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主和音で勝負する

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chikugogawa

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♪主和ぁー (おーン) シューびでゅわー (おーん)

って、ハクション大魔王にも妹にも用はないので、そういうイミフメイな歌は置いておくとして。

非常に古い音楽にモンデヴェルディ作曲の「聖母マリアの夕べの祈り」という曲があります。(Claudio Monteverdi <>)
イタリアでの、ルネサンスからバロックへの移行期を生きた、というよりも、ルネサンスの巨匠、パレストリーナの呪縛を断ち切り、感情表現の自由度を高めたバロック音楽を切り開いたのがモンテヴェルディ自身。私はこのCDを初めて聞かされたとき、なんて派手なおめでたい曲なんだろう、宗教曲としてこんな曲があっていいのだろうか、と心配になり、1610年の作曲と聞いて、さらに驚き、運転中だったけど、信号待ちの間でよかった、と思った曲です。
Sibeliusの再生環境が整っている方は、ぜひ、その圧倒的な第1曲を楽譜を見ながらお聞きください。
http://wso.williams.edu/cpdl/source/mont-do1.sib
もしインストールがまだでしたら、フリーソフトですから、ここから導入をお勧めします。
http://www.sibelius.com/products/scorch/index.html

100秒くらいの曲ですが、始め70秒くらいは、合唱がニ長調の主和音を、まったく音の高さを変えることなく歌っていることにお気づきでしょうか。派手なのは、上で動いている、コルネットとかなんですよね。
ところがこの楽譜には、おそらく出版社の強い意向というか、商業主義の表れだと思いますが、通奏低音以外の楽器は省略可能、と明記されています。小編成でも演奏可能なので是非お買い求めください、ということなんでしょう。ですから低予算で演奏会をやるときは実際ばっさりそのあたりは切り捨てます。
っていうか切り捨てました。以前やったときの話ですが、それでも、というかだからこそ、この和音をビシッとはめることにかなりの労力を割き、もともとそういうことに力を注いでいる実力のある合唱団だったって事もありますが、演奏会後、何よりも冒頭の迫力に驚かされた、との評価を数多くの方からいただきました。

まぁ、ただの自慢話ですが、音楽の可能性として、「ただの主和音が並んでいるだけの、これといって気のきいたリズムでもない音楽であっても、演奏のやりようによっては、圧倒的な感動を呼ぶ事だってできる」ってことを知っていてください。
そして、そこで重要なのは、よく揃った和音であることです。

難しい議論はざっくり飛ばしますが、和音がよく揃うために一番必要なことは、回りの音を聞くことです。そして楽に音を出し、出している音に不自然さがなければ、それはよく揃った音ですし、人間の自然な調整能力で、音楽教育云々を抜きにして、人は揃った音を出そうとする生き物です。野性の感にも期待して、謙虚に、素直に、和音の中に入っていきましょう。


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