もしも3馬鹿常夏トリオが種死に出てたら 格納庫

終戦 Phase-59

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地球軍、ザフト軍によるオーブ侵攻当日。

開戦の時間は刻一刻と迫っていた。もう10分を切っている。
オーブ軍の一般兵達は既に防衛線を張り、運命の瞬間をただ黙って待っていた。平和の国であったはずのオーブが、三度戦場と化すその瞬間を。

「やはりあっちは話し合いに応じる気はないか…。クソッ!結局私には何もできないのか!結局またアイツ等に、キラ達に頼るしかできないのか!」
オーブ国防本部の中でカガリは自分の無力を嘆き、叫んでいた。周りにいた兵士達も突然叫びだしたカガリに驚き、一瞬その場にいる全員の視線がカガリに集まる。
「す、すまない。みんな、続けてくれ…。」
兵士達は代表首長の言葉に従い、視線を戻し自分達の仕事に戻る。
それを見届けてから、大きく深呼吸をするカガリ。弱音を吐いている場合ではない。
(そうだ。私はどんなに無力でも、この国の代表なんだ。「オーブの獅子」と呼ばれた前代お父様、ウズミ・ナラ・アスハの娘なんだ。私が、私がしっかりしないと!)
ぴしゃりと自分で自分の頬を叩き、気合を入れる。再び兵士達の視線が集まるが、今度は気にしない。
「キサカ、国民達の避難状況は?」
「既に国に残っていた住民全ての避難が完了している。」
いつの間にか隣にいたキサカに、街と国民の状況を確認する。一般人を戦火に巻き込むわけにはいかない。
「本当か?」
「本当だ。」
「本当に本当か!」
「本当に大丈夫だ。防衛線につく兵士達が配置に着く際、逃げ遅れた者がいないかしっかりと確認させた。」
「そうか…。しつこく聞いてすまなかった。二度とシンのような人間を出すわけにはいかないから、つい…。」
そう言って一旦俯くカガリ。しかし、すぐにまた顔を上げる。
「キラ達やアークエンジェル、それにオルガ達は?」
「アークエンジェルは既に配置についてもらっている。パイロットの皆も既に機体に搭乗して、配置につくところだ。相手は島を囲むのではなく、島の南部に戦力をを集中して展開している。そのおかげで、こちらも少ない戦力を分割されずに済んだ。」
「わかった、ありがとう。」
丁寧に説明してくれたキサカに礼を言い、正面のモニターに視線を移す。
モニターには水平線上に展開された地球軍とザフト軍の戦艦やMS、MAがズラリと映し出されている。幸いな事に、以前ベルリンで遭遇したあの化け物のようなMS・デストロイは今のところ見えない。しかし展開しているちょうど中央辺りに見知ったザフトの戦艦が確認できる。
(ミネルヴァ・・・。シン・・・。)
かつて父の決断を非難された時の事が脳裏をよぎる。だがカガリはブンブンと首を振り、それを振り払う。
「時間まであとどの位だ!」
複雑な気持ちをごまかす様に、運命の瞬間までの残り時間を聞く。それに対して兵士の一人が答える。
「あと6分です!」

「あと6分か…」
薄暗いコクピットの中で呟くスティング。
あと6分で、モニターに映っているあの大群が攻めてくる。かつて所属していた地球軍、かつて倒すべきだったザフト軍、その両方が。
しかし、「恐怖」という感情はない。これだけ大量の敵が相手でも、これっぽっちも怖くない。なぜなら、こちらには信頼できる仲間がいる。信頼はしてないけれど、頼もしい味方もいる。恐れを抱く要素は全くない。
「おい、もうすぐ時間だ。お前ら、用意はいいか?」
『ああ、問題ねぇよ』
『準備、完・了!』
『・・・まだ始まんないの?』
『僕は大丈夫だよ、全然問題ナシ!』
『・・・いいよ』
スピーカーの向こうにいるはずの信頼できる仲間達に声をかけると、一気に5人分の声が返ってきた。それを全て聞き取れたのは、やはり長年の付き合いがあるからかもしれない。
「俺達は始まったら各自勝手に動いて、敵を島に侵入させないように潰せばいいそうだ。ただし絶対的な条件が1つ。友軍には攻撃しないこと、だそうだ。」
『当然のことじゃん、それってさ。』
『・・・知ってるよ』
アウルとステラはそんなものが条件に含まれているのが不思議なようだ。一方・・・
『チッ!』
『僕にはつらいなぁ、それ。』
『・・・は?何で?』
オルガ、クロト、シャ二の3人には相当つらい条件らしかった。
思い出してみれば、この条件は作戦を伝えに来たカガリから提示されたものではなく、キラとアスランから出されたものだ。
言われた当初はスティングも「言うまでもないだろ」と軽く流していたのだが、キラが「ダメ!絶対みんなに伝えておいて!特にオルガ、クロト、シャ二の3人には!」と鬼気迫る表情で言ってくるので、今こうして伝えたのだが…。
『何言ってるのさ、クロト。味方落とした方がつらくなるに決まってんじゃん。戦力少ないんだぜ、こっち。』
『邪魔なんだよね。戦闘が激しくなればなるほど、全部が敵に見えてくるんだよ。』
『薬中かよ!』
(キラやアスランが必死だった理由がわかったぜ…。)
自然と苦笑してしまうスティング。

