む事となった。限られた予算内で、できる限りの数を必要とするという前提条件はFFXの設計における大きな問題であった。そのため、韓国海軍ではFFXについては可能な限りの装備の共通化・国産化を進め、コストの削減に努めることを設計陣に求めた[9]。その一方で、ウルサン級よりも対空能力を強化、潜水艦探知能力の向上のため能力の高いハル・ソナーと対潜ヘリコプターを装備、対地・対水上攻撃能力強化のため127mm艦載砲を搭載、既存艦艇に比べて大幅な能力向上が求められた[9]。

現代重工業では、初期段階ではウルサン級をタイプシップとしてヘリコプター運用能力を持たせるなどの改良を施したFFX-2000という構想を立案していたが、海軍の上記の要求を受けてより大型で外洋活動も可能な汎用フリゲイトとしてFFXの設計を進めることとなった[9]。

【FFX第一次基本設計案】
現代重工業で行われたFFX第一次基本設計案は2007年初めには完成して、同年3月から4月にかけて海軍の審査を受けた[9]。

FFXの初期構想では、前述したように、平時は領海警備を主とするが、有事の際には機動艦隊に編入され外洋艦隊の戦力を補完することが想定されていた。単なる沿岸警備任務だけでなく、外洋艦隊でも運用可能な能力を兼ね備えるとなると、洋上での長期間の活動を前提として航続距離の延長や船体の大型化が必要であり、対空・対潜能力は沿岸警備任務で必要とされる水準よりも大幅に強化する必要性が生じる。第一次基本設計案は、これらの要求を反映した内容となっているのが特徴である。

第一次基本設計案では、FFXの船体規模は全長124m、全幅14m、喫水4mとされた。これは1998年に就役を開始したクァンゲト・デワン級駆逐艦(KDX-I)(全長135.5m、全幅14.2m、喫水4.2m)に迫るサイズであり、更新対象であるウルサン級フリゲイト(全長102m、全幅11.5m、喫水3m)よりもはるかに大型化している[9]。排水量も基準2,500t、満載3,100tとウルサン級よりも約1,000t増加。船体の大型化は、兵装の強化や将来の発展性、外洋での活動に必要とされる航洋能力の確保などの要求に応じた物であったが、海軍内部では既存のウルサン級やポーハン級の航洋能力は沿岸での作戦任務であっても限界があると認識していたため、船体大型化による航洋性能の向上は高い支持を受けた[9]。外洋での活動を前提としたFFX第一次基本設計案では、長期の外洋活動を可能とするため限られた艦内スペースの中で出来る限りの乗員生活空間の確保が求められたため、艦の施設・装備の自動化を進めることで省力化を図り、搭乗要員を削減して一人当たりの所要空間を得る方針が採用された[9]。

FFX第一次基本設計案では、船体の大型化と並んでステルス性に配慮した設計が全面的に採用されたのも特徴として挙げられる。ステルス性への配慮は、外洋任務において徹底的にRCS(Radar Cross Section:レーダー反射断面積)を小さくする事で、生存性を高めようという意図によるものであった[13]。第一次基本設計案では、艦内スペースを確保するのに有利な中央船楼首型船体を採用しており、RCS値削減のため多くの装備は艦内に収納され、乗員通路も大半が艦内に配置された[9]。上部構造物は4層で構成されており、第二甲板の前端にはRAM近接防空システムが、第二甲板後端には20~30mmクラスのCIWSを搭載。艦首に搭載された艦砲と第二甲板との間は8m程離れているが、ここは将来的に垂直発射装置(VLS)の装備を可能とするスペースとされた[9]。

船体と上部構造物にはいずれもステルス性に配慮して3~5度の傾斜角が付けられている。傾斜角の組み合わせは、船体はV字型で第一甲板から逆V字型になっている。この方式は重量軽減や工作費用、荒天時の安定性には不利であったが、ステルス性の向上と艦内スペースの確保という点では効果があるとされた[9]。艦橋上部には光学/電子装置と射撃統制用レーダーが、その直後のマストには三次元レーダー、電子戦装備、赤外線暗視装置などが配置される[9]。

船体後部にはヘリコプター搭載用の格納庫と発着用甲板が設置された。発着艦用甲板の面積はクァンゲト・デワン級駆逐艦(KDX-I)に相当し15tクラスのヘリコプターが着艦可能な広さを確保したが、格納庫については全長20m程度であり中型以上のヘリコプターの格納は困難であった。この点については、海軍では排水量の増加を防ぐ止むを得ない措置であるとして了承した[9]。

