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蒼星の覇者3


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「よし……行ける」
セイバーのコクピットに着いたアスランが早々と機体の起動処理をすませた。
セイバーをそのまま立ち上げる。
「……え?」
そのとき、モニターの隅に、逃げ惑う女の姿が映った。
……カガリ?
来ていたのか? アーモリー1に!?
しかし、カガリ・ユラ・アスハの姿は、瓦礫の影に入り見えなくなった。
「アスラン!」
シンの呼びかけにハッと我にかえる。
「ミネルバがもう出ます!」
「わかった、退く! レイ! ハイネ!」
アスランのセイバーが飛び立つ。
「チッ! いつの間に!」
「させるか!」
セイバー追わんとするスティング達をインパルスが牽制する。
「アウル、スティング、増援が来た!」
「え!」
ハイネとレイのザク、アスランの機体と共に突入してきた機体であった。
「チ……面倒な!」
身構えるスティング、だが……
『スティング、深追いするな! ……新造戦艦も動いている! 一旦戻れ!』
彼らの部隊長、ネオ・ロアノークからの通信指令であった。
『ここでお前たちの機体まで失うわけにはいかん』
「チィ……!」




「ミネルバ、陽電子砲を発射します!」
「グ……!」
連合の将校が悔しさのあまり唇を噛んだ。
新造戦艦――ミネルバは艦首に備え付けられた陽電子砲、タンホイザーを放った。
宇宙港に停泊していたかなりの数の防衛戦力が成す術も無く破壊されていった。
 ミネルバが、プラントの中心から宇宙へと飛び出した。
ドッグにはハイネとレイのザク、インパルス、セイバーの姿があった。

「あれだけ守りを固めても、中から撃たれちゃひとたまりもないか」
「ロアノーク大佐! スティング・オークレー、アウル・ニーダ、ステラ・ルーシェ、帰還しました」
「……よーし、行こうか」

「ロアノーク隊のガーティー・ルーを出せ! 」
ジブリールは激昂しながらも、ザフトの残党の動きに考えを巡らせていた。
(……人的に乏しい奴らが、ここまで多くの犠牲を覚悟してやったのだ……必ず裏がある……)
「月面の本隊にも連絡しろ! いつでも動けるようにしておけとな!」
「ハッ!」






「アスラン・ザラが帰還しました!」
ミネルバのドックに大勢の兵が詰め掛ける。
「冷や冷やさせてくれたな、アスラン」
アスランを、サトーが出迎えた。
「申し訳ない……が、敵の新型、予想以上でした」
「……恐らく、強化人間でも乗せているのであろう」
「……コーディネイター狩りのファントムペインならやりそうな事です」
アスランはパイロットスーツのままにブリッジへ向かった。
「お見事でした」
アスランはキャプテンシートに座る女性に話しかけた。
「このたび成功はあなたのお陰です、感謝する、タリア・グラディス」
タリア・グラディス、ザフト古参の名将の一人である。
先のヤキン・ドゥーエ防衛線において、その戦線を最後まで維持した一人であった。
「いえ、戦いはまだ始まったばかり、その言葉はまた後でいただきます」
タリアは微笑を浮かべ、アスランに敬礼した。
「さあ、リーダーの仕事だ」
サトーはアスランをブリッジの奥に通して、マイクを差し出した。
アスランは、真剣な面持ちでそれを受け取った。

「諸君、アスラン・ザラだ!」
ミネルバの艦内全域に、アスランの声が響き渡る。
「我々は、連合の新型戦艦とモビルスーツ奪取に成功した、これは計画の大きな一歩である」
艦内がアスランの声で沸く。
「本当の戦いはこれからだ! だが、成就の日は近い!」
兵たち――まだ若い少年が多い――が拳を振り上げて答える。
「それまで諸君らの命、俺に預からせてほしい!」

オオオオオ!

ひときわ大きい歓声がなった。
「……」
歓声の中、シン・アスカだけはただ拳を握り締めてじっとしているだけだった。
(マユ……仇はとるからな)
その瞳には憎しみが燃えていた。

放送を終えたアスランは、少し自己嫌悪に陥っていた。
(今やっている事も、これからやろうとしている事も、父と同じことだ……)
「……そこまで気負うな」
アスランが険しい顔をしていたせいか、サトーが言った。
「いや、大丈夫だ、わかってるさ」

(カガリ……俺にはこういうやり方しか出来ない……)
かつて触れ合った人に、アスランは思いを巡らせた。





「……アスランが?」
「ああ、間違いないと思う」
カガリの側近で護衛である、マユラ、ジュリ、アサギの顔を見合わせた。
「でも、生きていたなんて……」
アスラン・ザラ、かつてのザフトのエースであり、当時のプラント最高評議会議長、
パトリック・ザラの息子。
ジェネシスをとめるためにその内部で搭乗機と共に自爆したはずだった。