『じゃあ、味方がダメなら他はどんだけやってもいいんでしょ?』
『ですね!』
『うっせーよ、お前ら!』
スピーカーの向こうではオルガ達が騒いでいる。
仲間と交わすやり取りは変わらなくとも、自分達は確実に以前より変わっている。
身体は『γ-グリフェプタン』や『ゆりかご』を必要としなくなった。
周りの環境は自分達に戦いを強要しなくなった。
そして何より、「何かを守るため」に戦いたいと思うようになった。
アズラエルのおっさんが提供してくれた場所を守りたい。その場所で過ごした仲間達との楽しかった日々を守りたい。
他の5人はどうだかわからないが、スティングは確実にそう思っていた。
『みんな、時間だ』
『そろそろ発進だよ』
コクピット内にキラとアスランの声が響く。騒いでいた5人も黙る。
時計を見れば時間まであと3分。おしゃべりや物思いに耽る時間もない。
緊張が走る。レバーを握る手の力も強くなる。おそらくほかの5人も一緒だろう。
『よぉし!それじゃあ、お前達!慎ましくな!』
それに気がついたのか、発進間際にネオが懐かしい台詞を言ってくれた。緊張がほぐれ、体も軽くなる。これなら十分戦闘に集中できる。
(よし!行くぜ!)
『キラ・ヤマト、フリーダム、行きます!』
『アスラン・ザラ、ジャスティス、出る!』
『ムウ・ラ・フラガ、アカツキ、出るぞ!』
『オルガ・サブナック、カラミティ、行くぜぇ!』
『クロト・ブエル、レイダー、発・進!』
『シャ二・アンドラス…、フォビドゥン…、出るよ…』
『アウル・ニーダ、アビス、行くよ!』
『ステラ・ルーシェ、ガイア、行ってくるね…』
「スティング・オークレー、カオス、発進する!」
9機の様々な機体が大空へ飛び出した。

「アーサー、時間まであとどのくらい?」
「えーと・・・あと3分ですね」
ザフト軍惑星強襲揚陸艦・ミネルヴァのブリッジで艦長のタリア・グラディスは副艦長のアーサー・トラインに時間を聞きつつ、モニターに映るオーブとアークエンジェルの様子をじっと見ていた。
(またこの国と、ラミアス艦長と争う事になるだなんて…。)
「艦長!」
「何?どうしたの?」
ブリッジ要員の一人、バート・ハイムが声をあげる。彼は主に索敵を担当している。
その彼がこうして声をあげたという事は、敵に増援というところだろう。アークエンジェルはもう出ているのだ。大方、今は姿の見えていないフリーダムとジャスティス、それにメサイアでタンホイザーを防いだ黄金のMSだろう。
「オーブ本島から、MS! これはフリーダム、ジャスティス! それに黄金のMSです!」
「ええぇぇっっ!!」
アーサーがいつもどおりに過剰な反応をする。
「アーサー、落ち着きなさい。予測はできていたことでしょう。」
「はぁ、まぁ…」
彼女の声で大人しくなるアーサー。これも普段と変わらない。ただ、そこから先がいつもと違っていた。
「・・・ん? か、艦長! まだ出てきます! こ、これは・・・!?」
「モニターに出して!」
「は、はい!」
モニターがオーブ上空を拡大する。そこにはフリーダム、ジャスティス、黄金のMSの他に6機ものMSが映っている。
「か、艦長!」
アーサーが泣きそうな声で呼んでいるが、構っていられるほど彼女も落ち着いてはいられなかった。
「なぜオーブにあんなものが…?」
「艦長、時間です!」
オペレーターのアビー・ウインザーが運命の瞬間が来たことを告げる。
(考えている暇を与えないつもりね・・・)
時間ぎりぎりに出てきて、相手の混乱を誘うつもりだったのだろう。事実、あれらが出てきてからこちらにいくつもの通信の呼び出しが来ている。悔しい事に効果は覿面のようだ。
(だけど、相手の思惑通りに行くわけにはいかないわね!)
「全軍に伝えて!予定通り攻撃を開始!シンとレイ、それにルナマリアたちも発進させて!」

戦いの火蓋は切って落とされた。

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