もしも3馬鹿常夏トリオが種死に出てたら 格納庫

終戦 Phase-58

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匿名ユーザー

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「すごいね、やっぱり。もうだいぶ使いこなしてるじゃない」
「ここ一週間、地獄だったからな。嫌でも体が覚えちまうさ」
カラミティのコクピットから降りてきたオルガにキラが声をかける。
明日のために強化されたカラミティ。1週間という短い期間ではあったものの、そこは強化人間のオルガ、キラの予想を遥かに上回るスピードで機体を使いこなすようになった。
今では以前の倍近くの敵機に同時に対応できるようになり、キラのフリーダムと並んでオーブの大事なザコ掃討要員となっていた。
「掃討って、僕は、そんな…」
「ホントの事だろ、何を今さら。そういや、不殺だか何だか知らねえけど、そんな甘いことばっかやってると今度ばかりは落とされちまうぜ。相手の頭やら腕やら狙ってる合い間にドカンだ」
そう言ってオルガは親指を下に向けて、キラに示す。
しかし、彼はその差し向けられた手を自分の腕で払いのけると、少し顔に笑みを含んでオルガに言い返す。
「僕は自分の戦い方を変えるつもりはないよ」
言いながらキラはカラミティの隣にそびえるストライクフリーダムを見上げて続ける。
「それにこれはラクスがそのためにくれた剣なんだ。僕はラクスに・・・」
「だああ!わかった、わかった。もう頭でも手でもいいから、とにかくザコを落としてくれよ」
「え? あ、うん」

(ラクス、ラクスって、うっせーよ…)
二年前はあの白い機体にこんな奴が乗っているとは思わなかった。自分、クロト、シャニを相手に、赤いのと組んで互角に渡り合っていたあのフリーダムのパイロットがこんな野郎だったとは。
自分と大して年が離れているわけでもないのでそこに関して文句は言わないが、同じ少年にしてももっとパイロットらしい奴に乗っていて欲しかった。例えば、常時ランニングシャツで無口な少年とか、己の正義や他人の正義を問うために戦う武闘派少年とか。
(ま、一番かっこわりいのはそれに勝てなかった俺達なんだけどな)
くだらない考えを払うために、オルガは大きく体を伸ばす。同時に欠伸も出てきた。
「今日の訓練はこの午前ので終わりだから、午後は明日に備えてゆっくり休むといいよ」
「ああ、そうさせてもらうぜ。じゃ、俺は」
行くぜ、とオルガが続けようとした時、彼とキラの二人しかいなかったはずの倉庫に何種類かの声が響く。
「うわあぁ!! からみてぃーの背中、何かついてる!!」
「どうだ、すごいだろ? オーブの技術力をなめるなよ?」
「っていうか、オルガのだけってズルくない?」
少年一人に、少女が二人。
「シャニと、ステラか…」
「カガリじゃないか」
二人が彼女達の名を呼ぶと、彼女達も二人に気づいたらしい。二人の方に歩いてくる。
「おう、キラか。それにオルガもいたのか。訓練してたのか?」
金の髪を揺らしながら、オーブ代表カガリ・ユラ・アスハはいつものように明るく問いかける。
「うん、今さっき終わったとこ。って、それよりカガリ、駄目じゃないか。二人をここに連れてきちゃ」
「え?あ、やば、そういえばそうだったっけ」

この新型カラミティ、実は知っているのはキラ、カガリ、オルガの三人と携わった技術者だけだった。この1週間の間、オルガはキラとひたすら模擬戦という事になっていて、当然現在ここにいるシャニとステラもそう思っていた。
「オルガ、ズルい…」
「…」
パイロットにとって自機がパワーアップするということは相当な喜びであり、それはシャニやステラにとっても例外ではない。
仲間であるオルガが自分達に黙ってこのような恩恵を受けていようとは。
二人とも全身から憎しみのオーラを出しながら、オルガをにらみつける。
「な、何だよ。別に俺は隠そうと思ってたわけじゃねえぞ?」
「うそ…」
「うそだね…」
二人の視線に気づき、オルガは少し慌てて弁明する。
シャニとステラのコンビは普段は大人しいのだが、一旦キレるとしばらくは手がつけられなくなる。ましてや二人同時にキレられれば、無傷でこの倉庫を出られるかどうかも怪しくなってくる。
そのことはオルガだけでなく、キラやカガリも既に学習済みだ。
「う、うそじゃねえよ! 一応みんなには伏せておこう、って言い出したのはコイツだぜ?」
オルガは自分に向けられた殺意を逸らそうと、キラを指差す。
「え? ぼ、僕?」
急に話しを振られ、その上二人の殺意まで向けられて、キラも慌てだす。