兵装については、第一次基本設計案では完全に確定するには至らなかったが、76mm~127mm級の艦載砲×1、近接防空火器として20~30mmクラスの近接防空火器×1とRAM艦対空ミサイル用のMk49 21連装発射機×1、対潜用短魚雷、艦対艦ミサイル等が想定されており、将来的にはVLSを搭載して兵装を強化する事も検討されていた[9]。

【FFX第二次基本設計案】
現代重工業が提出したFFX第一次基本設計案は2007年の3月から4月にかけて海軍や会社での審査が実施された。海軍では、第一次基本設計案は高い能力を有している反面、建造費用も高騰するとして、建造費用の低減を中心として基本設計案の見直しを指示する結論を出した[9]。この決定を受けて、同年5月から6月にかけて策定されたのがFFX第二次基本設計案である[9]。

この第二次基本設計案では、FFXの任務に関する抜本的な見直しを前提とした設計変更が行なわれることとなった[9]。FFXは、単なる沿岸警備任務だけでなく、外洋艦隊でも運用可能な能力を兼ね備えるとしていたが、これが艦形の大型化とコストの増大を招く要因となったと判断され、外洋での活動という項目は要求から削除され、ウルサン級やポーハン級の代替艦として沿岸警備任務を主とすることが定められた。韓国海軍の方針転換により、FFXは外洋艦隊には所属せず、最初の構想通りに北朝鮮を睨んだ沿岸警備用艦艇として建造される事となった訳である。これに伴って、ステルス性に配慮した設計やウルサン級よりも対空能力を強化するといった要求についても、コスト削減が望まれた事により第一次基本設計案に比べると限定的な水準に留める事とされた。

FFXが沿岸警備中心に活動する当初の構想に回帰したことにより、対空兵装に関する要求も切り下げられる事になった[9]。沿岸部では外洋艦隊に比べて敵の対艦ミサイルなどの経空脅威に直面する可能性は低く、かつ沿岸部の複雑な地形を利用して退避を行うことが可能であり、ステルス性向上に配慮した設計の採用により探知距離を短縮、電子妨害装置や近接防空火器により敵航空機や艦艇・地上発射式の対艦ミサイル攻撃にも対処し得るとされた[1]。これに伴って、初期構想では将来的に搭載が予定されていたESSM(発展型シースパロー艦対空ミサイル)とVLSは装備が見送られた。対空兵装の削減とは反対に、当初案の76mm艦載砲よりも射程・破壊力に優れたMk45 Mod4 127mm単装砲を搭載する事で、沿岸での対地・対艦攻撃能力を高めることも決定された[2]。

外洋での活動を想定しなくなった事によって必要とされる航続距離も減少したため、FFX第一次基本設計案に比べて船体の小型化が可能となった。コスト削減のため、将来VLS増設を予定していた区画が廃止され、船体のステルス設計を緩和することで工作費用を節約する事も決定された。長期に渡る外洋活動を想定しなくなったため、乗員の生活空間は沿岸での短期間の哨戒任務に必要な程度にまで削減され艦の自動化レベルも下げられた[9]。その代わり、沿岸警備任務で必要となる監視要員、戦闘要員、ダメージコントロール要員の増員が行われる事になった[9]。

FFX第二次基本設計案では、船体サイズは全長114m、全幅14m、喫水4mとされた[9]。これは第一次設計案よりも全長で10m短縮されている。ただし、満載排水量は3,100tのまま。第一次設計案では艦首部上方はステルス性向上のため逆V字型の傾斜が付けられていたが、設計変更により逆V字型の傾斜は廃止され、凌波性改善のため艦首部にはブルワークが設置された[9]。

上部構造物は第一次設計案よりも一段低い三層式とされ、艦砲と第二甲板の間に設置されていたVLS搭載用スペースは廃止された[9]。艦橋の位置は第一次基本設計案よりも前進し、艦橋前の第二甲板に配置されていたRAM発射機は艦橋上部に移設された[2]。第一次基本設計案ではステルス性に配慮して多くの装備が艦内配置されていたが、この点についてもコスト削減の観点から緩和され、ステルス性の観点から廃止されていた落下防止用の船体の手すりが復活し、通路の一部も開放通路とされた[9]。艦橋後部のマストは、コスト削減のためステルス性に配慮した設計の導入は見送られ、チュンムゴン・イ・スンシン級駆逐艦(KDX-II)のマストに似た設計に変更された。ただし、甲板が一段削減された事によりマストの高さも第一次設計案に比べて低くなった。これは、トップヘビー対策としては有効であったが、反面で洋上での最大探知距離が第一次基本設計案に比べて短くなるというデメリットを招く事になった[9]。

