乱れ撃ち読書録@chipmunk1984

渇きの海

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渇きの海



: 渇きの海
著者: アーサー・C・クラーク (深町 眞理子 訳)




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紹介

22人の男女を乗せて、観光船セレーネ号は、月の渇きの海を疾駆していた。細かい塵におおわれた、風も波もない月の海原やそびえたつ岩山に、乗客はみな感嘆の声をあげる。だが、その船を突然の地殻変動が襲う。一瞬のうちに船は、塵の海のなかに沈んでしまった!ふたり乗りダストスキー以外に近寄るすべのない塵の海に沈んだ船を、いかにして援助するのか?息づまる救助活動を迫真の筆致で描いた、巨匠の長篇。

評価

評点:★★★★★ ( 9/10点)
クラークの初期長編の傑作です.『1987年版への序文』にあるように,このストーリーの根本となる設定は,どうやら否定されてしまっていますが,そんなことは関係なく,素晴らしいSFとして,人間ドラマとして成立している作品です.どちらかというと古典の部類に入る作品ですが,今読んでも古くささは感じられず,21世紀でも新鮮味を持って読める作品です.
これは,救出劇について科学的なアイディアや描写に偏ることなく.どちらかというと救出される側の人間ドラマに重きを置いたストーリーのためで,アイディア勝負ではなく,重厚で読み応えのある作品であることが効いていると思います.

おまけ

原題は,"A FALL OF MOONDUST"これを『渇きの海』と訳したセンスにも脱帽です.単に英語をカタカナにするだけの翻訳が多いこの頃ですがこれくらいの工夫はして欲しいものです.









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