(まずい!! このままじゃ確実に僕のせいになってしまうぞ。クソッ、どうしたら……)
「きら…」
「おまえぇぇ…」
時間がない。今にも二人は自分目がけて飛びかかろうとしている。
やめてよね、本気で喧嘩したらシャニとステラが僕に敵うはず……あるんだな、これが。
こうなったら彼女には悪いけど、ここは身代わりになってもらう他ない。
(ゴメン!! カガリ!!)
「ちょっと待って!」
シャニとステラの二人がキラ目がけて飛びかかろうと身を屈めたその時、キラが声を出し、二人に両手を突き出して「STOP」のポーズをする。
「?」
「…」
「確かにオルガには僕がそう言ったけど、僕も、その、カガリに言われてさ…」
「んなっ!! キラ、お前!!」
私は蚊帳の外と言わんばかりに、ボーっとフリーダムとカラミティを眺めていたカガリがキラの行動に驚愕する。
「いや、ほら、オーブのお姫様に言われたら、さすがに反論できないじゃない?」
「かがり…」
「おまえか、俺を欺こうとしたヤツは…」
標的を変えて、ジリジリとカガリに近寄っていく二人。
「僕もオルガも隠し事はよくないと思ったんだけど。ね、オルガ?」
「ん?まあ、そういうことだ」

「お前ら…」
自分に近寄ってくるシャニとステラの向こう側に、笑いをこらえるオルガと手を合わせて「ゴメン」のポーズをとっているキラをにらみ付ける。
(後で覚えてろよ…。でも今はそんな場合じゃないよな。こいつらを大人しくさせるには……そうだ!!)
カガリは脳を活性化させて、この状況の打開策を思いつく。
「ステラ、それにシャニ!い、今は我慢しろ!」
「何を…」
「はっ…」
「今ここで暴れてみろ。構想中のお前らの機体のパワーアップ計画も廃案にしてやるからな!!」
「それはダメ!!」
「ちっ…」
自機のパワーアップと聞いて、二人もすぐに大人しくなる。
そんな二人をみて、カガリもここぞとばかりに二人を言いくるめにかかる。
「オルガの場合は新型とはいえ、まだまだ実験段階なんだ。オルガが明日、よく戦ってくれればお前たちの機体もその内に…」
「そうだったんだ。大丈夫、ステラ、我慢する」
さっきの殺気はどこへ行ったのか。ステラはいつもの大人しいステラに戻る。
それどころか、カガリの話を聞いて機嫌をよくしたのか、カガリに抱きつき始めた。
「そのうちっていつ?」
一方シャニは殺気を放つのはやめたが、今度は疑いの眼差しをカガリに向ける。
「う!!その内は……その内だ!」
「…」
「…」
冷たい空気が当たりに漂う。
怒るか?と、キラ、オルガ、カガリが不安に思ったとき、シャニもため息を一つついて
「わかったよ…」
と、とりあえず納得した。
「わ、わかってくれればいいんだ。隠しててすまなかったな」

「おい、今の話、本当か?」
「たぶん、カガリのでたらめだと思う…」
「だろうな」
オルガは鼻で笑うと改めて自分のカラミティを見上げた。
少し外見は変わってしまったが、見慣れた鮮やかなグリーンのボディは変わらない。
(明日もまた、頼むぜ。この、バカMS)
心にもない思いで、自機を皮肉る。
その瞬間に倉庫のライトに反射してカラミティがキラリと光る。
「はん、まさかな…」

「おるが~、食堂行こう!!」
視線を戻すと自分以外は既に倉庫の出口に向かっている。
「置いてくぞ!!」
「さっさとしろよ、ノロマ」
「一緒に行こう」
孤独だった昔には考えられなかった光景。
(仲間ってのも、案外いいモンかもしれねえな……!!)
そう思った直後に、自分の考えにビックリする。それと同時に自分の甘さに恥ずかしくなる。
「っるせえ、シャニ!!」
その恥ずかしさを隠すため、オルガは仲間の方へと駆け出した。

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