兵装については第一次設計案と基本的な変化は無い。ただし、VLSの搭載予定区画を廃止した事により、将来の兵装増設の余裕は失われている。第二次基本設計案におけるFFXの兵装は以下の通り。

対艦ミサイル SSM-700K「海星」 / 4連装発射筒 2基
魚雷 K745「青鮫」324mm短魚雷 / Mk32 3連装発射管 2基
127mm単装速射砲 1基
近接防御 RIM-116B RAM Block1 / Mk49 21連装発射機 1基
  ゴールキーパー30mmCIWS 1基
搭載機 スーパーリンクス哨戒ヘリコプター 1機

FFX第二次基本設計案での乗員定数は145名とされている[1]。これは排水量2180tで150名のウルサン級より5名しか減っていないが、原因はヘリコプター要員や対空システム要員が増加した事、沿岸警備任務に必要な乗員を増員した事、コスト削減のため自動化レベルを下げた事などが要因として挙げられる。韓国の軍艦は、西側先進国の水上戦闘艦艇と比べると省力化ではまだ難があるとされる[1]。徴兵制を取る韓国では海軍にも比較的潤沢に人員を供給できるという理由はあるが、軍艦の省力化には長期に渡る研究とシミュレーションが不可欠であり、この点において西側先進国の技術水準には差があることを表わしている。ただし、上述の通り沿岸哨戒任務では、監視要員や小火器の操作要員など一定数の兵員を必要としており、あまり無理な省力化は好ましくないという見解もある[1]。

【FFXの調達に向けた動向】
第二次基本設計案に基づく設計作業は2008年7月31日まで行われ、これを基にした詳細な設計作業や建造計画に関する契約交渉が2008年末までに行われ、同年12月26日、韓国海軍と現代重工業の間でFFX一番艦の建造に関する契約が調印された[8][9]。契約総額は、1,400億ウォンであり、2011年の竣工が予定されている[8]。韓国政府はFFXの開発と量産化のために1兆5000億ウォンを投資している。FFXの整備計画は、韓国海軍の艦艇整備方針の紆余曲折によって設計や整備方針がしばしば変更され、結果的に整備開始が遅れる事になってしまった。

FFXの建造は、三段階(FFX-I計画、FFX-II計画、FFX-III計画)に分けて実施される計画であり、2010年6月から第一次建造分FFX-I(次期フリゲイト第1バッチの略称。ウルサン-I型バッチ1型との呼称も有る)の建造に関する競争入札が行われる予定。なお、FFX-Iでは6隻が建造される計画であるが一番艦は既に現代重工業が落札しており,この入札では二~六番艦が対象となる。FFX-Iの一隻辺りの調達費用は5000億ウォン(この内、船体建造費用は1,500~2,000億ウォン)を想定しており、政府関係者によると年間2~3隻の建造ペースで、2020年までに最大24隻を建造する計画であるとの事。2010年2月24日、韓国国防部は防衛事業推進委員会を開催し、「ウルサン級バッチ1(FFX-I)」の建造計画を議決した[15]。現在、現代重工業で建造中のFFXネームシップは2012年までに韓国海軍に引き渡される予定であり、FFX-Iの残りの二~六番艦は今年8月に事業業者を決定し、2016年までに既存の鑑定を代替することになる。2300t級次期護衛艦(FFX)の建造費用は装備費込みで2,700億ウォンであることも明らかにされた。

韓国海軍の方針では、FFXやコムクスドリ型ミサイル艇(PKG)などの次世代沿岸用艦艇は、平時には北方限界線(NLL)周辺海域や韓国領海・EEZ内での哨戒活動、ホバークラフトや高速艇、潜水艦の沿岸部への接近を防ぎ敵偵察部隊の浸透を妨害する任務が付与されており、有事には領海警備、沿岸防御、沿岸部での制海権の確保、商船などの護衛任務、沿岸部での対潜哨戒任務などの任務が与えられる事になる[13]。FFXは、先進的なデータ・リンク・システムを装備しており、搭載ヘリコプターや哨戒機などとの連携が可能であり、搭載するRAMやファランクス20mmCIWS、電子妨害装置などを使用して、北朝鮮の対艦ミサイルの射程圏内においても一定程度の個艦防空能力を有している事から、従来のチャムスリ型戦闘艇(PKM-キロギ型)など経空脅威に対して脆弱な哨戒艇よりも運用の柔軟性が向上すると目されている。

