2.『選抜』開始

    

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「皆、突然の集合ご苦労じゃった。驚かせてすまんかったのぉ」

画面の中には笑みを浮かべた「元監督」の山本浩二がいた。

「さて、具体的な説明の前に今回集まってもらった理由から話そうかの」
室内に緊張の糸が張り巡らされたかのように、誰もが身動き一つせず画面に集中している。

「…これから『選抜』を始めようと思ってな。真の赤ヘル戦士の選抜を」

「皆も分かっていると思うが…今季のチーム成績はお世辞にも良いとは言えん。むしろ最悪といってもいいくらいじゃ」
「あまりの腑甲斐なさに球場からファンは離れ、買収っちゅう不愉快な話題まで出てくる始末だしのぅ」
「…ワシはもう一度強いチームに戻ってほしいんじゃ。もう一度、強い赤ヘル軍団にの」
「その為には少々の犠牲を払っても、一度壊さんと」
「つまり皆には新生カープの礎となってもらいたいんよ。闘志と実力無き者は新生カープは必要ないけん」

「じゃけぇ『選抜』から漏れた闘志と実力無き者にゃぁ…残念じゃが死んでもらう」

死ぬ?戦力外の喩だろうか?つまり試合で判断すると?ではその試合とは?
多くの選手がこの時点で元監督の意を理解した。
しかし理解はしても納得はできない。できるはずもなかった。
そして画面の中の「元監督」は笑顔のまま最終通告をした。

「皆にゃぁこれから殺し合いをしてもらうけぇ」

「な、何かの冗談だろ?」
誰ともなく呟きが漏れた。張り詰めていた緊張の糸は切れ、ざわめきが広がる。

「静かに」
松本が再度ざわめきを制した。田村が素早くリモコンを操作する。
画面の元監督が笑顔のままで静止し、映像はビデオ録画されたものだと分かった。
「…まだ信じられないんですか」
やれやれ、といった口調で松本が話し始めた。
「僕らも最初半信半疑でしたけど、球団は本気ですよ」
その証拠をお見せします、そう言って松本が田村に目配せする。
軽く頷いた田村はまたビデオを再生させた。

「…とは言っても、やっぱり皆いきなりは信じられんと思うけぇ…」
「木村一喜」
名前を呼ばれた木村一喜(27)の肩が揺れた。

「…お前にゃぁ借りがあったのう」
「森伊蔵の借り、返してもらわんと」

田村がビデオを一時停止すると、どこからともなく電子音が聞こえてきた。

ピッ、ピッ、ピッ
木村一喜は立ち上がったままポカン、としている。どうやら電子音は木村の首輪から発せられているらしい。

ピッピッピッ
段々と音の間隔が狭くなってきて、新井はその音に何かぞっとする響きを感じた。

ピピピピピピピピピピ
突然音が止んだ。次の瞬間、選手達は目を見張ることになる。

閃光。爆発音。
赤い。
首が、首から上が、ない。

木村一喜の体は糸が切れたように、膝を折って前のめりに倒れた。
そこら中に脳しょうと頭蓋の欠片と血をばらまいて。

「う、うわあああああ!」
部屋の中で誰かが嘔吐する水音と、叫び声とが混ざり合う。
松本が制止するが、その声ももはや届かない。
そんな松本をよそに、田村が機関銃を「木村一喜だったもの」に向けた。

「やめろ!!」
誰かの叫び声の後、強い雨の音と共に赤い飛沫が周りの選手にかかった。
木村の血を浴びた選手の顔や、ユニフォームに赤の斑点ができた。

…もう誰も言葉を発しようとはしなかった。室内に血の臭いが立ちこめる中、沈黙がその場を支配していた。

【木村一喜(27)死亡 生存者残り41人】


リレー版 Written by リレー開始 ◆WX10dB5Sm2
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