もしも3馬鹿常夏トリオが種死に出てたら 格納庫

Dominions Phase9 -Past-

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「気は確かですか?」
あくまでAAを撃てと喚くアズラエルに対し、ナタルの冷徹な声が、ブリッジに響いた。

「気は確かですか、だと? おかしいのは君だろう。あそこにいるのは敵なんだよ!
 なのに何でそれを撃とうとしない? さっさと撃て、撃つんだよ!」
「地球軍艦隊は、壊滅しました。我々だけではジェネシスを破壊することは不可能です。
 ここはAAと一時休戦し、共同してジェネシスを破壊すべきと思いますが?」
「ああもう、さっきからゴチャゴチャと。何で一々逆らうんだよ、君は!」

そういって、アズラエルは拳銃をナタルに突きつける。
目の前で黒光りする銃にフレイは震える。だが、ナタルは動じた様子もなく、冷めた目でアズラエルを見た後
ゆっくりとシートに座り直した。

「そうだ、撃て!撃たなければ撃たれるさ!」
アズラエルが喚くのと、ブリッジのドアが開き、警備兵がなだれこんできたのは、ほぼ同時であった。
警備兵は瞬く間にアズラエルを取り押さえ、引きずっていく。

「貴様!僕にこんなことをして、只で済むと思ってるのか。」
「理事は錯乱なさっている。医務室で手当てを受けさせろ。抵抗するなら拘束してかまわん!」
アズラエルが警備兵に引きずられて消えた後、ナタルはまだ戦闘していた強化人間達に帰還命令を出し
それ以上の戦闘を中止すると、後は救助活動に力を注いだ。

戦後、ナタルはアズラエルが錯乱しブリッジで銃を振り回したため、やむなく警備兵に警報を送り拘束させたと主張。
正当な主張であり、アズラエルがその失敗の責任をとらされて失脚したこともありお咎めなしとなった。
しかし、強化人間やブルーコスモスの関与といった地球軍の暗部に触れてしまったナタルは、
ドミニオンとともに僻地へとおいやられることとなる。

ブルーコスモスに牛耳られた地球軍に、いい加減愛想がつきかけていたナタルは黙ってこれに従った。
しかし、それと引き換えに、オルガ、クロト、シャニの廃棄処分を取り消させ、そのままクルーとして採用。
フレイは、父親の残してくれた蓄えがあるとはいえ、無職という境遇への恐怖から、
そのままドミニオンのオペレーターとして勤務することとなった。

そして月日は少し流れた。


「・・・ひまだね。」
「退・屈!」
「うっせーよ、お前ら」
多少、人間らしくなったとはいえ相変わらずの3人にフレイはため息をつく。

「じゃあ、ちょっとは働いたら?」
「・・・何すんのさ?」
「便所掃除とか雑用とか、色々あるけど。」
「拒・否!」
「やってられっか、んなこと。」
「ハア・・。あんた達みたいのをタダ飯食らいっていうのよ、世間一般ではね。」

そう言い捨てると、フレイは書類仕事に取り掛かる。とはいっても、実際大してやることはない。
この書類とて、何も明日提出しなくてはならないということもない。何せ、地球軍から半分見捨てられたような艦だ。
そろそろ休暇をとって、オーブへ行ってみようか? フレイはそう思う。会いたい人はたくさんいる。
サイ・・・ミリアリア・・・ラミアス艦長そして・・・キラ。

彼等の生死、行方はまったく謎だった。しかし、オーブに間違いないとフレイは思っていた。
というよりそこしか行く所がないからだ、脱走兵である彼等には。
だが、一度も行って探そうとしなかったのは、ずっと迷い続けてきたから。
あれほど傷つけてしまった、彼等になんと言って謝ればいいのか? それを考えるだけで・・・。
だから、彼等の行方が知れないのは好都合だった。行ってもどうせ見つかりはしない、そう思って自分をごまかせるから。

けれど、ようやく自分の過去と向き合う気になれた。少しは強くなったのかな? そうフレイは思う。
その理由は、この艦での生活。認めるのはは多少シャクだが、目の前の騒がしい3人のおかげでも多分―――ある。
と、ナタルが部屋に入ってきた。フレイは慌てて立ち上がり、敬礼し、ナタルもそれに返す。

「アンドラス、ブエル、ザブナック。お前達は、スティング・オークレー、アウル・ニーダ、ステラ・ルーシェ
 これらの名前に聞き覚えはあるか?」
「・・・ないね。」
「忘・却!」
「ねえな。」
ナタルの問いに、3人は思い思いの姿勢のまま答える。ナタルももう、諦めたのか、慣れたのかたしなめようともしない。

「今言った3人は、お前達と同じ強化人間だ。この3人を中心に<ファントム・ペイン>第81独立機動軍が設けられた」
「前置きがなげーよ、だから何だってんだ?」
「簡潔に言うとだな。ザブナック、お前達は先任としてこの3人の指導に当たることとなったということだ。」
「教・師?」
「そういうことだな。そして、ドミニオンはそのファントムベインのサポートに回ることとなった。」
「・・・へえ。なんか面白そうだね。」
「面白いとかそういう問題ではないのだがな。・・・まあいい。アルスター、ちょっと来てくれ」
そう言って、ナタルはフレイを別室へ連れて行った後、口を開いた。

「アルスター。お前は、確か休暇を近々申請するようなことを言っていたな? 出すなら今出せ。」
「・・・」
「長い任務になりそうだ。長期の休暇など、とれるのはいつになるか。」
「いいえ。結構です。」
「そうか・・・。しかし。」
「私も行きます。あの3人、目を離すと何するか心配で・・・。」
その言葉に、ナタルは笑みを浮かべた。

「フレイは、ザブナック達と仲がいいからな。」
「からかわないでください。」
「そんなつもりはない。実際あいつらと一番、関わったのはアルスター、お前だ。正直、助かったよ。
 お前がいなかったら、果たしてあいつらがあんなに人間らしくなったかどうか。」
「まだ、類人猿以上人類未満ってとこだと思いますけど・・・。」
「あいつらが聞いたら怒るだろうが、なかなか言いえて妙だな。」
そう冗談交じりに言った後、ナタルは真面目な顔になりもう一度フレイを見た。

「本当にいいんだな? 長い任務になるぞ?」
「はい。」
「分かった。では、準備をしておくといい。出発は一週間後だ。」
「了解しました。艦長」
そう言ってフレイは敬礼し、ナタルもそれに敬礼で応えたのだった。

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