【船体構造・機関】
FFXの基準排水量は2,300t満載排水量は3,100tで、船体サイズは全長114m、全幅14m、喫水4m。ウルサン級に比べて排水量で約1,000t増加しているが、コスト削減に伴う船体長の縮減や乗員区画の減少に伴い、艦内の乗員生活スペースはウルサン級と余り差の無いものになってしまった。

船体は中央船楼首型船体を採用しており、ある程度ステルス性を意識した形状になっているが、第一次基本設計案に比べるとステルス性への配慮は限定されたものになっている。詳細については上述の【FFX第二次基本設計案】の記述を参照されたし。機関はこれまで韓国海軍が多用してきた米GE製LM2500ガスタービン2基と独MTU製20V 956 TB92ディーゼル×2基から構成されるCODOG方式[13]。概念設計の段階では、先進的な電気推進方式も検討された[13]が採用には至らなかった。最高速力は32kts、航続距離は18ktsで4,500nm。

【戦闘システム・レーダー・ソナー・電子装備・データ・リンク】
これまで韓国海軍の戦闘艦は外国製の戦闘指揮管制システムを購入し技術導入を図ってきたが、FFXでは国内開発されたコムクスドリ型ミサイル艇(PKG)用のものを改良した国産システムを搭載する予定[13]。FFX用の戦闘システムは1,564億ウォンを投じて三星タレス社が2011年までに開発する計画。このシステムが艦の価格に占める割合は20~30%に達するといわれる。新戦闘システムは既存の民生品を積極的に利用したもので(COTS/Commercial Off-The-Shelf:開発済み市販製品)、将来システムを発展させる場合に備えて高い拡張性を有し、常に最新の技術を導入する事ができる[13]。

FFXの目標探知用センサーは主に艦橋構造物に集中して装備されている。艦橋前方航海レーダーとIRST(infra-red search and track system:赤外線捜索追跡システム)、RAM発射機を挟んでその後方にCEROS 200火器管制レーダー、直後のマストには三次元レーダー、電子戦装備、などが搭載されている。

3次元レーダーはコムクスドリ型ミサイル艇(PKG)用に国内開発したマルチビーム・レーダーか蘭タレス社製SMART-S Mk2のライセンス生産版、若しくは米ノースロップ・グラマン社製のSPQ-9B(AN/SYS-2対空対水上自動追跡システムと共に提案されている)のいずれかが搭載される予定だが、SPQ-9BはFMS(Foreign Military Sales:有償対外軍事援助)による直接輸入品となるので選定される確立は低い[13]。火器管制レーダーはコムクスドリ型に選定されたCEROS-200が装備され、電子光学追跡システムもコムクスドリ型用の国産開発されたものを改良して搭載する[13]。IRSTは三星タレスが開発を担当している。

ソナーは韓国STX造船社がタレス社と共同で新型のハル・ソナーを開発する予定[8][13]。ソナー本体は既製品を使用するが、送受信機とソナー・ドームをタレス社がFFX用に新規開発する[13]。デコイを含む対魚雷システムはADD(Agency for Defense Development:国防科学研究所)が高出力欺瞞信号処理技術を適用し、独自に開発中のSLQ-261Kが搭載される予定で、このシステムは敵魚雷を早期に探知して自動的に警戒態勢に入りデコイを発射する高性能のもの[13]。チャフ・フレア発射器はフランスのタレス社製で、脅威情報の探知・分析・発射を自動で行う事ができ、特にシー・スキミング型対艦ミサイルへの対処能力が優秀だという[13]。電子戦装備は外国製のものを導入すると性能や運用に規制が多いため、ADDが国内開発したSLQ-200(v)SONATAというESM/ECM統合システムを装備する予定[13]。

FFXは、韓国海軍の標準的な戦術データ・リンク・システムである韓国戦術指揮統制システム(KNTDS。Link11に対応。)と、新型のJTIDS(Link16に対応)を搭載しており、艦艇同士や海軍司令部、艦載ヘリコプターや哨戒機、空軍でLink16に対応しているF-15K戦闘機やE-737空中早期警戒機などとの間で、情報を伝達・共有することが可能[4][13]。


