乱れ撃ち読書録@chipmunk1984

クリスタル・サイレンス 上

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クリスタル・サイレンス 上



書名: クリスタル・サイレンス 上
著者: 藤崎 慎吾




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紹介

西暦2071年、テラフォーミングが進みつつある火星の北極冠で、高等生物と思われる死骸が発掘された。地球外知的生命の遺物である可能性に、生命考古学者のアスカイ・サヤは火星へ向かう。だがそこは、開発先進国と後発国の緊張が高まり、謎の疫病が蔓延する危険な世界だった。採氷基地での調査を開始したサヤら学術調査団にも、何者かの攻撃が加えられる……超大作『ハイドゥナン』の著者による記念すべきデビュー長篇。

評価

(この評価は上下巻をあわせた評価です)
評点:★★★☆☆ ( 5/10点)
新進気鋭の作品と聞いて楽しみに読んだのですが,残ながら読みやすさ以外には見るべきものはありませんでした.サイバー空間で異形のものを登場させて漫画的な展開をさせればそれはSFではなくファンタジイ(というとファンタジイファンに怒られるかな?)か単なる夢物語です.物語の展開もなにか必然性の薄いもので,要はSFファンとしてやりたいことがたくさんあったのでてんこ盛りにしたら物語が破綻したので,全てをコンピューター上の話にしてつじつまを合わせたというところでしょうか?火星文明との邂逅も興醒めで,作者はメタロジックとか言いたいのでしょうが,そう簡単に異文明のロジックとインターフェースがとれるとも思えず,結局ご都合主義的なファンタジイになってしまったのかなと思います.なにか野尻包介とも通じるものを感じるのですが,どこかで読んだ/聞いたような話がちりばめられていてガジェットやSF設定を消化して自分のものにしきっていないという感じが残ってしまっているような気がしています.日本の若手にはもう少しユニークさを磨いてもらえればと思います.

おまけ

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