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海底密室

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海底密室

三雲 岳斗 徳間書店


深海4000メートルに建造された実験施設"バブル"。取材に訪れた主人公は二週間前に発生したスタッフの不審死と、それに続く異常な事件に次々と遭遇する事になる。地上から隔絶された環境、限定されたスタッフ。次に海上に上がれるのは数日後。彼女は真相に迫ることが出来るのか。

M.G.H.の作者の二作目。極所を舞台に、技術者ばかりが登場人物に配したバリバリの理系ミステリの続編である。

相変わらず魅力的な舞台を提示するなぁというのが第一印象。前作が宇宙ステーションで、今回が深海の実験施設と来たもんだ。アドベンチャゲームの名作Ever17を連想せずにはいられないね。

で、本作の感想であるが…う~~~~ん。
まず第一に、前作以上にトリックに到達できるとは思えない。前作はまだ一般的な知識があれば到達できたと思うのだが、今作は絶対無理!『そんなもん聞いたことねぇぞボケェ!!!』って印象が強すぎで、真相のシーンを読み進めるのが苦痛だった。『あ。そーなんですか…へー…すごいですね』って感じ。カタルシスもなんもない。

第二に、前作は文章のマジメさとライトノベル的キャラクタの温度差が激しくてどうにも違和感がきつかったのだが、今作はかなり"大人しい"キャラクタばかりで構成されている。
で、結果的にどうなったかっつーと…ほとんどの人物が印象に残らない。終章まで目立たないキャラの名前は覚えられませんでした(ノ∀`)
ミステリ界の大御所の一人である綾辻行人なんかも『登場人物を駒として扱っており、全く人物が書けていない』なんて言われているが…彼の作品はトリックが凄くて、かつ理解出来るから読めるんだよなぁ。

うーん…もっと、読者への知識提供が上手ければ感想が違ってきたのかもしれない。扱ってるネタと舞台設定はとにかく魅力的なんだけど。

「自殺だろう」
「あんな不自然な状態だったのに?」
「そもそも自然な自殺なんてものが存在するのか?」
「……まぁね」
「それに、自殺のほうがいい」
「どうして?」
「そのほうが安全だ」
「誰が?」
「君が。あるいは、スガ少年を含めた私たちが」
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