カガリにとって、アスランは数奇な縁で幾度と無くめぐり会い、心を通わせた友であった。
男女である分、それは恋に近い思いであったのかもしれない。

二人が初めて出会ったのは、無人島であった。
互いに漂流して、敵と味方として出会ったにも関わらず、お互いなぜか打ち解けてしまった。
二度目に会ったときは、オーブの代表として、ザフトの軍人としてであった。
三度目に会ったときは、共に戦う仲間となった。

だが、思えば、二人は戦場でしか会う機会がなかった。
そして、それは、四度目もだった。
また、戦場で会うことになるのだろうか。






「機体はどうだ」
ネオ・ロアノークがガーティ・ルーのモビルスーツドッグを見て回っている。
工員がアビス、ガイア、カオスの三機のコンディションをPCに映し、ネオに見せる。
「最終調整無しに動かしましたからね、多少時間がかかります」
「変形機構か……便利なんだがねぇ」
変形機構、ガイアらセカンドステージと呼ばれる新機体の特徴でもある。
変形によって機体特性を特化させる。
それは単機の戦術の幅を大きく広げることとなった。
しかし、その複雑な機構を内蔵することによって、
メンテナンスにかかる時間が激増してしまうのがネックだった。
「それと、エクステンデット達にもかなり負担が」
「そうか……あいつらは?」
「まだ、待機室にいるはずです」
「わかった……恐らく、また直ぐに実戦になる、動かせる状態でかまわない、早急に頼む」
「了解しました」

「あーっ……」
「……」
「……」
アウル、ステラ、スティングの三人は、待機室のソファーに倒れこんでいた。
疲労で三人ともぐったりとしている。
「三人とも、ご苦労だったな」
ネオが待機室に入る。
「あっ……」
ステラが慌ててソファーの陰に陰に隠れた。
「……どうなってんだ?」
「服を買ったんだよ……血とか汗で汚れてるから見せたくないんだと」
スティングが口を開いた。
「……へぇ、それじゃあ、後の楽しみにしておこうか」
ネオが苦笑した。
「それよか、一体どうなってるわけ?」
アウルが荒い息のままネオに聞く。
「内通者がミネルバに居たらしい、俺達はこれから、ミネルバの追撃任務に入る事になる」




「理事!」
「ん……?」
白いスーツの男に、連合の将校が何か耳打ちした。
「フーン……」
面白そうに、その男は頷いた。
「バジルール大佐が行ってるはずですよね」
「はい、アンドラス少尉と共に」
「じゃあ、僕も……盟主、に宜しく言わないとね」
「ハ……」
「……場合によっては月も動くかもしれないな」







「今回の事は、我々にとっても予想外の出来事でした」
「……奴らはずいぶんとこちらの事情を理解していたようだが」
「よもや、タリア・グラディスが離反するなどとは……」
デュランダルが肩落としていった。
それを見るジブリールの目は冷たい。

思えば、敵の思う通りに事は進んだ。
少数精鋭のモビルスーツによる、式典中という一番混乱する時狙った強行陽動作戦。
民間人に偽装した工作員よるモビルスーツの強奪。
そして、内通者によるミネルバの奪取。
まんまとしてやられたというわけである。


「我々としても、地球との融和を妨げる彼らの行動を見逃すわけには行きません」
「……では、奴らは連合だけでもなく、プラントの敵でもあるということだな」
「もちろんです」
(……フン)
「わかった、プラントの誠意ある行動を期待する」
ジブリールはもう一度デュランダルを睨み、議長室を出た。

「……さて、アスラン・ザラ、やってくれたものだ……」
デュランダルは、これから起こることを一つ一つ思案していった。






「応援?」
「はい、まもなく、第七機動艦隊所属の……」
「おいおい、第七って……」
ネオが苦笑した。
第七機動艦隊は、アズラエルの息がかかったサザーランドの艦隊ではないか。
「……まぁ、あそこの戦力なら咽喉から手が出るほど欲しいけどさ」

先の大戦においてその力を急激に伸ばした組織、ブルーコスモス。
元は単なる自然保護団体であったが、コーディネイターに対する民衆の反感が募ると共に、
やがてその内様は反コーディネイター組織へと変化していった。
さらに、ブルーコスモスはコーディネイターの台頭を善しとしない財界の大勢力と結びつき、
連合軍をも影から支配する強力な威力団体と化していった。

ブルーコスモスを影から支えている財界の組織は、ロゴスといった。
CEの契機となった世界戦争、いわゆる再構築戦争においてその力をつけ、
軍事産業複合体として、CEの歴史の影で暗躍し、伸し上がった勢力である。