【兵装】
FFXは当初、韓国のWIA(World Industries Ace)社が開発した76mm速射砲を搭載することが計画されていた[13]。しかし、北朝鮮海軍警備艦艇との断続的な交戦での戦訓として、沿岸警備用水上戦闘艦艇の対水上、対地攻撃能力の強化が求められた事により、76mm砲よりも射程・威力に優れたMk45 mod4 62口径127mm砲(韓国でKMK-45の名称でライセンス生産されている)を採用する事が決定された[2]。Mk45の発射速度は毎分16~20発[6]と、WIA製やそのベースとなったOTOメララ社製76mm速射砲の毎分100発という発射速度にははるかに及ばないが、砲弾一発当たりの破壊力は76mm砲に比べて貫通力で3倍、爆発力では6~8倍に達しており、韓国海軍の推測では北朝鮮海軍の沿岸警備艦艇を127mm砲弾1~2発の命中で無力化できるとしている[5]。Mk45 mod4は通常砲弾で38kmの射程距離を有しており、北朝鮮の沿岸砲に対しても有効な打撃を与えることが可能。ただし、近年北朝鮮では沿岸砲の射程延長を行っており、射程が40kmを越えるM1989 170mm自走加農砲「コクサン」や60kmの射程を有するM1991 240mm自走ロケット砲を沿岸砲戦力として投入しており、これらの長距離砲・ロケットに対しては127mm通常砲弾では射程外からの攻撃は困難。韓国海軍では北朝鮮の沿岸砲を遠距離から無効化するためアメリカが開発中だった127mm砲用の射程117kmに達する長射程誘導砲弾ERGMの採用を希望していたが、ERGMが2008年3月に開発が中止された事によりその目論見は頓挫する事になってしまった[2]。

近接防御装備はRAM(Rolling Airframe Missile)Block1 と、 ファランクスBlock1B型20mmCIWSが搭載される[2][3]。RAM発射機は艦橋上部に、ファランクスCIWSはヘリコプター格納庫上部に搭載される。ヘリコプター格納庫上部に搭載されるFFXのCIWSについては、レイセオン社のRAMとMBDA社のMICA-VLS、タレス社のゴールキーパー30mmCIWSとレイセオン社のファランクスBlock1B型20mmCIWSが採用を競ったが、2009年にRAMとファランクスの採用が決定された[3]。

対艦ミサイルは2004年から生産が開始された韓国国産のSSM-700K対艦ミサイル「海星」(射程150km)4連装発射機×4を煙突とヘリコプター格納庫の間に搭載する[5][13]。FFX第二次基本設計案では対艦ミサイルの搭載数は4連装発射機×2であったが、2009年10月に釜山で開催された「BEXCO KORMARINE-2009」で展示されたFFX最終設計案に基づく模型では対艦ミサイルの搭載数は4連装発射機×4に変更されており、対艦ミサイルの搭載数が倍増されていた[10][14]。実際に就役した一番艦「仁川」(FFG-811)では、4連装発射機×2の搭載に落ち着いている[17]。

煙突の左右に搭載される魚雷発射管はNATO標準のMk32 324mm三連装魚雷発射管で、国内開発された最新のK745「青鮫」短魚雷を装備する[13]。この魚雷は最大45ノットの速度で推進し、従来のMk46短魚雷よりも破壊力、水中機動性、ソナー探知能力などが改善されているといわれる。

FFXでは、哨戒範囲を拡大するためにヘリコプター運用能力を備えたのが設計の特徴の1つである。搭載されるヘリコプターは当面スーパーリンクスになるが、将来的には韓国がユーロコプター社と共同開発中のKUH(韓国次期輸送ヘリコプター)の対潜哨戒型が搭載される可能性もある。FFXに搭載されるスーパーリンクスは、韓国が開発したVHF通信を使用したデータ・リンク・システムを搭載する[2]。スーパーリンクスは、搭載レーダーにより最大70kmの距離で北朝鮮海軍の艦艇の接近を探知、新たに搭載されたESM装置を使用して北朝鮮海軍のレーダーの作動状況を追跡し、その動向についてデータ・リンクを使用してリアルタイムでFFXや他の艦艇・司令部に伝えることが出来る[2][5]。対潜魚雷やシー・スクア対艦ミサイル(セミアクティブ・レーダー誘導、射程約15km)の運用能力を備えており、FFXやP-3CK対潜哨戒機などと連携して沿岸部の哨戒任務や対潜、対艦攻撃を行うことが想定されている[5]。

FFXは固有の艦載ヘリコプターを使用することで水平線外の目標探知が可能となり、従来の沿岸警備用艦艇に比べて哨戒可能な範囲を大幅に拡大することが可能となる[2][5][9]。目標探知距離を大幅に延伸する事で、北朝鮮海軍の動向を事前に掌握することを目指している。また、ヘリコプターからの目標データを活用する事で、射程150kmのSSM-700K「海星」の有効射程を最大限に活用する事も可能となるなど戦術的なメリットが多い。

ただし、現状では韓国のスーパーリンクスの保有数は23機であり、FFXの大量建造が実現した場合、建造と並行してスーパーリンクス(もしくはKUH対潜哨戒型)の追加調達が必要になると見られる。これについては、2013年1月、韓国は仁川級フリゲートに搭載する哨戒ヘリコプターについて、アグスタ・ウエストランド社のAW159ワイルドキャットを選定した[18]。購入機数は8機で、2015年から16年にかけて納入が行われる予定[18]。


【改良型について】
FFX/インチョン級は、1~6番艦(バッチ1型)の建造に続いて改良型のバッチ2型9隻の建造に移行するとの情報がある[19]。

バッチ2型では、建造価格低減のためガスタービン機関をLM2500×2基からロールス・ロイス社製MT30(出力36/49MW)1基に変更する[19]。MT30の採用は韓国海軍では初。船体規模や装備品についても若干変更が加えられるとされる[19]。

1番艦 仁川(インチョン) ROK Incheon FFG-811 2011年4月29日進水。2012年4月2日就役[16]。
2番艦 京畿(キョンギ) ROK Gyeonggi FFG-612 2013年7月18日進水。2014年後半就役予定[20]。 
3番艦         
4番艦         
5番艦         
6番艦         
(FFX-I(バッチ1型)計画のみ。バッチ2型9隻の建造計画もあるがまだ未確定[19]。)

【参考資料】
[1]e MILITARY NEWS「韓国型次期護衛艦(FFX)の設計、重点は何か?」(月刊ミリタリーレビュー2008年12月号)
[2]e MILITARY NEWS「韓国型次期護衛艦武装・センサーシステムの分析」(月刊ミリタリーレビュー)
[3]THE KOREAN TIMES(オンライン版)「New S. Korean Frigate to Carry US Armament」(Jung Sung-ki/2009年10月6日)
[4]大韓民国海兵隊の研究「海・空軍NCW作戦構想と今後の護衛艦FFXそしてイージス」
[5]e MILITARY NEWS「北、西海で挑発すれば。韓国海軍の戦闘システム」(月刊ミリタリーレビュー2008年12月号)
[6]NavWeaps「United States of America 5"/62 (12.7 cm) Mark 45 Mod 4 」(2008年4月7日)
[7]NavWeaps「Italian 76 mm/62 (3") Compact 76 mm/62 (3") SR - United States of America 76 mm/62 (3") Mark 75 - Japan 76 mm/62 (3") Compact」
[8]Defense Industry Daily「FFX: Korea’s New Frigates」
[9]e MILITARY NEWS「韓国型次期護衛艦完成型設計徹底分析」(月刊ミリタリーレビュー)
[10]KDN自主国防ネットワーク-武器・防衛「KORMARINEで公開されたFFXモックアップ」(2009年10月22日)
[11]ハンギョンドットコム「受注日照りの造船会社“次期護衛艦を取得せよ”」(2010年2月2日)
[12]韓国海軍公式サイト「海軍の未来」
[13]DCN-海軍情報「韓国海軍のFFX-I次期護衛艦」(投稿日2009年4月4日)
[14]Blog-팬저의 국방여행「FFXモデル」(2009年10月22日)
[15]NO.1経済ポータル 毎日経済「対空防御次期護衛艦、2012~2016年順次配置」(2010年2月24日)
[16]KDN自主国防ネットワーク-武器・防衛「FFG-811 인천함 부대 창설되다.」(2012年4月3日)
[17]Blog-팬저의 국방여행「FFX 1번함 인천함 FFG-811」(2013年4月23日)
[18]Navy Recognition「Republic of Korea Selects The AgustaWestland AW159 for Republic of Korea Navy」(2013年1月15日)
[19]多田智彦「世界の新型水上戦闘艦ラインナップ 13 インチョン級FF 韓国」(『世界の艦船』2013年8月号/海人社)102~103ページ
[20]유용원의 군사세계「[현장취재] 해군 차기 호위함 2번함 경기함 진수식」(alzard/2013年7月13日)

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