そのブルーコスモス、果てはロゴスまでもが割れていた。
前ブルーコスモスの盟主であり、ロゴスの一端を担うアズラエル財閥の総帥でもある、ムルタ・アズラエル。
そして、現ブルーコスモスの盟主であるロード・ジブリール。
この二人を筆頭に、組織は真っ二つに割れていたのである。

そして、ネオの所属するファントムペインはジブリール派の戦力で、
第七機動艦隊は敵対するアズラエル派の戦力であった。
「どういうつもりなのかねぇ」
「我々にたいする探り、でしょうか?」
ガーティ・ルーの艦長、イアン・リー少佐が言った。
「ふむ……まあ、ありがたく受けさせてはもらうが」

ガーティ・ルーのブリッジのドアが開いた。





「第七機動艦隊所属、ナタル・バジルール大佐です」
「……へぇ、ずいぶんと若い」
「ドミニオンの艦長だったそうだ」
ブリッジ・クルーが小声で囁いた。
「……?」
ナタルがネオの顔をじっと見た。
「ん? どうかしたかな、大佐?」
「……いえ……」
「ファントムペインは特殊部隊だ、……指揮官は味方に対しても顔を隠さねばならない。……君が知らないことは無いと思うが?」
ネオは、ナタルが仮面のことを気にしているのかと思った。
「いえ……どこかでお会いしたような気が……」
「おやおや……、参ったな……、残念だが、君と会った覚えは無いな」
やはり探られているのか? とネオは思った。
実際にはナタルは全く別の事を考えていたのだが。
「それに、君のような女性は一度会ったら忘れないと思うな」
(やはり似ている……)
ナタルは思った、背格好、立ち振る舞い、全てがよく知る人物に似ている。
「……じゃあ、本題に入ろうか」
ネオが言った、ナタルが説明を始める。
「……現在の状況を鑑みるに、アーモリー1の戦力は大打撃を受けており、追撃任務につける戦力はわずかです」
「ふむ」
「そのため、多少例外的ではありますが、我々も今回のザフト残党の追撃に関して協力すべきと判断いたしました。
 貴下の部隊は特殊部隊ということであり、我々の部隊と所属と形態も大きく違いますが、非常時です。
 本追撃任務を合同任務とし、我々の部隊は貴下の指揮下に入ります」
「……なるほど、了解した。 我々の部隊は基本的に他の隊と組むことは無い、
 その為の若干の問題が生じるかもしれんが互いに対処したい、協力を頼む」
「了解しました」
ナタルはネオに敬礼すると、ブリッジを後にした。
「いい女だな……そうは思わないかリー?」
「……ハ」
(……記憶は安定しているようだ……)
ネオを見ながら、イアンは密かに思った。




シャニはヘッドフォンを着けたまま、ガーティ・ルーのドックでナタルを待っていた。
「……」
ヘッドフォンから鳴り響く轟音で外界の音は聞こえない筈だが、
なぜかシャニは後方に気配を感じて、振り返った。
連合の制服に身を包んだ少女が居た。ステラだった。
「……だれ?」
「……」
シャニはステラをじっと見つめた。
「……?」
ステラは不思議そうにシャニの顔を見た。
(うざいな……)
シャニはステラが少し気になったが、かまわないことにした。
気づかない振りをして、ヘッドフォンから流れてくる音に耳を傾ける。
ステラはシャニ近づくと、そっと手を伸ばした。
「……!? 触んじゃねーよ!!」
ステラがシャニのヘッドフォンを外そうとした。
それがシャニの癇に障った。 シャニはステラの手を乱暴に振り払った。
「あ!?」
ステラが驚いた目でシャニを見る。
「……」
「……なんだよ」
ステラは一瞬、険しい目になったが、すぐにまたじっとシャニの目を見つめ始めた。
「あん……?」
シャニは擦り落ちたヘッドフォンをもう一度耳に掛けようとした。
「きれい……」
そんなシャニの顔を覗き込んで、ステラがいった。
「……あ?」
「目の色が違う……きれい」
ステラはシャニの左右色が違うオッドアイに見入っているようだった。
シャニはそこで初めてステラの顔をじっと見た。
「オマエ……」
「……?」



「アンドラス少尉! どこだ! 戻るぞ!」
シャニが何か言いかけた時、ナタルの呼ぶ声が聞こえた。

「あ……」
シャニはステラを一瞥すると、ナタルの呼ぶ方へ向かった。
「アンドラス?」
ステラがいった。
「……シャニ」
なんとなく、シャニは答えた。
「シャニ……シャニ・アンドラス」
ステラは口の中で繰り返してみた。
「似てるね、シャニ・アンドラス」
「あ……?」
シャニは不思議に思ったが、かまわずナタルの元へ向かった。

「ステラと……似てるね」
ステラは呟いた。
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